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女性管理職比率30%の壁を超える!女性管理職を増やす取り組みとメリット、採用方法を解説

女性管理職比率30%の壁を超える!女性管理職を増やす取り組みとメリット、採用方法を解説

政府が掲げる「2020年までに指導的地位に占める女性を30%」の目標は、「2020年代の早期達成」へと時間軸が延長されながらも強化方針が継続されています。それに伴い、上場企業や大手企業を中心とした「女性管理職」の人材争奪は激しさを増していると感じます。

もともと、女性社員比率が高い業種の焦燥感はさほど無さそうですが、40代以降の女性管理職候補が社内で希少な会社の場合、外部登用をせざるを得ないため、試行錯誤や悪戦苦闘をしながら採用活動をされているようです。

当社でも2020年から女性役員や女性管理職の採用支援のプロジェクトを立ち上げ、多くの企業の相談に応じてきましたが、女性比率の低い製造業や建設業の人事責任者からは、経営者から女性管理職の比率をあげるよう指示される中、「自社の女性社員で適齢な人材が見当たらない…」とか、「男性管理職ばかりの自社で女性役職者を採用できる気がしない…」という嘆きをよく聞いて来ました。

そこで、本記事では政府の掲げる女性管理職比率30%という目標の重要性を説いたうえで、優秀な女性管理職を獲得する採用方法を紹介します。

日本の女性管理職比率の現状

帝国データバンクの公表によると、2022年の日本の女性管理職割合は9.4%であり、過去最高の数値を記録するも、未だに低水準が続いている状況です。諸外国の女性管理職比率は、アメリカが39.2%、イギリスが36.8%、フランスが35.5%という結果であり、日本企業が多様性社会の実現から大きく遅れを取っていることが分かります。

<参照>国土交通白書2021:女性管理職・役員比率の国際比較

また、政府の掲げる目標である女性管理職比率30%を既に超えている企業は9.5%という結果になりました。業界別でみると、『小売』が20.8%、『農・林・水産』が19.5%、『不動産』が15.1%で上位となり、『建設』が5.3%、『運輸・倉庫』が5.9%、『金融』が6.1%と低水準で推移している状況です。

<参照>帝国データバンク:女性登用に対する企業の意識調査(2022年)

女性管理職比率30%という高すぎるハードル

そのような日本の現状ですが、先述のように政府は2030年までの可能な限り早期に「指導的地位に占める女性の割合を30%程度」という目標を掲げています。元々、2003年の小泉政権時に男女共同参画推進本部で決定した「2020年30%」という目標は現実的に不可能と判断し、30%という目標数値は落とさずに、年数を先延ばしにして目標達成を各企業に指示している状況です。

2022年の時点で、女性管理職比率が9.4%の日本にとって、30%という目標はあまりにもハードルが高すぎます。各企業が本気で多様性社会の実現に向けてギアを入れ直さないと達成できる目標ではありません。

世界各国に目を向けると、既にダイバーシティ・マネジメントへの意識は高く、多様な人材が健全な競争関係で組織が活性化する風潮があります。日本もこの風潮が追い風となり、女性管理職の採用を積極化している企業が増えてきていますが、乗り越えなければならない壁があるのです。まずは、日本企業で女性管理職が少ない理由を見ていきましょう。

日本に女性管理職が少ない理由

①昔ながらの企業体質

②ロールモデルがいない

③何から取り組むべきか分からない

①昔ながらの企業体質

これまで、企業の制度が女性活躍の場を阻害してきたと言っても過言ではありません。女性は産休・育休といったライフイベントを機に退職してしまうケースが多くありました。

実際に年代別女性比率を見ると、40代の女性比率は28.2%、同じく50代は15.9%しかいない状況となっています(東洋経済「CSR企業総覧」参照 )。年功序列の人事制度が根強い日本では、40歳で課長になり、順調にいけば50歳前半で部長へ昇格という大手企業の出世コースが目に浮かびますが、それでは既に管理職適齢期の女性候補はわずかしか存在していないことになります。

「女性管理職比率30%」という目標値は、管理職候補の年代層に該当する実際の女性社員の比率以上の数字が求められることになり、実現するのが厳しい企業が大半になることが分かります。

②ロールモデルがいない

このように、管理職適齢期の女性が少ないことで、女性が管理職になるという前例が少ないのが現実です。その結果、女性は管理職としての理想像をイメージすることができないため、企業が急に女性管理職を増やそうと思ったところで、「管理職になりたくない」「私にはできない」と思っている女性が多くいるのでしょう。

