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リフレーミングとは?心理学的思考がビジネスにもたらす効果と実践方法を徹底解説!

リフレーミングとは?心理学的思考がビジネスにもたらす効果と実践方法を徹底解説!

些細な嫌味に傷ついたり、なかなか自分でモチベーション維持ができなかったりすると、「自分なんて…」と落ち込んでしまう人は多いのではないでしょうか。過度な気分の浮き沈みは、よりストレスや疲れを感じてしまう原因となります。

安定した心理状態を保つために役立つのが、「リフレーミング」という思考方法です。本記事では、リフレーミングの効果や実践方法、活用できるシーンを紹介します。「自信を持って仕事に取り組みたい」「もっと前向きに日常生活を送りたい」という人は、ぜひ参考にしてください。

リフレーミングとは?

リフレーミングとは、別の視点で物事を捉え直すことを指します。短所や欠点と言ったネガティブな要素も、視点を変えることでポジティブな要素にもなり得るという概念です。

「コップに半分入った水」という有名な例え話で考えると分かりやすいでしょう。コップに水が半分“しか”入っていないと捉えるか、コップに水が半分“も”入っていると捉えるかで、コップに入っている水の量は変わらなくとも、その事実に対する考え方が異なるものになるのです。

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心理学からビジネス活用へ

リフレーミングは、コミュニケーション心理学(NLP)における用語の1つです。

NLPとは、Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラム)の頭文字を取ったもの。人の脳や心の仕組みを利用した実践的な心理学で、「脳と心のマニュアル」や「脳の取扱説明書」とも呼ばれます。1970年代初頭、カリフォルニア大学の数学者リチャード・バンドラー氏と言語学助教授ジョン・グリンダー氏によって開発されました。

現在は、セラピーやカウンセリングの現場だけでなく、ビジネスシーンにおいても思考や行動のクセを直したり、ポジティブな考えに思考を転換したりするときに活用されています。

ポジティブシンキングとの違い

リフレーミングを理解するときは、ポジティブシンキングとの違いを押さえておきましょう。ポジティブシンキングも、ポジティブな考え方をするうえで用いられる思考法の1つです。

リフレーミング:考え方の枠組みを変えて違う視点から見直す思考法
ポジティブシンキング:常に前向き・肯定的に考える思考法

ポジティブシンキングでは、ネガティブな考えを無視する、または切り替えたりすることも起こり得るため、場合によっては上辺だけの思考転換になることがあります。一方、リフレーミングは強引にすべてをポジティブに捉えようとする技法ではなく、考え方の枠組みや視点を見直す、発想の転換を促すものです。

リフレーミングでは、相手の立場に立ったり相手に共感したりといったアプローチによって、一見するとポジティブな事柄の中からもネガティブ要素を見つけることができます。単純に常にポジティブに考えるという訳ではないという点で、リフレーミングはポジティブシンキングとは異なる思考法です。

2種類のリフレーミング

リフレーミングにはいくつか種類がありますが、ここでは代表的な「状況のリフレーミング」と「内容のリフレーミング」について紹介します。リフレーミングを活用するときは、対象によって有効なものを選択することが必要です。

状況のリフレーミング

状況のリフレーミングとは、人物・出来事・環境といった自分が現在置かれている状況の捉え方や枠組みを考え直すことです。たとえば、「ルーティン業務は苦手だが、クリエイティブな能力が求められる部署では能力を発揮できた」「病気で休職している間に、本当にやりたい仕事が見つかった」などが挙げられます。

状況や環境を変えれば、新たな自分の資質を見つけ出したり、今まで活かされていなかった能力を発揮できたりすることがあります。

内容のリフレーミング

内容のリフレーミングとは、性格・経験・悩みといった自分を形成する要素の意味を見直すことです。「意味のリフレーミング」と呼ばれることもあります。たとえば、「大きな失敗も人生においては何か意味がある」「目標達成のハードルは高いが、自分の成長の糧になる」などの意味の変換が当てはまります。

ネガティブな事象に対して、価値を見出す考え方を持つことで、自分にとって意味あるものに変換して捉えられるようになるのです。

リフレーミングの効果

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リフレーミングはビジネスシーンにおいてもプライベートでも効果を発揮するものです。

  • モチベーションアップに繋がる
  • 人間関係が円滑になる
  • 課題解決能力が向上する
  • 自分に自信が持てる

上記のようにさまざまなメリットがあります。リフレーミングの考え方を身に付けることで仕事や私生活がより良いものになるでしょう。

モチベーションアップに繋がる

自分が置かれている状況を見直し、新しい視点をもつことでモチベーションアップに繋がります。これまで不安に感じていた難しい問題や、落ち込んでいた失敗も、成長の機会と捉えることができるようになれば、前向きな気持ちで向き合えます。ネガティブな考えや感情に流されず、自分のやる気を自分で引き出せるようになるため、自ずと生産性の向上やスキルアップも期待できます。

