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ニューノーマル時代に経営者、管理職の採用を成功させるポイント

ニューノーマル時代に経営者、管理職の採用を成功させるポイント

コロナウィルスの早々な終息を願っていた多くのビジネスマンは、残念ながら共存という道しか無さそうだということを徐々に受け入れ出し、それならば・・と新たな日常に適応する成長戦略や生残りの戦略を模索し始めています。経営者の中には、考えに考え抜いた結果、それらの戦略を実行するのは現経営陣やマネジメント人材では不可能ということに気づき、人材獲得に動き出すという企業も多くなっていると感じます。

このような経営者や管理職の人材を採用しようという企業は、コロナ禍の影響を「受けてしまっている」か?「受けていない」か?に分けられますが、影響度の違いによって求める人物像も異なるのでしょうか??

コロナの影響を受けてしまった企業=短期的な企業立て直し人材

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観光・宿泊、飲食業界や外出自粛と工場稼働停止により製販両面に打撃を受けた製造業などは、コロナの影響で経営難に陥っているか、陥りかけています。このままコロナ禍で企業が崩れ落ちないようにディフェンス力強化に動く企業が多く、この状況を即座に脱却させられるコストカットや構造改革などの短期フェーズで会社を立なおせる人材へのニーズが高い傾向にあります。

また、コロナの影響を受けてしまった企業の管理職採用では、抜本的な改革ができる胆力、実行力、巻き込む力が求められるために、財務や経営企画のスキルとともに人物面の適正が必要になります。

コロナの影響を受けていない企業=中長期的な成長戦略を実施する人材

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一方、Eコマースやゲーム、家電や医療用器具などのコロナの影響をさほど受けていない企業、逆にコロナ禍が業績の追い風となっている業界では、新規事業や新サービス開発など2~3年後の中長期的な経営戦略に影響を及ぼす人材を求める企業が多いようです。

また、コロナの影響で生活様式が一変した為に、商品やサービスの認知から手元に届けるまでのマーケティングプロセスや購買プロセスを刷新してニューノーマル時代を優位に戦おうとする企業も多く、それらの経験が豊富な経営人材やマネージャーを求める傾向が高まっています。

管理職採用成功への3つのポイント

このようにコロナの影響を受けているかどうかで求める人物像に違いはありますが、いずれの場合でも採用を成功させる為には、抑えておきたい共通のポイントがあります。

1.ミッション提示型の選考
2.入社後の権限委譲への意識
3.時代に適応した就業環境整備

の3つです。

1.ミッション提示型の選考

たまに「新規事業をやりたいのだが、何をやるかは決まってないから自由に考えて欲しい」なんて採用もありますが、経営陣のやりたいことがはっきりしていない会社の何に共感すればいいのだろか?と候補者はなってしまいがちです。これとは逆に求める人材に、何をいつまでに成し遂げて欲しいのか?という候補者の「ミッション」を明確に提示できている企業は、経営人材や優秀なマネージャーの採用を成功させる可能性が高まります。

幹部採用に成功する企業は、現在の経営状況、現事業や新規事業をいつまでにどうしたいかのプランとそれが経営戦略としてどのような意味があるのか?課題は何なのか?などまずは自社の情報を極力提示できるように準備しているものです。もちろん、完全社外秘やインサイダー取引になるような情報はうまくコントロールしたり、機密保持を締結したりしていますが。

経営者もしくはマネージャー職でも上級管理職になればなるほど、選考する、選考されるという立場ではなく、対等な立場での面談の要素が強くなって来ます。だからこそ、企業が選考目線で候補者の経験や志望動機だけを根掘り葉掘り聞く企業よりも、自社情報をできる限り提供し、その環境下で候補者に期待する「ミッション」を明確に伝え、いつまでに達成して欲しいのか?の期待を提示する企業に惹かれ、実際に採用競争も優位になるでしょう。

2.入社後の権限委譲を意識

「ミッション」を完遂してもらうことが採用成功だとしたら、選考の段階からそのミッションを遂行しやすい環境を整えていくことも重要で、中でも、経営層や優秀なマネージャーの場合は、入社後の権限移譲を意識して取り組むことが大切です。

これらの候補人材の多くは、小姑みたいに横から口出しされるよりは、裁量権を持たせてもらう代わりに「ミッション」に対して強くコミットメントしたいという意識が強いものです。また、選考過程の中で、例えば経営企画であれば財務やサプライチェーンの責任者などミッション遂行に大きく関わる横ラインの責任者と面接過程で引き合わせておくことも重要で、直属の部下になる課長、主任などとの事前顔合わせも効果があります。既存社員からすると突如と現れる役員や部長に気持ちよくない思いをする者もいますから、事前の顔合わせや調整は入社後のスムーズなミッション遂行に有効となります。

あとは既存社員へは事前に新規参入する候補者の「ミッション」とそのミッション遂行に関する「権限を委ねる」ことを事前に発信し、協力をあおぐ体制を敷いておけるとなおよいでしょう。

3.時代に適応した就業環境を用意

コロナ禍の影響で働く意識に大きな変化がありました。これは経営人材や管理職においても同じであり、ワークライフバランスに対する意識が飛躍的に高まったと言えます。当社が行った経営人材・管理職に対するアンケートによると、コロナ禍前と後では転職先に求める条件に変化があったか?という問いに「転職先に求める条件に変化があった」と53%が回答し、その理由のうち54%がリモートワークやライフバランスを考慮しての変化でした。

Q:コロナ禍前と後では、転職先に求める条件に変化はありましたか?
図1 1

Q:「変化があった」、「どちらかといえば変化があった」を選択された方へお伺いします。変化があった主な要因は何ですか?
図2 1

もちろん、完全リモートである必要はありませんが「リモートワーク」という働き方の選択肢を持ち合わせている方が選考有利な状況となりつつあるのも事実です。これから整備しようという会社は、候補者である経営者やマネージャーに体制整備を推進してもらってもよいでしょう。また、WEB面接を積極的に実施する企業に好感を持つ候補者も実際に多くいます。最初から最後までずっと対面での面接を実施する企業よりは、WEBと対面を必要に応じて使い分けができる企業のほうが、情報システムの整備状況だけでなくニューノーマルへの配慮という意味で好感が持たれやすそうです。

まとめ

優秀な経営者やマネージャーは、自分自身はもちろんのこと管掌する組織を自立して運営することができるものです。選考では明確なミッションを明示し、権限を与える前提で進めることが重要であり、また、時代に応じた働き方を整えていくことがニューノーマとなった2020年以降での採用のポイントになって来ます。

コロナウィルスが広がったことで世界は一変しましたが、大半の企業が提供する製品やサービスは引き続き世の中から必要とされており、進化も求められています。企業を存続させるため、新時代の製品やサービスを生み出すために、積極的に企業状況にマッチした経営者やマネージャーを採用したいものです。

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