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マーケティング視点を取り入れた、応募の絶えない採用サイトとは?(ヒト・コト ゼミ)

マーケティング視点を取り入れた、応募の絶えない採用サイトとは?(ヒト・コト ゼミ)

WEB制作会社に採用サイトの構築を任せきりにした結果、自社の魅力が伝わらず、応募がない(少ない)という課題をお持ちの方は多いのではないでしょうか?自社の採用サイトも商品やサービスを販売するように、マーケティング視点を取り入れることで、応募者を増やすことも応募者とのマッチ度を上げることも可能と言われています。

2022年1月に実施した【ヒト・コト ゼミ】のセミナーでは、マーケティング戦略に基づくWEB構築の第一人者である株式会社ベイジ代表 兼 クラスメソッド株式会社 CDOの枌谷力氏お招きし、採用サイトの応募者だけで増員を続ける企業の紹介や人事担当者が抑えておきたい「採用サイトをつくる上での9つのポイント」を解説してきます。indeedのオウンドメディアリクルーティング審査員としても活躍される枌谷氏による、興味深いアドバイスが満載です。

貴社採用サイトの改善やリニューアルの参考としてお役立て下さい。

ゲストスピーカー
枌谷 力 氏
株式会社ベイジ代表/クラスメソッド株式会社CDO
モデレーター
高本 尊通
株式会社プロフェッショナルバンク 取締役常務執行役員

企業は採用サイトに力を入れるべきなのか?

——高本 尊通(モデレーター役、以下高本): 現代では転職サイトやメディアが多く、お金をかけずにリファラルやソーシャルリクルーティングなど、多彩な手法が存在します。そのような中で、コーポレートの採用サイトに力を入れるべきなのでしょうか?

枌谷 力(以下、枌谷): おっしゃる通り、現代は採用に関した情報を発信するプラットフォームが数多くあるため、必ずしも採用サイトを作らなくともやっていける企業はあるでしょう。中には、予算の都合や自社で行う余裕のない企業様は、まず外部のプラットフォームで情報発信をすることで、コストをかけずに人を集めるケースもありますね。

枌谷: ただ、そういった例を除いても、自社採用サイトは持つ価値があると思います。

枌谷: 自社で採用サイトを持つ必要性の1点目に、外部のプラットフォームに掲載しているだけでは、外部の企業様も掲載されているのため、どうしても有名な企業様だけクリックされてしまう傾向(力関係)があります。そういった箇所以外で、自社オリジナルの情報発信をしていく必要があります。

枌谷: 2点目に、自社採用サイトを持つことで情報発信の方法に制約がない点です。自社のサイトなら載せたいと感じたコンテンツを、載せたいだけ載せることができます。「採用戦略も踏まえて、他者との差別化をしていかなければいけない」ということは、「自社のサイトを有効活用しなければいけない」ということでもあります。

——高本: ほとんどの人が自社サイトに訪れ、採用サイト・採用ページを見ると思いますが、やはり魅力的に作っておく必要があるということですね。そこで離脱されては仕方がないですからね。

枌谷: 弊社も、ある時期から自社サイトで情報発信を始めましたが、それを機に応募者が応募動機などをしっかり書いてくれる様になり始めた印象があります。応募数も倍くらい変わってきましたね。

枌谷: また、転職サイトやエージェントでの効果を引き出すためには、採用サイトの充実化が重要ではないかとも感じますね。

——高本: 企業は採用サイトの制作にどのくらいの費用をかけているのでしょうか?

枌谷: 採用サイトだけで1000〜1500万円くらいはかけてますね。企画からこちらで文章も書きます、写真撮影も含めて一式でそのくらいの費用になります。撮影も非常に重要ですからね。「フルスペックが厳しい」企業様は、予算に合わせて採用ページだけ作るケースもあります。イメージですが、ヘッドハンティングやエージェントを利用する際の採用にかける費用と同じくらいでしょうか?採用活動が上手に行けばペイできるので、躊躇なくやられる企業様も多いです。

採用サイトの課題は何か?

——高本: 現代における採用サイトについて、枌谷さんはどのような課題があると考えますか?

枌谷: はい、まさにマーケティング視点の欠如と感じます。「マーケティング視点の欠如」と言ってしまうと、抽象度が上がってしまったり、「採用はマーケティングじゃないよ」となってしまいますが…。

枌谷: 具体的に伝えると、「市場にいる求職者の目線でサイトを作るということができていない」、「企業目線で作ってしまってあまり機能していない」というエゴイスティックなサイトが多いということです。

——高本: 採用サイトと言っても、一般的に中途採用や新卒採用など様々です。それぞれ、コンテンツや導線も異なるのでしょうか?

