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集団浅慮/グループ・シンクとは?原因、対策、事例を紹介。組織開発を促進する会議体運営の実現へ

集団浅慮/グループ・シンクとは?原因、対策、事例を紹介。組織開発を促進する会議体運営の実現へ

3人が集まって話し合えば、優れた知恵が生まれることを意味することわざ「三人寄れば文殊の知恵」、一度は耳にしたことがあると思いますが、もし、その内の1人が言いたいことを言えていない環境だったとしたら…。もっと良い知恵(結論)があったかもしれませんね。

今回は、複数人が話し合うことで得られる「集合知」とは異なる側面として、複数人が話し合うことで陥る可能性がある「集団浅慮」について解説します。

集団浅慮(グループ・シンク)とは?

集団浅慮(グループ・シンク)とは、集団で意思決定を行う際に、集団が持つ特有の同調圧力によって、冷静で客観的な判断が損なわれ、非合理的な結論や失敗を招く現象を指します。
集団浅慮は見慣れない漢字の並びですが、読み方は「しゅうだんせんりょ」です。

この概念は、アメリカの社会心理学者アーヴィング・ジャニス(Irving Janis)氏によって提唱されました。ジャニス氏は、特にグループや組織における意思決定の失敗例を分析し、集団浅慮がその原因の一つであることを示したのです。

具体的には、集団が「調和」や「対立回避」を重視しすぎるあまり、異なる意見や批判的な視点を排除してしまう状態を指します。その結果、グループ内では「これが最善の決定だ」という思い込みが強まり、外部のリスクや代替案を十分に検討しないまま結論を出してしまうのです。

集団浅慮の典型的な8つの兆候

ジャニス氏は、集団浅慮が発生している際に見られる8つの兆候を提唱しています。以下にそれぞれの兆候を詳しく解説します。

【1】過剰な楽観主義

グループ内で「自分たちの意思決定は成功する」と過度に楽観的な態度が広がる兆候です。これにより、リスクが軽視され、失敗の可能性を十分に検討しないまま進むことがあります。例えば、新規事業の計画で「この市場は絶対に成功する」という根拠の薄い自信が共有されるケースが該当します。

決意表明や組織の士気を高めるための発言は大歓迎ですが、この感覚的判断を議論の中枢とするのは危険です。

【2】集団の正当性への絶対的な信念

集団が「自分たちの行動は常に正しい」と信じ込むことで、外部からの批判や異なる意見を軽視する兆候です。例えば、競合他社や外部専門家からの指摘を「自分たちには関係ない」と排除してしまう状況が挙げられます。

【3】反対者のステレオタイプ化

集団が外部の反対者や異なる意見を持つ人々を「敵」とみなし、単純化したステレオタイプで語る兆候です。この結果、相手の意見を正確に理解しないまま排除することになります。例えば、競合他社を「市場動向を理解していない」と決めつける状況が該当します。

【4】同調圧力

グループ内で異なる意見を持つメンバーが、リーダーおよび他のメンバーからの直接的な圧力を受け、意見を引っ込めてしまう兆候です。この状況では、建設的な議論が阻害され、全員が同じ意見に賛同しているように見える「表面的な一致」が生まれます。例えば、会議でメンバーが反対意見を提案したところ、リーダーに否定されて議論が進展しない状況が該当します。

【5】自主規制

メンバーが「自分の意見はグループの調和を乱すかもしれない」と考え、自主的に発言を控える状況です。特に上下関係が強い場面や、集団の一致団結が重要視される文化でよく見られます。例えば、上司の提案に対し「リスクがある」と思っていても、発言を控える社員がいる状況が該当します。

【6】沈黙の一致

反対意見を持つメンバーが沈黙することで、グループ内で「全員が同意している」という誤った認識が生まれる兆候です。実際には異なる意見があっても、声を上げないために表面的な一致だけが残ります。例えば、「特に意見がなければこの案で進めます」と言われ、誰も異議を唱えない状況がこれに該当します。

【7】集団の「守護者」の存在

グループ内に、リーダーや中心的なメンバーの意見を守るために、他の意見を排除しようとする「守護者」が現れる兆候です。この結果、異なる視点や批判的な意見が封じ込められ、グループの視野が狭まります。例えば、リーダーの提案を「これは完璧なアイデアだ」と称賛し、それ以外の意見を封じ込める役割を果たすメンバーがいる状況です。

