出戻り社員とは?再雇用のメリット・デメリットから導入時の注意点まで

出戻り社員とは?再雇用のメリット・デメリットから導入時の注意点まで

「出戻り社員」という言葉をよく耳にするようになりました。実際に出戻り社員を受け入れる企業は増加しており、大半の企業で退職者を再雇用した実績があると言われています。一方で、出戻り社員に対するマイナスな印象を持っている人も少なくありません。

本記事では、出戻り社員がどのような従業員なのか、出戻り社員制度を導入するメリット・デメリットを詳しく解説します。導入する際の注意点として、制度を実施するまえの準備事項についても取り上げます。人材確保や社員の離職に悩む経営者や人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

近年広がりをみせている出戻り社員とは?


「出戻り社員」とは、“退職後に、独立や他社での勤務を経て、以前の会社で再雇用された社員”を指します。また、“結婚や育児、介護といった理由で退職したあとに、社会復帰と同時に元の企業で再雇用された社員”も、出戻り社員とすることがあります。

退職後の元社員を再雇用する制度は、「出戻り社員制度」「アルムナイ制度」「カムバック制度」として、“理想の人材を確保したい”と考える企業のあいだで広がりを見せています。

従来、日本では多くの会社で一度辞めた会社に戻ることが認められていませんでした。しかし近年では、出戻り社員を積極的に採用する会社や、戻ってもらえるよう退職した社員とコンタクトをとり続ける会社が増加しています。

再雇用を実施したことがある企業の割合


それでは、実際にどれだけの企業が出戻り社員を認めているのでしょうか。

ここでは、大手人材紹介・求人会社の「エン・ジャパン株式会社」と「株式会社マイナビ」のアンケートを参考に、再雇用を実施している企業の割合や、再雇用に至った理由について見てみましょう。

出戻り社員を再雇用したことがある企業は7割以上

エン・ジャパンが2018年に実施したアンケート「企業の出戻り(再雇用)」によると、出戻り社員の受け入れ実績がある企業は72%。そのうち、制度として出戻り社員を受け入れている会社は8%でした。

一方で、マイナビ「中途採用状況調査2020年版」によると、2019年に出戻り採用を実施している会社の割合は65.9%。従業員が300人以上いる大企業では、80%が実施しているという結果が出ています。

以上のことから、制度として公にはしていない企業を含めて、出戻りができる会社は7割以上。出戻り社員を受け入れていない会社よりも、出戻り社員を受け入れる会社のほうが一般的になっているといえるでしょう。

参照:『人事のミカタ』アンケート
参照:「マイナビ 中途採用状況調査2020年版」を発表

再雇用のきっかけは「本人からの応募」「紹介」

エン・ジャパンとマイナビの調査によると、出戻り社員を採用したきっかけで多かったのは「本人からの応募」と「在職中の上司・同僚からの紹介」でした。

多くの会社で出戻り社員が受け入れられていることを考えると、すでに出戻り社員がいる企業では、退職者が自分から出戻りを言い出しやすいことが伺えます。また、出戻り社員制度が定着している会社では、社内に出戻り社員に対する理解があり、元上司や元同僚が復帰を促しやすい環境が整っているといえるでしょう。

出戻り社員を再雇用した理由は「即戦力」が最多

さらに、調査によると、出戻り社員を受け入れている企業のうち7割以上が、出戻り社員を再雇用した理由として「即戦力を求めていた」と回答しています。次いで、「人柄や身元がわかっているため安心できる」という回答も多く、企業側が本人や本人の仕事力を知っているからこそ、再雇用につながっていることがわかります。出戻り社員を採用する多くの企業が、安心感を求めているといえるでしょう。

出戻り社員が求められている背景

これほど出戻り社員が求められるようになった背景には、「働き方の多様化」と「人材不足」があります。

これまで、日本では“1つの企業で長年働くことが美徳”とされてきました。しかし、グローバル化や価値観の変化から、多彩なキャリア形成やワークライフ・バランスが重視されるようになりました。結果、終身雇用制は崩壊、転職はもちろん、時短勤務・在宅勤務・フリーランスなど働き方は多様化しています。現在は、転職することを前提に、入社する会社を決める人も珍しくありません。一方で、少子高齢化によって労働人口は大きく減少。多くの企業が採用難となっており、9割の企業で人材不足を感じているというデータもあります。

転職が一般化し、新たな人材を採用しにくいことから、多くの企業で出戻り社員を認めるようになっています。

出戻り社員を再雇用するメリット・デメリット


出戻り社員制度には、メリットもデメリットもあります。安易に導入することで失敗に終わる可能性もあるため、デメリットを把握したうえで、退職した元社員の再雇用を検討しましょう。