人間関係が円滑になる

リフレーミングは、良好な人間関係の構築にも役立ちます。もともとリフレーミングは、コミュニケーション心理学の概念です。リフレーミングの考え方を取り入れれば、相手の立場に立った視点を持ち、他者の長所や良いところに目を向けたコミュニケーションが取れるようになります。批判やネガティブな発言にも、必要以上に落ち込まず、プラスに受け止めることが可能です。

課題解決能力が向上する

リフレーミングを行うと、視点を変えて状況や問題を俯瞰してみることができるため、課題解決能力も高まります。失敗やトラブル、困難なシチュエーションでも、プラスの思考を持つことで、打開する糸口を探し、解決策を見出すことができます。

自分に自信が持てる

リフレーミングで自分の長所や得意分野にフォーカスすることで、自分に自信が持てるようになるでしょう。コンプレックスや悩みにばかり目が行くと、どうしても仕事や生活への意欲が失われがちです。自分のコンプレックスも視点を変えれば、プラスの要素として捉えられます。リフレーミングによって、コンプレックスが自分の強みとして感じられるようになるのです。

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リフレーミングの方法

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リフレーミングを実践するときには、具体的には下記のような方法が用いられます。

  • 言葉のリフレーミング
  • 仮定のリフレーミング
  • 時間のリフレーミング
  • 解体のリフレーミング
  • 自答のフレーミング

どのようにリフレーミングの思考を持つのかみていきましょう。

【言葉】のリフレーミング

言葉のリフレーミングとは、言葉の捉え方を変えることで、自分のなかの印象を置き換える方法です。ネガティブに感じた言葉はリフレーミングして、言葉の定義を見直してみましょう。

たとえば、「神経質」なら「几帳面」「計画性がある」と、「理屈っぽい」なら「論理的思考ができる」「冷静な判断ができる」と言い換えることができます。自分のコンプレックスや短所と感じることがあれば、言い換えられるポジティブ表現を探してみるとよいでしょう。

【仮定】のリフレーミング

仮定のリフレーミングとは、現在の状況を「もし●●だったら?」「たとえば▲▲だったら?」と仮定する方法です。さまざまな可能性や視点を探ることで、新たな発想や発見につながります。

たとえば、「もし自分が相手の立場だったら」「もし(尊敬する)○○さんがこの仕事をするなら」「仮に△△の希望が叶うなら」と、ポジティブにたらればの話を考えてみましょう。状況や立場を変えて考えることで、今までにはない捉え方をできるようになります。

【時間】のリフレーミング

時間のリフレーミングとは、自分の時間軸を変えてリフレーミングする方法です。時間のリフレーミングを行うことで、起こってしまった事実に対する考え方を変え、自分にプラスになる形で捉えられるようになります。

たとえば、大きな失敗をしてしまった時、「未来の自分はこの失敗についてどう考えるか」「過去の失敗で得た学びを現在にどう活かすか」と現在の事象を未来・過去の自分に当てはめて考えてみましょう。

【解体】のリフレーミング

解体のリフレーミングとは、物事を一度解体して、構築し直す方法です。物事を細分化して考えることで、漠然とした大きな課題も、具体的に整理し、自分の力で解決できる方法を模索できます。

たとえば、「仕事が終わらない」という悩みに対しては「タスク量の問題なのか」「「それぞれどのくらいの時間がかかるのか」「時間が無駄になっているところはないか」などと、細かく問題を捉え直してみましょう。場合によっては、ネガティブな事象や感覚も自分の思い込みであったという可能性もあります。

【自答】のリフレーミング

自答のリフレーミングとは、自問自答を繰り返して、本当に自分が望むことや自分のためにできることを探り出す方法です。自分に対してハテナを問いかけることで、感情の整理ができ、現状を打開する解決策を見つけることができます。

たとえば、上司との関係が上手くいかない時、「自分はどうしたい?」「相手にどうしてほしい?」と問いかけ、その答えに対してさらに「ではどうすればいい?」「なにが必要?」と新たな問いかけを行っていきましょう。

リフレーミングの活用シーン

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リフレーミングの活用シーンは多々ありますが、ここでは効果を得やすい状況を紹介します。

仕事への情熱を高めたい時!

とくに大きな悩みがなくても、仕事に対するモチベーションや熱意を高めたいというときにリフレーミングが効果的です。モチベーションアップを目指すときは、時間のリフレーミングや仮定のリフレーミングが活用できます。

「将来の自分は今の自分を後悔しないか」「もし自分が○○のポジションについたら」とリフレーミングすることで、今の自分や周囲の声に左右されず仕事に打ち込むことができるでしょう。

新しいことに挑戦する時!

