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タレントプールとは?優秀な人材を逃さず採用するデータベース活用術!

タレントプールとは?優秀な人材を逃さず採用するデータベース活用術!

少子高齢化が進み、労働人口の減少が続いていることから、人材確保は現代企業の深刻な課題となりました。従来通りの採用活動では、優秀な人材を確保できなくなってきています。

そこで多くの企業で導入が広がっているのが、「タレントプール」を活用した採用です。本記事では、タレントプールが注目される背景や、運用のメリット・デメリット、運用時に人事に求められる役割を解説します。

タレントプールとは?

タレントプールとは、自社の採用候補となりえる優秀な人材(Talent)を蓄えておく(Pool)ためのデータベースのことです。大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した概念で、人材領域のバイブルとも呼ばれる“The War for Talent“に初めて登場しました。

従来の人材紹介会社を利用したリクルーティングとは異なり、タレントプールを利用した採用手法は、自社で採用候補者のデータベースを構築し、候補者に対して比較的長期にわたり継続的なアプローチを行うことが特徴です。このような手法はデータベース・リクルーティングとも呼ばれます。

欧米では一般的だったタレントプールの活用が日本において注目されはじめた背景には、少子化による慢性的な人手不足とIT・Webサービスの普及による産業構造の変化、そして、日本型雇用慣行から欧米型へのシフトによる人材獲得競争の激化があります。

優秀な人材の確保への懸念が強まり、企業が積極的な採用に打って出るなか、一度接点を持った優秀な人材をデータベースに登録し、候補者としていつでもアプローチできるタレントプールの手法が注目されるようになったのです。

タレントプールとは?

タレントプールが注目される背景

それでは、なぜ多くの企業で新しくタレントプールを活用する動きがあるのでしょうか。ここからは、近年になってタレントプールが注目されている背景を3つ紹介します。

  • 人材獲得競争の激化
  • スペシャリスト人材の必要性
  • タレントアクイジションとの連携

現代の企業が抱える課題への対策として用いられているのがタレントプールです。同様の課題を抱えている企業では、タレントプールの活用が課題解決のカギになるかもしれません。

人材獲得競争の激化

企業がタレントプールを意識するようになった最大の要因は、やはり労働人口の減少による人材確保の難化です。企業間の人材獲得競争は年々激しくなっており、今後もこの傾向は続いていくでしょう。

従来、企業と採用候補者とは一期一会の出会いでした。しかし、人材不足の現代ではそうは言っていられません。現時点での優秀な人材の採用が叶わなくても、タレントプールに入れて繋がりを保っておけば、再度アプローチしたときに採用できる可能性があります。

スペシャリスト人材の必要性

タレントプールはスペシャリスト人材の確保にも有効です。技術革新とグローバル化によって、専門的知識を有するスペシャリスト人材の獲得が求められています。しかし、ハイスペックなスペシャリストはそもそも母数が少なく、他を探してもなかなか見つかるものではありません。

そのため、採用候補となるスペシャリスト人材を見つけた場合、データベースを有効に活用し、中長期的な視点を持って戦略的に対象の人材を確保するために動く必要があるのです。

タレントアクイジションとの連携

戦略的かつ積極的な人材獲得の取り組み「タレントアクイジション」の広がりも、タレントプールへの注目に影響しています。

タレントアクイジションは、企業側が人材を獲得するための「攻め」の採用概念です。従来の応募者を募る「待ち」のリクルーティングとは違い、企業側から人材に対して積極的なアプローチをかけます。このとき、タレントプールがあることで欲しいタレント人材のデータベース化が図れます。

なお、タレントアクイジションによる積極的な採用活動から得られる候補者との接触機会の増加はデータベース化されている人材の情報量を増やし、より効果的なタレントプールの構築にも繋がります。

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タレントプール活用で得られるメリット

タレントプールを活用することで、企業は以下3つのメリットを得ることができます。

  • 優秀人材への再アプローチ
  • 採用の質が向上
  • 採用コストの削減

なぜ多くの企業がタレントプールの導入に踏み切っているのか、具体的にみていきましょう。

優秀人材への再アプローチ

タレントプールの最も大きなメリットは、採用ニーズが発生した際に、真っ先にタレントプールに登録されている人材にアプローチできる点です。

採用活動においては、候補者に入社を断られることも珍しくありません。また、本来であれば採用したいが、採用できる人数に限りがあり、泣く泣く不採用にせざるを得ない人材も出てきます。

