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ヘッドハンティングを成功させる交渉術!求められる人材の3つの共通点とは?~前編~

ヘッドハンティングを成功させる交渉術!求められる人材の3つの共通点とは?~前編~

外部から人材をスカウトするヘッドハンティングは、人材採用手法の中でも最も難易度が高く、その移籍成功までには様々なドラマがあります。企業側が求める人材を見つけることはもちろん、スカウトされる人材側にもそれぞれ事情があるため、ヘッドハンターはさまざまな工夫を凝らしています。

そこで、ヘッドハンティングの実情を10数年のヘッドハンターとしての経験からQ&A形式でご紹介します。

Q.業界や業種にもよると思いますが、多くの企業からヘッドハンティングされる人材の”共通点”は?

求められる人材はまさに「十社十色」です。
仮に同じ製造業のメーカーを営むクライアントAとBがいたとして、同じように生産技術職の人材を求めていたとしても、両者の求める人物像が同一であることは絶対にありません。ですから一概には言えないのですが、ヘッドハンティングされやすい人材の共通点を挙げるとしたら、ポイントは3点だと思います。

まずは『積極性』。
弊社にヘッドハンティングの依頼をしてくださるクライアントは、たいてい経営課題や事業課題を抱えています。その課題を解消してくれるような人材を求めているわけですし、移籍すれば経営者の方針や事業の方向性はこれまでと一変します。それでも果敢に仕事に取り組んでいける積極性がないと勤まりません。

それに弊社は同業他社様とは異なり、求人サイトに登録して現在進行形でをお願いします。転職活動をしている方ではなく、今も普通にお仕事をされている方々をターゲットと してお声がけしています。その意味でも、受け身のままになっている方よりは、自ら動いていく方が好まれます。

2つ目のポイントは『柔軟性』です。
積極性は、ひとつ間違えれば「自己中心的な人間」ととられ、移籍先で周囲の社員から敬遠される原因になりかねません。ですから柔軟性、言い換えれば協調性が日本の企業では必要になると思います。

最後に重要なポイントは「覚悟」。先にも申し上げた、クライアントの抱える経営課題や事業課題に「腰を据えて取り組もう」という強い覚悟を持っていることが重要です。

こうした3つの要素があるかどうかや将来への不安要素、仕事に対する考え方を、ターゲットの方に10回以上お会いして見極めていくことが私たちの仕事です。

Q.実際にどのような方法でヘッドハンティングをするのか?その基本的な流れとは?

一般的にヘッドハンティングという場合、たいていの企業では転職サイトで公開されている登録者のメールアドレスに、スカウトメールを送ることを指します。一方で弊社は転職活動中の層ではなく、転職潜在層の中からターゲットの方を探し出しています。
全労働人口の中で、本格的に転職活動を行っているのは約5%~7%。それに対して、弊社の方法では約93%〜95%を占める転職潜在層がターゲットとなるため、よりリアルなヘッドハンティングと言えるのではないでしょうか。

Q.ヘッドハンティングを行う中で、苦労しているポイントや難しい点は?

転職潜在層の中から、クライアントが求める人材を探し出すのは容易なことではありません。また、「募集広告を出したり、人材紹介会社に頼んだりしてもなかなか採用に至れない人材」をヘッドハンティングしたいというご依頼が多いので、難易度は非常に高いです。

具体的に申しますと、ターゲットの比率としては技術職や専門職で、かつ平均42歳前後のいわゆるミドルクラスが圧倒的です。クライアントの4割はメーカーで、その次に多いのが建設業やIT系企業です。
大企業の人員構成から見ても、一番人数や資料が少ない層ですね。エグゼクティブ層であれば雑誌やホームページに顔・氏名が掲載されていますし、逆に若い方は採用ページの「先輩紹介」などで露出があるので探しやすいのですが、それに比べるとミドルクラスの情報はなかなか表に出てきません。

Q.どのような事業戦略を意識して、理想的な人材を探し出しているのか?

