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SDGs(持続可能な開発目標)とは?企業が取り組むメリットと取り組み方を紹介

SDGs(持続可能な開発目標)とは?企業が取り組むメリットと取り組み方を紹介

世界でも日本でも「SDGs」達成に向けた取り組みが活発化しています。街中で啓発ポスターを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。SDGsは、企業・消費者・自治体が協力して取り組まなければならない目標です。

本記事では、SDGsの概要と、企業が取り組むメリット、具体的な取り組み内容、取り組み事例を紹介します。これからの時代を生き残るための経営戦略やブランディングに欠かせない情報をまとめました。

SDGs(持続可能な開発目標)とは?

SDGs
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2016年から2030年までの15年間で、国際社会が協力して達成すべき共通の目標です。

現在、世界は貧困や紛争、環境問題、感染症などさまざまな課題に直面しており、近い将来、人類はこれまでのように地球で生活し続けられなくなると、危惧されています。そこで国際的な目標として掲げられたのが、SDGsです。地球環境を保護し、地球で暮らすすべての人が平和と豊かさを享受できる未来を目指して、17の目標と169のターゲットが設定されています。

まずは、SDGsがどのような取り組みなのか概要や、近年注目されるようになった理由について確認していきましょう。

SDGsの基本的な考え方

SDGsの目標は、社会の問題から「誰ひとり取り残さない」ことを理念とし、設定されています。先進国・発展途上国問わず、すべての人が平和で豊かな生活を送れるよう、とくに脆弱な立場にある人が暮らしやすい社会の実現に焦点を当てています。

私たちの世界では、地球環境や自然資本を土台とした社会があってこそ、経済発展が成り立っています。そのため、世界で起こっている問題の多くは、それぞれが密接に関係しており、「環境」「社会」「経済」のバランスを取りながら、包括的に解決を目指さなければなりません。

17の目標を5つのキーワードに分けて考えると、解決すべき問題の相互関係をイメージしやすくなります。

・人間 (people)
すべての人の人権が尊重され、尊厳をもち、平等に、潜在能力を発揮できるようにする。貧困と飢餓を終わらせ、ジェンダー平等を達成し、すべての人に教育、水と衛生、健康的な生活を保障する

・地球 (planet)
責任ある消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急な対応などを通して、地球を破壊から守る

・豊かさ (prosperity)
すべての人が豊かで充実した生活を送れるようにし、自然と調和する経済、社会、技術の進展を確保する

・平和 (peace)
平和、公正で、恐怖と暴力のない、インクルーシブな(すべての人が受け入れられ参加できる)世界をめざす

・パートナーシップ (partnership)
政府、民間セクター、市民社会、国連機関を含む多様な関係者が参加する、グローバルなパートナーシップにより実現をめざす

引用:https://www.unicef.or.jp/sdgs/concept.html
※17の目標については文末資料にて詳しく紹介しております。

SDGsが注目されている理由

SDGsは、2015年の国連総会で決議されました。それまで、持続可能な開発というテーマは何度も議論され、目標設定されてきましたが、それぞれの個人が当事者意識をもって取り組むところまで至っていませんでした。

一方で、SDGsでは、発展途上国・先進国すべての国の課題を網羅し、さらに民間企業に対しても目標達成に向けた取り組みを求めたことで、一気に個人にも身近なものとなりました。

従来、企業の社会問題に対するアプローチは、ボランティアや寄付のような利益の一部を社会に還元する限定的なものが一般的でした。しかし、SDGsにおいて2030年に目標を達成するためには、企業の本業そのものに社会や地球環境の改善を組み込むことが前提とされています。企業に対してイノベーションやビジネスモデルの変革を求めるようになったことから、持続可能な社会の形成に向けて広くSDGsが注目されるようになっています。

日本のSDGs取り組み

SDGs
世界に合わせて日本でも、SDGs達成に向けた取り組みは活発化しています。2021年6月に発表された国際レポート「Sustainable Development Report 2021」によると、日本のSDGs達成度は165ヵ国中18位と比較的上位に入っています。

