人事部長・採用責任者が知っておきたいヘッドハンターの選び方

近年、企業の採用活動においてヘッドハンティングの活用が注目されています。特に、経営幹部や専門職の採用において、従来の求人広告や人材紹介だけでは適切な人材を確保できないケースが増えています。そんな中、人事部長や採用責任者は、適切なヘッドハンターを選ぶことが重要な課題となっています。
ヘッドハンターの選定を誤ると、採用活動が失敗に終わるばかりか、企業の成長機会を逃してしまう可能性があります。一方、優れたヘッドハンターと協力することで、競争の激しい市場の中で求める人材を確実に確保し、組織の成長を加速させることができます。
本記事では、ヘッドハンターの基本的な役割や選び方、成功するためのポイントについて解説します。具体的な事例や業界に即した視点を交えながら、ヘッドハンティングを活用する上での知識を深めていきましょう。
目次
ヘッドハンターとは?
ヘッドハンターは、日本特有の呼び方で、企業が必要とする特定のスキルセットや経験を持った「頭脳(head)」を持つ人材を「狩る(hunt)」人という意味合いで使われています。企業は、自社にとって重要なポジションを埋めるために、ヘッドハンターに依頼して市場から適切な人材を探し出し、アプローチしてもらうことが多くあります。
ヘッドハンターの役割
上述のようにヘッドハンターは、企業の採用ニーズに応じて、ターゲットとなる候補者をリサーチし、直接アプローチして採用に結びつける専門家です。特に、経営層や特定のスキルを持つ専門職の採用において、その能力を発揮します。
野球に例えると、ヘッドハンターはスカウトのような存在です。球団の監督やGM(ゼネラルマネージャー)がチームに必要なポジションを明確にし、どの選手が補強すべきターゲットなのかをリストアップします。そのリストを基に、スカウトが全国の試合を観戦し、優れた能力を持つ選手に直接アプローチします。
ヘッドハンターの場合は、その条件設定から企業と共に実施することも多いですが、候補者に球団の魅力を伝え、チームに加入するよう交渉する点では、ヘッドハンターの役割とよく似ています。
人材紹介会社のコンサルタントとの違い
転職コンサルタントとヘッドハンターの違いは何なのか?とよく問われることがあります。転職コンサルタントは登録型人材紹介会社に所属していることが多く、ヘッドハンターはサーチ型のヘッドハンティング会社に所属していることが多いです。以下に、簡単に人材紹介会社とヘッドハンティング会社の違いを比較してみましょう。
上記のように、一般的な人材紹介に所属する転職コンサルタントは、登録者から適した人材を紹介しますが、ヘッドハンターは、企業が求める人材を労働市場全体から特定し、直接アプローチします。このアプローチ対象の違いが、ふたつのポジションの大きな違いでもあります。
たとえば、企業が「経験10年以上のプロジェクトマネージャーが必要」と考えている場合、人材紹介会社では登録された候補者の中から該当する人物を探します。一方、ヘッドハンターは、経験10年以上のプロジェクトマネージャーを現在転職市場にいない潜在的な候補者からも探し出してアプローチし、労働市場全体から最適な人材を発掘するのです。
ヘッドハンティングのメリット・デメリット
ヘッドハンティングには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。ヘッドハンターに採用の依頼をする際には、これらを十分に理解しておくことが重要です。
ヘッドハンティングのメリット
・転職潜在層にアプローチできる
ヘッドハンティングの最大のメリットは、転職潜在層にアプローチできるということです。人材紹介など一般的な転職サービスに登録する求職者は、ビジネス人口の約5%とされています。しかし、その中から企業が理想とする人材を確保するのは非常に困難です。ヘッドハンティングは、転職市場にいない95%の層もターゲットとし、労働人口100%から優秀な人材を見つけ出すので、理想の人材と巡り合える可能性が格段に上がります。
