アサーティブコミュニケーションとは?実践ポイントとトレーニング方法を解説!

アサーティブコミュニケーションとは?実践ポイントとトレーニング方法を解説!

グローバル化やダイバーシティ、働き方改革が進み、多様な人材が一緒に働く現代社会。コミュニケーションに課題を感じている企業が増えています。そのなかで、注目を集めているのが、「アサーティブコミュニケーション」です。アサーティブコミュニケーションを実施することで、組織力の強化が期待できます。

本記事では、企業が注力したいアサーティブコミュニケーションについて詳しく解説します。健全な組織におけるコミュニケーションとは、一体どのようなものなのでしょうか?実践するときのポイントと、具体的なトレーニング方法もみていきましょう。

アサーティブコミュニケーションとは


アサーティブコミュニケーションとは、お互いが相手を尊重しつつ、意見を伝え合うコミュニケーション方法を指します。

そもそも、アサーティブ(assertive)は、「断言する」「自己主張する」などと訳される言葉です。しかし、アサーティブコミュニケーションでは、一方的な意見の主張ではなく、自分と相手の双方がそれぞれ自己主張をしつつも、相手の意見を受け入れながら会話を進めます。

もともとは、心理学のカウンセリング手法として開発されました。そのアサーティブコミュニケーションがビジネスで注目され始めた背景には、グローバル化やダイバーシティ、働き方改革によって、異なる国籍や文化、価値観を持つ人が一緒に働くシーンが増えたことにあります。

さらに、新型コロナウイルスによりビジネスのリモート化が進み、より多様な人々と触れ合う機会が増えました。今後もアサーティブコミュニケーションの重要性は高まると考えられます。

アサーティブコミュニケーションの「4つの柱」


アサーティブなコミュニケーションには、「誠実」「対等」「率直」「自己責任」という4つの要素が必要だとされています。ここでは、アサーティブコミュニケーションで意識すべきポイントと、具体的な行動についてみていきましょう。

誠実

アサーティブコミュニケーションを行う際の最初のポイントは、相手に対しても自分に対しても「誠実」であることです。

たとえ意見が食い違っても、感情的に反論せず、一度相手の意見を受け止めます。また、自分の考えに蓋をしたり、無条件に相手の意見に賛同したりすることもせず、自分の考えを丁寧に伝えます。お互いに自分本位な自己主張を慎めば、どちらも不快な思いをせずコミュニケーションを取ることが可能です。

対等

次のポイントは、立場や力関係に左右されず、「対等」であることです。

立場が弱いからといって、自分の意見を殺したり、卑屈になったりする必要はありません。また、立場が強いからといって、相手に自分の意見を押し付けたり、高圧的になったりするのはNGです。地位や身分、年齢などで優劣を付けず、対等な態度で相手と向き合うことで、上から目線でも卑屈でもないコミュニケーションが実現します。

率直

自分の意見や考えを「率直」に伝えることも重要です。

第三者の意見は持ち出さず、主張の主語は「私」にして意見を伝えます。また、曖昧な表現や遠回しな言い方をせず、相手に伝わりやすいストレートな言葉を選択します。自分も相手も素直なやり取りができれば、言葉の裏を読む必要がないため、スムーズに話が進みます。

自己責任

最後のポイントは、コミュニケーションの結果が良いものであっても悪いものであっても、すべて「自己責任」と考えることです。

軽はずみな発言が元で、大きな問題に発展することはよくあります。一方、意見を出さないことで誤解されたり、後から不満を漏らしてトラブルになったりするケースも見受けられます。このようにコミュニケーションが上手くいかなかったときに、相手のせいにしてしまうと、相手を嫌いになったり恨めしく感じたりして、関係が悪化しかねません。一方、言った責任・言わなかった責任を自分のせいだと受け止められれば、コミュニケーションの結果を問わず、次回以降も相手との関係を保ったまま意見を交わすことができます。

アサーティブコミュニケーションではない自己表現


それでは、アサーティブではないコミュニケーションとはどのようなものを指すのでしょうか。コミュニケーションには、アサーティブのほかに、「アグレッシブ」「ノンアサーティブ」の2種類のタイプがあるといわれています。

