本当の「ヘッドハンティング」とは?転職エージェントとの違い
ヘッドハンティングされての転職やヘッドハンティングを活用しての採用は、転職エージェントのそれとは異なるものです。今回は、「転職エージェント」と「ヘッドハンティング会社」の違いをテーマとして、正しいヘッドハンティングについて解説いたします。貴社が抱える人材不足問題の解決につながるかもしれません。
目次
日本を取り巻く人材不足問題
近年、転職エージェントが提供する登録型人材紹介サービスやヘッドハンティングサービスなど、外部からの採用支援を活用する企業が増えていますが、背景には日本を取り巻く人材不足があります。
終身雇用制度が崩壊し転職が当たり前になった今、人材の流動化が進む一方で、人材不足に頭を悩ませる企業は少なくありません。帝国データバンクの調べによりますと、2022年4月時点における従業員の過不足状況は、正社員について「不足」していると回答した企業は45.9%にものぼり、コロナ禍前に最も人手不足割合が高かった2019年(50.3%)に近い水準となっています
流動化が進む中でも、自社に必要なスキルや経験を持った人材が現れないという「質」の問題や、どの企業も欲しい人材が被る「競争」は依然として解決していないのです。
経営人材の不足問題
さて、いくつかある人材不足の問題のひとつに「経営者やエグゼクティブ層」があります。世代交代に伴って、「カリスマ社長の跡を継ぐ人材が育っていなかった」「社長の子供が首を縦に振らない」など、企業の規模を問わず経営者不足が顕在化しています。
募集が思うように進まない理由としましては、以下の2点が挙げられます。
(1)大々的に募集できない
経営幹部などの要職を、従業員を募集するように誰もが見られる求人サイトに掲載することはできません。指導者の不在を世に知らしめることで株価に影響が出たり、経営状態を不安に思った従業員が転職したり、要件を満たさない人からの募集が増えて採用担当者の負担が増えたりするためです。
(2)内部からの反発が多い
社外からトップを招聘する場合、従業員からの反発という懸念材料があります。経営を任せられるだけの経験とスキルを有していることはもちろん、年齢の問題、経営方針への理解、人柄など、さまざまな点でマッチしなければ内部からの反発は避けられません。
これらの求人問題を解決してくれるのが「転職エージェント」や「ヘッドハンティング会社」です。ともにエグゼクティブ層の不足を知られることなく、スピーディーに候補者を発見できることから、注目が集まっています。
「ヘッドハンティング」に対する誤解
欧米ではヘッドハンティングを受けて他社に移籍することは珍しくありませんが、日本において世間に認知されるようになったのは21世紀になってからでしょう。元ローソン代表取締役社長及び会長の新浪剛史氏がサントリーホールディングの社長に、また、元日本コカ・コーラ代表取締役会長の魚谷雅彦氏が資生堂の社長になったことで、いわゆるエグゼクティブ層のヘッドハンティングが注目されるようになりました。
しかし、近年エグゼクティブ層向けの「転職エージェント」が増えてきたことにつれて、「ヘッドハンティング」と混同されることが多くなってきました。実際、転職エージェントのサイトを見てみると「ヘッドハンターがスカウトします」などと書かれていることもあるため、利用者が誤解してしまうのも無理はありません。しかし、ほとんどの場合、転職エージェントのサイト内で使われているヘッドハンティングという言葉は、本来の意味とは大きくかけ離れています。それぞれのサービスを比較してみましょう。
転職エージェントのサービスとは?
転職エージェントが企業に提供するサービスは、利用登録をしている転職活動者を求人企業に紹介するサービスです。人材を紹介するまでの流れは、
1.企業からの求人依頼前に登録されていた人材をマッチングして紹介する
2.企業から求人依頼後にポータルサイトなどから対象を探し出して紹介する
に大分されます。
転職活動者を対象としているので採用決定までにスピード感がある一方、候補対象者が限られるので本当に欲しい人材に出会えていない場合が多々あります。また、転職エージェントの場合は、そのサービスは転職活動者へ向けたキャリアアドバイスなどの側面もあり、立場的には求人企業と転職活動者の間の中立的立場であると言えます。
また、紹介者の多くはポータルサイトなどに登録されている転職活動者が中心で、先にあげた「2.企業から求人依頼後にポータルサイトなどから対象を探し出して紹介する」活動をヘッドハンティングと表現している転職エージェントがいるようです。
関連記事としてこちらも併せてご覧ください
正しい意味での「ヘッドハンティング」とは?
一方で本当のヘッドハンティングとは、クライアントが求める人材を、「人脈」「評判」「インターネット」などを駆使して、あらゆる業界から探し出し、ピンポイントでスカウトして企業へ移籍してもらう手法のことをいいます。
転職エージェントは、転職活動者の中から人材を紹介するのですが、ヘッドハンティングは転職活動者以外を含む「すべてのビジネスマン」を対象にしています。転職活動者をしていないといっても、その人が転職を希望していないわけではありません。一般的に優秀な人ほど高い地位に就いていたり、相応の報酬をもらっていたりしますので、積極的に転職活動をしない傾向があります。転職エージェントでは、このような人材は紹介することはできませんが、ヘッドハンティングなら可能です。
ヘッドハンティングされた人材が「転職活動をしていなかった理由」
・忙しくて転職活動をする時間がない
・積極的に活動するほどではないが、条件次第では転職したい
・現在の会社に不満はあるが、安定を考えて現状維持
・今は転職する時期ではないと思っている
・自分に合った企業を見つける自信がない
など
また、ヘッドハンティングの場合は、対象となる人材をそのクライアントのためだけに探して紹介します。登録型人材紹介はマッチする案件があれば一人の人材に対して複数の求人を紹介するため、依頼した転職エージェント内で見えない敵(他社)と競合しているのです。その点、ヘッドハンティングはあくまでもクライアント第一であり、コミット意識が高いサービスと言えます。
まとめ
日本でも、徐々にエグゼクティブ層だけではなく、中間管理職や技術者などのヘッドハンティング事例が増えています。これは、「求職者を待つ」という従来の方法では、優れた人材を確保できなくなっていることの現れなのかもしれません。当社でも技術者や専門職のポジションをヘッドハンティングして欲しいという企業の依頼に1,000件以上携わり、課題解決をお手伝いしてきました。
求めている人材がなかなか見つからない場合は、探し方を変えてみるのもひとつの手段といえるでしょう。
関連記事としてこちらも併せてご覧ください