・採用成功率が高い
ヘッドハンティングの依頼は、契約金が伴うことが多く、その対価としてヘッドハンターはプロジェクトの成功にコミットすることになります。転職コンサルタントが同時に複数企業、多数の案件を担当するのに比べると、当該案件に注ぐヘッドハンターの工数は格段に多くなります。また、候補者が転職希望者でないために採用競合企業も不在となり、ポジションやオファー条件によってはかなり高い確率での採用が可能となります。
・競合他社の優秀な人材を確保できる
欲しい人材をピンポイントでスカウトできるのもヘッドハンティングのメリットです。業界で有名な競合他社の○○氏、営業に来られた○○氏、という名前と連絡先がわかる場合はもちろん、××社の営業部長、「△△」を開発した人など、名前・連絡先が不明な場合など、企業が欲しい人材や人材群を指定して採用することが可能となります。
ヘッドハンティングのデメリット
・コストが高い
ヘッドハンティングでは、採用決定時の成功報酬に加えてリテーナーフィー(契約金)が発生します。このリテーナーフィーは、ヘッドハンティング会社の活動費に充てられます。
具体的な活動内容としては、クライアントが求める人材を全労働市場から公開情報や独自のネットワークを利用して探し出し、候補者と会ってクライアントに引き合わせ、移籍を促進します。ヘッドハンターやリサーチャーなど関係者の活動費がリテーナーフィーに含まれるため、一般的な求人広告や人材紹介と比べて採用コストが高くなる場合があります。
・採用プロセスが長くなることがある
ヘッドハンティングは、転職希望者と企業の求人をマッチングするのではなく、転職活動をしていない人も含めた広範囲から必要な人材を見つけてアプローチする採用方法です。そのため、最初のアプローチから内定までに平均して4~6ヶ月ほどの期間がかかります。欠員補充や急募のポジションには適さない採用手法であるため、注意が必要です。
・候補者の動機形成(合意)が必要
転職を前提としていない候補者もいるため、移籍に向けた口説きが必要な場合があります。例えば、クライアントと候補者の面談フェーズでは、自社に来てもらうのではなく、ターゲットの都合の良い場所までクライアントが出向くケースが多くなります。この物理的な移動に伴う時間は、通常の採用プロセスよりも多くかかる傾向があります。
デメリットについて言及しているヘッドハンティング会社が少ないため、気になることと思います。詳細な解説は、以下のページで確認できますのでぜひご確認ください。
ヘッドハンターの選び方 | 5つのチェックポイント
ヘッドハンティングのメリット、デメリットを理解したうえで、いざ依頼先のヘッドハンターを選定しよう!となった際に押さえておきたいチェックポイントを5つ紹介します。
1. 専門領域と実績をチェックする
どの業界・職種に強いか?
ヘッドハンターには、それぞれ得意とする業界や職種があります。自社の業界や職種に精通しているヘッドハンターを選ぶことで、より適切な候補者を見つけやすくなります。
例えば、IT業界に特化したヘッドハンターは、エンジニアやプロジェクトマネージャーのリクルーティングに強みを持っていますし、医療、製薬業界に特化したヘッドハンターは、研究者や営業職のネットワークを持っています。依頼するヘッドハンターの得意とする領域はチェックしましょう。
過去の成功実績をヒアリングする方法
実際にどのような企業の採用を支援してきたのかを確認しましょう。過去に成功した事例を聞くことで、そのヘッドハンターの強みや戦略を理解できます。ヘッドハンターが所属する企業のホームページにクライアント企業の声や実績集がある場合は、それをチェックするのもよいでしょう。
2. リサーチ力をチェックする
優れたヘッドハンターは、ターゲットとなる人材へのリーチ力が高い傾向があります。また、保有するネットワークの広さも、候補者の選定スピードや精度に影響を与えるため、以下の点を確認しましょう。
どのようなリサーチ方法を持っているか?
