外国人雇用の対応とは?状況届出書や雇用のメリット・デメリットを解説

外国人雇用の対応とは?状況届出書や雇用のメリット・デメリットを解説

少子高齢化によって、ますます減っていく日本の労働者人口。そうした状況の中、外国人労働者を積極的に受け入れる企業は増えつつあります。「外国人雇用状況の届出」が2007年に義務化されたこともあり、外国人労働者の受け入事業者はその制度を学び、理解することが求められますし、他にも雇用にあたっての注意点やメリット、デメリットをしっかりと把握することが必要になります。

増えている外国人労働者

日本の少子高齢化は歯止めがかからず、労働者人口は減っていくばかりで、改善する気配がありません。労働者の確保は、産業界にとってはまさに死活問題ですから、「労働力として移民政策を推進するべき」という意見もあるほどです。しかし、日本は多民族国家ではありませんし、他文化共存という土壌もありません。そのため、移民に対する好意的な反応は少ないようです。

一方で日本で就労する外国人労働者は増えています。厚生労働省が発表した「外国人雇用状況の届出状況表一覧(2020年10月末時点)」によれば、「外国人雇用状況の届出」が2007年に義務化されて以降、外国人労働者数は172.7万人という最多を記録しました。新型コロナ感染拡大防止のための入国制限の影響を受け、2021年10月末時点では前年比ではほぼ横ばいの+0.2%にとどまっていますが、2022年5月からの入国制限の大幅緩和により、外国人にとって入国しやすい環境が整い始めたため、再び外国人労働者数の増加の可能性が出てきています。

在留資格別外国人労働者数の推移
在留資格別外国人労働者数の推移

外国人雇用に必要な「外国人雇用状況届出書」とは? 手続き方法やその条件

外国人労働者を雇用するためには、「外国人雇用状況届出書」を提出する義務があります。2007年に義務化されたこの「外国人雇用状況届出書」の制度は、ハローワークを通じて厚生労働大臣に提出されるものとなり、外国人の雇用状況の把握、雇用する事業者側への適切な指導や再就職支援を目的としたものです。

届出書は雇用者毎に都度雇入れ時、離職時に必要となり、在留資格などの必要情報を記載し提出を行いますが、提出義務を怠る、虚偽申請をすると雇用対策法第28条に反したとみなされ、30万円以下の罰金が科せられます。届出を忘れた場合については、速やかに事業所を管轄するハローワーク窓口に問い合わせを行い、指示を仰ぎ対応してください。

「外国人雇用状況届出書」の手続き方法

手続きの方法は、外国人労働者が雇用保険の被保険者になるか否かによって提出する資料の様式、届出事項、届出先となるハローワーク、提出期限が異なります。また、届出先はハローワークになりますが、現在はインターネットでも外国人雇用状況届出の申請が可能となっており、ハローワークに行く時間がない場合等は「外国人雇用状況届出システム」を利用し、電子届出を行うことも可能です。

「外国人雇用状況届出書」の手続き方法
「外国人雇用状況届出書」の手続き方法
出典:厚生労働省 外国人雇用のルールに関するパンフレット

外国人労働者を受け入れるための条件

外国人労働者を受け入れる際、守らなければならない条件が大きく2つ存在します。それは前述で触れた「外国人雇用状況届出書」の提出義務と、外国人労働者の雇用管理に関する努力義務です。

特に努力義務とされている「外国人労働者の雇用管理の改善に対する事業主側の努力義務」においては『外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針』にもなっており、労働者が日本で安心して働き、その能力を十分に発揮する環境が確保されるよう、事業主が行うべき事項について定めています。

【指針内容】

  • 外国人労働者の募集及び採用の適正化
  • 適正な労働条件の確保
  • 安全衛生の確保
  • 労働・社会保険の適用等
  • 適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等
  • 解雇等の予防及び再就職の援助
  • 労働者派遣又は請負を行う事業主に係る留意事項
  • 外国人労働者の雇用労務責任者の選任
  • 外国人労働者の在留資格に応じて講ずべき必要な措置

このように外国人雇用状況届出書の提出意義と、事業主側に求められる指針を理解し、準備を整えることで、初めて外国人労働者を迎えることができます。

外国人労働者の受け入れには、メリットもデメリットもある

外国人労働者の受け入れについては、メリットとデメリットがあります。世間の論調としては、移民政策と絡むことから、デメリットが強調されてきましたが、決してマイナス面ばかりではありません。まずはプラスとマイナスの両方に目を向け、その上で
■「必要かどうか」
■「必要ならば、どのような受け入れ態勢を整えるべきか」
■「どのような助成金制度があるのか」
を考えるのが人事担当者の役割になります。

