これでうまくいく!女性管理職採用。2030の高いハードルを乗り越える3つの対策

これでうまくいく!女性管理職採用。2030の高いハードルを乗り越える3つの対策

政府が掲げる「2020年までに指導的地位に占める女性を30%」の目標、いわゆる2030は「2020年代の早期達成」へと時間軸が延長されながらも強化方針が継続されています。それに伴う上場企業や大手企業を中心とした「女性管理職」の人材争奪は激しさを増していると感じます。もともと、女性社員比率が高い業種や企業の焦燥感はさほど無さそうですが、40代以降の女性管理職候補が社内で希少な会社の場合、外部登用をせざるを得ないため、試行錯誤や悪戦苦闘をしながら採用活動をされているようです。

当社でも2020年から女性役員や他管理職の採用支援のプロジェクトを立ち上げ、多くの企業の相談に応じてきましたが、女性比率の低い製造業や建設業の人事責任者からは、経営者から女性管理職の比率をあげるよう指示される中、「自社の女性社員で適齢な人材が見当たらない…」とか、「男性管理職ばかりの自社で女性役職者を採用できる気がしない…」という嘆きをよく聞いて来ました。

30%の比率という高すぎるハードル

製造、建設業界の企業だけでなく、日本全体を見渡しても2020年の女性管理職比率の平均は8.1%と政府目標には程遠い結果となっています。そもそも多くの日本企業は長期就業を前提にした雇用形態のため、女性比率を高めるためには新卒時の採用から女性を増やす必要があり、これを避けていると女性管理職30%を自社登用で達成するのは延々と難しくなりそうです。

また、これまで日本における女性は出産、育児で退職するケースが多く存在していましたから、実際に年代別女性比率を見ると、40代の女性比率は28.2%。同じく50代は15.9%しかいない状況となっています(東洋経済「CSR企業総覧」参照)。年功序列の人事制度が根強い日本では、40歳で課長になり、順調にいけば50歳前半で部長へ昇格という大手企業の出世コースが目に浮かびますが、それでは既に適齢の女性候補はわずかしか存在していないことになります。

「女性管理職比率30%」という目標値は、管理職候補の年代層に該当する実際の女性社員の比率以上の数字が求められることになり、実現するのが厳しい企業が大半になることが分かります。また、女性管理職だけ年齢を若年化するとわけにもいかず、それなら自社登用はあきらめて外部から採用しよう!となるわけですが、これはこれで難航する実情があるのです。

女性管理職は転職市場のレッドオ―シャン

2030の達成に向けた採用だけでなく、ここ数年では「ダイバーシティ・マネジメント」による多様な人材の採用とそれに伴う競争や活性化を促す風潮が追い風となっていて、組織のリーダーとなる女性の中途採用を積極化している企業が増えています。

当社のような人材紹介エージェントへの女性管理職の紹介依頼も年々増える傾向にありますが、エン・ジャパンが人材紹介エージェントに対して行った調査(「女性管理職採用の実態」について)によると、女性管理職の採用が増えていると答えた割合は40%に上り、また、当社の場合でも2020年以降、月を追うごとに女性役職者の採用ニーズに応じる数が増加傾向にあります。

このように女性管理職の採用ニーズが増加する背景は、先述したように採用候補者の絶対数がすべての企業の需要を満たすには圧倒的に少なく、さらにその中で転職市場に出てくる人材はより限られていることにより、獲得競争が激化しているというものがあります。また、特に上場企業や大手企業が女性管理職の採用強化に力を入れている傾向が高く、その場合、採用後のリスクを軽減するために、同じ上場や大手の同格企業の候補者からまずは採用したいというニーズが高いというのもあります。そうなると、ますます候補者数は減少するわけで、限りなくレッドオーシャン化された状況となってしまいます。

採用の勝敗を決める3つの対策


それでは、レッドオーシャンとなっている女性管理職の採用市場にどう立ち向かうのか?という話をしたいのですが、大きく3つの対策があると思っており、まずは、本当にその要件は必要なのか?を見直し【条件緩和】を行うこと。次にレッドオーシャンでは戦わず【転職を考える前に会う】人材を候補者にすること、3つ目が、候補者にとってリスクがない企業である体制を最低限整えられるかどうか?言い換えると【女性からみたリスク】のない企業であること、以上の3つで勝負をするとよいと考えています。

・条件緩和をする・・・目的と本質に合った要件に調整する
・転職を考える前に会う・・・転職潜在層を狙い、レッドオーシャンを回避する
・女性からみたリスクを回避・・・女性候補者にとって働きやすい体制を整える