③何から取り組むべきか分からない

政府から女性管理職比率を増やすようにと言われても、何をすれば女性管理職を増やせるのか、やることが多すぎて何から手を付ければ良いか分からない、このような悩みを抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。

女性を多く採用すれば達成できるわけでもないし、今いる社員を育てるには時間が必要。そのような中で、女性管理職を増やす取り組みに力を入れるには、経営者が女性管理職を増やす理由を明確に掲げる必要があると考えます。

何をすれば女性管理職を増やせるのか、何から手を付けるべきか、この解決策については本記事で後述するとしましょう。まずは、女性管理職はなぜ必要なのか、女性管理職を登用することで組織がどう変わるのかという、多様性社会の魅力に気付くことで、それぞれの会社が乗り越えるべき課題が見えてくるのです。

女性管理職を登用するメリット

★新たな視点からのイノベーション創出

★社員満足度の向上

★企業ブランディングの確立

★新たな視点からのイノベーション創出

女性管理職の特徴のひとつに、「感情に流されない冷静な判断力」があります。周りの意見を尊重しながらもその場の感情だけで物事の決断をしない。この冷静かつ多様な視点が、今までは気付くことのできなかった発見に繋がり、新たな価値を生み出すことができるのです。

このように、多様な視点から意思決定の議論を進めた方が、組織全体で確かな納得感を得て事業を推進することができるようになります。

★社員満足度の向上

厚生労働省は、女性活躍推進法に基づく評価項目に、「男女ともに継続就業しやすい配慮」という文言があります。女性だけに焦点を当てた制度の構築を指示している訳ではなく、全社員が働きやすい環境作りを促しています。例えば、全社員が育休を取得できる制度や、子育てをサポートする福利厚生を全社員に与えるなど、全社員が働きやすい環境を整備することが求められます。

つまり、女性が働きやすい職場環境を目指すことで、ゆくゆくは全社員の満足度向上に繋がるというわけです。逆に言えば、女性の活躍推進を図って、その他の社員の働きやすさを阻害している恐れがある場合は、女性活躍推進法の評価項目に則った制度とは言えないので注意が必要です。

★企業ブランディングの確立

企業ブランディングの確立は、女性管理職の登用から得られる最も大きなメリットと言えるでしょう。具体的には、ESGのダイバーシティへの取り組みに対する評価や、SDGsのジェンダー平等の実現に大きく寄与すると考えられます。

昨今では、機関投資家の投資判断は、財務情報と同様にESG情報も重要な指標とされています。ESGとは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、企業統治(G: Governance)の3つの観点を指し、企業が長期的に成長するための重要指標として世界中で注目されています。

この3つの観点の中で、日本が優先的に乗り越えるべき課題が、“社会”における「ダイバーシティへの取り組み」というわけです。先述したとおり、諸外国から遅れを取っている日本においては、ESG投資で最も重要視される部分であり、企業のブランド力に反映されています。今後の人口減少に伴い、女性管理職の登用と女性リーダーの育成に積極的に取り組むことが、長期的な企業成長を後押しすると言えるでしょう。

また、このような中長期目線での成長指標は、“採用”においても効果を発揮します。エン・ジャパンによる「SDGs意識調査」によると、実に全体の65%の層が転職先選びで企業のSDGsへの姿勢や取り組みを重視しているとの調査結果となりました。

SDGsとは、「持続可能な開発目標」のことで、国連で採択された17の国際目標を指しています。その中の1つに「ジェンダー平等を実現しよう」と掲げており、企業の女性管理職の登用に対する取り組みも含まれています。

さらに、SDGsへの姿勢や取り組みを重視すると回答した理由には、「働く環境に影響がありそう」や「企業の将来性を判断できる」とあり、転職活動者の企業選びのポイントとして、中長期的な企業成長が決め手になることが多くありそうです。そのため、女性管理職の登用を促進することは、企業ブランディングの中でも大きなウェイトを占める重要な取り組みになると言えるでしょう。

<参照>エン・ジャパン:3,000人に聞く「SDGs」意識調査

中途採用において、女性管理職を増やす取り組みから得られるESG指標は重要であるとお伝えしました。また、女性管理職のロールモデルが少ない中、社内の人材流動や育成だけで女性管理職比率30%のハードルを越えようとするのは困難です。

もちろん女性リーダーの育成は必ず実践すべきですが、先述したとおり、ロールモデルがいない中では女性が管理職になりたがらないという傾向があります。女性に管理職を任せるには、女性の「なりたい」という思いと、企業の「なってほしい」という思いがマッチしないと、中長期的な視点からの成功には繋がらないのです。