しかし、せっかく見つけた貴重な候補者を一度採用まで至らなかったからと簡単に諦めていては、求める人材の確保が難しい時代です。再度アプローチし、企業の採用ニーズと候補者の転職フックポイントやタイミングが合致すれば、採用に至る可能性はグンと高まります。

採用の質が向上

タレントプールで候補者の情報を蓄積しておくことで、採用の質を向上させる効果もあります。

採用のミスマッチが起きると、採用者が早期に離職してしまったり、配属先で期待されたような活躍ができなかったりと、企業にとっても採用者にとってもデメリットしかありません。さらに、人事部や配属先部署におけるコスト損失も大きなものです。

一方で、タレントプールを活用し、中長期的に採用候補者との交流を続けていれば、候補者は仕事内容や自社のカルチャーをより理解することができ、入社後の早期離職を防げます。また、企業側も候補者の人柄やスキルをより正確に把握しやすくなるため、採否や配属先の検討に役立てられます。結果的に企業としての採用の質が大きく向上するのです。

採用コストの削減

タレントプールを新たに導入することでコストが増大すると思われがちですが、実はトータルでみると、タレントプールを持つことで採用にかかるコストを削減することができます。

採用コストは、大きく「外部コスト」と「内部コスト」に分けられます。外部コストとは、人材紹介会社への手数料や、求人広告への掲載費用、採用イベントへの出展費用などです。自社でタレントプールを運用できれば、転職市場に対するアプローチは不要なので、外部コストは発生しません。

内部コストは、採用活動に要する人件費や交通費、交際費、ノベルティグッズ費といった自社従業員を動かすことで発生する費用です。タレントプールを活用することで、採用可能性が未知数な不特定多数の人材へのアプローチではなく、囲い込んだ自社が求める人材に対してピンポイントでアプローチできます。そのため、内部コストについてもタレントプールで削減が可能です。

タレントプール活用で生じるデメリット

タレントプールの活用は、企業にとってメリットが大半ですが、一部で予め留意しておきたいデメリットも存在します。

  • 登録情報がどんどん古くなる
  • タレントの属性が偏る可能性がある

ここからは対策・対応策を交えながらデメリットについて確認しましょう。

登録情報がどんどん古くなる

登録している人材との再接点が持てるまでは、情報の更新が難しく、登録情報が古くなる点はデメリットといえます。

そのため、候補者に再アプローチしたときには、「既に転職している」「役割・ポジションが変わっている」といったことも起こり得るでしょう。そのため、タレントプール内の登録情報をいかに更新していくか、そのためには登録されている人材といかにして接点を持ち続けるかが重要となります。

候補者の情報収集については、記事内「タレントプールの運用フロー」で詳しく解説します。

タレントの属性が偏る可能性がある

採用ニーズのあるポジションで接触していた人材がデータベース化されているため、登録されている人材のスキルや経験に偏りが出てしまいます。そのため、まったく異なる採用ニーズが発生した際は、それまでタレントプールに蓄積してきた登録情報を役立てることができません。

また、同じような価値観で蓄積された登録情報はアコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)がかかっており、社内における価値観の多様性を阻み、組織の衰退を招きます。

タレントプールに登録するデータや候補者の判断基準は、社内の多様性も鑑みて、幅広く検討したうえで決めることが重要です。

タレントプールの運用フロー

タレントプールの運用フロー
それでは、タレントプールを構築し、運用するにはどのように進めればよいのでしょうか。タレントプールの運用フローを確認しましょう。

  1. タレントの要件定義
  2. 母集団の形成
  3. データベース化
  4. タレント属性のグループ分け
  5. コミュニケーション
  6. 再アプローチ

1ステップずつ対応を解説します。

タレントの要件定義

まずは、自社が求める人材要件を明確にするところから始めます。

社内のニーズをヒアリングして、部署や職種ごとにどのような人材が欲しいのかスキルや資質を具体的に定義していきましょう。年齢・学歴・資格・スキルといったハード面と、性格・価値観・キャリアビジョンといったソフト面に細分化して、それぞれ必須条件・希望条件と優先順位付けを行ってください。