そこで、ここでは日本におけるSDGs達成に向けた取り組みを、日本政府・経団連・日本の地方自治体に分けて紹介します。

日本政府の「SDGsアクションプラン2020」の決定

アクションプランは、SDGs達成に向けて日本政府が毎年策定します。2020年のアクションプランでは、国際社会に対する日本の姿勢や、2030年までの10年間に取り組む具体的な行動について示されています。

たとえば、ビジネスにおいては、企業によるSDGs達成に向けた取り組みやESG投資への支援について記載があります。とくに、中小企業のSDGs取り組み強化のために、自治体や金融機関などとの連携を深めていくとしています。

経団連の「行動企業憲章」の改定

経済界でもっとも影響力がある経団連は、2017年に「行動企業憲章」を改定しました。新しい「行動企業憲章」では、サブタイトルを「持続可能な社会の実現のために」と変更。「Society5.0」というSDGs達成に貢献できる成長モデルを提示し、SDGs達成に向けたアクションプランの例やコラムを追加しました。

改訂の大きなポイントが、民間企業は利益を利用して本業とは別で社会貢献を行うという発想から、企業自体の組織やビジネスモデルをイノベーションするという発想に転換した点です。持続可能な経済成長と社会的課題の解決に向けて、本気で取り組む姿勢が示されています。

各自治体による取り組み

各自治体もそれぞれのSDGs達成に向けた取り組みを行っています。たとえば、東京都では、2021年「『未来の東京』戦略」を策定。大都市としてSDGs目線で世界をリードする政策を展開し、区市町村や都民、企業、大学などの自発的な行動や協働を後押しするとしています。

大阪府は、2021年「大阪SDGs行動憲章」を策定し、2025年の大阪万博に向けてSDGs17の目標達成を目指しています。大阪府と大阪市が共同で提案した、「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」は、全国で初めて内閣府「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」に選定されています。

企業がSDGsに取り組むメリット

SDGs
民間企業にもSDGs達成に向けた取り組みが求められているとはいえ、ビジネスモデルや組織の改変は負担が大きいものです。それでも企業がSDGsに取り組むメリットはどこにあるのでしょうか。

ここからは、企業がSDGsに取り組むべき理由として、メリットを3つ紹介します。

新規市場の開拓や事業機会の創出につながる

2017年の世界経済フォーラム・ダボス会議によると、SDGsによる経済効果は12兆ドル、日本円にしてなんと1200兆円にも及びます。これは企業にとって、非常に大きなビジネスチャンスといえます。SDGsに取り組むことで、新規市場の開拓や事業機会の創出が期待できるのです。

反対に、SDGsを重視せず、持続可能な社会への移行に適応できない場合、時代に取り残された企業として、事業の成長が止まることが予想されます。今後、SDGsへの取り組みが一般的なものとなれば、取引先や消費者が限定されていく可能性もあります。

日本政府や各自治体も、SDGs達成に向けた取り組みやESG投資を行う企業の支援を決めており、SDGsに取り組まない損失やリスクは大きいといえるでしょう。

事業の持続的成長が見込める

SDGsは持続可能な社会を形成するための目標です。SDGsの考え方をビジネスモデルに取り入れることで、企業そのものも持続的な成長を実現できます。たとえば、水産物を加工する事業の場合、※「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」などの項目に対する考え方やターゲットをふまえたビジネスモデルを構築しなければ、原材料やエネルギーを確保し、利益を出すことが難しくなります。

※各項目の具体的な内容については、文末資料にて詳しく紹介しております。

また、投資家たちのなかでは、ESG投資が、一般的になりつつあります。ESG投資で企業価値を向上させることにより、長期的なリターンと、さらなるESG投資を促せるため、事業の持続的成長が見込まれます。

将来的に、SDGsを重視しなければ、事業資金を調達できない時代は近いかもしれません。2021年時点で、ESGの取り組みを考慮した投資を求める責任投資原則(PRI)に署名したアセットオーナー・運用機関・サービスプロバイダーは、世界では約4400社、日本では98社にものぼります。

