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社内コミュニケーションを活性化するには?

社内コミュニケーションを活性化するには?

企業が活動を進めていくためには、構成員である個人同士のコミュニケーションがスムーズであることが必要です。ところが、そこに問題を抱えている企業は少なくありません。なぜ、そのようなことになるのでしょうか?そして、どのように解決していけばいいのでしょうか?

社内コミュニケーションは大丈夫か?

私たちの生活の大部分は、コミュニケーションで成り立っています。買い物をするのも、ランチを食べるのも、コミュニケーションがなければ成立しない取引きです。ビジネスの現場に目を向けるならば、顧客との関係は最も重要なコミュニケーションのひとつでしょう。
「最も重要なひとつ」とあえて言ったのは、それと同等、あるいはそれ以上に重要なものがあるからです。それが「社内でのコミュニケーション」です。
少し古いデータになりますが、NTTレゾナントと三菱総合研究所による2006年の調査結果があります。それによると、企業内でのコミュニケーションが取れていない、またはどちらともいえないという回答を足すと、その数は半数以上となります。
そして「誰とのコミュニケーションに不足を感じるか」という質問に対して、なかなか興味深い結果が出ています。

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<誰とのコミュニケーションに不足を感じるか>
部署を超えた社員同士 65.3%
経営層と一般社員 63.8%
同じ部署内の上司と部下 40.0%
同じ部署内の同僚同士 26.8%
同じ問題や興味を持つ社員同士 23.3%
経営層の役員同士 22.2%
その他 1.3%

この調査結果から、あなたはどのような状況を読み取るでしょうか? この結果の「意外な部分」に注目すると、社内コミュニケーション問題の本質が浮かび上がってきます。

最も近いはずの間柄が疎遠になっている…?

前述の調査結果を見ると、多くの一般社員は、他部署の社員や経営層とのコミュニケーションに関して、不足と感じていることがわかります。これは実際によくあることで、多くの企業ではある程度、仕方ないと切り捨てている部分かもしれません。
ですが、部署を超えての交流が促進され、情報共有が進めば、ビジネスを多角的な視点から分析し、推進していく力になります。実際にこの調査では、社内の情報共有の満足度についても調査が行われましたが、それによると実に8割以上が「情報共有ができていない」という不満を感じています。このボトルネックを改善するだけでも、現場における情報の風通しが良くなり、それらの情報に基づいたさまざまなアクションが期待できるのではないでしょうか。
また、一般社員と経営層とのコミュニケーション不足も企業にはありがちですが、その断絶をどう埋めるかということも、組織として大きな課題です。景気の動向はいまだ安定していませんし、先の見通しもはっきりしない…。このような状況で、企業の舵取りをする経営層が何を考え、どこを目指し、そのために何をするのか。それを漠然としたイメージではなく、明確なビジョンとして社員に示すことは必要なことでしょう。
そして、前項でお話しした「意外な部分」とは、同じ部署の上司と部下のあいだでさえ、コミュニケーションが不足していると考える人が4割もいるということです。

「ストローク」の不足が人材損失を生む

直属の上司と部下というつながりは、最も堅実なコミュニケーションが必要になるはずです。ですが、現実には4割もの人が、そこに不足や不満を抱いています。その理由のひとつは、「いつも近くにいるから」という点が挙げられるでしょう。
出社すれば毎日顔を合わせ、言葉を交わす。それだけに、ちょっとしたコミュニケーションの不足が、大きな問題を引き起こす可能性があるのです。それによって、「自分はこのチームに必要とされているのだろうか?」という疑心が生じて退職…というケースも少なくありません。
一方で、このような人材損失を防ぐ方法は数多くあります。その最も基本的なものが、心理学の世界でいう「ストローク」。わかりやすくいえば、相手の存在を認めることです。
人間には承認欲求があります。自分の能力や業績、それ以前に存在そのものを認めてもらいたいという欲求です。自分はここにいる、こんなことができるということを、他者に認めてほしいという欲求です。
ストロークには否定的なものと肯定的なものがあり、肯定的ストロークが好ましいのはもちろんです。どのような形で、どのくらいの頻度でストロークを与えるのが良いかはケースバイケースですので、状況を見て対応するしかないでしょう。とはいえ、あまり神経質に考えることはありません。一番良くないのは「ストロークがまったくない」という状況です。これは本人にとって、無視されているのと同じですから避けるべきでしょう。

コミュニケーションの活性化は、こうして進める

さて、社内のコミュニケーションを活性化していくには、各種コミュニケーションツールの活用も有効です。もちろん、フェイストゥフェイスが一番効果的だとしても、まとまった時間を取ることはお互い難しいこともあるでしょう。となると、手早く使えるチャットツールでコミュニケーションを後押しするのは良い方法です。
手軽なチャットツールの代表格として、「Skype」や「チャットワーク」が挙げられます。すでに活用されている企業も多いことでしょう。北米生まれの「Slack」は、後発だけに機能もUIも工夫されていて、多くのユーザーを獲得しています。これらのツールを活用し、社内で活発に使えるようになれば、コミュニケーション問題の多くは、解決に導けることでしょう。
また、これはツールではありませんが、社内の物理的な環境を変えるというのもひとつの方法です。
個人の作業環境を尊重すると、それぞれのデスクをパーティションで囲いたくなります。ですがこれでは、隣り合うスタッフとでさえ、コミュニケーションを取りづらくしてしまいます。この仕切りを取り払い、「自分のデスク」という概念さえ捨てたのが「フリーアドレス制」です。誰が使ってもいいフリースペースだけを用意しておき、スタッフはそこに自分のノートPCを携えてやって来ます。そして、好きな場所に陣取って、仕事を始めるのです。
フリーアドレス制を採り入れた結果、日本マイクロソフトでは部署や上下関係を超えたコミュニケーションが自然に促されるようになったといいます。
社内のコミュニケーションは、企業にとって大きな問題です。その改善については、打つ手がまだまだ残されているといえそうです。

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