新しいことに挑戦するときにリフレーミングをすれば、自分への自信を高め、不安を払拭することができます。チャレンジするときに使えるのが、時間のリフレーミングや仮定のリフレーミング、自答のリフレーミングです。

「ここで挑戦しないと未来の自分はどう思うのか」「もしこのスキルを習得できたら」「自分はなぜこの企画に挑戦したいのか?」と考えることで、自分を奮い立たせることができるでしょう。

大きな仕事を任された時!

大きな仕事を任されると、「本当に自分でいいのか」「自分にできるのか」「○○さんのほうがいいのでは?」と不安になるものです。このようなときも、リフレーミングが効果的です。仮定のリフレーミングや解体のリフレーミングを使って、具体的な解決策を探しましょう。

たとえば、上手くこなせるかという不安も、「もし○○さんこの仕事を任されたなら」「もし大きな成果を出せたなら」などと仮定を考えることで、ポジティブな感情を持ちやすくなります。「目標が高くて不安」という悩みは、「なぜ不安なのか」「誰と比べているのか」「自分にはができるのか」などと解体して考えてみましょう。

ストレスを感じる時。

イライラしたり不安や悩みがあったりとストレスを感じるときも、リフレーミングを使ってみましょう。ストレスに対しては、言葉のリフレーミングや仮定のリフレーミングが有効です。

たとえば、他人からネガティブな言葉をぶつけられたとき。「八方美人ね」と嫌味を言われたら「人付き合いが上手」「溶け込みやすい」「物おじしない」などとできるだけ多くのポジティブな言葉に言い換えてみます。「もしかしたら自分の欠点を見直すチャンスかも」と助言と仮定して受け取ってもよいでしょう。

失敗した時。

仕事でミスをしたり、余計な一言をつい口に出してしまったりと、仕事でも日常生活でも失敗は付き物です。失敗を乗り越えたいときには、言葉のリフレーミングと仮定のリフレーミング、解体のリフレーミングが使えます。

「失敗」は「チャレンジの証」「人生に必要な学び」と言い換えられます。「もしチャレンジしなければ成長の機会を得られなかったのでは」と仮定することもできるでしょう。「自分に足りなかったスキル」「チームの連携にもっと必要だったこと」などと、失敗の原因を因数分解すれば、次回に活かせる教訓を得つつ、モチベーションアップにも繋がるはずです。

苦手な人と接する時。

誰しも苦手な人はいるものです。しかし、同じ職場や取引先であれば、どうしても一緒に仕事をしなければなりません。苦手な人と接するときのストレスや不安を軽減するには、言葉のリフレーミングが役立ちます。

相手に言われて不快に思った言葉や相手への印象を、ポジティブな言葉に置き換えてみましょう。「批判ばかりする人」であれば、「相手のためを思って助言をしている人」として捉えると、相手から投げかけられるネガティブな言葉も柔らかく受け止められるでしょう。

リフレーミング実践のポイント

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最後は、リフレーミングを実践するときに押さえておきたいポイントを2つ紹介します。より効果的にリフレーミングを活用できるよう、意識してみてください。

相手の立場を尊重する

他人が絡む事柄のリフレーミングでは、相手の立場を尊重したうえで捉え方を変えるようにしましょう。

とくに、他者に対するリフレーミングでは、相手の立場を理解し、共感することから始める必要があります。相手の立場や気持ちを無視してポジティブな言葉ばかりをかければ、相手を抑圧してしまう可能性があります。相手がなぜそのような考えや感情を持つのか、その背景まで考慮すると相手を傷つけずにリフレーミングできるはずです。

リフレーミング辞典を活用する

いきなり物事や言葉の捉え方を変えようとしても、なかなか上手くいかないものです。そのため、はじめのうちはリフレーミング辞典を活用してみましょう。

リフレーミング辞典は、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に置き換えられる一覧表です。たとえば、「自信がない」→「謙虚」、「計画性がない」→「臨機応変で柔軟性がある」と、自分でポジティブ変換できなくても、適切な表現をすぐに確認できます。

ネガティブな捉え方をしてしまったときは、リフレーミング辞典を使ってポジティブな視点や言葉に置き換えることで、リフレーミングの考え方の定着を図れるでしょう。

参照:https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/549afe7c028274f66313ec07a5249328/1316251919

リフレーミングを活用してパフォーマンスアップを目指そう!

本記事では、コミュニケーション心理学の概念「リフレーミング」について詳しく解説しました。リフレーミングは、物事を視点や枠組みを捉え直す思考法です。リフレーミングの考えを取り入れられれば、自分の感情やモチベーションを自分でコントロールできるようになります。

ビジネスシーンにおいても、安定した心理状態を保てるだけでなく、スキルや生産性アップが期待できます。今回紹介したリフレーミング方法を参考に、上手に仕事や日常生活に取り入れてみましょう。

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