ウェルビーイングとは?構成する5つの要素、健康な経営のための新たな概念と取り組み事例を紹介
人材不足や生産性の低下、加えて高い離職率など、日本企業はさまざまな課題を抱えています。解決に苦慮している企業も多いのではないでしょうか。
「ウェルビーイング」の考え方を取り入れれば、現在抱えている課題を解決できるかもしれません。今回は、近年急速に注目を集めているウェルビーイングの意味と5つの要素を紹介し、経営視点から見たウェルビーイングの在り方を解説します。最後には、具体的事例も紹介していますので、自社に合った取り組みから始めていけると良いでしょう。
目次
ウェルビーイングとは?
ウェルビーイングとは、精神的・社会的・身体的に充実した状態のことです。
この3つが充実した状態では、社員は最大限の業務パフォーマンスを発揮することができ、組織の売上拡大や事業推進に大きく貢献します。
well-beingの意味と定義
ウェルビーイングは、“良い”という意味のWellと“在り方”という意味のBeingを合わせた言葉です。そして、well-beingは「健康」「幸福」という意味を持ちます。1946年に設立された世界保健機関(WHO)の憲章における「健康」を定義する記述の中で、「良好な状態(well-being)」として初めて言及されました。
HEALTH IS A STATE OF COMPLETE PHYSICAL, MENTAL AND SOCIAL WELL-BEING AND NOT MERELY THE ABSENCE OF DISEASE OR INFIRMITY.
訳:健康とは、単に病気や虚弱ではないということではなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態である。引用:世界保健機関憲章
また、日本におけるウェルビーイングの定義においては、厚生労働省が「雇用政策研究会報告書 概要(案)」にて定義しています。
個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念
このように、社員のウェルビーイング向上は組織に好影響を与える要素として、ビジネスにおいて注目されている概念なのです。
ウェルビーイングとウェルフェアの違い
ウェルビーイングの類語として「ウェルフェア」という言葉があります。ウェルフェアとは、「福祉」「福利」という意味を持ち、日本では主に「福利厚生」という意味で使われています。福祉とは、公的扶助による生活の安定や充足に伴う「幸せ」であり、ウェルビーイングもウェルフェアも、社員の健康・幸福を増進させる上では 同義であると言えます。
ただし、ウェルビーイングは社員の健康・幸福を増進するための“目的”であり、ウェルフェアはその目的を達成するための“手段”としての意味合いが強くなります。ウェルビーイングの実現のために、ウェルフェア(福利厚生)のラインナップを整備するフローがあると考えると分かりやすいでしょう。
ウェルビーイングとハピネスの違い
同じく幸福という意味をもつhappinessですが、well-beingとの違いが2つあります。1つ目は幸福の対象、2つ目は幸福の期間です。
■well-being:“個人および個人を取り巻く環境”が、“持続的”に幸福な状態であること
■happiness:“個人”の“一時的・短期的”な幸せの感情
この定義は、文部科学省による「教育政策におけるウェルビーイング」の資料にて記載されています。
参照:【文部科学省】教育政策におけるウェルビーイング
ウェルビーイングの要素
ウェルビーイングはもともと、社会福祉の専門用語として使われている言葉でしたが、近年ではビジネスシーンでも使われる定義となっています。なぜなら、「健康」や「幸福」の実現に向けた職場環境や働き方を見直す指標として、ウェルビーイングが有効であるからです。
本章では、ウェルビーイングを構成する5つの要素について、ギャラップ社が展開するデータと心理学者マーティン・セリグマン氏が提唱したPERMA理論を用いて説明します。
ギャラップ社による5つの要素
国連が発表している「世界幸福度ランキング」は、アメリカの大手調査会社であるギャラップ社による指標をもとにしています。そのギャラップ社による幸福度調査データから導き出されたウェルビーイングの5つの要素を紹介します。