条件緩和をする:目的と本質に合った要件に調整する

まず一つ目ですが、それは採用が難航する企業にありがちな、求人要件が理想の人材像になり過ぎていていないか?という点を十分に検討し母集団の間口を広げることにあります。先述のように女性管理職の候補者は絶対数が少なく、その中で「同業の大手企業や上場企業から採用したい」というスポットの要件にしてしまうと、その案件の難易度は非常に高くなってしまいます。

本当に大手である必要があるのか?同業である必要があるのか?この採用の目的、本質は何なのか?などの観点から要件の調整を行い、できるだけ母集団を広げることが重要となってきます。他にも採用ポストを部長職(候補)にすることで候補対象を部長職未満へ広げ、一定期間後に昇格する採用を試みることも有効です。これら理想の人材からの条件緩和が出来ないかを十分に検討し、最終的に人材像を描いてから採用に挑むとよいでしょう。

転職を考える前に会う:転職潜在層を狙い、レッドオーシャンを回避する

転職市場に出てくる女性管理職の候補者が超売り手時代の今、採用に成功している会社は何をしているか?ずばり、逆張りを実施しています。逆張りとは転職活動者ではなく、非転職活動者、つまり採用したい人材がまだ転職活動を始めるより前に声をかけて、面接ではなく、面談を行って口説いて採用しているのです。

転職市場がレッドオーシャンなら非転職市場の人材で勝負しようというわけです。リクルートワークス研究所の調べによると、転職市場に現れる転職顕在層は6%にとどまります。それ以外の94%は転職潜在層となるのですが、他社がまだ接点を持っていない人材にアプローチしてご縁があれば運よく採用、ダメであってもいずれ転職を思い立った時にはまた会おうね、ということで採用の上手い会社は候補者の人脈づくりを行っているのです。

出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2020 」

人事の方々がどのようにして、この転職潜在層へアプローチしているかというと、代表的なチャネルは下記が考えられます。
1.展示会やカンファレンスに出向いてコンタクトする
2.社員のリファーラルで知人を紹介してもらう
3.LinkedInやFacebookなどのSNSでコンタクトする
4.ダイレクトリクルーティングサイトの登録者をスカウトする

これらのアプローチ活動は自社内で人員と工数をかければ可能となり、外資系の企業はリクルーティング専門部隊がありますので、これらの活動を積極的に行っていますし、日系企業もSNSやダイレクトリクルーティングサイトの普及で転職潜在層へのアプローチが容易になってきました。ただ、転職潜在層の興味をひき採用を実現するには、時間やテクニックが必要になりますし、SNSやダイレクトリクルーティングサイトに登録する人材数もまた、労働人口からすると数%に過ぎず、残された潜在層へはアプローチ出来ないことになります。その層まで候補対象を広げる場合は、ヘッドハンティングサービスの利用が有効になります。

より広い転職潜在層にアプローチするヘッドハンティング

世の中には転職に興味はあるが今のところは活動をしていない人材が数多く存在しています。理由は下記のように様々です。

・忙しくて転職活動をする時間がない
・積極的に活動するほどではないが、条件次第では転職したい
・現在の会社に不満はあるが、安定を考えて現状維持 など

ヘッドハンティング会社はこれらを転職潜在層ととらえて積極的にスカウトをします。また、転職を考えていない人材へもオファー(機会提供)は行っていきます。つまり、現在、転職活動をおこなっていない約95%へもアプローチすることで企業が本当に求める人材を可能な限り発掘するのです。

・ヘッドハンティング会社が用いる6つの主な情報源

実際にヘッドハンターたちは、どのようなルートを通じて優秀な人材を探し出しているのでしょうか?先ほどの人事担当者でも可能なリソース以外では、主なところは以下のとおりです。

1.コンサルタント・リサーチャーが持つ独自のネットワーク
2.インターネット上などの公開情報
3. 業界紙・専門誌などからの情報
4. 特許情報
5. 各社がリリースしている人事情報
6. 当該業界内や業界に詳しい人物からの評判

上記に加え独自システム開発による効率的な人物サーチを行います。

経験・スキルだけじゃなく人間性の相性も重要

女性管理職の採用で重要視される要件として、人間性の相性を上げられる企業は多いものです。とりわけ女性幹部が外部から登用された際には「お手並み拝見」となりかねませんから、その人材が自社に馴染むか、部下となる社員にリスペクトされるか?などの相性は非常に大切となってきます。

当社のヘッドハンティングの場合、コンタクトが取れた人材と企業とを引き合わせる前に、人物のタイプや志向性などからマッチ度を判断するようにしています。ここでは、大手不動産会社で複数名の女性管理職の採用に成功した事例をご紹介します。

■クライアントの企業情報
業種:不動産
従業員数:1000名以上
抱える課題:不動産業界に自ら興味を持ってくれる女性が少ない

■依頼の経緯
クライアントの求めるスペックに合致する女性管理職人材について、求人サイトや人材紹介サービス等の転職市場を通しての採用は一巡したと思える状況の中、同社の採用目標をクリアするべく転職市場外へアプローチしたいとお考えでした。