【8】過度な合理主義による責任転嫁

組織の決定に対するメンバーの責任感が乏しいことで、議論は活発化しません。特にその意思決定からネガティブな事象が発生した際には、その原因を自分事で捉えず、他人に転嫁する兆候があります。

以上の8つの兆候は、集団浅慮の典型的な特徴として知られています。これらの兆候を理解し、組織内での意思決定プロセスを見直すことで、集団浅慮を防ぎ、より質の高い意思決定を行う手助けとなるでしょう。

集団浅慮が起こり得る原因

集団浅慮は、特定の条件下で発生しやすい現象です。その原因は、組織やグループの環境、心理的な要素、そして意思決定プロセスの構造に深く関係しています。本章では、集団浅慮が発生しやすい5つの典型的な原因を解説し、それぞれがどのように意思決定の質を損なうのかを具体例を交えながら説明します。

集団凝集性が高い環境

集団凝集性とは、グループのメンバー同士の結びつきや、集団に対する帰属意識が強い状態を指します。このような環境では、メンバーが「集団の調和を乱したくない」「グループ内で孤立したくない」と感じることが多くなり、結果として集団浅慮が発生しやすくなります。

例えば、企業のプロジェクトチームで、メンバーが「このチームでの成功は自分のキャリアに重要だ」と感じている場合、異なる意見や批判的な視点を述べることを避け、グループの一致団結を優先してしまうことがあります。その結果、リスクのある提案や不完全な計画がそのまま進められる可能性が高まります。

閉鎖的な環境

閉鎖的な環境とは、外部からの意見や情報が遮断され、グループ内部でのみ意思決定が行われる状況を指します。このような環境では、集団内での思考が偏りやすくなり、集団浅慮が発生するリスクが高まります。

例えば、ある企業が新商品開発を進める際に、競合他社の動向や市場のフィードバックを無視して、自社内の意見だけで意思決定を行う場合、重大なリスクを見逃す可能性があります。グループ内で「外部の意見は必要ない」と考える雰囲気があると、閉鎖性がさらに強化されます。

過度なストレスや切迫した環境

集団が強いストレスや切迫した状況下に置かれると、意思決定のスピードが重視されるあまり、慎重な議論が省略されることがあります。このような環境では、メンバーが「早く結論を出さなければならない」と感じ、十分な検討を行わずに決定に至ることが多くなります。

例えば、災害対応や緊急のプロジェクト立ち上げの際に、時間の制約があるために「この案でいくしかない」と結論を急ぐケースが挙げられます。このプレッシャーによって、代替案の検討やリスク評価が軽視され、結果として集団浅慮が発生します。

ある特定の権力者が支配している環境

集団内に強い影響力を持つ権力者が存在すると、メンバーはその人物の意見に従う傾向が強まり、異なる意見や代替案が排除されることがあります。このような環境では、権力者の意向がグループ全体の意思決定に過度に影響を与え、集団浅慮が引き起こされる可能性が高まります。

例えば、リーダーが「これが最善の方法だ」と強く主張する場面で、他のメンバーが「この意見に反対するのはリスクだ」と感じて沈黙してしまう状況が挙げられます。権力者の意見が絶対視されることで、グループの議論が偏り、視野が狭くなります。

利害が発生している環境

集団内に利害関係が存在すると、メンバーは自分自身や自分の部署の利益を守るために、特定の意見に偏る傾向があります。その結果、グループ内で公平な議論が妨げられ、集団浅慮が発生しやすくなります。

例えば、企業の部門間で予算配分を議論する際に、各部門が自分たちの利益を優先して発言する状況が挙げられます。この場合、全体として最善の決定ができず、特定の部門の利益が優先されてしまう可能性があります。

以上の原因を理解し、組織運営や意思決定の場でこれらのリスクを避けることは、集団浅慮を防ぎ、より良い結果を導くための第一歩です。それぞれの原因に対する対策(後述)を講じることで、組織が意思決定の質を向上させることができます。

集団浅慮の具体的事例(事件)

集団浅慮は、実際に歴史や組織の中で多くの重大な失敗を引き起こしてきました。本章では、集団浅慮が原因とされる具体的な事例を取り上げ、その背景やプロセスを紐解いていきます。これらの事例を理解することで、同じような過ちを避けるための教訓を学ぶことができるでしょう。