Career well-being(キャリアウェルビーイング)
キャリアウェルビーイングは、「仕事と私生活」のキャリアに関する幸福を指します。キャリアと聞くと仕事面を想像するのが一般的ですが、キャリアウェルビーイングにおいては、家事、子育て、趣味、学習、ボランティア活動なども含みます。
1日の中で多くの時間を費やす仕事と私生活に満足感があることで、ワークライフバランスの充実に繋がります。
Social well-being(ソーシャルウェルビーイング)
ソーシャルウェルビーイングは、人間関係に関する幸福を指します。Socialは日本語で「社会的」「社交的」という意味があり、人との交流の量だけではなく、信頼と愛情があり、互いに幸福をもたらす関係性を築けているかが重要なポイントです。
社会的幸福と捉えられていて、ビジネスシーンでは上司・部下・同僚との人間関係がソーシャルウェルビーイングに直結します。人と好意的な付き合いを深めていくことで、日々の生活がより充実します。
Financial well-being(ファイナンシャルウェルビーイング)
ファイナンシャルウェルビーイングは、経済的な幸福を指します。十分な報酬を得られる手段があるか、自己資産の管理と運営ができているかなどが当てはまります。お金の余裕は心の余裕。経済的に安定した生活を送ることは、幸福度を高めてくれる要因になります。
Physical well-being(フィジカルウェルビーイング)
フィジカルウェルビーイングは、身体的な幸福を指します。簡単に言うと、健康体であり、毎日の生活や仕事に前向きに取り組めているモチベーションがある状態です。腹が減っては戦ができぬ。まずは自分自身が健康に生活することで、幸福を感じる機会が増えていくのでしょう。
Community well-being(コミュニティウェルビーイング)
コミュニティウェルビーイングは、身近な環境に関する幸福を指します。コミュニティとは、利害を共にし、深い結び付きのある「共同体」と訳されます。家族、友達、学校、職場など、地域社会との繋がりが強固かつ良好であるほど、幸福感を感じやすいとされています。
ビジネスに特化して考えると、社内環境はもちろん、取引先とのコミュニティの中で適切な関係性が保たれていることも重要な指標であり、仕事の充実感に影響を及ぼします。
PERMA理論による5つの要素
続いては、心理学に基づいたウェルビーイング指標を紹介します。
アメリカ人心理学者マーティン・セリグマン氏が提唱したPERMA理論からウェルビーイングを構成する5つの要素を解説します。
Positive emotion/ポジティブ感情
興味、歓喜、希望、感動、感謝、愛、親切などのポジティブな感情と常に隣り合わせの生活を送ることで、幸福度が上がります。
趣味の時間も存分に楽しむ、感謝を伝えることが日課である、家族や友人との時間を大切にするなど、自分がポジティブになれる瞬間を見つけてルーティンにしていくと良いでしょう。
Engagement/集中・没頭
仕事に集中している状態と趣味に没頭している状態も幸福のひとつです。これはフロー状態とも呼ばれ、アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ氏が命名しました。
これは、だれにでも起こり得る状態であり、趣味や読書に夢中になり時間を忘れていた経験、スポーツやゲームでゾーンに入った経験がある人も多いのではないでしょうか。この何かに没頭するという経験は、ウェルビーイングの向上につながるといわれています。
Relationship/良好な関係
自分の身近な存在である家族、友人、上司、同僚などと良好な関係を築くことで幸福を実感することができます。
良好な関係を築くには、相互理解が必要です。一方的な関係性にならないよう、まずは趣味嗜好の合う人との関わりを増やしていくと良いでしょう。慣れてくれば、様々な人との交流を増やしていけるはずです。
自分自身を開示しながら相手の理解も深めていくコミュニケーションが取れると、ストレスなく幸福度を高めていくことができるでしょう。
Meaning/生きる意味・目的