クライアントの要望に合う人材をピンポイントで見つけるため、ありとあらゆる公開情報を収集しています。
たとえば、インターネットでキーワードを入れて検索したり、国会図書館に行ったり、特許に関する情報を調べたり…。会社の設立以来16年間培ってきた人脈を駆使することもあれば、クライアントから業界についてのヒントを色々と頂くこともあります。

ターゲットの方の氏名が判明して「この人材に会いたい」となったら、会社の連絡先を調べて、リサーチャー部隊がターゲットの方にコンタクトを取ります。もちろん、突然見知らぬヘッドハンティング会社から連絡が来るわけですから驚かれますが、反応してくださる方もいらっしゃいますから、ホテルのラウンジなどでお会いしてお話をするわけです。弊社では初めてお会いしてから移籍を承諾していただくまでに、半年ほど時間をかけますね。

案件ごとにヘッドハンターとリサーチャー部隊、そしてアシスタントのプロジェクトチームを作っており、常時複数の案件が進行しています。仕事のクオリティを落とさず効率的に回していけるよう、「ヘッドハンター一人あたりの抱える案件が10社を超えないようにする」というのが弊社の方針です。

Q.ヘッドハンティング全体の流れの中で、特に重視している工程は?

ターゲットの交渉に入ってからは、クライアントとの連携が重要になりますね。

「ヘッドハンターだけで口説き落とすわけではない」という点が、エグゼクティブ層を対象にするヘッドハンティングと異なる点です。ターゲットの方にヒアリングした後、レポートをクライアントにお渡しし、二人三脚で情報を共有しながら交渉します。
クライアントと一緒にいると、やはりターゲットの方も「失礼がないように」と極めて慎重にお話をされます。そのため、私たちヘッドハンターと二人になった時、ターゲットの方から「さっきはこう言わざるを得なかったけれど、実は事情があって…」というような本音を引き出せるかどうかが鍵となります。ターゲットの方にも私たちを信頼していただけるよう、交渉していく必要があるのです。

無論、ターゲットの方の本音の中にもクライアントに伝えてよいものと悪いものがありますから、その点もきちんと見極めないといけません。手間暇がかかりますが、そこがヘッドハンターの腕の見せどころです。

Q.ヘッドハンティングの成功事例は?

少し変わった例でいえば、ある経営者様から「A社のBさんに2~3回引き抜きの声をかけたが、断られた。プロフェッショナルバンクさんで何とかできないか」とご依頼いただいたことがあります。

それでBさんにお会いしたのですが、Bさんは私よりも年上で、かつ凄腕の営業部長。やはり貫禄があり、私も負けないような対峙力が必要だと思いながら交渉しました。
通常、交渉の際にはクライアントと戦略を練り、タイミングや人選を見ながらターゲットと引き合わせるのですが、Bさんの案件ではずっとクライアントとは引き合わせず、何回目かの交渉で社長さんの名前を出しました。Bさんは「えーっ、あそこの社長さんですか!社長さんのことは心から認めておりますが、自分の今置かれている立場からすると、転職はできません」とおっしゃって…。

「わざわざ弊社に依頼するほど、Bさんを求めておられるんですよ」と申し上げたものの、一度は完全に断られました。ですが私も根気よく、その後もBさんと何度かお話をさせていただき、「これが最後」とクライアントの社長さんに引き合わせた際、ついにその場で入社のご承諾をいただきました。

Q.ヘッドハンティングに対して不安や懸念を抱いている方々の不安・懸念を解消するための交渉術や戦略は?

何より、ターゲットの方にこちらから声を掛けているのですから、相手のお話を右から左に流すような態度は絶対にダメだと思っています。ともすれば、その方の人生を変えてしまいかねないわけですから。

それを肝に命じた上で、ターゲットの方が働いている業界についてある程度把握しておくこと。ヘッドハンターが業界のことを知っていれば、ターゲットの方も「あれ、この人と少しは喋れるのかな」と警戒を解いてくれます。
自分自身の仕事の歩みを話して開示するというのも、ターゲットの方にお話をしてもらうためのひとつの手です。

そうやって不安を解消しながら、ターゲットの方にもクライアントにも本当に納得して移籍していただけるよう、コツコツとヒアリングを進めています。ターゲットの方とクライアントを引き合わせる際にも、面接ではなく「お互いのことを知る場」として来ていただいているのです。
特に条件だけを提示して、納得感があるのかないのか分からない状態で人を移籍させるような仕事は、決してやってはいけないと思っていますね。

その取り組みの結果として、移籍した後に退職する確率、つまりミスマッチ率を抑えることに成功しています。これは通常の求人サイトや人材紹介と圧倒的に違う点であり、弊社のヘッドハンティングならではのメリットですね。

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