メリット①即戦力として活躍できる

エン・ジャパンやマイナビの調査で多くの企業が挙げたように、「即戦力」は出戻り社員を採用する大きな魅力です。

出戻り社員は、一度自社で働いたことがあることから事業内容や商材、業務内容、社内の雰囲気を理解しています。新たに教育や研修する必要がなく、入社後すぐに現場で活躍することができます。企業側が実力や苦手な業務を知っているため、任せる仕事を選びやすく、欠員が出ているポストを埋めることも可能です。

即戦力性を求めて採用活動をする場合は、出戻り社員を採用するメリットは非常に大きいといえるでしょう。

メリット②採用コスト・教育コストを削減できる

出戻り社員の採用は、採用や教育にかかるコストを最小限にできるメリットもあります。

新たな人材を採用する場合、通常であれば人材紹介エージェントの手数料・採用サイトの施策費・求人広告費などさまざまな金銭的な採用コストがかかります。さらに、入社が決まったあとも、業務内容や商材、会社のルールなど仕事の仕方を一から教育しなければなりません。研修に参加する金銭的なコストや、現場で指導する社員の時間的なコストなど教育にはさまざまなコストがかかります。

一方、出戻り社員であれば、採用コストはほぼ不要。教育コストも、退職後に変化があったことのみに留まるため、金銭的にも時間的にもコストを抑えられます。最小限のコストで人材が確保できる点は大きな魅力といえるでしょう。

メリット③採用後のミスマッチを防止できる

企業も元社員もお互いを知っていることから、採用後に業務内容や将来性、福利厚生、社内の雰囲気などに関するミスマッチは起こりにくくなります。

企業と入社社員とのミスマッチは、採用活動が失敗する大きな原因の1つです。企業側が採用後にミスマッチに気づいても社員を辞めさせることは難しく、新入社員側がミスマッチに気づけばすぐに退職されてしまいます。

ミスマッチを心配することなく採用できる点は、出戻り社員を採用するメリットといえます。

メリット④新しいノウハウやスキルで業績アップにつながる

出戻り社員が以前は持ってなかったスキルや視点を活用することで、退職前よりも良い働きをして、企業の業績がアップする可能性があります。

起業したり、他の企業で働いていたりする場合は、業務の効率化や売上アップにつながる新しいノウハウを自社にも取り入れることができます。育児や介護で現場を離れていても、コミュニケーションスキルや思考力などの人間力が周囲に良い影響を与えることもあるでしょう。

出戻り社員が、退職したあとに何をしていたとしても、その間の経験は自社の現場にとっては新しいものです。新しい知見が増えることは、社内の活性化、ひいては業績のアップにつながると考えられます。

メリット⑤企業イメージのアップにつながる

出戻り社員が受け入れるということで、“他社と比較して自社のほうが働きやすい”というプラスのイメージを与えることができます。

他の企業で働いたうえで、自社の特徴や魅力を語れる出戻り社員は、現社員の離職防止や採用活動における応募者募集に大きく貢献するでしょう。さらに、一度退職して戻ってくることで、出戻り社員には帰属意識や自社への愛着が生まれやすい傾向があります。自社に対して熱い気持ちを持っている人の話は説得力が高く、こちらも企業イメージのアップにつながるといえるでしょう。

デメリット①現社員の困惑・不満を生むことがある

メリットが多数ある出戻り社員ですが、迎え入れる準備が整っていなければ、現社員の困惑や不満を生む可能性があります。

とくに一度退職したにも関わらず、出戻り社員が好待遇で復職してしまうと、働き続けてきた社員のモチベーションを下げてしまいます。出戻り社員が退職する際に負担が増えた現社員であれば、出戻り社員が元の業務に戻ることで、自分の苦労を無駄にされたと感じるかもしれません。また、退職した社員は先輩と後輩どちらなのか、接し方や扱いに困り、業務がスムーズに進まない可能性も考えられます。

デメリット②現社員の退職・転職のハードルを下げる

“一度退職しても簡単に戻ってこられる”と捉えられてしまえば、現社員の退職や転職のハードルを下げることになります。

会社を辞めるという選択肢のハードルが下がると、優秀な人材の流出につながりかねません。そのため、“簡単に出戻りができる”という意識を持たれないよう対策を講じておく必要があります。

デメリット③退職前と同じパフォーマンスができるとは限らない

出戻り社員は即戦力として期待できますが、必ずしも退職前と同じパフォーマンスができるわけではありません。

退職したあとに、業務方法や使用ツールの変更、新しいメンバーの加入などさまざまな変化が起こっている場合、出戻り社員が現場に復帰しても、変化についていけない可能性があります。以前の同僚や部下が上司になることもあるでしょう。働く環境の変化によって、退職前のような成果が出ないことも考慮に入れたうえで、再雇用しなければなりません。

