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中途採用における内定辞退の原因と辞退を防ぐために人事担当者ができる4つのこと

中途採用における内定辞退の原因と辞退を防ぐために人事担当者ができる4つのこと

人事担当者として最も避けたい「内定辞退」は、売り手市場の現在、多くの企業が経験する共通の課題です。特に規模の大きくない企業にとって、中途採用がスムーズに進まないという事態は避けたいところでしょう。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査結果においても、従業員数の少ない企業ほど新卒採用よりも中途採用に重点を置く傾向にあることが示されています。[注1]

そこで今回は、中途採用における内定辞退の原因と、内定辞退を防ぐための方策について解説していきます。

内定辞退の原因:選考の中で自社の印象を落としていた可能性もある

現在、中途採用市場は超売り手市場です。候補者は基本的に複数の企業の採用面接を受けており、優秀な人材は複数の内定を得ているのが当たり前の状況と言っても過言ではありません。そんな状況の中、中途採用において多くの企業が内定辞退に悩まされているようです。

それでは、候補者はなぜ内定辞退をしてしまうのでしょうか。考えられる理由としては、以下のようなものが挙げられます。

*他社で内定が出た・選考を通過した
*給与や休みなどの労働条件が合わなかった
*求人情報と実際の条件にギャップがある
*社風が自分に合っていないと感じた

これらの理由を別の視点で眺めると、「自社よりも他社あるいは現在の企業のほうが待遇や社風で魅力的」ということになります。
もちろん、実際のところは異なっているかもしれません。しかし、面接実施後や内定後の辞退の場合は、選考フローの間に自社の印象を悪いものにしていた可能性も捨てきれません。それでは、内定辞退されないために選考フローではどういったことに注意していけばよいのかを見ていきましょう。

内定辞退を防ぐために実施していきたい4つのこと

採用にあたって内定辞退を防ぐための基本的な考え方は、「候補者の入社意欲を上げ続けること」と「候補者が企業を選ぶ基準を見定めて最適なアプローチをとること」です。これらを実現するために、接点となる人事担当者は、適切な情報開示から内定後フォローまで、候補者と良い関係を築いていかなければなりません。そのためには、具体的に以下のことを実施していくことが重要です。

1.候補者に対して適切な情報開示を行う
2.面接官には魅力的な人材を配置しておく
3.採用は相手の都合に合わせつつ迅速に
4.今まで得てきた情報を活かしつつ内定者をフォローする

1つ目は、候補者に対しコミュニケーションの中で適切な情報開示を行うことです。

複数の内定を受けている優秀な候補者の気持ちを掴むために、コミュニケーションを大切にしましょう。候補者が知りたがっている情報を提供し、イメージと実態とのギャップを埋めて社風を知ってもらうことは非常に重要です。採用面接で候補者の期待や不安を見抜き、収入や社内での人付き合いといった自社の特色を積極的にアピールするのが効果的です。他にも、面談だけではなく「体験入社」や「インターン」を行うなど、候補者が求めている情報を適切な形で提供できるようにしていくとよいでしょう。

2つ目は、面接官に良い印象を与える人材を配置することです。相手の話を聞くだけではなく、同時に熱意も伝えられる人が適しているでしょう。
また、面接では「候補者が企業を選ぶ基準」も同時に探っていきます。相手の受けている他の企業や仕事内容を聞いておくと、相手がどのようなポジションを求めているのか、何をしたいのかが見えてきます。そうすることで、相手の価値観と自社とのマッチングを判断でき、相手に合った形で自社の強みをアピールしやすくなります。

3つ目は、採用を相手の都合に合わせつつ迅速に行うことです。
面接日程を複数提案することや時間帯を朝や夜、あるいは休日などに調整することで、多忙な候補者に配慮します。場合によっては、オンライン面接などの活用も考えていきましょう。応募者が多少リラックスして受けられるため本音を聞きやすく、録画もできるため何度も確認できるメリットもあります。また、返信を迅速に行うために連絡手段としてSNS等の活用も検討しましょう。

4つ目は、今まで得てきた情報を活かしつつ内定者をフォローすることです。中途採用だと入社日までは一般的に1ヶ月程度となるのでフォローの必要はありません。ですが、前の職場からの引き継ぎなどでどうしても期間が空いてしまう時は効果的です。

不安定な心理状態に置かれている内定者が不安なく入社できるように、選考途中で得た情報を活用して、候補者に最適化した自社のアピールをしていきます。他にも志望度の高い他社がある場合は比較を行いつつ、自社の「決め手」となる情報を提供し続けましょう。

また、採用担当者による定期的な面談やメルマガの配信、イベント・セミナーの開催、会社見学会の開催、懇親会などを利用して、入社前から職場との関係性を構築し、帰属意識を持たせて入社意欲を高めます。そのためにも、採用担当者は、候補者と信頼関係を築いていかなければなりません。

企業も候補者から選考を受けていると考え候補者に最適化した採用を行う

以上見てきたような、様々な役割を一人でこなすのは難しいため、採用の段階に分けて担当者を決めるなど、採用チームの編成も重要です。
内定辞退を防ぐためには必然的に候補者への配慮も必要となりますが、その結果、候補者に熱意を伝えることが可能です。候補者に最適化した面接を行うために情報収集を怠らないようにしていきましょう。

[注1]独立行政法人 労働政策研究・研修機構:「企業の多様な採用に関する調査」    https://www.jil.go.jp/press/documents/20171226b.pdf

 

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