企業価値・知名度がアップする

国を挙げてSDGsに取り組んでいることもあり、SDGsへの取り組みを通して、自社や自社商品・サービスをアピールすることもできます。SDGsを組み込んだビジネスモデルを構築すること自体が、自社のブランディングにつながるのです。

また、人手不足が深刻化している日本において、「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」などの項目をふまえたビジネスモデルを構築すれば、中小企業でも優秀な人材の確保を有利に進めることができるようになります。SDGsの考えを取り入れることで、従業員にとって働きやすい環境が整うため、仕事に対するモチベーションのアップにつながり、企業価値の向上はもちろん、生産性の向上や競争力の強化も期待できます。

SDGs達成のために企業ができる取り組み

SDGs
世界的にみると、日本はSDGs達成に向けて前進しているものの、「Sustainable Development Report 2021」によると目標「5.ジェンダー平等を実現しよう」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」などの項目に関しては、主要な課題が残っていると評価されています。企業としてSDGs達成に向けた責任を果たし、メリットを享受するにはどのような取り組みをすれば良いのでしょうか。

企業全体

とくに、地球環境や人、地域社会への配慮を意識することで、SDGs達成に向けた取り組みをすぐにでも実施することができます。

<企業ができる取り組みの具体例>

  • 電気・ガス・水道の使用量削減
  • 再生エネルギーの利用
  • 電気自動車の導入
  • リサイクル素材や製品、廃棄物を利用した商品開発
  • ペーパーレス化
  • 在宅勤務・リモートワークの実施や通勤手段の見直し
  • 地域ボランティアに参加
  • SDGsへの貢献につながるノベルティの制作
  • 「30・10(さんまるいちまる)運動」による宴会や会食での食品ロス削減
  • 貧困地域の子どもたちへの寄付や支援活動
  • フェアトレードの商品を取り扱い
  • 地域ボランティアへの参加や地元のお祭り・イベントの開催・維持

採用・育成

採用・育成分野では、とくに多様性を認めること、SDGsの具現化を先導するリーダー人材の育成が重要です。スキルアップの機会やキャリアの選択肢を増やし、平等な教育機会の提供を意識しましょう。

<採用・育成関連の具体例>

  • 障害者やシニア人材の雇用
  • グローバル人材の雇用
  • LGBT人材への配慮
  • 研修・教育施策の充実
  • SDGsや持続可能な社会の教育
  • すべての従業員に対するタレントマネジメント
  • 公平かつ公正、透明性のある人事評価制度の採用
  • 社外での社会的貢献活動の評価
  • キャリアパスやライフステージに合わせた人事配置の仕組みづくり

人事労務

人事労務におけるSDGs達成のための取り組みでは、労働関連法やコンプライアンス遵守が大前提となります。そのためには、まず企業の経営層・管理職がSDGsに取り組む意義を本当の意味で理解しておかなければなりません。

<人事労務関連の具体例>

  • 従業員の心身に配慮した健康経営の実施
  • 時間外労働の短縮
  • 女性管理職の登用や男性の育休取得などジェンダー平等
  • リモートワークや時短勤務など働き方の選択肢の拡大
  • 年齢や障害の有無、正規/非正規による不合理な格差を是正、同一労働同一賃金の達成

SDGs実施企業の事例

SDGs
日本企業でも、すでにSDGs達成に向けた取り組みを実施している企業が多数あります。ここでは、SDGs実施企業として、日本郵政・富士通株式会社・三菱電機株式会社・NTT西日本の4社について取り組み概要をみてみましょう。

日本郵政

日本郵政では、地域環境や人、地域社会の分野から、地域社会の活性化や人材の育成、働き方改革、温室効果ガスの排出量削減など7つの重要課題を選定し、SDGs達成に向けた活動を行っています。

たとえば、「子どもたちに対する職場体験や教育機会の提供」「電動自動車・電動二輪車の導入」「ペーパーレス化の推進」「東北地域の森の復興支援と生物多様性の維持」「仕事と育児や介護の両立支援セミナーの実施」などといった取り組みがあります。

富士通株式会社

富士通株式会社では、SDGsについて2030年までに成し遂げるべきシステムトランスフォーメーションであると捉え、デジタルを駆使した社会課題の解決に取り組んでいます。

