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新しい就活方法「逆求人」のメリット・デメリット

新しい就活方法「逆求人」のメリット・デメリット

少子化による慢性的な人手不足が発生し、優秀な人材の確保がより一層困難になりつつあります。企業は大学の説明会へ積極的に出向いたり、旧来のリクルーター制度を復活させたりと、採用方法を複線化させ、優秀な学生の確保に力を注いでいます。この状況で注目を集めているのが「逆求人」という新しい採用手法です。今回は逆求人のメリット・デメリットに言及し、その魅力とリスクヘッジについて紹介します。

「逆求人」とは企業側が学生にアプローチする採用手法

逆求人は、従来のように企業が募集をかけて応募してきた学生を対象に選考プロセスを進めていく採用手法とは異なります。学生側が逆求人のイベントやウェブサイトを活用して、スキル、実績、意欲などをアピールし、自身に興味を持った企業からの連絡を待つ採用手法のことです。

学生版のダイレクトリクルーティングといえるもので、企業側から学生にアプローチしていく点に特徴があります。例えば逆求人イベントでは、従来の採用イベントとは逆に学生側がブースを出し、企業側が採用したい学生のブースを訪れてプレゼンテーションを行います。そこで企業側が面接のオファーを出して学生側が承諾すれば、企業が面接を受けてもらえるという形をとります。

逆求人が注目される背景には、少子化による売り手市場の到来により、企業の新卒採用満足度が低下している事実があります。

リクルートキャリアの就職みらい研究所が発行する「就職白書2018」を見ると、企業の「採用計画数に対する充足状況」は「計画よりかなり少ない」が2014年の5.8%から2018年は14.0%、「入社予定者への満足度」も「どちらかというと不満」「非常に不満」を合わせると、2014年の12.4%から19.2%と増加傾向にあります。[注1]
[注1]参考元:就職白書2018 -採用活動・就職活動編-[pdf]
https://www.recruitcareer.co.jp/news/20180215_01.pdf

また、厚生労働省の調査によれば、平成28年度の大学等卒業者の就職内定率は97.6%。平成9年の調査開始以降、過去最高としており、少子化による慢性的な人手不足の中、企業が求める人材の確保が困難になっている状況がうかがえます。[注2]
[注2] 参考元:平成28年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000164865.html

このような状況において、採用広告に頼る従来の「待ち」の手法から、積極的に採用に打って出る「攻め」の手法として、逆求人が注目されているのです。

「逆求人」3つのメリット

少子化時代の注目の採用手法である逆求人にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下に逆求人のメリットを3つ挙げていきます。

1.自社を知らない人材にアプローチできる
企業側から学生側に声をかけるため、自社を観測範囲に入れていなかった学生にもアプローチが可能です。従来の採用広告に頼った「待ち」の採用方法では出会えなかった学生を採用できる可能性があり、人材多様性の向上が見込めます。「企業側から欲しいといってくれたこと」に感銘を受けた学生が当初は想定していなかった業界の企業に内定したケースもあります。

2.採用方針を絞ってアプローチができる
「特定の資格やスキルを持っている」「特定の分野の研究をしている」など、採用要件を満たす学生の発見が容易になります。また、従来の就職活動と比べると1対1で業務の内容や本人の希望などをじっくりと話し合えるため、結果としてミスマッチを回避でき、早期退職の予防が可能です。

3.採用プロセスの省エネ化
従来の採用広告を利用した求人では、膨大な量のエントリシートを捌いて、何次にもわたる面接を行わなければならず、大きな負担となっていました。しかし、逆求人では書類選考を省いて面接を行ったり、その場で内定を出したりすることもできるので、効率的に採用活動が行えます。

「逆求人」2つのデメリット

次に「逆求人」のデメリットを見ていきましょう。下記2点のデメリットも意識して進めて下さい。

1.採用基準の明確化が必要
逆求人は企業側からプレゼンを行うため、採用したい学生の人材像や採用基準を明確にしておく必要があります。このプロセスを怠ると、学生に対して闇雲にアプローチすることになり、逆採用の良さが一部消えてしまいます。また、基準の明確化を行う作業も発生するため、負担となる可能性もあります。

2.大企業が次々に「逆求人」を採用
後述しますが、逆求人は主に中小企業が利用しています。しかしながら、採用コストをかけることができ、マンパワーもある大企業が逆求人によるリクルーティングを採用しはじめています。中小企業はブランド力のある大企業に学生が流れていく可能性を考慮しなければなりません。

「逆求人」を活用して人材の確保を

「逆求人」は、応募者が少なく、定員割れが起きるようなベンチャーや中小企業に向いているといえるかもしれません。その他、採用者の多様性を確保したい企業や、採用担当者がおらず採用にマンパワーをかけられない企業にとっても得策といえます。

近年、逆求人の利用は企業側・学生側双方とも増加傾向にあります。株式会社i-plug(アイプラグ)が運営する大手逆求人サイト「OfferBox」は、2012年のサービス開始以来、利用者が増加し続け、2017年には学生約6万人が登録、企業側も3,400社の利用があり、今後も利用数は増加していく見込みです。

料金は定額制、もしくは成功報酬で、従来の採用広告などと比べるとコストがかからないことも魅力的です。待っていては会えない人材にアプローチできる逆求人の利用は今後の採用トレンドとなるかもしれません。

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