枌谷: 採用サイトはエントリーを念頭に見ているだけでないケースも多いですよね。「特定の誰かに合わせる」というよりは、様々な属性の人が色々なタイミングで訪れます。そこで、それぞれのニーズに答えられるコンテンツを置いておくことが大切です。

枌谷: 情報設計や導線設計など、ユーザーは必ずしもトップページから入ってくるわけではないので、どうやって誘導していくかを考えたり…。こういったことを考えていくと、マーケティング視点というものがわかるのではないでしょうか。

採用サイトを成功に導く9つのポイントとは?

ウェビナーのイメージ
枌谷: 採用サイトを成功に導く9つのポイントとは、

  1. 募集要項を一番目立つ場所に置く
  2. 不安解消系コンテンツを先に見せる
  3. 企業理念などの美学を最初に押し付けない
  4. 無名企業が有名企業の真似をしない
  5. 企業にとって都合の悪い話も正直に載せる
  6. 抽象的なポエムを書かない
  7. 転職サイトを上回る量と質のコンテンツを置く
  8. 派手な演出で誤魔化さない
  9. 社員や職場の自然な日常を伝える写真を使う

になります。

枌谷: ただ、見出しのテーマに進む前に、大前提としてお伝えしておくことがあります。

枌谷: まずは根本的にユーザーを知る・求職者を知ることが大切です。

枌谷: 例えば、ベイジでは入社2〜3年目くらいの方に社内アンケートを取ります。そういった方たちは、直前まで採用活動をしており、数年会社にいることで、会社に辛辣なことも言えるからです。

アンケートでは主に、

  • 自社はどう見えていたのか
  • 就職活動・採用の際にどこの会社と比べたのか
  • 採用サイトのどこが良いポイント
  • 他社の採用サイトの良いところ

などを聞いています。今まで数多く聞いてきましたが、共通点があるんですよね。それは、「ターゲットの心理や行動を知ること」です。実際には、人事の方の想像と制作会社との議論で採用サイトを作っているケースが多いんです。「求職者の目線をもう少し取り入れましょう」ということです。

1.募集要項を一番目立つ場所に置く

枌谷: 「募集要項を一番目立つ場所に置く」というポイントは、一見当たり前の様に感じますが、意外にもやれていない企業様が多い様に感じます。
インフィールドの採用ページ
枌谷: 例えば、INFIELDの採用サイトトップページには、その点を反映しています。

枌谷: なぜ募集要項を重視するのかというと、様々な調査や経験によるユーザー行動を基準にしているからです。多くのユーザーは採用サイトに訪問して、まずは募集要項を確認します。そこで、「自分の考えに近い」と感じた・分かった上で、ようやく他のコンテンツを見にいく動きが多いです。

そう考えた時に、

  • 募集要項がない
  • 募集要項が隠れている
  • 募集要項があるが、募集要項という名前で掲載されていない

という状態だと、ユーザーを悩ませてしまい、最悪の場合は潜在ユーザーを逃してしまう可能性があります。

枌谷: サイトのファーストビューって、ついつい会社のことを出したくなりがちですよね。よくある例として、この後お話ししますが、「企業理念」や「みなさまへのメッセージ」などをいきなり読ませようとしがちです。ユーザー視点に立つとそれではいけません。

枌谷: ただ、この話は少し難しい問題もあり、多くの職種を募集している企業さんなどでは、1つの募集要項では間に合わないケースもあります。

LINEの採用ページ

枌谷: そう言った場合、自社事例でありませんが、画像のようなLINEさんの採用サイトなど、「どこを見ていけば募集要項にたどり着けるか」がわかりやすい構造にしていくことが必要になります。採用サイトに入る▷職種一覧が掲載されているという流れがあるので、ユーザーは自然と「職種をクリックすれば募集要項を確認できるかも」と誘導することができます。

枌谷: この様に数少ない募集要項で誘導する場合、「募集要項が探しやすい入口を提供する」という考え方もあります。

2.不安解消系コンテンツを先に見せる

クラスメソッドの採用ページ

枌谷: クラスメソッドの採用サイトのトップページを例に取ってみます。

枌谷: 企業サイトによくある、「こんなに私たち素晴らしいよ」ではなく、「数字でわかるクラスメソッド」、「クラスメソッドで働くメリット」、「私たちの強み」、「職場環境」など、まず求職者が不安に感じるであろうことに対して、その不安を解消するコンテンツを掲載しています。サイトを作る企業は、キラキラしたポジティブなことを見せがち・やってしまいがちですが、求職者の多くは転職や就職に対して不安に感じることの方が圧倒的に多いです。