攻撃的な「アグレッシブ」

アグレッシブコミュニケーションとは、攻撃的で自己中心的な自己表現のスタイルです。自己主張はできますが、自分の意見を押し通し、相手を尊重することができません。

攻撃的な自己主張をされた側は黙ってしまうことが多いことから、攻撃的な主張をした側は自分の意見が通ったと勘違いしがちです。また、攻撃的な主張に対しては、相手も反発しやすく、お互いの意見を受け入れられなくなるため、正常な意見交換が成り立ちません。

このタイプは自己中心的な人として、周囲に警戒されたり敬遠されたりする傾向にあります。

<アグレッシブコミュニケーションの例>
・相手の意見に対する返答がいつも否定から入る
・相手を見下した発言が多く、常に自分が優位に立とうとする
・自分の意見を早口で矢継ぎ早に主張し、相手が返答・反論する隙を与えない
・指摘を受け入れず、言い訳をする
・自分の主張が通らないと、不機嫌になったり暴言を吐いたりする

受け身的な「ノンアサーティブ」

ノンアサーティブコミュニケーションとは、受け身な自己表現のスタイルです。相手を尊重することはできますが、自分の意見を主張することができません。相手に落ち度があるとき、相手から情けをかけられたときにのみ自分の主張が通ります。

周囲からの評価を気にしすぎるあまり、回りくどい言葉を選んだり言い訳したりと曖昧な態度を取りがち。自己評価が低く、相手を優先しすぎて無理難題を押し付けられることもあります。

また、自分が相手を気遣っている分自分も気遣われて当然と考えており、相手からも同等の気遣いをされないと不満を感じます。自分の意見や考えを発信しないため、相手には何を考えているのか、なぜ不機嫌になっているのかが伝わらず、周囲もストレスを感じます。

このタイプは、優柔不断で消極的な人が多く、相手を思いやっているように見えても最終的には自分にも周りにも不利益をもたらしてしまう傾向があります。

<ノンアサーティブコミュニケーションの例>
・頼まれると断れないため、いつも余分な仕事を押し付けられ、残業をしている
・質問されても、曖昧な返事をする
・言い訳することが多い
・言わなくても分かってほしいと考えており、相手に気を遣われないと不機嫌になる

組織づくりでアサーティブコミュニケーションが注目されている理由


アサーティブコミュニケーションには、コミュニケーションを円滑にする以上の効果が期待できます。ここでは、アサーティブコミュニケーションがビジネスの場、とくに組織づくりにおいて注目されている理由をみていきましょう。

コミュニケーションの活性化

社内のコミュニケーション不足は、組織運営に大きな悪影響を及ぼすといわれています。このコミュニケーション不足を解消する一手段として、アサーティブコミュニケーションが注目されています。

アサーティブコミュニケーションでは、従業員同士が気持ちよく会話できるため、自然と社内コミュニケーションが増えます。結果、チームとしての結束力が強化され、パフォーマンスアップが期待できます。

また、活発なコミュニケーションが取られている職場は、風通しが良くなります。ノウハウやナレッジが共有されて仕事の質が向上したり、ミスや失敗がすぐに報告されて迅速に対応を話し合えたりと、さまざまなメリットにつながっています。

従業員のメンタルヘルス対策

従業員のメンタルヘルス対策に貢献できることも、アサーティブコミュニケーションが注目されている理由です。

メンタルヘルス不調に陥る原因の1つが、人間関係の悪化です。日常的に、自己中心的な主張を押し付けられたり、何を聞いても曖昧な答えしか返って来なかったりすれば、職場での人間関係に悩む従業員が出ることは容易に想像できます。とくに、ノンアサーティブコミュニケーションをとる人は、ストレスを抱えやすく、メンタルヘルス不調になりやすいといわれています。

一方、アサーティブコミュニケーションができれば、コミュニケーションが原因の人間関係に悩む人は減ります。企業がアサーティブコミュニケーションに取り組むことは、従業員のストレス軽減と、メンタルヘルスケアに有効なのです。

良好な人間関係の構築

ここまでの内容から、アサーティブコミュニケーションが、良好な人間関係構築に効果的なことが分かるでしょう。

日本には「上下関係に厳しい」「場の空気を読む」「婉曲表現を好む」「慎ましさを美徳とする」などの文化があり、攻撃的または受け身的なコミュニケーションが生まれやすいといえます。