そこで、まずは女性管理職のロールモデルを確立する必要があります。女性社員にとって、キャリア形成の見本になる憧れの存在。この女性の理想像は、現時点で管理職として活躍する女性を外部から招聘する方が、社内で育成するよりも遥かにインパクトを与えます。女性管理職の方も女性リーダーの育成に力を入れていない企業に転職したいとは思いませんから、採用において企業のブランディングが効果を発揮するのです。

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女性管理職採用の鍵を握る3つの対策

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当社のような人材紹介エージェントへの女性管理職の紹介依頼も年々増える傾向にありますが、エン・ジャパンが人材紹介エージェントに対して行った調査(「女性管理職採用の実態」について)によると、女性管理職の採用が増えていると答えた割合は40%に上り、また、当社の場合でも2020年以降、月を追うごとに女性管理職・女性役員の採用ニーズに応じる数が増加傾向にあります。

しかし、先述したように採用候補者の絶対数がすべての企業の需要を満たすには圧倒的に少なく、さらにその中で転職市場に出てくる人材はより限られていることにより、獲得競争が激化しているというのが現実です。

また、特に上場企業や大手企業が女性管理職の採用強化に力を入れている傾向が高く、その場合、採用後のリスクを軽減するために、同じ上場や大手の同格企業の候補者からまずは採用したいというニーズが高いというのもあります。そうなると、ますます候補者数は減少するわけで、限りなくレッドオーシャン化された状況となってしまいます。

そんなレッドオーシャンとなっている採用市場にどう立ち向かうのか?
これには、大きく3つの対策があると考えます。本章にて、詳しく解説していきます。

★転職を考える前に会う

★目的と本質に沿った条件設定

★働きやすい環境の提供

★転職を考える前に会う

採用において、1番最初のフェーズで且つ、最も重要なことは“出会う”ことです。転職市場がレッドオーシャンで女性管理職の候補者との出会いが少ない今、採用に成功している会社は何をしているか?ずばり、“逆張り”を実施しています。

逆張りとは転職活動者ではなく、非転職活動者、つまり採用したい人材が転職活動を始めるより前に声をかけて、面接ではなく、面談を実施して口説いていく採用手法です。

転職市場がレッドオーシャンなら非転職市場の人材で勝負しようというわけです。リクルートワークス研究所の調べによると、転職市場に現れる転職顕在層はたったの6%にとどまります。

それ以外の94%は転職潜在層となるのですが、他社がまだ接点を持っていない人材にアプローチしてご縁があれば運よく採用、ダメであってもいずれ転職を思い立った時にはまた会おうね、ということで採用の上手い会社は候補者の人脈づくりを行っているのです。

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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2020 」

人事の方々がどのようにして、この転職潜在層へアプローチしているかというと、代表的なチャネルは下記の4つが考えられます。

【1】展示会やカンファレンスに出向いてコンタクトする
【2】社員のリファラルで知人を紹介してもらう
【3】LinkedInやFacebookなどのSNSでコンタクトする
【4】ダイレクトリクルーティングサイトの登録者をスカウトする

これらのアプローチ活動は自社内で人員と工数をかければ可能となり、現に外資系の企業はリクルーティング専門部隊がありますので、これらの活動を積極的に行っています。日系企業もSNSやダイレクトリクルーティングサイトの普及により、転職潜在層へのアプローチが容易になってきました。

ただ、転職潜在層の興味をひき採用を実現するには、時間やテクニックが必要になります。加えて、SNSやダイレクトリクルーティングサイトに登録する人材数もまた、労働人口からすると数%に過ぎず、残された潜在層へはアプローチ出来ないことになります。その層まで候補対象を広げる場合は、ヘッドハンティングサービスの活用が有効になります。
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★目的と本質に沿った条件設定

次に、採用を成功させるためのポイントは“現実感”です。採用が難航する企業にありがちな、求人要件が理想の人材像になり過ぎていていないか?という点を十分に検討し母集団を形成することが重要です。

先述のように女性管理職の候補者は絶対数が少なく、その中で「同業の大手企業や上場企業から採用したい」というスポットの要件にしてしまうと、その案件の難易度は非常に高くなってしまいます。

本当に大手である必要があるのか?同業である必要があるのか?この採用の目的、本質は何なのか?などの観点から要件の調整を行い、できるだけ母集団を広げることが重要となります。

他にも採用ポストを部長職(候補)にすることで候補対象を部長職未満へ広げ、一定期間後に昇格する採用を試みることも有効です。これら理想の人材から、何かしらの条件緩和が出来ないかを十分に検討し、最終的に人材像を描いてから採用に挑むとよいでしょう。

