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社員のコミュニケーションの場に「ランチケーション」を推奨する2つのメリット

社員のコミュニケーションの場に「ランチケーション」を推奨する2つのメリット

「ランチケーション」は、ランチの時間を有効活用して働くママたちに情報交換のコミュニティを提供し、子育てやキャリア形成を支援していく取り組み。実は企業にとっても大きなメリットがあるのです。今回はいまの時代にあったコミュニケーションのひとつである「ランチケーション」についてご紹介します。

ランチケーションとはランチタイムを活用したワーキングマザーの交流会

「ランチケーション」とは、ランチタイムを活用した、ワーキングマザーの交流会を指します。ここで話し合われるのは、仕事のアイデアから育児に関する悩みまで、ワーキングマザーたちに関する身近な話題です。ワーキングマザーたちはランチケーションへの参加によってネットワークを形成し、様々な情報を共有して、育児をしながら働くことでの不安や悩みを解消できます。

ランチケーションは、博報堂の企業内大学「HAKUHODO UNIV.」の活動として2012年に発足した「リーママプロジェクト」内で提唱された概念です。「リーママ」とは「サラリーマンママ」の略称で、育児をしながら働く女性のこと。このプロジェクトは、ワーキングマザーのネットワークを拡大し、彼女らが活躍できる社会の実現を通して、日本全体を元気することを目的に掲げています。

このような情報交換の場が必要とされている背景には、少子高齢化の進展と女性の社会進出によって旧来の男性中心の職場環境が変容し、共働きや子育てをする社員が増加したという実情があります。

男性中心の旧来のサラリーマン社会では、退社後の「飲みにケーション」がコミュニケーションの基本となっていました。飲みにケーションを通して情報交換したり、親睦を深めていったりするなかで、新しい商品やサービスのアイデアが誕生していたのです。

しかし、ワーキングマザーは育児に時間を割く必要があるため、飲みにケーションには不参加になりがちです。このような状況では同僚たちと情報を共有できず孤立しかねません。育児をしながら働くことでの悩みや不安も誰にも相談できずにため込んだままとなってしまいます。
このようなワーキングマザーの状況を改善し、よりよい職場環境を構築して、社会を変えていこうとするひとつの方法が、ランチケーションなのです。

最近では「イクメン」と呼ばれる積極的に子育てを行う男性や、孫の面倒を見る「イクジイ」や「イクバア」のランチケーション参加も増えており、効率よく情報交換ができるランチケーションの価値は高まっているといえるでしょう。

ランチケーションで働くママの不安解消とエンゲージメント向上

働くママたちにとってランチケーションは、今まで相談できなかった子育てに関する悩みや子育てをしながらのキャリアプランの形成といったトピックを同じ立場の人々と相談できるいい機会です。一人で悩んでいたことも、情報を共有することで解決への糸口が見える可能性が高まります。また、飲みにケーションとは違って、ランチであれば開始時間も終了時間が決まっているので時間を合わせやすく、育児の時間を割くことがないので安心して参加できます。

また、ランチケーションは、社内外の働くママたちのコミュニケーションを促進し、育児に関する悩みのみならず、仕事に関するアイデアなどを共有する機会も与えます。企業にとっても働くママたちの生の声を収集できる貴重な機会。育児休業をしている人たちに対して、情報を提供して共有する活用法もあります。このような情報共有の機会を作ることによって、企業が子育てに協力する姿勢を示すことができれば、社員のエンゲージメントを高めることにも繋がります。

企業が率先して導入しているランチケーション

ランチ会を大切な情報収集・共有の機会ととらえて、積極的に開催している事例も増えています。

例えば、三菱UFJ銀行では、ランチケーションを導入し、ワーキングマザー同士の情報交換の場を提供。育児により時間的な制約がある中での働き方や中長期的なキャリアプランを所属部署を越えて話し合い、問題意識や知見を共有しています。

また、セブン&アイ・ホールディングスは「ママズ・コミュニティ」という場を提供しています。参加者は同社の事務局が用意したテーマについて話し合いながら、同社の総菜やお弁当を食べることができます。企業にとってもフィードバックを得られる貴重な情報収集の場となっています。
他にも多数の企業でランチタイムを利用した情報交換の場が導入されており、働くママたちへの積極的な支援が行われるようになっています。

ランチケーションの導入は働くママのみならず、企業の価値を高めていきます。しかし、実際のランチケーションは開催時間が決まっているため、昼食を食べながらブレインストーミングをしたり、テーマに基づいた発表をしたり忙しいという声も聞かれます。導入する際には、制度の設計も重要になりそうです。

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