しかし、アサーティブコミュニケーションが実施されれば、立場が弱い従業員でも一方的に理不尽な要求をされることはありません。社内のコミュニケーションが活性化され、悩みを気軽に相談できる環境も整います。誰も嫌な思いをしなければ、自然と良好な人間関係は築かれ、従業員の離職も防止にもつながります。

ハラスメント対策

コンプライアンス意識の強化が求められる現代、企業が頭を抱えるのが、社内で発生するさまざまなハラスメントです。一方、アサーティブコミュニケーションが浸透した職場では、相手に配慮した言動が基本となるため、ハラスメントが起こりにくいといわれています。

アサーティブコミュニケーションでは攻撃的な言動や一方的な押し付けがなく、上司も部下を尊重して接するため、基本的にパワーハラスメントやモラルハラスメントが発生しません。対等で率直な意見を発信できる環境があれば、弱い立場の従業員が、上司に対してセクハラ的な発言を指摘することも可能です。

生産性の向上

アサーティブコミュニケーションが活性化されれば、生産性向上にもつながります。全企業共通の課題である生産性アップに効果的であることは、多くの企業がアサーティブコミュニケーションに取り組む理由となっています。

社内コミュニケーションが活発で、良好な人間関係があり、ハラスメントのない職場環境が整っていれば、従業員のモチベーションアップや組織への愛着を促すことができます。個のパフォーマンスが上がれば、組織としての生産性も向上します。また、風通しの良い企業には、優秀な人材が集まりやすく、さらなる好循環も期待できます。

アサーティブコミュニケーションを実践するための6つのポイント


それでは、アサーティブコミュニケーションを実践するポイントを具体的に確認していきましょう。とくに、管理職がアサーティブコミュニケーションの実践を徹底することで、職場環境の改善や一般社員の意識改革につながります。

ゴールを決めてから話に入る

会話を始めるときは、何のために話すのかゴールを設定します。会話のゴールがないと、ダラダラと関係のない話をしてしまったり、相手に要点が伝わらなかったりすることがよく起こります。そこで、話のゴールを明確にするだけで、質の高いコミュニケーションを円滑に行えるようになります。

また、話をする目的が仕事の依頼や問題の指摘ではなく、相手との関係構築や交流という場合は、「相手の興味があるテーマを引き出す」「食事に行く約束を取り付ける」など、相手との距離を縮めることをゴールにすると良いでしょう。この場合、面白い話をする必要はなく、相手が話したい話を聞いて、相手が聞きたいことを話すことがポイントです。

伝えたいことを整理してまとめておく

事前に話す話題が決まっている場合は、伝える内容を整理し、自分のなかでまとめておくことで、必要な情報のみ相手に伝えることができます。話をまとめるときは、「事実(現状や問題点)」と「相手への要望や提案」の2点を必ず盛り込みます。「自分の気持ち」があれば、併せて伝えられるよう言語化しておきましょう。

内容をまとめるときは、相手の知りたいことが何なのかを考えることがポイントです。人は自分の興味がないことに関して、なかなか頭に入りません。相手の立場に立って、疑問に感じそうなことや、知っておくと判断が変わりそうな情報は、あらかじめ調べておくとスムーズにやり取りが進みます。

誠実な態度で相手を尊重する

誠実さはアサーティブコミュニケーションに欠かせない要素です。立場や状況にかかわらず、常に誠実な態度で接することを心がけましょう。相手と意見が食い違う場合でも、誠実な態度で相手への尊重を示すことで、自分の意見を受け入れてもらいやすくなります。

<誠実な態度の具体例>
・相手の話を途中で遮らず、最後まで丁寧に聞く
・協力してくれた人には、まず感謝を伝える
・約束をしたら、守る努力をする
・嘘をついたりごまかしたりしない
・自分のミスや間違いを素直に認め、謝罪をする
・人から聞いた話を軽々しく口外しない
・困っている人がいたら、相談にのったりサポートしたりする
・本意ではない言葉で無理に賛同したり、忖度したりしない
・意見を求められたら言葉を濁さず、はっきりと返答する

感情を伝えるときは言葉選びを大切にする

冷静さを失い感情的になった時点で、相手の意見を尊重したコミュニケーションが難しくなります。自分の感情を伝えるときは、いつも以上に何をどう伝えるのか、慎重に言葉を選ぶようにしましょう。ストレートすぎる表現だと、攻撃的に感じられるため要注意です。

