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ヘッドハンターが見る「ホワイト企業」とは?

ヘッドハンターが見る「ホワイト企業」とは?

東洋経済新報社から「CSR企業総覧2016年版」が発行されました。この情報を基にまとめられたのが「ホワイト企業トップ500」です。これは、新卒社員定着率の高い企業をランキングにしたものですが、ヘッドハンターが考える「ホワイト企業」の条件は、それとは少々異なります。

社員に優しいホワイト企業ランキング

「CSR企業総覧」は、1,300社を超える国内有力企業のCSR情報を網羅した、国内でも最大規模のデータベースです。これら最新の調査に基づくデータから「新卒3年後定着率」を抽出して、企業ごとにランク付けした記事が、「新入社員に優しい『ホワイト企業』トップ500」として「東洋経済オンライン」で公開されていました。

新卒社員がどれほど長く定着するか。その目安となる「3年後定着率」は、社員にとって「働きやすい会社」を見分けるポイントとなります。そのため、このランキングで上位に入る企業は、いずれも社員に優しい「ホワイト企業」であるといえるでしょう。

記事によると、このランキングに入っている500社のうち、116社までが1位タイです。新卒社員の3年後の離職はゼロで、評価点は100点満点となっています。定着率が高い企業は製造業が多く、サービス業や小売業は低い傾向がありますが、同じ業種の中でも大きな差があります。業界の体質が強い一方、それを企業努力で覆すこともできる、ということでしょう。

「居心地が良い企業=良い企業」ではない!

このランキングのベースとなったデータは新卒社員に限ったもので、中途採用者は含まれていません。また、高卒、高専卒、専門卒といった、大卒以外の新卒者も含まれています。そこを考えれば、ランキング上位の企業はどんな社員にとっても働きやすく、居心地の良い企業だといえそうです。

ですがそれは、必ずしもすべての業種、すべての企業に当てはまるものではありません。ヘッドハンターの目から見ると、単に「居心地の良い会社」が良い会社、すなわちホワイト企業とは限りません。「仕事」というフィールドに初めて足を踏み入れた新卒と、すでに経験を積みスキルを磨いた優秀な人材とでは、自分が身を置く組織に何を求めるのかに大きな差があるのは当然です。

そもそもヘッドハンターは、企業と人材を結びつける「仲人」のようなものであり、そのマッチングが双方にとって価値があり、現在から将来にわたって有益であることが求められます。つまり、ヘッドハンターから見たホワイト企業とは、「マッチングする人材にとって魅力的な企業」ということになりますから、厳密には、マッチングする人材の数だけホワイト企業のタイプができてしまうことになります。
ですが、そこから最大公約数を引き出すことは、もちろん可能です。

ヘッドハンターによる「ホワイトの条件」とは

複数のヘッドハンターへの取材によれば、彼らが考える「ホワイト企業」には共通した要素があります。それは「やりがいのある仕事・環境かどうか」という点です。

「短期的にも長期的にも、スタッフのモチベーションを維持できる環境があるかどうかでしょう」(A氏)
「個人的な考えですが、仕事に飽きないこと。ほかにキャリアを求めずとも、社内でやりたいことができる環境が用意されていることだと思います」(B氏)

あるヘッドハンターによれば、ターゲットとなる人材が企業に求める要素は「やりがい」「ポジション」「待遇」の3つが挙げられるそうです。であれば、それぞれのキャリアを積んだ人材が、その企業で何をしたいのか、それができる環境が整っているのか、というのが重要条件といえそうです。もちろん、成果に対する報酬を不足なく得られるかどうかも重要なことです。こうした「やりがい」のほか、情緒的な魅力を口にするヘッドハンターもいました。

「残りの仕事人生を、どの経営者の下で過ごすか。誰といっしょに成長したいと感じるかでしょうね」(C氏)

この人のために自分の力を使いたい。まさに「人生意気に感ず」というところですが、こうしたメンタルな要素も無視できない重みを持っているようです。また、「中途採用の将来性」を挙げたヘッドハンターもいました。

「中途の人材がどれほど活躍できるか。例えば、中途採用者が役員、トップになった実績があれば、我々から見るとホワイト企業だといえます」(D氏)

これなどはヘッドハンターならではの視点でしょう。

さて、あなたの会社は大丈夫?

優秀な人材を採用したのはいいが、定着しない。それは、人材と企業の双方の「求めるもの・提供できるもの」が、うまくかみ合っていないためです。ヘッドハンターたちは、その部分を外部から仔細に観察・検討し、双方にベストと思われるマッチングを施します。そうした調整を丁寧に行う企業であれば、優秀な人材の目には「ホワイト企業」と映るでしょう。

企業としての社会的な責務を果たした上で、どのような環境をスタッフに用意できるのか。それは個々の企業によって異なりますし、できること・できないことがあるのは当然です。ですが、ヘッドハンターの目は決して甘くはありません。それはまた、優秀な人材が自分の能力を存分に発揮できるかどうか、企業を見定める目でもあります。

「即戦力と言いつつ新卒文化が強く、中途社員の発言や出世の機会が限られている。こうした企業は我々から見るとブラック企業です」(E氏)

さて、あなたの会社はいかがでしょうか?

■新入社員に優しい「ホワイト企業」トップ500 | CSR企業総覧 | 東洋経済オンライン

http://toyokeizai.net/articles/-/110497

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