枌谷: 「この会社本当に大丈夫なのかな?」「業績は良いけど、その裏ではブラック的な働き方しているんじゃないの?」みたいな不安もありますよね。就職は自分の人生やキャリアに関わることなので尚更です。企業はまず「みなさん、安心して良いですよ」っていう姿勢を見せなければいけないと考えます。

——高本: 我々も仕事柄、多くの求職者の方とお話をします。結果として面接が進んで、「最終的に転職する」か「今の会社に残るか」のフェーズになった際、まさにこの部分を気にされる方が多いです。求職者にとっては最終的な意思決定の大きなポイントになっていると感じますね。最初に心理的安全性を高めてあげて、土俵に乗ってもらうことが大切ですね。

枌谷: やっぱり、こういった話って面接では聞きづらいものです。本当は聞きたいのに。採用サイトでは、心の奥にある悩みや不安に答えてあげることが大切です。

3.企業理念などの美学を最初に押し付けない

枌谷: 一概に否定はできませんが、いきなり企業理念などの美学を最初に押し付けないということです。

枌谷: もちろん、さまざまフェーズを経てサイトにたどり着くこともあるため、「絶対にやってはいけない」とは言えませんが、求職者にとっては「なんだろうこれ…」となってしまいます。ユーザーが企業の美学にタッチするのは最終的なフェーズだと感じます。

枌谷: 実際に、こういったことしか書いていないサイトも結構多いです。もともとその企業のことを良く思っていればともかく、美学だけでは求職者には引っかかりません。価値観の押し付けに見えてしまうからです。最悪な場合、このような抽象的な美学ばかりが掲載されていて、必要な情報が全然わからない状態になってしまうことです。

高本: 恥ずかしながら、弊社の採用ページにもこの様な状態が垣間見えていまして…。特に新卒採用へのイメージが強かったからかもしれませんが。

4.無名企業が有名企業の真似をしない

枌谷: 有名企業さんは理念ベースのメッセージを出していたり、抽象的な価値訴求などが多いです。ただ、それはあくまでも、有名企業(みんなが知っている会社だから)だからこそ刺さる部分がある。無名企業が言っても刺さらない。

トヨタの採用サイト

枌谷: 画像はTOYOTAさんの採用サイトです。「さあ、ともにつくろう。地球史上類を見ない社会を。」というフレーズもあのTOYOTAさんだからこそ「おお、格好良い」となるのであって、何も知らない企業が謳っていてもピンとこないですよね。

枌谷: 我々も、採用サイトを作る際に「こうしたい」と、こういった有名企業のフレーズイメージを持ってこられる方が多いです。ユーザーからすると「よくある綺麗事のフレーズだな」とスルーされてしまう恐れもあります。

高本: 我々がデザインのイメージをを制作会社に伝えるのは非常に難しいことです。そもそもこうして、どこかのサイトイメージを持ってくること自体は良いのでしょうか?

枌谷: サンプルとしてはもちろん問題ありません。ただ、そのイメージをそのまま目指してしまうとよくないですね。過去の事例だと、持ってきたイメージへの期待が強すぎて、「参考とするサイトのデザインがそもそも自社にあっていないのではないか?」となり、考え直す例もありました。

高本: 自分達の立ち位置や、身の丈をわきまえることが大切なんですね。

枌谷: 企業としては結構泥臭いことをやっているのに、応募者がキラキラしたサイトのイメージだけ持ってきてしまうことがあります。そうなってしまうと、企業と求職者とのギャップが生まれてしまうので、応募者が増えても意味がないですよね。会社のリアルをちゃんと伝えることが大切です。採用は「中長期で見て、本当に良い判断とは何か」ということも考えなければいけません。

5.企業にとって都合の悪い話も正直に載せる

ベイジの採用ページ

枌谷: ベイジでは、社内でアンケートをとった際に「綺麗事しか書いていないので、正直に悪いことも書いてほしい」という意見が多いんですよね。なので、「他の会社は、普通こういうこと載せないよね」っていうことを提案するケースが多いです。もちろん限度はありますけどね。

枌谷: 「私たちも失敗することがありますよ」とか、「実際は地味な仕事ですよ」、「実際は残業をこれくらいしますよ」などの都合が悪いけど向き合わなければいけないことをちゃんと載せるんです。

