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管理職を目指す女性は2割、一方で8割が「管理職になって良かった」と回答/上場企業の女性社員アンケート

管理職を目指す女性は2割、一方で8割が「管理職になって良かった」と回答/上場企業の女性社員アンケート

プロフェッショナルバンクは、上場企業の女性正社員を対象に、自社における女性活躍の現状や管理職に関するアンケートを実施しました。(「PRIZMA」によるインターネット調査/有効回答数:1,024名、実施期間:2024/3/21~24)

政府は、男女共同参画の推進に向けた重点方針として2023年6月に「女性版骨太の方針2023」を決定しました。この方針の中では、管理職や役員への女性登用に向けて企業経営を担う女性リーダーの育成が求められています。そこで今回、当事者である働く女性たちが感じる職場の現状や、管理職に対する意識などをアンケート調査しました。下記で詳細に見ていきましょう。

6割以上の女性が「女性リーダーが活躍している」と感じている

女性社員(管理職含む正社員)に、自社における女性リーダー、ロールモデルについて質問しました。

Q:あなたの会社では女性リーダーが活躍していると思いますか?

「とてもそう思う(21.5%)」「そう思う(40.0%)」「あまり思わない(29.6%)」「まったくそう思わない(8.9%)」という結果になり、「とてもそう思う」「そう思う」を合わせると、6割以上が自社では女性リーダーが活躍していると回答しています。

Q:あなたの会社にはロールモデルとなる女性社員はいますか?

「いる(56.3%)」「いない(43.7%)」という結果になり、こちらも6割近くがポジティブな回答をしています。

女性リーダーの活躍比率とロールモデルの有無に関するグラフ

約7割の女性が自社の文化や制度に満足している

次に、自社の文化や制度について質問してみました。

Q:あなたの会社の職場文化や制度は、女性のキャリア成長や昇進をサポートしていると思いますか?

「とてもそう思う(22.2%)」「そう思う(45.0%)」「あまり思わない(25.2%)」「まったくそう思わない(7.6%)」という結果となり、「とてもそう思う」「そう思う」を合わせると、約7割が、自社は女性のキャリア成長や昇進をサポートしていると感じていることがわかりました。

Q:女性の活躍を推進する取り組みや施策として有効だと思うものを教えてください。(複数回答可)

「出産・育児支援(48.1%)」が最も多く、次いで「産休・育休からの復職支援(47.4%)」「多様なキャリアを選べる仕組み(45.8%)」と続きました。やはり育児は現状では女性が担うことが多く、仕事と育児を両立させやすい取り組みや施策が有効と感じている女性が多いことがうかがえます。

会社の女性のキャリア成長や昇進サポートについてや女性活躍推進の有効な取り組みに関するグラフ

約8割の女性が「管理職になって良かった」と回答

続いて、女性管理職に対し、管理職になって感じていることについて質問しました。

Q:管理職になって良かったと思いますか?

「とてもそう思う(31.3%)」「そう思う(47.6%)」「あまり思わない(17.8%)」「まったくそう思わない(3.3%)」という結果となり、「とてもそう思う」「そう思う」を合わせると、実に約8割が管理職になって良かったと感じていることがわかりました。

Q:管理職になって良かったことを教えてください。(複数回答可)

上記の質問で「とてもそう思う」「そう思う」と回答した方に質問したところ、「新たなやりがいが生まれた(54.3%)」が最も多く、次いで「自身の成長につながった(53.6%)」「給料が上がった(50.9%)」と続きました。管理職になることで、やりがいや自己成長を感じる方が多いことがわかりました。

管理職になって良かったか否かと良かった点に関するグラフ

Q:管理職を目指した(引き受けた)動機として最も近いものを教えてください。

「よりやりがいのある仕事に就きたかったから(26.6%)」が最も多く、次いで「もっと仕事の上で成長したかったから(22.3%)」「給料が上がるから(20.7%)」と続きました。やりがい、自己成長、給料という順番は管理職になって良かったことと全く同じであり、理想と現実が合致していると言えるでしょう。

Q:女性管理職として活躍するうえで、どのような課題やハードルを感じていますか?(複数回答可)

「仕事とプライベートの両立(45.6%)」が最も多く、次いで「業務負荷や責任の増大(41.9%)」「労働時間の長さ(40.5%)」と続きました。やはり管理職になると仕事の比重が高くなるということが言えそうです。

管理職を目指した動機や活躍する上での課題に関するグラフ

約8割の女性が「管理職に就きたくない」と回答

最後に、女性一般社員に対し、管理職についての質問をしました。

Q:将来、管理職に就きたいと思いますか?

「とてもそう思う(4.7%)」「そう思う(17.7%)」「あまり思わない(41.7%)」「まったくそう思わない(35.9%)」という結果となり、「とてもそう思う」「そう思う」を合わせても管理職に就きたいと思っている女性は、わずか2割程度に留まることがわかりました。

ここまでの質問で、自社の女性リーダーの活躍や文化・制度の充実を感じている女性が多く、また、女性管理職は大半がなって良かったと思っていることが明らかとなっていたため、この結果にはギャップが感じられました。

Q:今の会社で管理職を目指すうえで、どのような課題やハードルがありますか?(複数回答可)

それでは、一般社員は管理職に対してどのような壁を感じているのでしょうか。「業務負荷や責任の増大(61.6%)」が最も多く、次いで「仕事とプライベートの両立(56.0%)」「労働時間の長さ(44.8%)」と続きました。これは女性管理職が感じている課題・ハードルとほぼ同じ結果であり、管理職として働くイメージを正しく持つことができていると読み取れます。

管理職に就きたいか否かとそれに伴う課題に関するグラフ

まとめ

ロールモデルの擁立、文化・制度の充実、理想と現実が合致している状況など、今回のアンケート結果を見ると、国やメディアの施策や情報提供は概ね成功していると言えるのではないでしょうか。唯一、一般社員の管理職志向のみがネガティブな結果となりましたが、管理職となった方々は「なって良かった」「動機を満たせている」と思っているので、食わず嫌いのような状態になっているのかもしれません。逆にこの状態を解消できれば、もっと女性管理職は増えていくとも考えられます。

なお、当社は同じタイミングで上場・大手企業の人事責任者・担当者にも女性活躍推進の実態に関するアンケートを行っています。こちらもあわせて読んでいただくことで、現在の女性活躍推進状況について、より理解が深まるかと思いますので、ぜひご参照ください。

7割以上が「2030年までに女性管理職比率30%以上を達成できる」と回答/上場・大手企業の女性活躍推進アンケート

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