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中間管理職がうつ病を発症しやすい理由と企業ができる4つの対策

中間管理職がうつ病を発症しやすい理由と企業ができる4つの対策

現在、労働者にもっとも多い精神疾患は不安障害とうつ病であるといわれています。特に中間管理職の社員はうつ病を発症しやすい状態にあります。中間管理職は会社組織の中でも重要な役割を担うことが多く、うつ病を発症してしまうと会社全体の業務に支障が出ることも少なくありません。うつ病による離職、さらには自殺も毎年高い水準で推移しています。貴重な人材をうつ病によって失うことがないように、中間管理職のうつ病の原因について考えましょう。さらにうつ病対策として企業が行える方法についても検討します。

中間管理職がうつ病を発症しやすい理由は仕事量の増加やプレッシャーなど

会社組織には一般の社員、中間管理職、経営者などさまざまな立場がありますが、特に中間管理職の心理的負担の増加が指摘されています。実際、日本産業カウンセラー協会の悩み相談数は、男性が女性の2倍以上、年代別では中間管理職にあたる40代が多くなっています。というのも、中間管理職はほかの社員と比べてストレスを感じる要因が多いからです。[注1]

例えば中間管理職がうつ病を発症しやすい理由の1つが仕事量です。多くの場合、中間管理職は自分の業務をこなしながら部下の面倒を見なければなりません。必然的に仕事量は増えていき、自分の上司からのプレッシャーも感じる立場です。そのため大きなストレスを感じ、うつ病を発症してしまう社員は少なくありません。

こうしたリスクに加えて、危険なのが昇進した直後です。昇進自体は喜ばしいことですが、その後の業務が思ったように進まないとうつ病を発症するリスクが高まります。特に仕事内容についていけない、新たな立場で上司からの期待が大きい、せっかく昇進したのだから結果を出さなければいけないと感じるといったケースでは注意が必要です。昇進した直後は、より一層周りのサポートが必要になるでしょう。

[注1] 一般社団法人日本産業カウンセラー協会:男性管理職のメンタル不調は深刻化か? メンタル不調の悩みの約4分の1は40代男性から![pdf]   https://www.counselor.or.jp/Portals/0/pdf/1.press%20release1901.pdf

中間管理職のストレスによる組織への影響

中間管理職の立場の社員がうつ病を発症しなかったとしても、大きなストレスを感じているのであれば会社組織への影響は少なくありません。中間管理職にいる社員は多くの場合、業務内容について詳しく知っており、ある程度の結果を残してきた優秀な人材だからです。優秀な人材であっても大きなストレスを長期間にわたって感じ続けると、大きなミスをしたり判断を誤ったりしてしまう恐れがあります。会社の業績に直接影響を及ぼすミスでなくとも、職場環境が悪化したり、本人が体調を崩したりしてしまえば組織への影響は必至です。中間管理職のストレスを軽減するよう対策を講じることは、企業にとって急務といえるでしょう。

中間管理職のうつ病予防で企業ができる4つのこと

うつ病2
企業が中間管理職のうつ病を予防するためにできることは主に4つあります。
1つ目は、社員自身のセルフチェックを促すというものです。2015年12月よりストレスチェックが企業に義務付けられました。その結果を集計し、高ストレス者と思われる中間管理職の社員に対しては心理カウンセリングを促すことにより、うつ病予防を行います。ストレスチェックを毎年行い、過去の集計結果をデータとして保存しておけば、個人の、もしくは部署ごとのストレスの大きさの推移を観察することも可能です。上手にストレスチェック制度を用いることでうつ病予防に役立てられるでしょう。

続いて企業が行うべき2つ目の対策は企業によるラインケアです。中間管理職よりもさらに上の監督者が個別に相談に乗ったり、健康的な生活を送ることができるようアドバイスしたりする方法です。もちろん適切なアドバイスを与えられるように企業による監督者への研修も必要になります。

企業がうつ病予防のために行える3つ目の対策は、社内の産業医やカウンセラーなどによるケアを充実させることです。産業医やカウンセラーを新たに雇用したり、産業医の指導の下、職場環境の整備や教育研修を行ったりすることもできるでしょう。

さらに4つ目として、社内にメンタルヘルスの専門家がいない場合、外部の専門機関による支援を求めることが挙げられます。大規模な改善が必要と判断した場合には、外部機関の助けによってうつ病予防をより効果的に行っていくことができるのです。企業としてうつ病予防のために行える対策は少なくないので、実行可能なものから対策を講じていく必要があるでしょう。

企業が率先して中間管理職のうつ病対策に取り組む

企業の人手不足が深刻化している現在、中間管理職のみならず社員の離職を防ぐのは企業の最重要課題になりつつあります。しかし、中間管理職がより大きなストレスを抱えていることを考慮すると、会社組織への影響を最小限に抑えるために企業側が積極的な対策を講じていくことが必要になるでしょう。ストレスチェック制度を十分に活用し、医師やカウンセラーの力を借りることで、中間管理職のうつ病の発症のリスクを低減できます。企業側が率先して中間管理職のメンタルヘルス対策を行うことが、会社全体の利益に繋がるのです。

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