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『日本一働きたい会社のつくり方』「ベストモチベーションカンパニーアワード2017」第1位に輝いたLIFULLの人事本部長が打打ち出した様々な施策とは?

『日本一働きたい会社のつくり方』「ベストモチベーションカンパニーアワード2017」第1位に輝いたLIFULLの人事本部長が打打ち出した様々な施策とは?

住宅・不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」など幅広い事業を展開する株式会社LIFULL。かつて酒宴の席でそう語る井上社長の言葉を聞いて、まさか実現するとは考えていなかったと語るのが同社の人事本部長・羽田幸広氏です。それから5年の歳月を経て、LIFULLは数々の人事系アワードを総なめに。名実ともに「日本一働きたい会社」にとなり、井上社長の言葉は現実のものになりました。それが今回ご紹介する『日本一働きたい会社のつくりかた』(羽田幸広/PHP研究所/2017年4月21日発売)です。

「この会社」から「私の会社」へ。社員が会社を変える「場」をつくる

羽田氏がLIFULLの全身である株式会社ネクストに入社したのは2005年。現在では1,000人以上の社員が在籍する同社も、当時は80人という規模でした。人事経験はゼロだったという羽田氏がいきなり人事を一手に任された12年の軌跡が丁寧に記されているのが本書です。羽田氏が入社した翌年、ネクストは東証マザーズに上場。新サービスをリリースするなど順調に成長を遂げていました。

しかし、続く事業がなかなか生まれません。経営陣と羽田氏はさまざまな検討を経て、人材に注目しました。そこで立ち上がったのが「日本一働きたい会社プロジェクト」です。メンバーは役員と人事に加え、公募と推薦で集まった社員80名。人事異動、採用、OJT……さまざまな分野において「日本一」を目指し、会社を成長させる施策のアイデアが生み出され、会社は変革をとげていきます。社員を同志と捉え、自分たちにとって働きがいがあるように会社を変えることで「私の会社」となる。人事はその「場」を用意する役割なのだと羽田氏は語ります。

優秀な人材を採用するポイントは?人事の腕の見せどころ

新卒、中途に限らず優秀な人材を採用することは経営戦略にとって非常に重要なカギとなります。即戦力となる人材が欲しい、優秀な人材を獲得したい。そうした思いを抱く会社は多いことでしょう。ただ、同社ではスキルが高く即戦力となりうる人材であっても、「妥協のない、最高の採用」というビジョンから外れた人は採用しないと強く決めています。大量採用での違和感を経て、決定された方針でした。

こうした方針は、採用基準はもちろんのこと、面接の手法、新卒の応募者に寄り添うアドバイザー制度などさまざまなところで明確に貫かれています。ときには面接の際にどこを見るのか、入社後に大きな成長が見込める人の特徴といった「人を見る目」のポイントは、面接でもすぐに活かせるノウハウなのではないでしょうか。

そもそも人事の「背骨」とは?

大量採用による違和感、効果がなかった新卒採用施策、社内に生まれるギャップ。失敗や試行錯誤といったものにひとつひとつ向き合いながら、羽田氏は「当社の企業文化や人事施策はすべて、経営理念を実現するために社員の『挑戦』を引き出す用に設計されています」と語ります。いってみれば「常に革新することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」という経営理念を実現するためには、社員全員の問題意識や提案は必須。だからこそ、経営理念を実現するために何をすべきかを突き詰めることが人事戦略の背骨になる、ということです。

経営理念は会社によって異なります。どうやって整合性かつ一貫性のある人事戦略を設計できるか。さらには、社員の挑戦を引き出すために需要な心理的アプローチが「内発的動機付け」と「心理的安全の確保」。これらは人事担当者のみならず、どうにも社員の挑戦意欲が引き出せないと悩む経営者はマネジメント層も十分学ぶところがありそうです。

「挑戦する企業文化」をどうつくるか

本書を通読すると、随所に散見されるのが社長である井上高志氏のエピソードです。このコラムの冒頭に引いた井上氏の言葉にも、社員が働きやすい会社を一点の曇りもなく求めていく姿勢が見てとれますが、その姿勢は何も理想だけを語るに終わっていません。オープンな社長室、社長との接点を持ちやすくする工夫、研修から採用までできるだけ顔を出して熱く想いを語る姿勢。会社の規模が大きくなってもいかに井上氏のコミット度合いが高いかが窺い知れるエピソードが満載です。

会社の経営方針の転換により不安を訴える社員が続出したときは、みずから時間をとって一人ひとりに答えていたという井上氏。社長の人柄に感銘を受けて入社後、ずっとその理念に接してきた羽田氏は「挑戦する企業文化をつくりあげる基本はトップからの継続的な発信です」と断言します。文化をつくることにはゴールがないからこそ、上から下へと伝えていく仕組みには力を入れる必要があります。御社の場合は、どういった施策が考えられるでしょうか。

経営層のあり方から多様な働き方への対応まで、ポイントを数え上げればきりがありませんが、最後に同社の社是をご紹介しましょう。それは「利他主義」。辞書を引けば、利他主義の項には「他人の幸福や利益を図ることを第一とすること」とあります。本書の中でもさまざまな利他主義のエピソードが語られますが、12年の歳月をかけて培ったノウハウを惜しみなく公開したこの『日本一働きたい会社のつくりかた』こそが、まさに利他主義の結晶と言えるのではないでしょうか。「他」にはもちろん、あなたの会社やあなたご自身も含まれるはず。ぜひ参考にしていただきたい一冊です。

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