スペースシャトル「チャレンジャー号」打ち上げ失敗

スペースシャトル「チャレンジャー」の打ち上げ失敗(1986年1月28日)は、NASA(アメリカ航空宇宙局)とその関係者が集団浅慮に陥ったことで引き起こされた悲劇的な事故の一つとして知られています。この事故では、シャトルが打ち上げからわずか73秒後に爆発し、乗員7人全員が命を落としました。その背景には、技術的な問題だけでなく、意思決定の過程における集団浅慮が深く関与していました。

背景

チャレンジャー事故の主要な原因は、ロケットブースターのOリング(ゴム製の密封部品)の欠陥にありました。このOリングは低温下で脆くなる性質があり、当日の気温が極端に低かったため、十分な機能を果たせない可能性が指摘されていました。しかし、打ち上げ当日までに行われた会議では、関係者の間で「打ち上げを延期すべき」という意見が十分に議論されることなく、予定通りの打ち上げが決定されました。

集団浅慮の兆候

NASAとその主要な請負業者であるモートン・サイオコール社は、以下のような集団浅慮の兆候を示していました。

■過剰な楽観主義
打ち上げ計画の成功に対する過信があり、リスク要因が軽視されていた可能性。

■同調圧力
延期を提案した技術者たちが、上層部の決定に異を唱えることをためらい、意見を引っ込めた可能性。

■沈黙の一致
反対意見が表に出なかったことで「全員が同意している」という誤った認識が生まれた可能性。

結果と教訓

この事故は世界中に衝撃を与えただけでなく、NASAに対する信頼を大きく損ねました。その後の調査で、Oリングの欠陥に関する懸念が事前に知られていたにもかかわらず、組織の文化と意思決定のプロセスがこれを無視したことが判明しました。この悲劇は、組織が多様な意見を尊重し、リスクを慎重に評価する重要性を強調する事例となっています。

ピッグス湾事件

ピッグス湾事件(1961年)は、アメリカ政府がキューバのカストロ政権を打倒するために実施した軍事作戦が失敗した事例として有名です。この事件も集団浅慮が大きく関与したとされています。作戦の計画と実行において、アメリカ政府内部での意思決定プロセスに重大な問題があったことが後に明らかになりました。

背景

当時のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディとその側近たちは、キューバで社会主義政権を樹立したフィデル・カストロを脅威と見なし、亡命キューバ人を利用して武装侵攻を仕掛ける計画を立案しました。この作戦はCIA(米中央情報局)によって主導され、キューバ南部のピッグス湾に侵攻するというものでした。しかし、作戦計画は情報不足や誤算が多く、またキューバ国内からの支持を十分に得られないまま実行されました。

集団浅慮の兆候

ピッグス湾事件でも、以下のような集団浅慮の兆候が見られました。

■過剰な楽観主義
計画の成功を過信し、現実的なリスクを軽視した可能性。

■敵対者のステレオタイプ化
カストロ政権を「脆弱で簡単に崩壊する」と過小評価していた可能性。

■代替案の不十分な検討
侵攻以外の選択肢や、計画が失敗した場合のリスクヘッジが検討されなかった可能性。

結果と教訓

作戦はキューバ軍によって簡単に鎮圧され、アメリカ政府は大きな国際的非難を受けることになりました。また、ケネディ政権内の意思決定プロセスにおける問題が浮き彫りとなり、集団浅慮への対策が議論されるようになりました。この事件は、リーダーシップのあり方や組織内で異なる意見を尊重する重要性を再認識させるきっかけとなりました。

集団浅慮を生じさせないための対策

集団浅慮は、組織の意思決定プロセスにおいて大きなリスクをもたらします。しかし、適切な方法を取り入れることで、その発生を未然に防ぐことが可能です。本章では、集団浅慮を防ぐための具体的な対策について、会議の運営方法やメンバー構成、リーダーシップ、意思決定プロセスの改善といった観点から解説していきます。これらの対策を実践することで、より質の高い意思決定が可能になるでしょう。

全員が意見できる会議体の運営

集団浅慮を防ぐためには、会議における心理的安全性を確保し、参加者全員が自由に意見を述べられる環境を整えることが重要です。心理的安全性とは、メンバーが「自分の意見を発言しても否定されない」「批判される心配がない」と感じる状態を指します。この状態が確立されれば、異なる意見や新しい視点が積極的に共有され、集団浅慮を回避しやすくなります。