漠然と生活していては、幸福を実感する機会を損失してしまいます。仕事でも、プライベートでも、与えられる役割や価値観は人それぞれ異なるため、人生にとって自分だけの目的や活力を見出すことは幸福感の創出に繋がります。
困難に直面した時、明確な目標があれば乗り越えるためのエネルギーとなり、自分の力を最大限に発揮できるモチベーションを維持できるのです。
Accomplishment/達成感
前述した生きる意味や目的を達成することにより充実感を得て、幸せな気持ちになる瞬間があります。例えば、仕事での目標数値達成やプライベートにおけるダイエット成功、貯金の目標額達成、旅行で47都道府県制覇など、目的達成に向けてのプロセスから達成したという結果まで含めて、多くの幸福を得ることができます。
達成した時は自分を讃えましょう。そして、成功体験を振り返ることも重要で、次への自信に繋がる大切なアクションとなります。
ウェルビーイング経営という考え方
ウェルビーイングという言葉の定義は、1948年に効力を発揮した世界保健機関(WHO)憲章で言及されており、日本にも1951年に公布されています。なぜ今、ウェルビーイングが注目を集めているのでしょうか。
これには、世界を取り巻く環境が驚異的なスピードで且つ、大きく変化していることが影響しています。特に2021年5月に開催予定であった世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)におけるクラウス・シュワブ会長の発言が、大きなきっかけと言えるでしょう。
「第二次世界大戦後から続くシステムは、持続性に乏しく時代遅れだ。人々の幸福(ウェルビーイング)を中心とした経済に考え直すべきだ」
いつ何が起きても不思議ではないVUCAの時代において、ウェルビーイングの観点から経済を再構築しようとする動きが高まりを見せています。そこで、ウェルビーイングが中心となる世界経済で勝ち抜くために必要と考える6つの経営の取り組みを解説していきます。
■価値観の多様性を受容
■SDGsへの取り組み
■健康経営の推進
■働き方改革の推進
■労働力の確保
■社員のエンゲージメント向上
■価値観の多様性を受容
近年、価値観の多様化が高まっており、「ダイバーシティ(多様性)」という言葉も浸透しました。ビジネスでも、国籍・人種・年齢・性別・経歴・働き方と、さまざまなバックグラウンドを持った人たちが、一緒に働くケースが増えています。
多様な人材が集まる組織では、それぞれが違いを理解し、お互いを尊重しなければ、成果はもちろん、各々の幸福にはつながりません。価値観の多様性が高まることで、ウェルビーイングがより求められる社会になっているといえるでしょう。
会社が多様性を受容することは、各々がウェルビーイング(幸福)な状態になる環境を整備することに繋がります。
■SDGsへの取り組み
ウェルビーイングは、SDGsの目標の1つとして言及されています。SDGsとは、「持続可能な開発目標」のことで、国連で採択された17の国際目標を指しています。その中のGOAL3として、「GOOD HEALTH AND WELL-BEING/すべての人に健康と福祉を」と掲げており、より良い社会の実現に向けた重要指標の1つになっているのです。
今や企業のブランド力や競争力を高めるには、SDGsへの取り組みは欠かせない要素と言えます。今後さらにウェルビーイングへの注目が高まるでしょう。
■健康経営の推進
健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康を経営的視点から考え、戦略的に実践することであると、NPO法人健康経営研究会が定義しています。
つまり、社員の心身の健康を保つことで、企業の業績向上につなげるという経営手法です。今後は、「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」が、これからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられるとも述べています。
“健康”への配慮は、個人が抱える問題ではなく、企業からのサポートも得ることで解決すべき経営課題であるという世界的な考え方に習い、ウェルビーイングという概念が浸透してきているのです。
■働き方改革の推進