外国人労働者受け入れのメリット

・ 若い労働力を補充、人手不足の解消
最大のメリットがこれでしょう。少子化によって日本の若い労働力は年々価値が高まるばかりで、新卒採用は完全に売り手市場になっており、なかなか人手不足を解消することができない企業も出てきています。そのような中で海外からの若い人材は、そうした穴を埋めてくれます。

・ 外国人労働者を受け入れることで利用できる助成金、補助金制度
主に助成金は厚生労働省、補助金は経済省が実施しており、地方自治体によっても助成金の支援や補助金が異なってくることもありますが、雇用保険に加入している事業所であれば申請が可能になります。また、補助金に比べ助成金の支援においては複数支援制度があり、受けるための条件は設けられていますが、国籍問わず使える助成金がほとんどです。

・ グローバル化への対応が可能
会社が海外への進出を考えているのなら、進出予定地域出身の人材を得ることで、大きく貢献してもらえます。市場調査から社員の渡航、現地の商習慣や習俗のレクチャーなど、多くの役割を期待できます。

・ 異なる視点からの発想
日本とは異なる文化が背景にあれば、日本人とはまったく違う発想やアイディアが出てくるでしょう。それは、日本人スタッフにとっても強烈な刺激となりますし、新たなものを生み出すきっかけにもなります。

外国人労働者受け入れのデメリット

・ 文化や習慣の違い
異文化を背景にした視点や発想の違いは「両刃の剣」です。メリットになることもあれば、マイナスに作用することもあります。そのため異文化に対する理解と配慮が必要になります。また、日本人同士であれば「言わずもがな」「空気を読む」という調子で意思の疎通が図れるとしても、外国人が相手ではそうはいきません。はっきり正確に伝えなければ、コミュニケーションが成り立たないケースもあり、場合によっては法に触れることもあるため注意が必要です。

・ 外国人労働者を雇入れるための届出、ルールを学ぶ必要
義務化されている「外国人雇用状況届出書」の提出や、雇入れをするための指針をしっかりと理解し、手続きを進めていく必要があります。特に法律に係る問題でもあるため、外国人の雇入れに精通している行政書士などにも相談をし双方が不幸にならないよう、情報収集は必要です。

・ 受け入れや手続きに時間がかかる
日本在住の外国人労働者であっても、採用後すぐに働けるということはなく「ビザの発行」、「在留資格の確認」、「ハローワークへの『外国人雇用状況届出書』の提出」等、様々なハードルが待っています。全ての承認が下り初めて働くことができる状況となるので、今すぐに雇入れを行いたいと考えている企業には向いていません。

外国人労働者を雇用する際の注意点

外国人労働者を雇用する際に、事業者側が注意すべき点が3つあります。

① 就労が認められている在留資格のチェック
② 国籍、人種に対する差別禁止
③ 在留資格によってできる仕事内容が変わる

上記3つについて詳しく説明します。

① 就労が認められている在留資格のチェック
在留資格にも種類があり、就労が認められているもの、条件付きで就労ができるもの、就労の許可が下りないものがあります。在留資格を持っていないにもかかわらず外国人の雇入れを行った場合、不法就労になるため十分な確認が必要になります。

② 国籍、人種に対する差別禁止
国籍や人種により勤務条件に差が出てはいけません。また国籍や人種により優遇する求人票の表記は禁止されており、同じ業務を日本人も行う場合、勤務条件についても同等の条件にしなければなりません。

③ 在留資格によってできる仕事内容が変わる
在留資格があるからと言って、すべての職種で働けるというわけではなく、仕事によって在留資格は異なります。在留資格について知識がない状況で、外国人の雇入れをした場合、予定していた仕事に就くことができず雇用できないケースや、在留資格に見合わない仕事に就いた場合は不法就労と判断される可能性もあります。事前にしっかりと在留資格についての基礎知識を持つようにしましょう。

このように、外国人労働者の受け入れに関しては、人事担当者としてやるべきことは多々ありますし、受け入れ後のケアも必要になります。つまり、「手間が増える」ことになりますが、企業にとっては「多様性への対応促進」という側面も持っています。

人事担当者が、さまざまな個性と背景を持つ「人」を相手にするものであるならば、外国人労働者の受け入れは、まさにその本領を発揮する機会となるのではないでしょうか。

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