たとえば、「テクノロジー活用による感染症流行時における安全性と経済的利益を担保したイベント環境の提供」「物流ネットワークの最適化による温室効果ガスの削減」「スーパーコンピュータ富岳を用いた新たなガン治療の研究」などを行っています。

三菱電機株式会社

三菱電機株式会社では、「事業を通じた社会課題解決」「持続的成長を支える経営基盤強化」から、持続可能な地球環境の実現や、安心・安全・快適な社会の実現、あらゆる人の尊重など5つの重要課題を選定し、SDGs達成に向けた取り組みを進めています。

2021年は、「生産時の二酸化炭素排出量の削減」「再生プラスチックの使用率アップ」「女性管理職比率の向上」「従業員のやりがいや生活バランスの確保」などを目標に、社会課題の解決に取り組んでいます。

NTT西日本

NTT西日本では、SDGsの考えを取り入れた「人・モノ・地域がつながる安心・安全な社会づくり」「環境と共生した社会づくり」「コンプライアンスの徹底」など5つのテーマを設定しています。

たとえば、「サイバー攻撃に対抗できる強靭な情報通信インフラの構築」「京都の葵祭で使われるフタバアオイの保護・育成」「ハラスメント相談窓口担当者への体系的・継続的な育成研修の実施」などを実施しています。

SDGsに取り組むときの注意点

SDGs
SDGsに取り組むときは、高すぎる目標を設定しすぎず、まずは労務関連法やコンプライアンスの遵守といった、SDGsの有無に関わらず、企業として守るべき課題から取り組みましょう。経営者や人事部門にとって、労務関連法やコンプライアンスの遵守は問題が起きないよう仕方なく対応しているところも多いでしょう。しかし、積極的に取り組むことにより、SDGsに取り組むメリットを享受しやすくなります。

また、企業理念や経営方針、事業内容と一致する取り組みでなければ、事業の持続的成長は見込めません。無理な目標を設定したり、SDGsの理解が不足したりしていると、短期的な取り組みで終わってしまいます。長期的な運用を前提に取り組むことを前提としたビジネスモデルを構築しましょう。

SDGsに取り組むことで発生する課題

SDGsは経営戦略への組み込みが必要不可欠なものの、取り組みを始めることで新たな課題が発生する可能性がある点には留意が必要です。

SDGsへの取り組みを開始する際は、研修や会議の増加、書類作成など本来の業務以外の仕事が増える可能性があります。とくに、人事や総務など従業員が複数の業務を兼任している企業では、長時間労働になりやすく、SDGsの目標に逆行する状況が生まれかねません。また、経営側が一方的にSDGsへの取り組みを決め、従業員の負担が増えれば、モチベーションや生産性の低下も懸念されます。

さらに、新たな取り組みを始めるときには、コストの増大が予想されます。経営を圧迫しないよう、事業を通じて問題の解決を図れるビジネスモデルをうまく構築する必要があります。

SDGsはすべての企業が取り組むべき世界共通の目標

SDGs
本記事は、地球環境や社会、経済、そして私たちの生活を守り、持続可能な社会を形成するためのSDGsについて詳しく解説しました。現在の経済活動をこのまま続ければ、近い将来に人類が生活できない地球になってしまいます。そうなれば、企業活動はもちろん、日本でも今のような安全で安定した生活を送ることができなくなります。

すでに世界でも日本でもSDGsへの取り組みが広がっており、SDGsを考慮した経営は、企業が生き残るためには欠かせない要素となりつつあります。企業規模を問わず、自社がSDGsにどのように取り組んでいくべきなのか、十分に検討し、できることから実施していきましょう。

【※文末参照資料】

SDGsの17の目標と169のターゲット

SDGs
ここでは最後にSDGsの17の目標と169のターゲットを、具体的に紹介します。SDGsで課題や設定された背景についても併せて紹介します。

目標1.貧困をなくそう

“あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる”

貧困家庭では十分な教育を受けることができません。お金を稼ぐための知識や技能、職業訓練を受ける機会がないため、親の貧しさはそのまま子どもの貧しさにつながっており、「貧困の連鎖」が起きています。