日本では、2019年より働き改革が積極的に推進されています。厚生労働省の定義する働き方改革とは、「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会」の実現に向けた取り組みです。
例えば、テレワークの推奨や副業・兼業の許可、女性活躍を推進できる環境整備など、働く人それぞれの事情に沿った働き方の選択肢を増やすことで、社員のウェルビーイングの向上を図ります。
実際に、この働き方改革では、日本の労働者の負担となってきた長時間労働の解消や雇用形態による格差の是正が進み、労働者が健康で働きやすい社会に一歩前進しています。
<参照>【厚生労働省】働き方改革
■労働力の確保
労働力の確保には、大きく3つあります。「新たな社員の採用」「既存社員の離職防止」「労働力率の上昇」です。一方で日本の現状は、少子高齢化により労働人口が減少傾向にあり、労働力の確保に苦戦するケースの方が多く見られます。
1つ目の「新たな社員の採用」においては、当たり前ですが、他社よりも優位性を持って勝負しなければなりません。採用手法を増やすことも重要ですが、社員が入社後に幸福度が高い状態で仕事ができる環境であるかを見直すことから始めると良いでしょう。
2つ目の「既存社員の離職防止」については、ウェルビーイングの取り組みによって社員の幸福度を高めることで実現できます。特に、心身のストレスになりやすい仕事において、「働きやすい」「働きがいがある」「仕事とプライベートの両立ができる」「希望のキャリアを歩める」といった職場環境が整備されていれば、辞めたいと思う人が少なくなるのは当然のことです。
3つ目の「労働力率の上昇」とは、ライフイベントでキャリア形成に悩みを抱える女性や、介護・病気などの事情があって働き方を制限されてしまう方々に最適な労働環境を提供することです。この取り組みも、前述した多様性の受容のひとつであり、「育児と仕事の両立」「病気・治療と仕事の両立」の実現には、仕事だけでなく人生そのものの幸福を考えるウェルビーイングの考え方が欠かせません。
■社員のエンゲージメント向上
社員のエンゲージメントは、定着率と生産性の向上に直結します。そして、ウェルビーイングは社員のエンゲージメント向上に好影響を与えます。
ビジネスシーンで使われるエンゲージメントとは、「愛着心」「企業との絆」「愛社精神」「思い入れ」などの意味があります。日本企業が抱える労働力の確保という課題の根本は、社員のエンゲージメントへの理解不足と言ってよいでしょう。
報酬・待遇だけで優秀な社員をつなぎとめていると、より好条件の企業が見つかり次第、すぐに他社に移られてしまうリスクがあります。一方、やりがいを持ちながら業務を遂行し、適切な評価をしてもらえる職場環境=ウェルビーイングを感じやすい環境であれば、高いエンゲージメントを維持することができます。その結果、定着率と生産性を向上させることができるのです。
もちろん社員全員が同じ幸福度指標を持っている訳ではないため、経営者・人事と各社員との密なコミュニケーションがウェルビーイングな環境作りには必要であると言えます。
ウェルビーイングの取り組み事例
ここからは、ウェルビーイングの取り組み事例を紹介します。自社に合う取り組みを検討する際には、ぜひ参考にしてください。
日本での取り組み事例
日本におけるウェルビーイングの取り組み事例は大きく4つに分類されます。どのような内容の取り組みがあり、実際にどのような企業が取り組んでいるのか見ていきましょう。
★柔軟な働き方を推進する取り組み事例
★社員の健康を増進する取り組み事例
★オフィス設計における取り組み事例
★キャリア支援における取り組み事例
★柔軟な働き方を推進する取り組み事例
フレックスタイム制
フレックスタイム制を導入することで時差出勤が可能になり、満員電車のストレスから解放されたり、子どもの送り迎えをした後に仕事ができるようになったり、働く“時間”の制限がなくなります。これにより、社員の生活がより豊かになることを実現しています。
テレワーク制度
テレワーク制度を導入することで、通勤に充てていた時間に仕事をしたり、休息の時間としてリフレッシュすることができたり、働く“場所”の制限がないことで生産性が向上されることもあるでしょう。仕事をする場所がオフィスだけではなくなった今、仕事とプライベートに対する向き合い方も変化しているため、より一層ウェルビーイングに対する価値提供が欠かせなくなってきていると言えます。