候補者目線から見ると、一方的に会社の理想を突き付けられるよりも、企業の実態や期待役割をざっくばらんに話してもらった方が入社後のイメージが湧きやすいのです。結果として、興味から現実感が加わり、比較検討をする上での重要な材料を与えることになるのです。

★働きやすい環境の提供

最後に、採用における最終局面で且つ、集大成ともいえる“口説き”のフェーズ。女性管理職の採用に難航する企業によくあるのが、女性にとって企業の魅力が乏しいということです。

管理職として採用される女性にとって気になるのは、女性が管理職として活躍している会社なのか?ということでしょう。前例があれば、自身も安心して働けるわけですから、日本IBM、アクセンチュア、パソナグループ、資生堂といった女性の管理職登用で評価の高い(日経WOMAN:女性活用度調査より)企業からのオファーと女性管理職が少ない企業とでは女性管理職に対する採用力は大きく違ってくることになります。

ただ、前例が少ないからと言って採用が不可能なわけではありません。女性管理職を登用して活躍してもらいたい、採用された側からするとリスクが少ないと思う企業文化や制度を準備すれば戦う土壌は作ることができると思います。

女性が働きやすい制度・環境を整える

会社の制度や環境が現代女性のワークライフバランスに適応できるように整えることが大切となります。女性が活躍している職場として評価される企業は、多様な働き方に配慮し、多様な取り組みを導入しています。

制度として整備したいのは、育児・介護と両立しながら働く社員に向けた休暇制度や時短制度などの時の整備と、これらの社員への人事評価制度。また、保育支援手当の支給制度や事業内保育所の開設や、テレワーク推進といった場の整備。それから、女性活躍の専任組織の有無や女性社員向けの育成プログラム施行なども働く側から評価されるポイントになります。

女性の役職登用の実績を評価し、公表する

少ない人数でも女性の役職登用の実績があれば、活躍できる可能性が高くなりますから、現任で活躍する女性管理職のポジションや評価、今後の管理職・役員比率を高める目標値などを具体的に公表することで安心感を与えることが可能です。

また、その取り組みが経営トップ自ら女性活躍を打ち出し、推進していく意向がある状態であることを明確にしたほうがより効果があります。これから転職を目指す女性は、女性管理職比率や女性役員登用の有無といった数値実績や経営者の考えを確認すると、会社の実態を見極めやすくなります。少なくともこれらの体制を準備したうえで採用活動は行う必要があると考えています。

採用力のある企業は、口説くための「武器」をたくさん備えています。働きやすい環境を整えることは会社の魅力そのものになり、最終局面での強さに結び付くのです。

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転職潜在層へアプローチするヘッドハンティング採用

ヘッドハンティングでは、転職潜在層へのアプローチに有効とお伝えしました。世の中には転職に興味はあるが今のところは活動をしていない人材が数多く存在しています。理由は下記のように様々です。

■忙しくて転職活動をする時間がない
■積極的に活動するほどではないが、条件次第では転職したい
■現在の会社に不満はあるが、安定を考えて現状維持

ヘッドハンティング会社はこれらを転職潜在層ととらえて積極的にスカウトをします。また、転職を考えていない人材へもオファー(機会提供)は行っていきます。つまり、現在、転職活動をおこなっていない約95%へもアプローチすることで企業が本当に求める人材を可能な限り発掘するのです。

それでは、実際にヘッドハンターたちは、どのようなルートを通じて優秀な人材を探し出しているのでしょうか。先述した人事担当者でも可能なリソース以外では、以下の6つを主な情報源としてサーチしています。

【1】コンサルタント・リサーチャーが持つ独自のネットワーク
【2】インターネット上などの公開情報
【3】業界紙・専門誌などからの情報
【4】特許情報
【5】各社がリリースしている人事情報
【6】当該業界内や業界に詳しい人物からの評判
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上記に加え独自システム開発による効率的な人物サーチを行います。

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ヘッドハンターのターゲットの見つけ方!情報源やルートを紹介


女性管理職の採用で重要視される要件として、人間性の相性を上げられる企業は多いものです。とりわけ女性幹部が外部から登用された際には「お手並み拝見」となりかねませんから、その人材が自社に馴染むか、部下となる社員にリスペクトされるか?などの相性は非常に大切となってきます。

当社のヘッドハンティングの場合、コンタクトが取れた人材と企業とを引き合わせる前に、人物のタイプや志向性などからマッチ度を判断するようにしています。ここでは、大手不動産会社で複数名の女性管理職の採用に成功した事例をご紹介します。