具体的な対策例

■意見を歓迎する文化の醸成

会議の冒頭で、「どんな意見も歓迎する」「賛否どちらでも自由に発言してほしい」とリーダーが明言することで、発言のハードルを下げることができます。

■意見を均等に引き出す仕組み

発言者が偏らないように、ラウンドロビン方式(順番に発言する方式)会議を取り入れたり、発言を促す質問をリーダーが投げかけたりするのも有効です。

■匿名での意見収集

デリケートなテーマの場合、事前に匿名のアンケートを取ることで、直接発言しづらい人の意見を拾うことができます。

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多様性を尊重したメンバー構成

議論に多様な視点を取り入れることも、集団浅慮の発生を防ぐための重要な手段です。同じ価値観やバックグラウンドを持つメンバーだけで構成されたグループでは、意見が偏りやすく、リスクや代替案が見落とされる可能性があります。一方で、多様な意見を持つメンバーがいることで、議論に深みが生まれ、より合理的な意思決定が可能になります。

具体的な対策例

■異なる専門性や経験を持つメンバーを選ぶ

チーム構成にあたって、年齢、性別、職種、専門分野などの多様性を意識的に取り入れることが重要です。

■あえて反対意見を担当する役割を設定

“デビルズ・アドボケイト”(反対意見を述べる役割)を設けることで、意図的に議論を多角化して進めることができます。

■外部の視点を取り入れる

必要に応じて、外部の専門家やコンサルタントを招き、客観的な意見を加えるのも効果的です。

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リーダーシップとフォロワーシップのバランス

リーダーの強い影響力が集団浅慮を引き起こす場合がありますが、逆にリーダーシップを適切に発揮することで、これを防ぐことも可能です。また、フォロワー(参加メンバー)の役割を明確にし、組織全体の文化を改善することも重要です。

具体的な対策例

■リーダーの発言を抑える

リーダーが最初に意見を述べると、それに追従する意見が続きやすくなるため、リーダーは発言を控え、まずメンバーの意見を聞くことを心がけます。

■フォロワーシップの育成

メンバーが自発的に意見を述べ、リーダーに対しても率直に反論できる文化を育てることが重要です。

■組織文化の改善

日常的に多様な意見を尊重する文化を醸成することで、会議だけでなく、日々の意思決定の質が向上します。

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意思決定プロセスの改善

集団浅慮は、意思決定を急ぎすぎたり、過度なプレッシャーがかかったりした状況で発生しやすい現象です。そのため、意思決定プロセスを見直し、時間的・心理的な余裕を確保することで、集団浅慮を防ぐことが可能となります。

具体的な対策

■十分な議論の時間を確保する

結論を急ぎすぎることを避け、複数回の会議に分けて意思決定を行うようにします。

■リスク評価の時間を設ける

意思決定の際には、リスクや代替案を検討するセッションをあらかじめスケジュールに組み込むことが重要です。

■第三者のレビューを導入する

外部の専門家や別の部署のメンバーにレビューを依頼することで、偏った意思決定を防ぐことができます。

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対策導入における課題と意識

集団浅慮を防ぐための対策を導入することは、組織の意思決定の質を向上させるために不可欠です。しかし、これらの対策はすぐに成果を上げられるものではなく、導入に際してはさまざまな課題や組織全体の意識改革が必要となります。本章では、主な課題とそれに対する具体的なアプローチについて解説し、持続可能な改善を目指すための指針を提示します。

組織文化の変革には、当然、時間がかかる

組織文化は、長年にわたって形成された価値観や行動パターンの集合体です。そのため、集団浅慮を防ぐための対策を導入する際には、この文化を根本から変える必要がある場合があります。しかし、文化の変革は一朝一夕には実現できず、時間をかけてじっくり取り組む必要があります。

課題の背景

例えば、上下関係が強い組織では、部下が上司に対して率直に意見を述べることが難しい雰囲気が根付いていることがあります。このような状況では、心理的安全性を確保しても、メンバーがすぐに意見を発信するようになるわけではありません。また、「反対意見を述べることは組織の和を乱す」といった根深い価値観が存在する場合、それを変えるのは容易ではありません。

