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市場縮小が続く「住宅業界」〜各社の生き残り戦略

市場縮小が続く「住宅業界」〜各社の生き残り戦略

バブル崩壊後、住宅業界の国内市場は縮小傾向が継続しています。この状況が好転する材料もない中で、住宅業界内の淘汰が進み、各社とも生き残りを賭けた戦略に打って出ざるをえない状態となっています。今回は、そんな住宅業界の生き残り戦略を見ていきましょう。

右肩下がりの住宅業界の現状

ここ20年ほどのあいだ、住宅業界の市場規模は右肩下がりです。野村総合研究所「2025年の住宅市場」によれば、バブル期に160万戸を超える勢いだった新築住宅の着工戸数は、2014年度には90万戸というレベルにまで縮小しています。この傾向は今後も変わらず、2017年度の見通しは、おおよそ86万戸、2025年度には60万戸にまで落ちると予測されています。

こうした市場縮小の一因には、景気動向の低迷があります。しかし、景気が回復すれば再び市場は拡大していくのかといえば、必ずしも「YES」とは言い切れません。それは、日本の総人口と世帯数が減少しているからです。
これまで日本の総人口は、少子化という問題はあったものの、横ばいに近い状態で少しずつ増えていました。ところが2010年からは、確実に減少へと傾いたのです。総世帯数としては相変わらず微増傾向ではあるものの、総人口が減少すればタイムラグはあっても世帯数も減っていくのは当然のことです。つまり世帯数が減れば、住宅需要そのものが減っていくのです。戦後の住宅需要から順調に成長を続けてきた住宅業界ですが、大きな転換期が訪れているといえるでしょう。

自社の命運をつなぐ生き残り戦略

こうした市場環境の中でどうやって生き残りを賭けた戦略を実践していくのかが課題になります。そこで企業では、自社の特色を活かした方策をとっているようです。代表的なものをいくつかピックアップしてみましょう。

・アフターフォローとメンテナンス
中古住宅(ストック住宅)市場へのアプローチとして、築年数に合わせたアフターフォローやメンテナンスのニーズの掘り起こしを行います。各社でアフターフォローに人材を割き、自社の顧客資産を活かす戦略です。

・リフォーム
アフターフォローと同様、中古住宅市場へのアプローチ戦略です。顧客の加齢、家族構成の変化に合わせ、バリアフリーや間取りの変更など、現状に合った住環境へのリフォームを提案します。また、マンションの管理と大規模補修に参入するメーカーも見られます。

・新規市場の開拓
一戸建て専業から、集合住宅、物流施設、商業施設、ショッピングセンターの開発・建設まで、新しい市場に参入する戦略です。

上記の戦略で難しいのは、新規市場の開拓です。新たな分野の開拓には、自社の顧客資産を活かす戦略より大きなリターンが期待できます。しかし、開拓のためには、業務を遂行できる新たな人材が必要となってきます。

今後、住宅業界で求められる人物像とは?

企業が新たな業務を手掛けるときには、自社にいなかった人材が必要になるケースもあります。このような人材ニーズは、「中古住宅市場の強化に向かう」のか、それとも「新規市場を開拓する」のかによって変わってくるでしょう。

・中古住宅市場を強化する場合
中古住宅市場を強化する場合、必要なのはもちろん営業職ですが、その理想像は従来とは異なります。多くの場合、「売るまでが仕事」のような売り切り型の営業職が求められてきました。しかし、アフターフォローなどで中古住宅市場を強化するのであれば、顧客との良好で継続的な関係を築ける、継続型の営業職が必要です。
また、マンション管理にまで手を広げるのであれば、築年数に合わせた大規模修繕の提案ができる人材が重宝されることでしょう。

・新規市場を開拓し多角化を狙う場合
例えば住宅メーカーが、デベロッパーが取り扱うような市場に参入するような場合、商品開発の技術者や新築物件の営業職に加えて、デベロッパーとしての経験を持つ人材が不可欠となります。その規模はまちまちですが、用地取得から販売に至るまでの、すべてのプロセスに関われる人材は、デベロッパーへの転身を図る企業にとっては、喉から手が出るほどほしい人材でしょう。

いずれの場合でも、ニーズに合った人材を自社で探し出すというのは簡単ではありません。募集するにしても「どのような基準で人選すればいいかわからない」ということも起こります。
そんなときこそ、ヘッドハンターを活用するのがベストです。業務の内容や目指す方法をヒアリングした上で、どのような人材が必要なのかを提案することができるからです。

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