人事部が抑えておくべきワーク・ライフ・バランス導入時の3つの注意点

人事部が抑えておくべきワーク・ライフ・バランス導入時の3つの注意点

社員にとっては大きなメリットがあるとして近年推進されているワーク・ライフ・バランス。しかし、推進にあたっては勤務時間の減少や生産性の低下、会社全体の賛同が得られないなど様々なデメリットが生じ、人事評価そのものを変えていく必要性にも迫られます。こうした諸問題は綿密な試算や社員や経営陣への働きかけ・意思疎通を行えば、解決することができます。ワーク・ライフ・バランス推進でいちばん重要なことは会社全体で取り組むことです。今回は、ワーク・ライフ・バランス導入時に、人事部が抑えておくべき注意点などをご紹介します。

1.勤務時間の減少による生産性の低下

従業員にとって、ワーク・ライフ・バランスの推進は、余暇や育児の時間の確保に繋がり、非常にメリットを感じられるものです。反面、勤務時間の減少による生産性の低下というリスクもはらんでいます。

独立行政法人経済産業研究所の山口一男氏は2011年10月に「働生産性と男女共同参画 なぜ日本企業はダメなのか、女性人材活用を有効にするために企業は何をすべきか、国は何をすべきか」と題したサマリーを発表。

これによれば、ワーク・ライフ・バランスを推進し、法を上回る育児制度または介護休業制度を施策する企業のうち「生産性がマイナスになった」とする企業の割合が「生産性がプラスになった」とする企業の割合を上回ったという結果が報告されています。[注1]

[注1]独立行政法人経済産業研究所:労働生産性と男女共同参画 なぜ日本企業はダメなのか、女性人材活用を有効にするために企業は何をすべきか、国は何をすべきか[pdf]https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/11j069.pdf

このことからわかるように、ワーク・ライフ・バランスの施策を進めていくにあたり、単純に労働時間を減少させるだけでは効果的ではありません。業務の棚卸しを実施することで、全体の業務内容をブラッシュアップし、業務全体の能率を上げる、無駄を省くということが非常に重要です。

2.会社全体の賛同が得られるとは限らない

ワーク・ライフ・バランスを推進しようにも、必ずしも会社全体の賛同が得られるとは限りません。

例えば、労働時間の遵守に重きを置いている企業もあります。そのような企業においては、長時間働いている社員ほど会社に貢献している、といった考え方が深く根付いていることも考えられます。所謂、「企業戦士」を礼賛するような社風は、ワーク・ライフ・バランス推進の足枷となりえます。

このような企業で、ワーク・ライフ・バランスを推進しようとすると、休暇を取得する社員に対する不公平感、経営陣の賛同が得られない等、社内で不都合が生じるきっかけとなりえます。

加えて、ワーク・ライフ・バランスの推進には、金銭的にも人員的もかなりのコストがかかります。こうしたことも、経営陣が二の足を踏む要因かもしれません。

社内で不平不満が生まれるような事態を防ぐためには、やはり「人事部だけでなく会社全体でワーク・ライフ・バランス推進に取り組む」ということが大切です。

経営陣の理解を得るだけでなく、例えば施策後に社員間の不公平感を生まないためにも、事前に社内アンケートなどの調査を行い、実情を把握して制度に反映していくというのも手です。

3.人事評価の仕組みを変える必要がある

ワーク・ライフ・バランスの課題として、人事評価がうまく機能していないという点が挙げられます。現在、ワーク・ライフ・バランスの推進にあたって、業務成績の評価に加え、ワーク・ライフ・バランスに対する取り組みに関しても評価を求められています。以下はその傾向が顕著に現れた内閣府による調査結果です。

内閣府の「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」によれば、長時間労働や有休取得状況は、それらを上司がどう評価すると感じるかに影響されるという結果がアンケートによって証明されています。

つまり、上司が有給休暇に関してネガティブなイメージを持っていると推測している人は有給取得率が少ない傾向にあり、労働時間が長い人は、上司が残業している人に対してポジティブなイメージを持っているだろうと考えている傾向にあることもわかっています。

そうしたことが原因なのか、同調査では「短時間で質の高い仕事を評価」について「効果的だと思う」という回答が約27%を占めたのに対し、「実際に職場で取り組んでいる」と答えたのは約4.2%に留まっています。

その他、「部下の長時間労働を減らした上司を評価する仕組み」に対して「効果的だと思う取組」と答えた正社員は18.8%、逆に「長時間労働をさせた上司への罰則/ペナルティ」に対しては17.8%が「効果的だと思う取組」だと答えていることがわかりました。

この調査では「部下が上司の意向を汲んでしまい、ワーク・ライフ・バランスを推進できていない」という事実が明らかになっていると考えられます。また、ワーク・ライフ・バランスの推進に関して評価基準を設けてほしいという思いが見受けられる調査結果なのではないでしょうか。[注2]

[注2]内閣府:「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果速報についてhttp://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/wlb_h2511/follow-up.pdf

会社全体で足並みを揃えていく必要がある

以上、ワーク・ライフ・バランス推進に関する注意点をまとめてきました。
ワーク・ライフ・バランスの推進は単純に労働時間を削減するというだけでなく、業務全体を見渡し、生産能率も伸ばしていく必要があります。

また、ワーク・ライフ・バランス推進は人事部だけに留まらず、会社全体で考えていかなければいけない問題です。社員に対するヒアリングや経営陣の説得が重要になります。
そして、人事評価の基準についても大幅な刷新を迫られています。長期労働時間の削減や有給消化をワーク・ライフ・バランス推進の功績として、しっかりと評価していく制度が今後必要となってくるでしょう。

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