出戻り採用を成功させるために行っておきたい5つの準備


デメリットもある出戻り社員に活躍してもらうためには、事前に準備を進めることが重要となります。最後は、再雇用をスタートさせる前に行っておきたい、準備事項について紹介します。

現社員への周知・理解を徹底する

まずは、現社員の困惑や不満を生まないよう、出戻り社員を受け入れる際のルールや基準、戻ってからの待遇などを現社員に周知しておきましょう。

出戻り社員を再雇用することで、現社員が退職してしまっては本末転倒です。出戻り社員制度を実施するまえに、出戻り社員を再雇用するに至った経緯や制度の詳細を周知して、現社員が不満や反発を抱かないよう理解を得ることがポイントです。現社員の理解がないまま制度をスタートさせても、現社員と出戻り社員のトラブルを招いたり、離職率が上がったりと良い結果にはつながりません。

再び退職しないよう退職理由となった問題を改善する

出戻り社員が退職した理由によっては、戻ってきても同じような問題が起こり、再度退職される可能性があります。そのため、退職理由や問題点を精査し、必要であれば改善しておくことが重要です。

ここで注意したいのは、出戻り社員だけ特別に優遇しすぎないことです。給与の金額に不満があり退職した元社員が、昇給した状態で戻ってくれば人事評価制度や昇給の基準が壊れてしまいます。現社員からの反発も大きくなるため、特別扱いには要注意です。

一方で、長時間の残業や休日出勤が原因で退職した場合、現社員も不満を抱えている可能性が高いといえます。このような場合は、社内ルールや業務の見直しが必要です。とくに、ワークライフ・バランスや多様な価値観が認められる現代では、従業員を束縛するようなルールは敬遠されます。出戻り社員制度の導入を機に、時代に合わせて多様な雇用形態や公平な評価制度の構築も検討するのがおすすめです。

出戻りできるルールを明確にする

退職した社員が戻ってくる際のルールはあらかじめ確立しておくことが重要です。

とくに、現社員の困惑や不満を招きやすい労働条件・待遇・ポジション・給与・入社歴・業務内容は、明確にしておきましょう。現社員の反発を招かないよう、現社員と出戻り社員のバランスを取れるルール作りを意識しなければなりません。出戻りできる退職理由や戻った際の待遇を細かく設定することで、安易な退職を防止することにもつながります。

しかし、細心の注意を払って出戻り社員を再雇用しても、現社員から反発を受ける可能性もあります。そのため、出戻り社員が戻ってきたあとの現社員のフォロー体制も構築しておきましょう。辞めずに働き続けている現社員のモチベーションを下げないことに注力することがポイントとなります。

円満退職できる仕組みを構築する

退職時にトラブルになったり、強い不満を感じられたりすれば、戻ってきてもらえる可能性は低くなります。そのため、出戻り社員制度を導入する際は、出戻りできるルールと併せて、円満退職できる仕組みも作っておきましょう。

とくに、出戻り社員制度が根付いている企業でなければ、退職した元社員から出戻りを申し出るのは難しいものです。そのため、出戻りを求める場合は、企業側からアプローチが必要です。しかし、円満退職でなければ、元社員側に取り合ってもらえない可能性があります。将来的な出戻りも視野に入れた円満退職してもらうための仕組みは、「イグジットマネジメント(雇用の出口戦略)」と呼ばれ、出戻り社員と並んで注目を集めています。

出戻り社員を受け入れる体制を作る

出戻り社員が戻ってきた際に、居心地の悪さや働きづらさを感じたり、現社員からの視線が気になったりすると、パフォーマンスの低下や退職につながります。そのため、出戻り社員制度を始めるときは、「出戻りを許す」ではなく、「出戻りを歓迎する」体制を作りましょう。

出戻り社員を受け入れる体制作りでも、イグジットマネジメントが活用できます。イグジットマネジメントでは、円満退職の仕組み作りだけでなく、退職後のコミュニケーションも重要視されます。ニュースレターの送付・現社員との交流会の開催・出戻り社員専用のウェブページの作成などで、元社員とつながりを持ち続ける施策が有効です。

企業や現社員側が積極的に出戻り社員を迎え入れる姿勢を示すことで、元社員は戻ってきやすくなります。また元社員と交流する機会を設けることで、現社員の出戻り社員制度の理解を深められます。現社員と出戻り社員の両方が、気まずさを感じない体制を整えましょう。

まとめ

今回は、出戻り社員制度や導入時に必要な情報をまとめて解説しました。他社を経験した出戻り社員は、自社にさまざまなメリットを与えてくれる可能性があります。経営者や人事担当者がしっかりと方針を示して、上手く活用することで、組織の活性化や業績のアップ、企業イメージが測れます。一方で、出戻り社員制度は安易に導入することでトラブルの原因になる可能性も。現社員に配慮しながら、入念な準備を行うことが出戻り社員制度を成功させるポイントとなるでしょう。

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