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人材獲得に有効な「攻め」の採用手法とは

人材獲得に有効な「攻め」の採用手法とは

近年、少子高齢化による人手不足を背景に、採用手法の多様化と複線化が進んでいます。一般的な採用手法は、新卒の場合は採用ナビを用いた新卒一括採用、中途採用の場合は求人広告やエージェントを活用して応募者を待つ「待ち」の採用手法です。
しかし、最近は、企業が積極的にリクルーターを派遣し、企業側から採用候補者にアプローチを仕掛けるなどの「攻め」の採用と転換が進んでいます。
今回は、そんな転換への背景や、代表的な「攻め」の採用手法について解説します。

「攻め」の採用への転換の背景には売り手市場・労働者の価値観の変化がある

「攻め」の採用への転換の背景には、前述した少子高齢化により従来の「待ち」の採用では採用母集団の形成が進まず、満足できる人材の獲得が困難になった現状があります。
例えば、リクルートワークス研究所が調査を行った新卒市場の有効求人倍率は2019年春を対象のもので1.88倍[注1]。 中途市場でもバブル期を上回る水準となり、完全に売り手市場になっています。

労働者の価値観も変化しており、満足できない企業に就職した場合は、3年を待たずして転職する人々も増えてきました。このような状況で「待ち」の採用だけでは、即戦力人材の確保が難しいという厳しい現実があります。

加えて、グローバル化やIT化によって、経営環境がめまぐるしく変わりつつある現在、従来型の人事では人材面から競争力のある組織体制の構築が困難になっているという事情もあります。従来の手法で入社した人材だけでは社会の変化への対応には不十分であり、たくさんの採用チャネルを持っていたほうが、より幅広く優秀な人材を獲得でき、変化にも対応しやすくなる可能性が高くなります。
以上の理由により「待ち」から「攻めの」採用への転換が進んでいるのです。

[注1]リクルートワークス研究所:大卒求人倍率調査                 http://www.works-i.com/surveys/graduate.html

代表的な3つの「攻め」の採用手法

「攻め」の採用手法とは具体的にはどのような手法を指すのでしょうか。ここでは、以下の3つの代表的な採用手法ついて解説していきます。

*ダイレクトソーシング(ダイレクトリクルーティング)
*リファラル
*ヘッドハンティング

「ダイレクトソーシング」とは、採用エージェントを利用せずに、自社のリクルーターが欲しい人材に直接アプローチしたり、自社の用意したSNSやオウンドメディアなどを通して応募できる環境を整えたりして、採用を仕掛ける手法です。

日本でダイレクトソーシングが注目されたのは割と最近のことですが、ジョブ型採用が基本となっている欧米などでは、古くから取り入れられていました。別名、ダイレクトリクルーティングとも呼ばれています。

ダイレクトソーシングは、従来の採用エージェントの利用と比較すると割安であることが多く、アプローチする人材の数も限られているので、一人当たりの採用コストを抑えられます。

次に「リファラル」という手法ですが、これは社員の人脈を活かして人材をスカウトする方法です。社員が採用する人材を紹介・推薦するため、紹介者が採用後の相談役となるなど、定着率の高い人材を獲得できるメリットがあります。また、技術者コミュニティの知り合いなど、紹介者の横のつながりを活かした専門性の高い人材の採用も見込めます。日本では採用コストをかけられない中小ベンチャー企業を中心に利用されている手法です。

3つ目の手法は、「ヘッドハンティング」です。
ヘッドハンティングとは、クライアントが求める人材を「人脈」や「インターネットなどの公開情報」を駆使して、あるゆる業界から探し出しアプローチしていく採用手法です。
エージェントが全ビジネス人口の約5%の「転職顕在層」を対象としているのに対して、ヘッドハンティングでは、転職意思のない約95%の「転職潜在層」も対象となります。これにより、転職市場になかなか出てこない優秀な技術/専門職やミドル層の採用が可能となります。

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「攻め」の採用への転換

「攻め」の採用を実践するためには、これまで以上に人事担当者が能動的に動く必要があります。
企業を取り巻く環境が激変している現在、「攻め」の採用への転換は優秀な人材を確保し、企業価値を維持していく上でも喫緊の課題といえるでしょう。

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