ヘッドハンターの独り言

「正解がない選択」とAI

「正解がない選択」とAI

「この業界には正解がない」
機械メーカーの営業から人材紹介のコンサルタントへキャリアチェンジした私が上司や先輩からよく言われた言葉です。

たしかに、機械ではなく人間とのコミュニケーションが全ての業界では、100%の正解はなかなか見つからない状況が多く、勉強になることが多い毎日を過ごしています。100人いれば100通りの考えと人生があり「AさんがこうだったからBさんもこう」とは言い切れないのが難しいところです。

しかし、個人的には限りなく正解に近いものはあると感じてもいます。例えば、「転職するなら絶対に年収を下げたい!」と考えている人を私は見たことがありません。そういった方も世の中にはいらっしゃるかもしれませんが、基本的には「年収が上がること=良いこと」と考えても問題ないかと思います。(もちろん、上記を曲解して「年収さえ上がれば100%の人が喜んで転職する」と思い込むことは間違いですが)

こういった「統計上、この状況では90%以上の人がこうする」といったデータをインプットし続ければ、AIでも限りなく正解に近い選択をすることが可能であると思っています。

一方で本当に正解がない、AIでは正解を導けない問題も世の中には存在します。倫理学の有名な思考実験「トロッコ問題」を皆様はご存知でしょうか?

内容としては、「線路を走っていたトロッコが制御不能になった。このままでは、前方の作業員5人が轢き殺されてしまう。この時、たまたまAは線路の分岐器のすぐ側にいた。Aがトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かる。しかしその別路線でもBが1人で作業しており、5人の代わりにBがトロッコに轢かれて確実に死ぬ。Aはトロッコを別路線に引き込むべきか?」というものです。

「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という、まさしく正解のない問題です。

最近、この正解なきトロッコ問題に正解を出さなければいけない仕事があることを知りました。その仕事とは、自動車の自動運転AI開発エンジニアです。

「自動運転をしている時に5人が目の前に飛び出してきた。停止は不可能、ハンドルを切って避ければ歩道を歩く1人を轢いてしまう。飛び出してきた5人と近くを歩いていただけの1人のどちらを優先するか?」という問題に対して、開発エンジニアは「正解」をAIにインプットしておく必要があります。

正解がないとされていた問題に開発エンジニアは、自動車メーカーは、社会は、どのような選択をするのか?また、それに対する世間の反応はどうか?個人的に注目しています。

冒頭申し上げました通り、トロッコ問題と違って皆様のキャリアのサポートはヘッドハンターの知見次第で「正解」が出せるものと認識しています。仕事を変えるという人生の大きな選択に寄り添い、皆様1人1人の「正解」へ導けるよう、日々努力してまいります。

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