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高齢化社会なのに人手が足りない!介護業界における人材確保の切り札は

高齢化社会なのに人手が足りない!介護業界における人材確保の切り札は

介護業界の採用を難しくするものは何か?

高齢化が進むなか、介護業界の人材不足が叫ばれています。厚生労働省の調査によれば2025年には役38万人の介護人材が不足すると見られており、国を上げた人材確保に向けた取り組みが行われています。

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超人手不足! 介護業界の現状

といっても、介護業界の人材そのものが減っているわけではありません。2000年度に介護保険制度が施行された当時55万人だった介護職員は2013年には約3倍の171万人となりました。ただ、高齢化の勢いも止まりません。総務省の調査によれば、2000年の時点では2,201万人だった65歳以上の人が2025年では3,657万人まで増加すると見込まれているのです。さらには生産年齢人口が減少することで、供給量ダウンは避けられないでしょう。

介護業界ならではの、採用面での弱点もあります。介護業界自体、保険事業が中心となっているため収益に限りがあります。1,000億円を超える会社はわずか3社のみ、100億円規模の会社も数十社しかありません。民間企業の参入は増加していますが、2018年度現在は半数が非営利団体(社会福祉法人、NPO法人など)です。採用に大きなお金をかけられない企業がほとんどと言えるでしょう。また、仕事そのものだけでなく夜勤や休みのとりづらさなど、働き手から見てもハードワークのイメージが根強くあります。

人手不足をどう解消するか?介護業界の採用3つのポイント

こうした現状を改善するためには、下記のような施策が考えられるでしょう。

①人事制度の再構築
短時間労働者の正社員雇用、退職金制度など、人事面の充実をはかることで人材の定着率が向上することが予想されます。これまではキャリアパスが見えづらい業界でしたが、能力や役割に応じたキャリアパス構築も視野に入れたいところです。

②先進技術の導入
介護ロボットはまだまだ普及しているとは言えないのが現状ですが、センサーで健康状態を管理したり、入浴や排泄の介助を行ったりすることなどが期待されています。これらの導入により重労働を軽減するのみならず、無資格者や未経験者もスムーズに仕事が行えるようになります。事務作業の自動化については、今すぐにでも取り組めるでしょう。

③採用強化
就業していない女性やシニア層、無資格者など、潜在的な層を掘り起こしていく必要があるでしょう。2014年からはフィリピン、インドネシア、ベトナムから看護師や介護福祉士候補者の受け入れを行っているため、現場には外国人も多くなってきました。今後もこうした取り組みが見られるでしょう。

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採用だけではない、介護事業を行う企業が検討すべき課題

介護業界で高度な専門職や質の高い人材を採用するには、単純に門戸を広げ、求人広告を打つといった手段では到底間に合わないでしょう。企業として、いかに安定経営を行うかという点を視野に入れる必要があります。

たとえば2015年、介護報酬が引き下げられたことで小規模の事業所は倒産や再編に追い込まれました。社会保障費が今後も削減される可能性を見込んで、事業所の経営視点から現状を見直していく必要があります。保険事業として報酬が加算されるサービスを強化したり、民間企業であれば保険外保険外事業領域(家事代行事業、研修事業など)の事業展開をしたりすることで、収益改善と従業員の処遇改善を行う。こうした面からもアプローチを行うことで、来るべき超高齢社会にも対応できるだけの人材が確保できるはずです。

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