現在、世界では7億人以上、10人に1人が貧困状態で暮らしています。先進国である日本でも、6人に1人が平均的な生活レベルに達しない貧困状態にあるといわれています。

<ターゲット>
1.1
2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2
2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3
各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4
2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新技術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。
1.5
2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。
1.a
あらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの多大な資源の動員を確保する。
1.b
各国、地域、および国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを設置し、貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援する。

目標2.飢餓をゼロ

“飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する”

飢餓とは、長期的に十分な食事を取ることができず、健康的な生活を送るために必要なエネルギー・栄養が足らない状態を指します。現在、世界では7億人以上、11人に1人が飢餓に苦しんでいるといわれています。一方、日本では、年間612万トンの食品ロスが発生しており、これは飢餓で苦しむ人々への食料援助量の1.5倍に相当します。

<ターゲット>
2.1
2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2
5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3
2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
2.4
2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2.5
2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a
開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b
ドーハ開発ラウンドのマンデートに従い、全ての農産物輸出補助金及び同等の効果を持つ全ての輸出措置の同時撤廃などを通じて、世界の市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。
2.c
食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

目標3.すべての人に健康と福祉を

“あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する”

日本には、世界トップレベルの医療制度と国民皆保険制度があることから、誰でも質の高い医療を受けることができます。

しかし、海外では医療制度そのものが整備されていなかったり、医療費の負担が大きかったりと、病気やケガをしても病院にかかれない人々が多くいます。現在、世界人口の半数、約36億人は基礎的な医療保険サービスを受けられないといわれています。

<ターゲット>
3.1
2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2
全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3
2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4
2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5
薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6
2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7
2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。
3.8
全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9
2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a
全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b
主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c
開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d
全ての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。

目標4.質の高い教育をみんなに

“すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する”

世界約5,900万人もの子どもたちが、十分に教育を受けることができない状態にあります。そして、そのほとんどがサハラ以南のアフリカ地域と、南アジアに偏っています。

多くの子どもが教育を受けられない結果、現在7億8,000万人が大人になるまで読み書きができないといわれています。

<ターゲット>
4.1
2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
4.2
2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
4.3
2030年までに、全ての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
4.4
2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
4.5
2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。
4.6
2030年までに、全ての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。
4.7
2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
4.a
子供、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、全ての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。
4.b
2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、並びにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。
4.c
2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。

目標5.ジェンダー平等を実現しよう

“ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る”

ジェンダー平等の実現とは、性別による先入観から生まれる不平等をなくす取り組みです。

日本では女性の社会進出が進んできてはいるものの、未だに「家事・育児は妻の担当」「子どもができたら女性が仕事を辞めるものという先入観を持つ人は多くいます。世界に目を向けると、女性であるというだけで教育を受けられなかったり、10代の女の子が無理やり結婚させられたりとさまざまなジェンダー不平等が起こっています。

<ターゲット>
5.1
あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.2
人身売買や性的、その他の種類の搾取など、全ての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
5.3
未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5.4
公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、並びに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
5.5
政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.6
国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、並びにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
5.a
女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
5.b
女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。
5.c
ジェンダー平等の促進、並びに全ての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。

目標6.安全な水とトイレを世界中に

“すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する”

日本では、飲み水や入浴、トイレを当たり前のように確保できます。しかし、世界では、
3人に1人が、基本的な衛生施設を利用できない状態にあります。

衛生施設がないと、川などの水源に直接糞便が流れてしまいます。現在、約18億人もの人が糞便で汚染された飲料水を使用しています。そして、下痢性疾患が原因で死亡する子どもは1日800人以上、不衛生な水が原因で死亡する子どもは年間180万人にものぼるといわれています。

<ターゲット>
6.1
2030年までに、全ての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。
6.2
2030年までに、全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、並びに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
6.3
2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
6.4
2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5
2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6
2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a
2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
6.b
水と衛生に関わる分野の管理向上における地域コミュニティの参加を支援・強化する。

目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

“すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネ ルギーへのアクセスを確保する”