女性管理職採用の成功事例

【クライアントの企業情報】
■業種:不動産
■従業員数:1000名以上
■抱える課題:不動産業界に自ら興味を持ってくれる女性が少ない

【依頼の経緯】
クライアントの求めるスペックに合致する女性管理職人材について、求人サイトや人材紹介サービス等の転職市場を通しての採用は一巡したと思える状況の中、同社の採用目標をクリアするべく転職市場外へアプローチしたいという依頼背景。

【実際のアプローチ施策】
クライアント企業の業務の進め方の特徴と親和性の高い企業を優先ターゲットとしてアプローチしつつ、一方でいくつかの基準項目をクリアしていることを元に、企業名では限定せずに個人のマッチ度ベースで幅広いターゲットに対するアプローチも実施した。つまり、業界や企業の格を取り払う条件緩和を行い、個人の能力やマッチ度でも採用可とした。

【採用者】
5名以上の女性管理職を採用
┗ 例) 医薬品メーカー出身/プロダクトマネージャー/1100万円→1400万円

【成功のポイント】
★現職と全く異なる業界・業務のターゲットと対峙する際には、移籍先案件との共通点や親和性を見出し、本人に認識いただき、これまでの経験を活かして業務を進めていく具体的なイメージをお持ちいただけることに注力した。

★当社のサーチ活動において、経験やスキルのハード面だけでなく、人物タイプ、志向などのソフト面も合致していることを重視するクライアントであったため、ヘッドハンターとの面談の母数の確保に重きを置き、ソフト面でのマッチ度が高い人材のみをクライアントと引き合わせるようにした。

今回の例では、転職潜在層の女性管理職候補をターゲットとし、同業、同格企業をベストとしながらも、人物像のソフト面や現職の経験の親和性などをヘッドハンティング会社が見極めて、多数の候補者をクライアントにつなぐことで目標を達成したケースでした。

女性管理職に向いている人

ヘッドハンティングでは、経験やスキルに加えて、双方の相性の良さも重要視しているとお伝えしました。果たして、女性管理職に向いている人はどのような人材なのでしょうか。ここからは、活躍する女性管理職に方に多い特徴を紹介し、採用すべき女性管理職の人物像を明確にしていきましょう。

★1:聞き上手な人

★2:コミュニケーションスキルの高い人

★3:冷静な判断ができる人

★1:聞き上手な人

活躍する女性管理職の方は、部下との何気ない会話においても、聞き手に回ることを得意としています。否定的な会話を繰り返すよりも、共感した上で改善点について建設的な議論を展開できるため、部下も委縮することなく話すことができ、隠し事のない信頼関係が築けるのです。

★2:コミュニケーションスキルの高い人

優れた女性管理職の方のコミュニケーションは、プロセスを重視します。結論だけを見て指摘するのではなく、その結果に至るプロセスを重視したコミュニケーションを取るため、成功の秘訣と失敗の原因を深掘りすることができます。それにより、成果を出し続ける再現性の高い組織を創り上げるのです。

★3:冷静な判断ができる人

その場の雰囲気で物事の決断をしない、慕われる女性管理職の方は冷静な判断力を備えています。まず、物事の決断において、自分の主張だけではなく周りの意見も尊重して議論を進められる点が魅力です。組織全体の意見を取りまとめて、全員が納得いく結論を導き出すためには、トップの冷静な判断と責任ある決断が求められるのです。

2030年の日本は…

2030年、日本の女性管理職比率はどのような数値になっているでしょうか。数字は2030年になってみないと分かりませんが、少なくとも、女性管理職の採用をはじめとした多様性組織の実現に向けて今から取り組んでいる企業が、イノベーションを起こしていることでしょう。

女性社員の比率が低い企業は特に、外部からの採用に頼らざるを得ない中、転職市場から採用するか、それとも人事担当者が自ら転職潜在層へ果敢にコンタクトするのか?または、ヘッドハンティング会社へ依頼して獲得するのか、自社のリソースや女性管理職を受け入れる体制に応じて使い分けを検討することになります。

また、女性管理職の登用で重要なのは、転職市場から採用しても、ヘッドハンティングをしたとしても、表層的な数合わせではなく、「わが社は女性管理職をなぜ必要としているのか」という本質的な目的を明確にすることです。

それに合わせた経営方針や社内制度を構築していかなければ、せっかく獲得できた優秀な女性管理職を活かすことはできません。採用→定着→さらなる採用→定着を繰り返していくうちに、女性の活躍する(しやすい)企業として進化していくのだと思います。

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