とくに、人は怒りの感情を一方的に押し付けられると、自分を否定されたと感じ、反発して意見を受け入れにくくなります。そのため、怒っているときは、怒りそのものではなく、「怒っている理由」と「第一感情」を伝えましょう。

第一感情とは、「恐怖」「不安」「驚愕」「悲しみ」など、何かトラブルが起こったあと、最初に出てくる感情です。理不尽な出来事であれば、そこから怒りに発展します。2番目に出てくる感情なので、怒りは第二感情となります。コミュニケーションにおいては、怒りではなく、最初に感じた第一感情を伝えることで、反発ではなく申し訳ない気持ちを誘うことができ、自分の意見を受け入れてもらいやすくなります。

ポジティブな表現で伝える

ネガティブな言葉や文章は、相手や相手の意見に対して、否定的・反抗的であると誤解される可能性があります。そのため、コミュニケーションを取るときは、できるだけポジティブな表現を選ぶことが重要です。

たとえば、「○○できません」は、「××ならできます」と言い換えられます。「○○をされては困ります」なら「××していただけると助かります」、「○○だと上手くいかないですよ」なら「××に変えれば上手くいくはずです」など、簡単にポジティブな印象の文章に変えることができます。

I(アイ)メッセージで伝える

I(アイ)メッセージとは、主語を「私」にした文章です。自分を主体にした発言を心がけることで、相手の意見も尊重した柔らかい印象の自己表現になります。

「みんなは~」「ふつうは~」など自分以外を主語にすると、多数:1(相手)という構図を作ってしまい、自分の意見を押し付ける雰囲気が出てしまいます。しかし、主語を「私」にすることで、1:1の構図を作り、自分と相手が対等でフェアに対話していることを示すことができます。

また、質問や指摘をするときに、「あなたは○○できないのですか?」など「あなた」を主語にすると、攻撃的、または高圧的な印象を与えてしまいます。相手の発言が理解できない・確認を取りたい場合も、「私」が文章の主体になるようにしましょう。

アサーティブコミュニケーションのための「アサーション・トレーニング」

アサーティブコミュニケーションは、意識して実践することで、身に付けることができる自己表現です。最後は、アサーティブコミュニケーションを行うためのトレーニング方法を紹介します。

DESC法

DESC法とは、4段階に分けて自分の意見を主張する方法を指します。DESCは、「Describe」「Express」「Specify」「Choose」の頭文字です。普段からDESC法で伝える練習をしておけば、意識しなくても相手を傷つけないコミュニケーションができるようになります。

1.Describe(描写する)
現状や相手の行動を、主観を交えず、客観的に描写します。

2.Express(表現する)
描写した事柄について、自分の感情(第一感情)を素直な言葉で表現します。攻撃的になったり、感情的になったりせず、相手を尊重した表現を選ぶことがポイントです。

3.Specify(提案する)
相手にして欲しいことを、具体的に提案します。命令形にならないよう、あくまでも提案する、依頼する姿勢を意識しましょう。

4.Choose(選択する)
提案したときに、相手に受け入れられた場合・受け入れられなかった場合に自分がとる選択肢を想定します。

ロールプレイ

ロールプレイは、役柄を決めて、それぞれの立場になりきることです。たとえば、「上司役」「部下役」を決め、「上司からの命令を部下が断る」などシチュエーションを設定します。上司役も部下役もできるだけアサーティブなコミュニケーションを心がけます。第三者が観察し、アサーティブになっていない表現があれば、より良いコミュニケーション方法を検討します。

また、「怒りっぽく理不尽な要求をする取引先」や「会議中に意見を出さない部下」など設定を変えれば、さまざまなシーンにおけるアサーティブな表現や言い方を練習することができます。

企業がアサーティブコミュニケーションを実践するメリットは大きい


グローバルで多様性に富んだ社会では、風通しの悪い組織や、アグレッシブ・ノンアサーティブな人材が多い組織は敬遠され、人材確保が難しくなります。一方、アサーティブコミュニケーションを実施できれば、優秀な人材が自然と集まる組織になるだけでなく、企業が抱えるさまざまな課題を解決することができます。

ただし、アサーティブコミュニケーションは、短期間で容易に身に付くものではありません。組織全体で、自分と相手を尊重するコミュニケーションを意識し、地道にトレーニングを続けることが大切です。

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