時間単位有給休暇
時間単位有給休暇とは、1時間単位で有給休暇を行使できる制度です。例えば、通院が必要な社員は、勤務の合間に病院の予約を取り、勤務と並行して通院することが可能になりました。従来の1日単位での有給休暇取得であれば、1日分の有給を消化して通院をしていたところ、仕事との両立を可能にしてくれる制度として取り組まれています。
ワーケーション
「仕事(Work)」と「休暇(Vacation)」を組み合わせた造語です。オフィスや自宅ではなく、リゾート地や地方など旅行先で業務を行いながら、休暇を取る過ごし方のことを指します。勤務の扱いは、リゾート地や地方などの旅行先で仕事をしても有給扱いにならず出勤としてみなされます。
働き方や重視する要素の違いから、「休暇活用型」「地域課題解決型」「合宿型」「サテライトオフィス型」の4つのタイプに分かれています。政府が推奨する取り組みでもあり、導入する企業が多様な働き方を推進できるだけではなく、受け入れる地方や観光地の地域活性化という双方のメリットがあるのです。
この柔軟な働き方を推進する取り組みを実施している代表的な企業です。
企業名 | 取り組み | 参照 |
ユニリーバ・ジャパン株式会社 | WAA | Click |
味の素株式会社 | Work@A~味の素流働き方改革~ | Click |
デロイト トーマツ グループ | 働き方三景 | Click |
★社員の健康を増進する取り組み事例
Workcise(ワークサイズ)
この制度は株式会社イトーキが取り組んでいる事例で、「Work(働く)」×「Exercise(健康活動)」で“仕事にも健康にも良い行動”として取り入れています。
例えば、意図的に歩くことを促すオフィスの動線や、集中作業を立って行うようにすることで、仕事と健康の両立を図っています。
1日の大半を占める仕事の中にワークサイズを上手く活用することで、仕事にも良い効果を与えながら、カラダとココロの健康増進を目指しているのです。
ヘルスケアポイント制
これは株式会社ローソンが実施する事例で「ローソンヘルスケアポイント」と呼ばれます。心身の健康に関するタスクを達成するたびにPontaポイントが付与されるプログラムです。健康チェックや生活習慣チェックで健康リスクや改善点を確認したり、健康診断で生活習慣病リスクがなかったりすればポイントが付与される仕組みです。
ポイント制にすることで、楽しみながら健康観測をすることができて、社員の健康に対する意識も変わってくるのでしょう。最近では、社員専用の健康管理ツールを導入する企業も増えてきています。
受動喫煙の防止
健康増進に向けた受動喫煙の防止に関する取り組みも進んでいます。敷地内を完全禁煙にする会社やビル全体で実施している例もあり、株式会社アシックスでは、卒煙に向けたサポートとしてセミナーを実施したり、卒煙成功体験談の発信をしたり、受動喫煙のない環境作りに積極的に取り組んでいます。
ストレスチェック
健康増進にはメンタルヘルスへの配慮も必要です。社員が毎年ストレスチェックを受けられる環境を整備することで、社員の心の健康もサポートすることができます。高ストレス者に対しては、個別面談の機会を設けたり、専任の医療スタッフが相談したり、職場と社員が常に連携しながら仕事に取り組んでもらうことが重要です。
この健康増進する取り組みを実施している代表的な企業です。
企業名 | 取り組み | 参照 |
株式会社イトーキ | Workcise(ワークサイズ) | Click |
株式会社ローソン | ローソンヘルスケアポイント | Click |
株式会社アシックス | アシックスグループスモークフリー | Click |
株式会社デンソー | ココロの相談室 | Click |
味の素株式会社 | 健康管理サービス「My Health」 | Click |
★オフィス設計における取り組み事例
「次世代のWork Style」を実践するオフィス空間
株式会社イトーキの本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」では、社員の自己裁量を最大化し、自らの働き方を自律的にデザインしていく次世代オフィス設計になっています。
