ヘッドハンティングが繋ぐ首都圏と地方

会社や組織の成長において非常に重要な役割を担うミドルマネジメント層の採用についてご紹介したいと思います。近年、企業が成長をする為にミドルマネジメント層の役割が重要との見方がある一方で、社内でミドル層の育成を課題に感じている企業が多く、外部からの採用に期待が高まっている傾向にあります。また、求職者も大手企業での出世・働きがいに対する閉塞感を感じたり、個々人の働き方を見つめなおしていることから、首都圏や地方問わず、中小企業・ベンチャー企業に転職するケースが増加傾向にあり、ミドルマネジメント層大移動時代が到来しています。
目次
ミドルマネジメント層とは中間管理職層の総称
ミドルマネジメントとは一般的に中間管理職層の総称で、経営陣(トップマネジメント)が描くビジョンや経営方針を正しく理解し、その下のロワーマネジメント層や現場従業員に目標や会社のビジョン達成の計画をハンドリングする重要な組織の中核人材を指します。マネジメントの範囲は企業規模や組織の状況、方針によって違いはありますが、通常では部長、課長、係長といった役職の人材がミドルマネジメントと呼ばれています。大手企業では30代後半から40代が多く、中小企業・ベンチャー企業では20代後半から30代前半で役職に就く例もあり、現在では年齢層は幅広くなっています。
企業側ではミドル人材の採用意欲が72%に
現在、ミドルマネジメント層の転職マーケットが活発化しています。これまでは35歳までが転職の限界とされることが通説でした。しかし、現在企業側ではミドル人材の採用意欲が今後高まるとの回答が大手人材会社の調査で72%に上るなど、この「35歳限界説」が覆される結果となっています。背景には、中小企業の事業承継問題や多くの企業内でのミドル層育成不足、景気の回復基調が強まる中、企業の重要な中核人材採用不足が示されています。また、求職者の価値感の変化(終身雇用以外の働き方など)も35歳以上の転職が活発化している理由となっているのでしょう。
地方の中小企業の事業承継問題が大きな課題に
ミドルマネジメント層の転職増加の背景として中小企業の事業承継問題もあります。近年では、団塊の世代が高齢になることから、労働力の減少や技術・技能の断絶が懸念された『2017年問題』がありました。今後も2020年に向けて団塊世代の創業経営者の多くが70歳代を迎え、事業承継を迫られる企業が多数あり、地方の中小企業にとっての大きな課題は次の後継者を育て上げることにあります。。地方になればなるほどこの現状は顕著であり、首都圏の人材に対する地方のニーズが高まっています。この人材移動がうまくいっている企業は少なく、ますますミドル人材のニーズが高まっている大きな要因となっています。
ミドル層は出世や働きがいに閉塞感
近年、多くの会社において組織の活性化に問題があるという声が聞かれています。これらを調査すると、よく言われることとしては「仕事のやりがいがない」、「目標を見出せない」という社員が増えていることが挙げられます。このような声が聞かれる理由には、企業内のポジションの不足感があり、ミドル層の優秀人材が社内で目指すべキャリアが見えづらくなったことや、また、これまで一定の年齢になればつけた役職や給与UPがなくなり、出世できずに物足りなさを感じる社員がいる現状があります。背景には、2001年以降の人事制度改革を発端に、成果主義の導入や職務主義への移り変わりを経て、昇格人事のポスト絞り込みと出世社員の選抜を強める傾向が強くなっていることが要因にあります。そのため、将来の昇格や高額の給与が目的であった人々が「仕事のやりがいがない」「目標を見つけづらい」状態に陥ってしまっており、出世よりも好きなことや社会貢献性を重視した働き方を視野に入れるミドル層が増えつつあります。
優秀なミドルマネジメント層を採用するチャンス
今後もミドルマネジメント層が不足する状況が続き、35歳以上の採用を求める企業と求職者のマッチングが多くなると言われています。特に就職氷河期時代に新卒採用を止めていた企業は、20代の社員は多くいるものの、30代~40代のマネジメント層が空洞化しており、中堅層の社員の充実を図りたいという企業が積極的にミドルマネジメント層の採用に乗り出しています。
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近年では優秀なミドル層にフォーカスして能動的に採用を試みるヘッドハンティングの需要が高まってきています。地方においても承継人材の採用手法としてヘッドハンティングが注目されており、あるヘッドハンティング会社では実に71%が首都圏以外の案件という結果となっています。
その状況下で、スキルが高く現状に不満を感じている人材が自身のキャリアビジョンにより合致した転職の機会を伺っているため、会社の規模や働く場所を問わず、多くのミドルマネジメント層が面白いと感じる機会があれば転職をする時代となっています。働きがい・やりがいを求める人材がミドルマネジメント層に多い今だからこそ、優秀なミドルマネジメント層を採用するチャンスが多くの企業に到来しています。