日本では、農村部であっても電気・ガス・水道が整備されており、生活に必要なエネルギーに困ることはほとんどありません。しかし、世界では、電気を利用できない人が約8億4,000万人いるといわれています。そして、その87%の人は農村部に暮らしています。

一方、エネルギーを十分に確保できている国や地域であっても、石油・石炭・天然ガスといった化石エネルギーを利用しており、自然環境への悪影響が問題視されています。

<ターゲット>
7.1
2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2
2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3
2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a
2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b
2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

目標8.働きがいも経済成長も

“すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する”

貧困・飢餓で苦しむ人が多いとお伝えしましたが、そのほとんどワーキングプアと呼ばれる、仕事に就いているにもかかわらず貧困状態にある人たちです。現在、世界には、ワーキングプアの人が約7億人いるといわれています。

他方で、日本では長時間労働や過労死が社会問題となっており、男性1日あたりの平均労働時間」は世界で第1位です。また、欧米に比べて正規職員と非正規職員との収入格差が大きい点も解決すべき課題です。

<ターゲット>
8.1
各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。
8.2
高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
8.3
生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
8.4
2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
8.5
2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。
8.6
2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
8.7
強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
8.8
移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
8.9
2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
8.10
国内の金融機関の能力を強化し、全ての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。
8.a
後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
8.b
2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう

“強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る”

豊かな生活を送るためには、電気・ガス・水道・交通・インターネットといった社会基盤が整っている必要があります。しかし、世界では、水資源にアクセスできない人が約8億、電話を使えない人が約15億人、インターネットにアクセスできない人が世界人口の約60%など、途上国では便利な生活を送れない人が多数います。

さらに、インフラが整備されていないことによって、企業の生産性が約40%阻害されているといわれています。

<ターゲット>
9.1
全ての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
9.2
包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
9.3
特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
9.4
2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
9.5
2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとする全ての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
9.a
アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。
9.b
産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
9.c
後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネットアクセスを提供できるよう図る。

目標10.人や国の不平等をなくそう

“国内および国家間の格差を是正する”

世界には、国籍・人種・民族・宗教・性別・障害・性的指向などの理由から、差別を受けたり、不利益を被ったりしている人が数多くおり、不公平な状態が生まれています。

世界でもっともお金持ちの8人の総資産は、36億人の貧しい人たちの総資産と同じといわれており、富の格差も問題になっています。日本の所得格差は大きく、先進国のなかではワースト8に入っています。そのほか、性別による所得や大学進学率の格差、政治家の女性比率の低さ、1人親世帯の貧困率の高さなどさまざまな不平等があります。

<ターゲット>
10.1
2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10.2
2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10.3
差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10.4
税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10.5
世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6
地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10.7
計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10.a
世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10.b
各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c
2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。

目標11.住み続けられるまちづくりを

“都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする”

現在、世界の約50%人々が都市部で生活しています。そして、その割合は、2050年には約70%まで増加すると予測されています。人口が集中すると、交通渋滞や満員電車、住宅不足、家賃の高騰、大気汚染、治安の悪化などさまざまな問題が発生します。

日本では、インフラの老朽化や過疎地域における生活水準の低下、空き家の倒壊リスクなどの課題があります。

<ターゲット>
11.1
2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2
2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3
2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4
世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5
2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6
2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7
2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a
各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b
2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c
財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

目標12.つくる責任 つかう責任

“持続可能な消費と生産のパターンを確保する”

現在人類が使用している地球のエネルギー資源は、地球が生み出せるエネルギー資源の1.5倍といわれています。地球は、何千年、何億年かけてエネルギー資源を作りだしてきましたが、このままのペースで人口が増加し、経済活動やライフサイクルに変化がなければ、石油は約46年、天然ガスは約49年、石炭は約130年、ウランは約95年で使い切ってしまいます。

先進国である日本では、大量生産・大量消費・大量廃棄が行われており、食品ロスも大量に発生しています。

<ターゲット>
12.1
開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。
12.2
2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.3
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
12.4
2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.6
特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
12.7
国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12.8
2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.a
開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b
雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12.c
開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