また、候補者となる人材側のニーズの考慮も必要です。自社に入社するメリットがなければ、いくら企業からアプローチしても採用には至りません。候補者が転職先に何を求めているのか明確にすることで、場合によっては社内制度やカルチャー、採用条件を見直す必要性も出てくるかもしれません。

母集団の形成

続いて、候補者の母集団を形成するための取り組みを進めます。具体的には、タレントプールの運用では、しばしば母集団が尽きてしまうケースが発生します。そのため、再現性のある手法や媒体を組み合わせることが重要です。

母集団の形成方法の例は下記の通りです。

  • SNSの運用
  • 求人広告の掲載
  • 合同説明会への参加
  • 人材紹介サービスの利用
  • ダイレクトリクルーティングの導入
  • アルムナイ採用の導入
  • リファラル採用の導入

データベース化

母集団が形成できたら、コンタクトを取った人材のなかから人材要件に合致する候補者の情報をデータベースに登録していきます。

具体的には、下記のような項目について記録を残します。

  • 氏名や年齢などの基本的な個人情報
  • 現在の所属企業
  • 職種
  • 応募日
  • 応募職種
  • 選考担当者
  • 選考評価
  • 辞退または不合格理由
  • 履歴書
  • レコメンド理由
  • 転職意欲

データベースの作成はExcelやスプレッドシートも活用できますが、属人化しやすく、候補者が増えてくると情報の更新・管理に工数がかかるうえ、セキュリティリスクの問題も発生する可能性があります。タレントプール機能のあるビジネスSNSや採用管理ツールを活用すると、候補者とのコンタクトや情報の管理がしやすいでしょう。

タレント属性のグループ分け

データベースに候補者の情報が登録できたら、情報を基にしてタレント属性のグループ分けを行います。グループ分けの際は、評価軸を複数用意しておき、後から簡単に検索時に求める人材がヒットするようにしておきましょう。

このとき特に重要なのが、候補者の転職意欲です。転職意欲に合わせたコミュニケーションを取らないと、企業イメージのダウンに繋がりかねません。そのほか、「企業理解が進んでいる」「人柄のマッチ度が高い」「選考時の評価が高い」など、さまざまな視点で絞り込めるようにしておきましょう。

コミュニケーション

データベースが構築できたら、実際に候補者とコミュニケーションを取り、接点を作ります。

具体的には、メルマガ発信・イベント案内の送付、直接コンタクトを取れるのであれば電話・ビデオ通話で近況を聞いたり食事に誘ったりしてもよいでしょう。アプローチ方法は、転職意欲や自社との関係性、採用の優先度などから適したものを選ぶことが大切です。

積極的に、しかし自社のイメージを下げないよう良い関係性を築くことを意識しましょう。自社への関心を維持するために、定期的にコンタクトを取ってください。

再アプローチ

一度断られた候補者でも、アプローチのタイミングによっては、転職を前向きに検討してくれる可能性があります。求人募集を出す際は、構築したタレントプールから条件に合う人材を見つけて再アプローチを行いましょう。

アプローチ時には、自社で把握している候補者の情報量によって、文面を変えることが重要です。確実に自社の人材要件に合致していることが分かっている人には具体的なスカウト内容を、十分に情報が集まり切っていない人には接点を増やすための内容が向いています。

現在は、転職が一般化しているため、転職への意向が変化しやすい傾向にあります。たとえ、再アプローチがうまくいかなくても、その後のコミュニケーションは継続して行いましょう。

タレントプール活用で人事に求められる役割

タレントプール活用で人事に求められる役割
タレントプールを運用していくためには、人事部は以下の3つの役割を果たさなければなりません。

  • タレントとの継続的コンタクト
  • タレントへの情報発信
  • タレントの行動分析

1つずつ何をする必要があるのか確認していきましょう。

タレントとの継続的コンタクト

タレントプールの運用では、登録している候補者との繋がりを絶やさないことが最も重要です。候補者との接点がなくなれば、母数は減り、タレントプールが尽きてしまいます。そのため、人事には候補者とコンタクトを取り続けることが求められます。

ここで難しいのが、コンタクトの取り方や頻度です。転職意欲や自社への関心が低い状態で頻繁にスカウトしても、候補者からすると鬱陶しいだけです。しかし、事務的な連絡を1年に1回送っても、候補者の印象に残ることすらできないでしょう。

