ストレスチェック実施における3つの課題と解決策

ストレスチェック実施における3つの課題と解決策

これまで大半の企業は社員の身体面の健康を守るために多くの努力を払ってきました。企業として社員のために社会保険を福利厚生として取り入れたり、年に1回もしくは複数回の健康診断を実施したりして、社員が健康的に業務を行えるようにしてきたのです。

しかし近年、社員のメンタル面での健康を守ることも企業の義務として認識されるようになってきました。2014年に成立した改正労働安全衛生法により、社員の心理的な負担の程度を把握するための「ストレスチェック」が企業に義務付けられました。しかしこのストレスチェックの効果に疑問を持つ経営者は少なくありません。そこでストレスチェックが義務化された背景や課題を分析し、どのようにストレスチェックを実際の社員のメンタルヘルス対策に役立てられるか考えていきましょう。

 ストレスチェック制度の義務化の背景

ストレスチェック制度が義務化された背景には、メンタルヘルスの不調を訴える労働者の増加があります。改正労働安全衛生法が施行される前のデータとして、前年度である2013年度とそこから10年前である2003年度の労災認定件数を比較してみました。厚生労働省が発表している「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」によれば、2003年度には108件だった精神障害などによる労災認定件数は、10年後の2013年度には436件と4倍以上に急増しています。[注1]

労災請求件数は増加傾向にあり、企業のメンタルヘルス対策は急務です。同じく厚生労働省が発表している「労働者健康状況調査」では仕事や職業生活に関することで強い不安やストレスを抱えている人の割合が2007年の時点で6割を超えています。[注2]

つまり、非常に多くの労働者が心身の健康に不調をきたすほど仕事のストレスを抱えているのです。こうした状況にもかかわらず、企業側からの積極的な対策が取られることはあまりありませんでした。こうした背景から、ストレスチェック制度が義務化されることとなったのです。ストレスチェックはメンタルヘルスの不調が起こる兆候を見極めて対策を講じるのに役立つため、いかにストレスチェック制度を上手に活用するかが企業側の課題となります。
[注1] 厚生労働省:脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況[pdf]
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11402000-Roudoukijunkyokuroudouhoshoubu-Hoshouka/seishin_2.pdf
[注2] 厚生労働省:労働者健康状況調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h24-46-50.html

ストレスチェック実施における課題

ストレスチェックは労働者の心身の健康を守るために実施されているものですが、課題も多く残っています。ストレスチェック制度の効果に疑問を持っている会社経営者や管理者が多いのには確かに理由があるのです。

まずもっとも大きな問題は社員がストレスチェックの設問に正直に回答しなければ意味がないことが挙げられます。ストレスチェックの1つの目的は労働者自身の「気付き」であるため、正直に回答しなければメンタルヘルスの不調の傾向があることがわかりません。結果としてまったく状況が改善しないことになります。

さらにストレスチェックの結果個人の不調を見抜けても、職場改善にまで至らず根本的な解決にならないことも課題として挙げられます。社員にストレスを与える原因が取り除かれなければ、ほかの社員もメンタルヘルスの不調を訴えることになるかもしれません。ストレスチェック制度の効果が個人に限定されてしまうのは非常にもったいないことです。

3つ目の課題は、高ストレス者と産業医・外部機関との連携がうまく取れていない点です。高ストレス者の問題を解消するためには産業医もしくは外部の精神科医などとの面接指導が必要になります。産業医の負担増、企業側のコスト増などの問題もありますが、ストレスチェック制度を本来の目的のために利用するためには産業医などとの連携は不可欠でしょう。

ストレスチェックの上手な活用方法

企業はストレスチェックをどのように活用すればよいのでしょうか。まずはセルフケア研修を実施する必要があります。社員の中には意識はしていないものの、潜在的にメンタルヘルスの不調を抱えている人がいるかもしれません。そのようなケースでは、研修で適切な医療機関での診療を勧めることで社員の不調を未然に防ぐことができます。

さらにストレスチェックの結果を集計して、職場環境の改善に役立てるべきです。例えば仕事量の調整、上司や同僚の支援が必要かどうかを判断できるでしょう。もし会社全体として改善点が見つかった場合には、外部に委託してよりよいアドバイスを求めることも可能です。

加えてストレスチェックは近年問題になっているセクハラ、パワハラといった、目に見えにくいストレスの原因を浮き彫りにすることもできます。職場の実態を把握し、適切な指導を与えるのにも役立ちます。さらに重要な点として、ストレスチェックをやりっぱなしにするのではなく、数年単位、数十年単位で経過を観察し、改善されている部分とそうでない部分を把握するようにします。PDCAサイクルを繰り返すことで、上手にストレスチェックを活用できるようになるのです。

企業がメンタルヘルス対策に積極的であるべき

これまで社員のメンタルヘルス対策は社員自身に任されてきました。しかし、仕事や職場のストレスが増えるにつれ、社員自身がメンタルヘルス対策を行うのはいよいよ難しくなってきています。ストレスチェック義務化をきっかけに企業側がイニシアティブをもってメンタルヘルス対策を講じていくことが求められるようになりました。まだまだストレスチェック制度には課題もありますが、企業側が集計された結果を分析し、職場環境の改善に役立てることによって社員のストレスを減らすことが可能になります。ぜひ医師や外部機関と連携しながらストレスチェック制度を活用するようにしましょう。

ヘッドハンティングをご検討中の企業様へ

ヘッドハンティングを
ご検討中の企業様へ

応募を待つだけではない、欲しい人材に
こちらから積極的に
アプローチする
“攻めの採用手法”をお試しください

ヘッドハンティングのご質問・
ご相談はこちらまで

0120-264-552
受付時間 月~金 9:00~17:30

「スペシャルインタビュー」の関連記事

各分野でご活躍されている方、経営者、人事責任者、採用、人材、働き方、雇用などHR系に見識のある方へお話を伺うコーナーです。