業務内容によって使う空間を工夫できて、活発なコミュニケーションを促進できるのです。
例えば、2人作業コーナーや3人以上のディスカッションスペースの設置、集中した作業が必要な時は個人ブースで仕事する事もできます。オープンスペースもあり、周囲との会話も楽しみながら個人ワークを行うこともできます。
働く空間を工夫することで社員の行動が変わります。そして、ウェルビーイングな状態で働く社員が増えていくでしょう。その結果、上司・部下・同僚とのコミュニケーションは活発になり、生産性が向上するのです。
フレキシブルに可動できるフリーアドレスオフィス
株式会社プロフェッショナルバンクのオフィスは、毎日違うデスクに座ることが可能です。その日の気分や業務内容によって、環境を変えながら仕事をすることができます。
特徴的なのは、デスクや会議スペースが敢えてランダムに配置されていて、動線がギザギザに設計されていることです。これにより、偶発的なコミュニケーションを生むきっかけとなり、事業部の垣根を超えた連携が促進されているのです。同じ会社の社員の仕事が分かると、仕事も進めやすくなりますし、支え合いの精神が生まれてウェルビーイングな環境を構築しやすいと感じます。
事業所内保育所の設置
東急株式会社では、東急線沿線の駅構内に社員と地域の方が利用できる事業所内保育所を開設しました。育児をしながらも仕事で活躍ができるような施設的サポートを実施しています。
このオフィス設計における取り組みを実施している代表的な企業です。
企業名 | 取り組み | 参照 |
株式会社イトーキ | ITOKI TOKYO XORK | Click |
株式会社プロフェッショナルバンク | フリーアドレス | Click |
東急株式会社 | 事業所内保育所 | Click |
★キャリア支援における取り組み事例
育児と仕事の両立支援
東急株式会社では、産休・育休者の交流会を実施しています。会社の育児支援制度の説明機会と併せて、産休・育休者同士の交流機会をセッティングし、復職に対する不安を和らげる目的があります。
また、育児と仕事の両立には夫婦間での協力体制を築くことが大切であるため、夫婦参加型の職場復帰セミナーを開催し、スムーズな職場復帰と“両立”へのサポートを実現しています。
介護と仕事の両立支援
東急株式会社では、介護支援セミナーも開催しマネージャー向けに「仕事しながら介護する同僚・部下への理解と支援」について語られました。
全社員向けに介護コンシェルジュデスクも開設し、電話やメールによる介護に関する無料相談や、介護保険の申請代行などを提供しています。介護があることでキャリアを中断することなく、仕事との“両立”をサポートする取り組みが行われています。
治療と仕事の両立支援
株式会社アシックスでは、主治医・産業医・保健師・所属部署が連携し、管理フォーマットを活用しながら、治療と仕事の“両立”をサポートしています。
内発的成長意欲の醸成
デロイト トーマツ グループでは、内発的な成長意欲を高める「People First」という人材開発に力を入れています。会社、部署、上司が準備した成長ではなく、自己視点にフォーカスした成長支援から潜在的な才能を最大限に引き出すことを目的としています。会社がなるべき姿を提示するのではなく、個人のなりたい姿に向けてキャリアを積める環境を整えているのです。
このキャリア支援における取り組みを実施している代表的な企業です。
企業名 | 取り組み | 参照 |
東急株式会社 | 産休・育休交流会/介護支援セミナー | Click |
株式会社アシックス | 治療と仕事の両立支援 | Click |
デロイト トーマツ グループ | People First | Click |
まとめ
今回は、世界から注目を集めるウェルビーイングについてお伝えしました。世界経済が人々の幸福を中心として回り始めるとき、どのようなイノベーションが起こるでしょうか。今から楽しみです。
2025年には大阪・関西万博の開催が待っています。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。日本から世界へ、ウェルビーイングを中心とした壮大な発信ができることを期待して、まずは自分自身が周りの人を幸福にできる瞬間を積み重ねていけると良いですね。