ヘッドハンターによっては、独自のデータベースや市場調査手法を活用して候補者を特定するケースもあります。SNSや業界ネットワークを駆使してリサーチを行う場合もあるため、その手法を確認しましょう。
また、プロフェッショナルバンクのようにリサーチ専門組織を擁して、徹底的に候補者をリサーチできる企業もあります。そのヘッドハンターがどのように候補を探し出すのか?のチェックはとても重要です。
保有するネットワーク
ヘッドハンターがどのようなネットワークを持っているのかを確認します。例えば、大手企業の役員クラスの人材に強いヘッドハンターであれば、幹部候補のリクルーティングに適しています。コンサルティング業界に強いヘッドハンターであれば、big4などの主要なコンサルティングファームのメンバーとのネットワークを持っているはずです。
3. リクルーティング手法をチェックする
ヘッドハンターのリクルーティング手法が「登録型」なのか「サーチ型」なのかを必ずチェックする必要があります。
単なる紹介型か、積極的なリサーチを行うのか?
ヘッドハンティングのメリットでも紹介したように、高度な人材を探す場合、サーチ型のヘッドハンターの方が適している場合が多く、それが成功確率を上げる要因でもあります。ヘッドハンターを名乗っていたとしても、登録者からのマッチングを行う「登録型」のみの場合は、一般の人材紹介と変わりませんので、高度な人材を探すには不適切と言えるでしょう。
登録型
既存の登録者リストから適切な候補者を紹介する。
サーチ型
市場全体を調査し、ターゲットに適した人材を積極的にリサーチしてアプローチする。
4. 契約形態と費用をチェックする
ヘッドハンティングの契約形態には、固定報酬型と成功報酬型の2つがあります。費用面も重要な検討要素となるため、事前に契約条件を確認しましょう。
固定報酬型 vs. 成果報酬型(成功報酬型)の違い
・固定報酬(リテーナー)型
契約時点で一定額の報酬を支払う方式
・成功報酬型
候補者が入社したタイミングで報酬が発生する方式
・分割(セミリテーナー)型
固定報酬(契約金)+成功報酬の分割で支払う方式
自社の予算に応じて、どの方式が適切かを判断しましょう。
コストの適正判断基準
採用ポジションの重要度によって、どこまでコストをかけるかを検討する必要があります。幹部レベルの採用であれば、多少コストがかかっても適切な人材を確保する方が長期的な利益につながるでしょう。
5. 対応の質とスピード
最後に、ヘッドハンターの対応の質やスピードも重要なポイントです。採用のタイミングを逃さないためにも、迅速かつ的確に対応できるヘッドハンターを選ぶようにしましょう。
柔軟性や報告の頻度
企業側の要望や変更点に柔軟に対応できるかを確認します。定期的な進捗報告があるかどうかも重要なポイントです。
案件に対するレスポンスの速さ
採用プロセスの進行速度は、企業の事業成長に直結します。レスポンスが遅いヘッドハンターは、採用機会を逃すリスクがあるため注意が必要です。
コミット力や誠実さ
ヘッドハンティング案件は契約金(リテーナー)を支払うことが多いため、移籍成功に向けた活動にコミットする必要があります。また、機密性の高い案件を扱うことが多いことから、守秘義務やコンプライアンス意識などへの誠実さも重要になってきます。
以上、これら5つのチェックポイントを押さえることで、企業に最適なヘッドハンターを選ぶ助けになるかと思います。
まとめ
ヘッドハンターの選定は、企業の採用成功を左右する重要なポイントです。本記事で紹介した「専門領域と実績」「リサーチ力」「リクルーティング手法」「契約形態と費用」「対応の質とスピード」の5つの視点を基に、自社に最適なパートナーを選びましょう。
適切なヘッドハンターと連携することで、競争の激しい市場でも優秀な人材を確保し、組織の成長を加速できます。採用の成功率を高めるためにも、まずはヘッドハンティング会社への問い合わせや無料相談を活用し、最適な選択を進めていきましょう。
プロフェッショナルバンクのフルサーチ型ヘッドハンティング
プロフェッショナルバンクは、経営層や技術・専門職に特化したヘッドハンティングサービスを提供しています。転職を積極的に考えている方だけでなく、現時点で転職活動をしていない優秀な人材も企業へご紹介できることが特徴です。
プロフェッショナルバンクのヘッドハンティングサービスの強み
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