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人材育成の問題点は「指導する人材の不足」

人材育成の問題点は「指導する人材の不足」

企業にとって人材は大きな力であり、資産でもあります。ですが、社員一人ひとりが持っている能力をさらに伸ばし、業務に反映させるためには、さまざまな形での教育を施す必要があります。ところが、その社員教育という部分に問題を抱えている企業は少なくないようです。

人材の教育は、企業の存続にも関わる大きな課題

企業の業績を安定させ、さらに伸ばしていくためには、社員教育は重要な柱です。これは、ほとんどの業界に共通するものでしょう。ビジネスを展開していくあらゆる場面で、多くの情報を基に判断して行動するのは、一人ひとりの社員です。企業が必要と考えるスキルを彼らが身に付け、それを維持して行くためには、社員教育は欠かせません。

まして近年では、多くの分野でIT化が急速に進んでいます。それとともにワークフローは進化し、さらなる効率化が図れるようにもなりました。こうした流れに取り残されてしまっては、企業としての存続すら危ぶまれてしまうでしょう。そうした意味からも、現代では継続的な人材教育というものが、ますます大きな意味を持つようになっているといえます。

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企業が抱える、人材教育の問題点とは

厚生労働省が公表した、平成27年度「能力開発基本調査」によると、「正社員の能力開発は企業が主体となって行う、またはそれに近い」と考える企業は76.6%でした。つまり、社員の教育は企業側の責任で行うべきだというわけです。

社員教育は「個人単位のトレーニング」ではありません。各部署、各担当者との連携が必要な場面もありますし、企業それぞれの理念、文化に基づいた業務の進め方というものもあります。それを考えれば、社員教育を自社の責任で行うのは当然のことでしょう。

ところが、そうした意識がある一方で、やはり70%以上の企業が人材育成に関して「何らかの問題がある」と回答しています。そして問題の内容を見てみると、以下の3つが上位を占めていました。

・指導する人材が不足している(53.5%)
・人材育成を行う時間がない(49.1%)
・人材を育成しても辞めてしまう(44.5%)

いずれも、とても大きな問題です。ことに3番目の「育成しても辞めてしまう」という問題は、企業にとってつらいところでしょう。優れた人材を育てたいけれど、育ったところで人はより良い環境を求めて辞めていってしまう。この繰り返しでは、教育にかける時間とコストが無駄になるという見方が強まるばかりですが、かといって教育をやめてしまうわけにもいきません。この問題を解決するには、教育のみにとどまらず、社内での評価や待遇を見直す必要もあるでしょう。

外部委託ならば多くの問題が解消できる

「指導者不足」「時間がない」という問題については、人材教育を行う外部機関に委託する、という選択肢もあります。この方法ならば、教育に関するさまざまな問題を解消することもできます。そもそも、優れたビジネスマンが優れたビジネストレーナーであるとは限りません。みずから実践することと、それを人に教えることは、まったく異なる能力が必要なのです。

スポーツの世界では「名選手、必ずしも名監督ならず」といわれますが、同じことは社員教育においてもいえることです。優れた実績を持つ社員は、独自の手法やスタイルを持っていることも多いのですが、それをすべての社員が活用できるわけではありません。

外部の教育機関を使えば、それらの問題のほとんどが解決できます。指導者自身がその質を保つために使う時間やコストをカットできますし、決まった時間の中で効率の良い教育ができます。新人には新人用、管理職には管理職向けのカリキュラムが用意されていますから、必要に応じた教育も可能です。

最新の情報や知見を得られるというメリット

最新の情報が反映されるという点も、外部委託を使った教育で得られるメリットでしょう。
顧客とのコミュニケーションやスタッフのマネージメント、成果に対する評価など、ビジネスシーンにおけるさまざまな行動は、その多くが科学的に研究され、分析されています。これまで個人の勘や経験に頼っていた部分のほとんどが、それぞれ標準化され、メソッドとして成立しているのです。もちろん、それらのメソッドは常に改良が加えられ、より効率的な内容へと進化し続けています。

また、IT化の波についても考慮する必要があります。クラウディングサービスの普及によって業務のIT化はさらに加速し、とどまるところを知りません。これらの最新の情報や手法を採り入れていくには、自社内での作業だけでは限界があるでしょう。社員教育を自社で賄う場合に必要になる時間やコスト、さらに人的なロスを考えれば、社員教育を外部に委託することはとても有益な方法といえます。

自社に最善の形を探り、実現すること

先にお話しした厚生労働省の調査では、自社の人材育成を自社内で行うか、あるいは外部に委託するかという項目もありました。その結果を見ると、「社内派」は61.0%、「社外派」は38.2%となっています。現実にさまざまな問題を抱えながらも、「社員教育は社内で完結したい」という意識が、企業側には根強く残っているようです。

その具体的な理由については、この調査では明らかにされていません。ですが、社員教育を自社で行うことについては、目には見えにくいメリットもあると考えられます。どのような企業でも、その会社の理念があり文化があります。その会社のすべての業務は、その理念や文化を背景に行われます。

もちろん、社員教育もしかりです。たとえ最先端の情報やテクニックを身に付けられたとしても、そうした「会社固有の文化」を抜きにしては、その会社ならではの教育は行えないでしょう。優秀な人材はヘッドハンティングによって獲得できるかもしれませんが、その人材に自社を理解させるには、やはりそれなりの教育を施す必要があります。

教育とはその名のとおり「教え育むこと」です。単に情報や知識を与えることではありません。母鳥がヒナを育てるように、常に見守り、あらゆる場面でその成長を助け、時に軌道修正を行うことも不可欠でしょう。こうしたことは、社内に教育係や指導者を置き、常に社員への目配りができる体制があってこそ実現できるものです。

社員教育をどのように行うか。それは多くの企業にとって大切な課題であり、頭を悩ませる難問です。ですが、指導者や経営者は、多くの選択肢の中からメリットとデメリットを見極め、自社にとってベストな体制を作り上げることが求められているといえそうです。

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