枌谷: ある種、なかなか一般的なコンテンツではないので、差別化やプロモーション的な意味でも良い影響を与えるかもしれません。

高本: そういった会社の方が信頼できる印象もありますよね。キラキラしてることばっかり載せている会社よりも。

6.抽象的なポエムを書かない

枌谷: 「企業理念を書かない」に似ていますが、ポエムを書いてしまっているサイトも多い印象です。大手有名企業で知名度があって、一定の理解は得られるのであれば印象的なのですが…。でも、何の会社かわからないところがやっても、「意味がわからない」で終わってしまいます。まだ知名度が低い会社は、組織や、評価制度など、ちゃんとしたことをまずは伝えましょう。

枌谷:画像はリクルートさんの採用サイトです。先ほどと同じ様な話になりますが、これはリクルートさんだから成り立ちます。どの様な会社であって、どの様な活動をしているかがわかっている上で、こういったメッセージを求職者に投げかけることは理解ができるからであり、印象的になるのです。

リクルートサイトのイメージ

枌谷: 一方で無名企業がポエムばっかりになってしまうと、サイト自体が見られなくなってしまうケースに陥る恐れもあります。抽象的な情報だけでなく、企業の評価制度や待遇や組織としてのちゃんとした情報・コンテンツを中心にするべきですね。

高本: ポエム行ってしまいがちです。使用する気持ちは非常にわかります。自社の立ち位置やユーザーから見た雰囲気を踏まえれば良いのでしょうけれども。

枌谷: ブランド設計やSNSなどを活用して、あらかじめ準備をしていればOKな場合もありますけどね。

7.転職サイトを上回る量と質のコンテンツを書く

フッターのイメージ

枌谷: せっかく自社のサイトで、フッターなども自由に使えるので、「他の媒体では見れない情報を載せた方が良いのでは」と思います。それなりの文章と図を使って丁寧に説明することも大切です。ベイジで支援しているサイトは、画像くらいが最低ラインのイメージです。

高本: なるほど。例えば、コロナの状況下においてコロナの前と後では、求められるコンテンツも変わってきてるのでしょうか?

枌谷: そうですね、リモートワーク環境に対する説明はかなり必要な印象です。他にも、東京にある会社だけど、地方採用できる場合のことなど。これからの採用サイトは、勤務状況や働く環境に関するコンテンツを厚めに載せていかないといけないですね。

高本: ありがとうございます。コンテンツの話として、もう少し聞かせてください。TikTokやYouTubeなど動画が身近な時代ですが、採用サイトにおける動画コンテンツなどはどうなんでしょうか?

枌谷: 動画は使い方にもよりますが、見終わった時にどんな情報が得られるのかわからないことが大きな問題ですね。本当に大切なことはテキストで残しておいた方が良いと思います。記憶にも残りづらいので、お金かけるならおすすめしません。

枌谷: ただ、社員インタビューコンテンツとしてテキストと一緒に動画があるのは良いかもしれません。人の雰囲気が伝わりやすいので、上司と喋っているシーンなども良いですね。今後ベイジでも検討したいのが、社員同士で打ち合わせしている風景の動画などです。リアルな社内の実情を表現できるので。動画は、副次的なツールとしては良いかもしれません。位置づけとしては、その会社への興味が深まってから見るものとして扱った方が良いしょうね。

8.派手な演出で誤魔化さない

枌谷: デザインや演出だけが突出しているサイトを見たところで、「そもそも採用サイトなのかな?」、「募集をしているのかな?」、「何の会社なのかな?」なんてなってしまいませんか?

高本: これも非常に分かります。やってしまいます。

枌谷: 派手な演出だけで終わってしまっては知りたい内容がわからないんですよね。採用サイトと、「この会社に入ろうか迷っている人向け前提」につくっておくべきで、演出過多なサイトデザインはおすすめしません。

枌谷: 求職者が採用サイトに求めているのは、演出ではなく情報です。情報が普通に見やすい普通のウェブサイトであればよく、それ以上の表現や派手な演出を求めているわけではありません。「この会社で働くとどうなるか」その情報を自然に提供できる、素直なUIデザインやビジュアルが求められています。

9.社員や職場の自然な日常を伝える写真を使う

写真のイメージ

枌谷: ベイジでは必ず撮影を行っています。文字も大事だが、文字だけでは伝わらないことが多いです。求職者目線に立つと、「自分が働いたらどんな感じなのか」ということが一番知りたいことだと思います。演出がかった写真はあまりおすすめしません、日常的な仕事の風景が良いですね。数でいうと30枚くらいは最低でも使っています。

枌谷: 転職サイトなども、写真の質が高いと応募が伸びるという傾向がちゃんとありますからね。素人がiPhoneでとった写真とかはおすすめしません…。構図を始め、こまかなディレクションを行ってくれるので、プロのカメラマンさんに依頼するのがおすすめです。

SNSとオウンドメディアによる相乗効果は?

