実は強い日本の半導体製造装置業界

実は強い日本の半導体製造装置業界

日本の半導体は、一時は世界の市場の約50%のシェアを獲得していましたが、現在は急速に落ち込み、すでに一桁台にまで落ち込んでいます。ところが、その半導体を生み出す「製造装置」については、逆にしたたかな強さをみせています。

半導体が凋落する一方で、その製造装置が強みを見せる

日本の半導体産業は、今やすっかり凋落してしまいました。少々辛辣に言えば、半導体というだけですでに「負け組」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
確かに、これまで業界を牽引してきた大手の日立、三菱、NECなどが相次いで分社化、さらには統合を繰り返してきました。ビッグネーム同士の統合は、それぞれの設計思想や製造プロセスの違いもあり、すり合わせをするだけでもたいへんな作業です。それだけに、こうした動きについて「事業所の封鎖やリストラを進める上での方策だろう」ととらえる向きもあったようです。いずれにしても、日本の半導体メーカーが衰退しつつあったことは間違いありません。
さらに、海外メーカーの躍進が追い打ちをかけました。日本の半導体は、一時は世界の約50%のシェアを押さえていましたが、すでに一桁台にまで落ち込みました。さらに追い打ちをかけるように、韓国や台湾、中国などの価格競争による追い上げに、なすすべがない状態になっているのです。

安定優位をキープし続ける、日本の「半導体製造装置」

世界の半導体市場について各種データを発表している統計機関「WSTS(世界半導体市場統計)」の2016年春の予測によれば、半導体そのものの市場規模は2016年まではマイナス、その後2017年以降、2%前後のプラスで穏やかに拡大していくとされていました。ところが実際には、2016年半ばに急速な回復を見せ、半導体市場動向調査企業である米VLSI Researchによると、2017年の3月最終週については前年同期比で23%のプラスという報告もあります。
このように、国際的には活況を取り戻しつつある半導体市場ですが、日本メーカーは価格競争で苦戦を強いられ、復活が難しい状況になっています。
ところが、その半導体を製造する「半導体製造装置」、及び「FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置」に関しては、日本メーカーは群を抜く強みを持っています。
日本半導体製造装置協会が2017年1月に発表した予測では、2017年における日本製半導体・FPDの製造装置の販売高は1兆9,902億円。アメリカの「SEMI」が発表した世界市場規模は約4兆9,000億円(1ドル113円換算)ですから、世界市場の約40%を日本メーカーが握っていることになります。
つまり、製品自体のシェアは失っても、それを製造する機械については優位にあるという状況なのです。

日本メーカーが大きなシェアを握れる理由は?

製品とは対照的に、製造装置が安定している理由はいくつかあります。そのひとつが、「ライフサイクル短縮化への対応力」です。
過去、半導体の主要な用途だったPCは、製品そのもののライフサイクルが18ヵ月といわれていました。ですが、半導体の主要な用途がタブレット、スマホへとシフトしていくことで、ライフサイクルはどんどん短縮していきました。主要用途が変わる度に製造プロセスも変わっていきますから、そこに対応できるメーカーだけが生き残る結果になります。また、製造プロセスが変化し続けるために後続メーカーが参入しにくく、結果的に価格競争に巻き込まれないで済みます。
しかも、ライフサイクルが短いために販売見込みを立てやすく、それが販売高の安定にもつながっています。
メカトロニクスの分野は日本が得意とするところであり、しかも高い基礎技術を持っています。そうした「相性の良さ」が、日本メーカーが安定優位を維持できる理由になっているといえそうです。

「車載半導体」は業界復活の起爆剤になるか

さて、このところ半導体及び製造装置業界において、目が離せない存在が「車載半導体」です。文字どおり自動車に搭載される半導体ですが、これが業界の市場を一気に広げ、売上を伸ばす起爆剤になるのではと注目されています。
現在の自動車にはエンジンや電子制御用途に加えて各種のセンサーが装備されており、そのため多くの半導体が使われています。その数は車1台あたり200~300個搭載されており、平均金額にして1台につき30,000円ほどです。これが数年のうちに、60,000円ほどにまで上がるという予測もあります。
さらに、ここ数年で普及してきた自動ブレーキをはじめとする運転支援システムは、まだまだ広がっていくでしょうし、遠からずほとんどの新車に標準装備されることにもなるでしょう。さらに、「スマートカー」ともなると、およそ2,000個もの半導体が必要になるともいわれています。
エンジンの性能、静かでくつろげる居住性。自動車に求められるものはさまざまですが、それらはすでに一定以上の水準に達しています。そうなると、これからはIT技術といかに融合していくかということが、大きな課題となります。そのため、車載半導体は日本の半導体業界にとって、挽回の起爆剤になる可能性が高いのです。
一般の半導体と異なり、車載半導体はアメリカとヨーロッパ、そして日本のメーカーが世界シェアの80%を握っています。車載半導体の伸びによって、日本の半導体メーカーは大きな恩恵が期待できます。
日本の半導体製造装置業界は、一般にはあまり知られておらず、地味な業界ではありますが、内実は安定しています。しかも、世界のエレクトロニクスを支えるという実績を持ち、今後の大きな伸びも期待できる、重要且つ魅力にあふれた業界でもあるのです。
【黒瀬 千雅】

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