候補者の立場や現在の状態をふまえ、適度な距離感・頻度でのコミュニケーションを試みることが重要です。

タレントへの情報発信

候補者へのコンタクトでは、企業側から自社の情報を発信し、会社の現状やビジョンを伝えていくことが重要です。ただし、情報の発信方法によっては候補者の関心を維持できず、逆に不信に思われてしまう可能性も考えられます。相手にネガティブな感情を持たれてしまうと、メルマガの配信停止やアカウントのブロックなど繋がりを切られてしまうかもしれません。そうなれば、貴重な人材にアプローチする機会を失ってしまいます。

企業理解を深め、興味を醸成し、「この会社なら話を聞いてみたい」という思いを作り上げることが目標です。「企業が発信したい情報」ではなく、「候補者が知りたい情報」「候補者に有益な情報」を提供することを意識し、マンネリ化しないよう内容に変化を持たせながら自社の情報を伝えましょう。

タレントの行動分析

候補者への情報発信では、単に情報を送りつけて終わりにせず、効果的なアプローチができているか測ることも重要です。メルマガの開封率やサイト訪問履歴を確認して、タレントの行動特性を把握しましょう。

行動特性を分析することで、候補者に興味を持ってもらえているのか、改善するところはないのかが見えてきます。自社への興味度合いが分かれば、再アプローチする方法も変わってくるでしょう。候補者側の変化に合わせたアプローチで、興味の醸成や転職意欲の向上に繋げることができます。

タレントプールの取り組み事例

タレントプールの取り組み事例
タレントプールの母集団形成にアルムナイ採用・リファラル採用が使えることはお伝えしましたが、反対にアルムナイ採用やリファラル採用にタレントプールを活用することもできます。

卒業社員をデータベース化【アルムナイ】

アルムナイ採用とは、退職して他社で働いていた元従業員を再び採用するという採用手法です。「出戻り採用」「カムバック制度」という名称で導入している企業もあります。

退職者をデータベース化し、ほかの候補者と同様にコンタクトを取り続けることで、一度自社を離れた優秀な人材を再度採用することができます。退職者はすでに企業のカルチャーや仕事内容を理解しているうえ、他社を経験したことで新たなスキルや経験を得ていることが期待できるため、企業にとっては有力な候補者となり得ます。

また、出戻りには、退職者側にもキャリアの幅を広げられるというメリットがあります。退職者をタレントプールに入れ、良好な関係を維持することは企業にも退職者にも嬉しい取り組みといえるでしょう。

アルムナイとは?ビジネス上の意味・語源・制度が丸わかり!活用事例も紹介

社員の知り合いをデータベース化【リファラル】

リファラル採用とは、社内外の関係者から自社にマッチする人材を紹介してもらう採用手法です。自社に在籍する従業員や取引先の関係者などの横の繋がりから接点を持ち、自社への興味を醸成しながら情報を集めます。

リファラル採用では、自社を理解しているかつ人柄をよく知る従業員や企業関係者から紹介されるため、履歴書や職務経歴からは分かりにくいリアルな情報を得ることができます。紹介された側も紹介者から企業の情報を入手できるため、お互いに採用のミスマッチが起こりにくく、効果的な採用手法といえます。

紹介された人材をタレントプールに登録して定期的に情報を発信すれば、選考工数の削減も可能です。

また、「知り合いの●●さんがいるあの会社」「●●さんは元気にやっているかな、そういえば紹介してもらった会社は今どうなんだろう」といった具合に、リファラルでの繋がりを持つことで、データベースにいる人材の中でも、比較的認知が高い状態で登録されていることが期待できます。

すぐに選考・採用に至らなくても、タレントプールを活用してコミュニケーションを取り続けることで、有力な候補者となり得ます。

リファラル採用とは?メリット・デメリット・トラブル事例・制度を紹介し、促進方法も解説!

まとめ

今回は、人材獲得競争が激化している昨今、注目されている「タレントプール」について詳しく解説しました。タレントプールを活用すれば、現時点では採用できない優秀な人材に何度もアプローチが可能で、採用の質の向上や採用コストの削減にも効果的です。

今後、日本の労働人口はさらに減少することが見込まれています。採用戦略の見直しの一環として、タレントプールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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