高本: 上記のポイントを踏まえて、採用サイトだけ作ってもそれで終わりではありません。その後の運用面についてどうしたら良いかという面についてお話を進めていきます。

枌谷: サイトへの流入経路を考えないとアクセスは増えません。サイトまでどのように連れてくるかを考えなければいけません。そのチャネルの一つとして、オウンドメディアやSNSがあります。もしも、転職サイトやエージェントへの支払いを下げたいなら、SNSなどのプラットフォームに力を入れる必要がありますね。

高本: SNSやオウンドメディアでは、「どういった情報を発信していかなければいけないのか?」という疑問があります。

枌谷: まず、SNSとオウンドメディアは並走させた方が良いですね。SNSの主流はツイッターですが、140文字ではとても足りません。そのツイッターをしっかり語る場としてオウンドメディアがあり、それを届けるためのデリバリー手段としてツイッターがあるイメージです。ツイッターでも小さな情報は出せるので、マイクロコンテンツとしてツイッターから発信をしていき、時々リッチな情報としてオウンドメディアを使用します。その両面から市場の人に知ってもらうことを目指します。

枌谷: また発信する情報内容が、「自分の会社に直接関わる業務のことを発信しなければいけない」と思い込みがちですが、そんなこともありません。もっというと、制作のことだけ発信しても、リアルタイムで制作を考えている人にしか届かないんです。転職潜在層などに読んでもらうためには、仕事のことよりみんなに伝わる普遍的なことを発信していかなければいけません。「会社がやっている活動や文化のことを発信して、共感が得られる文章の書き方をしていく方が良いのではないか」と感じています。

枌谷: もし自分の会社のことを記事にするのであれば、会社の自己紹介よりは「自分が運営したり担当することに対する思いやこだわり」などの方が採用文脈に対してはうまくいくことが多いですね。

枌谷: 下記ベイジの2017年の記事で、いまだに読んでもらうことが多いものです。内容はマーケティングの話ですが、「ものすごくこだわりがあって、プライドがあって、だからこうしてる」っていう部分に焦点を当てている記事なんです。こういう方が刺さりやすいのではないでしょうか。

ベイジのサイト
詳細はベイジ社長ブログへ

最後に

高本: 我々、採用の最前線で携わらせていただいている立場からすると、現在、どの企業も採用に力を入れてやっていらっしゃると感じますし、今後も採用競争は益々激化していくのではないかと思います。そのような中で本日のセミナーが皆さまにとって少しでもプラスになればと思います。皆さん、どうもありがとうございました。枌谷さんもありがとうございました。

出演者紹介

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枌谷 力 氏 (ゲスト)

株式会社ベイジ代表/クラスメソッド株式会社CDO

1997年大学卒業後、NTTデータ入社。4年間の営業経験の後、Webデザイナーに転身。Webディレクターなども兼務した後、2007年にフリーランスとして独立。2010年にweb制作株式会社ベイジを設立。現職はBtoBマーケティング、戦略コンサル、UXデザイン、アクセス解析を得意分野とするデザイナー兼経営者。
2021年クラスメソッド株式会社 CDO就任。Twitte等のSNSで日々有益な情報を発信し、同フォロワーは7万人を超える。

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高本 尊通 (モデレーター)

株式会社プロフェッショナルバンク 取締役常務執行役員

1995年大学卒業後、株式会社パソナ入社。大手特別法人営業グループ責任者を経て、営業/事業/新規事業企画、アライアンス、社内業務改革等担当し、同社の経営ブレーンとして活躍。
2004年株式会社プロフェッショナルバンク設立に携わる。これまで約7,000人あまりのキャリアに携わり、2012年にビズリーチ 社の「日本ヘッドハンター大賞」、同年から2年連続で「リクナビNEXT AWARD MVA」を受賞するなどし、2017年にはビズリーチ社のヘッドハンターオブザイヤー(年間MVP) を受賞。現在、ヘッドハンターとして活動しながら、取締役常務執行役員として人事/経営企画/経理/財務などのバックヤードを管掌。

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