■実際のアプローチ 施策内容
クライアント企業の業務の進め方の特徴と親和性の高い企業を優先ターゲットとしてアプローチしつつ、一方でいくつかの基準項目をクリアしていることを元に、企業名では限定せずに個人のマッチ度ベースで幅広いターゲットに対するアプローチも行った。つまり、業界や企業の格を取り払う条件緩和を実施し、個人の能力やマッチ度でも採用可としました。

■採用者
5名以上の女性管理職を採用
└ 例 医薬品メーカー/プロダクトマネジェージャー/1100万円→ 総合職/1400万円

■成功のポイント
・当社のサーチ活動において、経験やスキルのハード面だけでなく、人物タイプ、志向などのソフト面も合致していることを重視するクライアントであったため、ヘッドハンターとの面談の母数の確保に重きを置き、ソフト面でのマッチ度が高い人材のみをクライアントと引き合わせるようにしました。

・現職と全く異なる業界・業務のターゲットと対峙する際には、移籍先案件との共通点や親和性を見出し、本人に認識いただき、これまでの経験を活かして業務を進めていく具体的なイメージをお持ちいただける事に注力しました。

今回の例では、転職潜在層の女性管理職候補をターゲットとし、同業、同格企業をベストとしながらも、人物像のソフト面や現職の経験の親和性などをヘッドハンティング会社が見極めて、多数の候補者をクライアントにつなぐことで目標を達成したケースでした。

女性からみたリスクを回避・・・女性候補者にとって働きやすい体制を整える


最後に候補者となる女性から見たリスク回避のお話ですが、女性管理職の採用に難航する企業によくあるのが女性にとって魅力が乏しいということです。管理職として採用される女性にとって気になるのは、女性が管理職として活躍している会社なのか?ということでしょう。前例があれば、自身も安心して働けるわけですから、日本IBM、アクセンチュア、パソナグループ、資生堂といった女性の管理職登用で評価の高い(日経WOMAN:女性活用度調査より)企業からのオファーと女性管理職が少ない企業とでは女性管理職に対する採用力は大きく違ってくることになります。

ただ、前例が少ないからと言って採用が不可能なわけではありません。女性管理職を登用して活躍してもらいたい、採用された側からするとリスクが少ないと思う企業文化や制度を準備すれば戦う土壌は作ることができると思います。

・女性が働きやすい制度・環境を整える

会社の制度や環境が現代女性のワークライフバランスに適応できるように整えることが大切となります。女性が活躍している職場として評価される企業は、多様な働き方に配慮し、多様な取り組みを導入しています。制度として整備したいのは、育児・介護と両立しながら働く社員に向けた休暇制度や時短制度などの時の整備と、これらの社員への人事評価制度。また、保育支援手当の支給制度や事業内保育所の開設や、テレワーク推進といった場の整備。それから、女性活躍の専任組織の有無や女性社員向けの育成プログラム施行なども働く側から評価されるポイントになります。

・女性の役職登用の実績を評価し公表する

少ない人数でも女性の役職登用の実績があれば、活躍できる可能性が高くなりますから、現任で活躍する女性管理職のポジションや評価、今後の管理職・役員比率を高める目標値などを具体的に公表することで安心感を与えることが可能です。

また、その取り組みが経営トップ自ら女性活躍を打ち出し、推進していく意向がある状態であることを明確にしたほうがより効果があります。これから転職を目指す女性は、女性管理職比率や女性役員登用の有無といった数値実績や経営者の考えを確認すると、会社の実態を見極めやすくなります。

少なくともこれらの体制を準備したうえで採用活動は行う必要があると考えています。

まとめ

政府が推し進める2030やダイバーシティ・マネジメントなどを背景に、女性管理職の採用は当面は活況が続くと思われます。女性従業員の比率が低い企業は特に、外部からの登用に頼らざる得ない中、転職市場から採用するか、それとも人事担当者自らが転職潜在層へ果敢にコンタクトするのか?または、ヘッドハンティング会社へ依頼して獲得するのか、自社のリソースや女性管理職を受け入れる体制に応じて使い分けを検討することになります。

また、女性管理職の活用で重要なのは転職市場から採用しても、ヘッドハンティングをしたとしても、表層的な数合わせではなく、「わが社がなぜ女性活躍推進に取り組むのか」という本質的な目的を明確にし、それに合わせた経営方針や社内制度を構築していかなければ、せっかく獲得できた優秀な女性管理職を活かすことはできません。採用→定着→さらなる採用→定着を繰り返していくうちに、女性の活躍する(しやすい)企業として進化していくのだと思います。

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