解決へのアプローチ

■経営者自らが旗振り役となる

文化の変革には、トップダウンのメッセージが不可欠です。経営者が「多様な意見を歓迎する」「率直な意見を尊重する」と明言し、自らがその模範を示すことで、変革の第一歩が始まります。

■組織の価値観を明文化する

「異なる意見を尊重する」「議論を歓迎する」といった価値観を、社内ガイドラインや企業理念に組み込み、全社員に浸透させる努力が必要です。

■長期的な視点で取り組む

組織文化の変革は数年単位で計画を立てるべきです。短期的な成果を求めるのではなく、徐々に変化を促進する姿勢が重要です。

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「発信への不安」を取り除く難しさ

意見を述べることには、心理的な抵抗が伴うことが少なくありません。特に新人や中途入社者は、職場の雰囲気に慣れていないため、「自分の意見が否定されるかもしれない」「周囲に悪い印象を与えるのではないか」といった不安を感じることがあります。このような心理的抵抗は、集団浅慮を防ぐための対策を実施する上での大きな課題となります。

課題の背景

社員一人ひとりが意見を述べる際に感じる心理的なハードルは、個人の性格や職場環境によって異なります。例えば、控えめな性格の人や、まだ職場に馴染めていない新人は、自信がなく発言を控えがちです。また、上司や同僚との関係性が築けていない場合、発言することで関係が悪化するのではないかという懸念もあります。

解決へのアプローチ

■心理的安全性を徹底的に確保する

会議や日常のコミュニケーションで「否定しない」「批判をしない」というルールを徹底することで、発言へのハードルを下げます。

■匿名での意見収集を活用する

意見を発信するのが苦手な社員向けに、匿名で意見を述べられるツールや方法を提供することで、心理的抵抗を軽減します。

■発言を奨励する仕組みの導入

会議で発言した社員をリーダーが積極的に評価し、感謝を述べることで、意見を述べることがポジティブな行動であると認識させます。

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過度な対立により組織に軋轢が生じる

建設的な対立や議論は、意思決定の質を高めるために重要ですが、それが行き過ぎると、職場の不和やメンバー間のストレスを助長する結果につながる可能性があります。そのため、対立を健全な形で行い、人格攻撃ではなくアイデアへの批判に集中する文化を作る必要があります。

課題の背景

対立意見を歓迎する姿勢を取り入れる際、議論が感情的になり、個人同士の軋轢に発展することがあります。例えば、ある意見に対して強く反論した結果、相手が「人格を否定された」と感じてしまい、関係が悪化することがあります。このような状況は、組織全体の雰囲気を悪化させる要因となります。

解決へのアプローチ

■議論のルールを明確化する

「批判はアイデアや内容に限る」「人格への攻撃は禁止」というルールを明文化し、全員に共有します。

■ファシリテーターを導入する

感情的な議論を防ぐために、会議を中立の立場から進行できるファシリテーターを起用します。

■建設的なフィードバックのトレーニングを実施する

社員に「批判の仕方」「反論の仕方」を学ばせる研修を行い、議論を健全に進めるスキルを身につけさせます。

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まとめ

会議というのは、経営会議やチーム定例会議、進捗報告、臨時ミーティングなど、その規模や頻度、メンバー構成が異なりながらも、ほぼ毎日のように行われる組織運営の中心的な活動です。これらの会議は、情報共有や意思決定の場として重要な役割を果たしますが、その質や運営方法によって、最終的な結論や成果に大きな違いが生じることがあります。

特に、組織の意思決定プロセスにおいては、スピードと質のバランスを取ることが重要です。意思決定を急ぎすぎると、リスクや代替案を十分に検討しないまま進めてしまう可能性があり、逆に慎重になりすぎると、スピード感を欠いて競争力を失うリスクがあります。また、会議の決裁者や参加メンバーの構成によって、議論の方向性や結論が大きく左右されるため、それぞれの会議の目的に応じた適切な運営が求められます。

このような背景の中で、集団浅慮を防ぎ、より良い意思決定を実現するためには、会議体運営の質にこだわることが必要です。

組織開発の一環として、会議体運営の質を向上させることは、単に良い会議を実施するだけでなく、健全で持続可能な企業経営を促進するための重要な取り組みです。日々の会議を見直し、改善を重ねることで、組織全体の成長と競争力の向上につなげていきましょう。

偉人から学ぶわが社の「社内会議7か条」

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