目標13.気候変動に具体的な対策を

“気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る”

温室効果ガスの排出によって、地球全体の気温は上昇しており、干ばつや集中豪雨、洪水、海面上昇、生態系の変化などが発生しています。気候変動は、すでに食料不足や災害の増加、海岸の侵食といった形で、私たちの生活にも影響が現れ始めています。日本でも、毎年のように何十年に1度の災害が発生しています。

世界の二酸化炭素排出量は中国が28%と断トツで多く、次いでアメリカが15%、インドが6.4%、ロシアが4.5%、日本が3.5%と続きます。

<ターゲット>
13.1
全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
13.2
気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
13.3
気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
13.a
重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
13.b
後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。
※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う一義的な国際的、政府間対話の場であると認識している。

目標14.海の豊かさを守ろう

“海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する”

地球の70%を占める海は、プラスチックによる汚染が進んでいます。海洋プラスチックごみは、2050年までに魚の量を超えると予想されています。日本は、世界で2番目に使い捨てプラスチックの排気量が多い国です。日本国内ではある程度適正な処分が進んでいるものの、再利用のため海外に輸出されたプラスチックが適正に処理されず、海に流失しているケースもあります。

そのほか、魚の乱獲によって、海洋生物の多様性が失われ、生物の絶滅、水質の悪化、海岸の侵食などにつながっています。

<ターゲット>
14.1
2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2
2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3
あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
14.4
水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.5
2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6
開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。
14.7
2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a
海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b
小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c
「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

目標15.陸の豊かさも守ろう

“陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る”

山林は、地球上の空気と水の供給源です。しかし、日本の国土の約14%にあたる森林が、毎年消失し続けています。森林が減ったり、放置された人工林が増えたりすると、自然災害の増加や生物多様性の損失につながります。

また、森林の減少や気候の変動などによって、世界全体で年間4万種の生物が絶滅しているといわれています。生物の多様性が失われると、生態系がのバランスが崩れ、生物消失のスピードをさらに早めてしまい、土地が枯れたり食料不足になったりと私たちの生活にも悪影響を及ぼします。

<ターゲット>
15.1
2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2
2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3
2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4
2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5
自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6
国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7
保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
15.8
2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9
2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a
生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b
保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c
持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。

目標16.平和と公正をすべての人に

“持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する”

戦争や内戦、紛争、特定民族の弾圧、独裁政治が行われている地域では、貧困・飢餓・衛生状態の悪化・人権侵害・人身売買などさまざまな問題が発生しています。たとえば、イスラエルとパレスチナの軍事衝突やアフガニスタンの武装勢力タリバンの復権、中国のウイグル族への民族弾圧のニュースは記憶に新しいでしょう。

現在、世界には避難生活を送っている難民が約7,950万人、武力紛争の影響がある国や地域で暮らす子どもが約2億5,000万人いるといわれています。

<ターゲット>
16.1
あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
16.2
子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
16.3
国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
16.4
2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
16.5
あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
16.6
あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
16.7
あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
16.8
グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
16.9
2030年までに、全ての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
16.10
国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
16.a
特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。
16.b
持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。

目標17.パートナーシップで目標を達成しよう

“持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する”

ここまで紹介したSDGsの1~16の目標は、一部の国や地域で取り組んでも達成不可能です。先進国・発展途上国問わず世界の国々、自治体、民間企業、学校、そして地球に住む1人ひとりがそれぞれ取り組む必要があります。

しかし、日本ではSDGsの存在を知らない人も多く、その認知度は2020年末時点で45.6%に留まっています。

<ターゲット>
資金
17.1
課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
17.2
先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
17.3
複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
17.4
必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
17.5
後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
技術
17.6
科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
17.7
開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
17.8
2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
キャパシティ・ビルディング
17.9
全ての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
貿易
17.10
ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の受諾を含むWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
17.11
開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
17.12
後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、全ての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
体制面
政策・制度的整合性
17.13
政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
17.14
持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
17.15
貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16
全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
17.17
さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
データ、モニタリング、説明責任
17.18
2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
17.19
2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。

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