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あなたの「職業」は生き残れるか

あなたの「職業」は生き残れるか

20世紀を通じて産業界で進められてきた機械化は、コンピューターの進歩と普及によって、大きく加速しました。そして今、AI(人工知能)との融合が活発に進められています。そうした動きの陰で、多くの職業が衰退し、消え去っていきました。今後も続くこの流れの中、生き残るためには何をすべきなのでしょうか?

消えていった多くの職業

20世紀から21世紀にかけての大きな変化といえば、やはり「コンピュータリゼーション」の波でしょう。波というよりもそれは潮流となって、世界中を席巻して、今もその動きを止めようとしないように見えます。
この流れの中で生まれたPCは、それこそあっという間にビジネスシーンに広がり、それまで人の手に頼っていた作業を肩代わりするようになりました。そのため、多くの職業が、ひっそりと消えていくことになりました。
おそらく、真っ先になくなったのは「タイピスト」でしょう。手書きの原稿、あるいは口述からタイプライターのキーを叩き、きれいに印字された文書に仕上げる。それは、ワープロの普及で危機に直面し、PCの爆発的な普及で完全に消え去ったように見えます。数十年前は特殊技能であった、和文タイプライターのキーを正確に素早く叩くという能力が、不要になってしまったのです。
現在では、かな変換機能を備えたPCとワープロソフト、それに使いやすいキーボードのおかげで、誰もが手軽に素早く、文章を綴ることができるようになりました。もはや、タイピストに頼る必要はなくなってしまったのです。
このような例は、まだまだあります。駅の改札係は自動改札機に。ミルクスタンドは自動販売機に。ほかにもいくらでも挙げられるでしょう。

機械化とコモディティ化で職業は消える

数年前、アメリカの学者が「あと10年で消える職業」というレポートを公開し、話題になりました。AIの専門家である彼は、今後のAIの進歩によって完全に機械化されるであろう職業をリストアップしたのです。そこでは702種の職業のうち、今後10〜20年で47%の職業が「およそ90%以上の確率で、消えてなくなる」とされています。
果たしてこのレポートどおりになるかどうか、それはわかりません。ですが、前項でお話ししたように、すでに多くの仕事が機械化によって消え去ってきました。さらに「一家に一台」以上に普及したPCと、着々と進化し続けるAIが融合することによって、人間の思考・判断すら、その必要性が薄まりつつあります。そのため、今後は今まで以上に、多くの仕事が機械化され、消え去ることになるでしょう。
仕事が消えていくもうひとつの理由は、技術のコモディティ化です。登場した当初は目新しく斬新なものであっても、それがある程度普及していくと、時間の経過とともに陳腐化していきます。似たような機能を持った別の技術も生まれるでしょうし、さらに優れたものも生み出されていくでしょう。そうなれば、登場当初は斬新だった技術もその役目を終え、消えていくことになります。
これは職業というよりも、企業の事業内容や個人のスキルについてもいえることです。特に、変化の激しい昨今のIT分野にもあてはまるのではないでしょうか。特定分野に特化した業務を行う企業、特定分野に強いビジネスパーソンは、その専門性が大きな武器になります。しかしその一方で、その分野そのものが機械化やコモディティ化によって衰退してしまったら、仕事そのものがなくなってしまうという危険と隣り合わせなのです。

付加価値と応用力で将来を生き延びろ

「仕事の消滅」という流れそのものを、変えることはできません。その中でどのように生き抜いていくのか、考えなくてはなりません。
それには、あなた以外の人材…それがAIやロボットであったとしても、あなた以外のもので代替できない価値を身に付けることです。
言葉にするのは簡単ですが、これはとても難しいことです。そもそもあなた自身の価値を、どのように測れば良いのでしょう?これまでの実績でしょうか?それとも現在のスキルでしょうか?スキルといっても、その内容はさまざまです。相手を納得させ、商談を有利に進める交渉術もそうですし、誰も思い付かないようなアイデアを生み出すひらめきもそうでしょう。それを、盤石の企画に練り上げる構成力も重要なスキルです。また、目立たないところで細かな目配りや気配りをし、チームが力を発揮できるよう手助けすることも、誰にでもできることではないでしょう。
こうして考えてみると、自分自身が気付いていないだけで、ビジネスパーソンのスキルは数値化できるものばかりではなく、むしろそれ以外の部分に数多く眠っているようにも思えます。それらは簡単に機械化できるものではなく、AIといえども、簡単に真似できるものではなさそうです。そうした、自分自身のスキルを認識して磨き上げ、あるいは新たなスキルを身に付けて付加価値を高めていくことは、これからのビジネスシーンを生き抜くための武器となるはずです。
さらに、そうしたスキルを別のフィールドでも発揮することができれば、あなた自身の価値はより高まることでしょう。

あなたは「価値ある人」になれるか

コモディティ化はいつの時代でも起こってきましたし、これからも起こり続けるものです。機械化はある程度の上限はあるでしょうが、コンピューターとAIとの融合は、単なる機械化にとどまらない変革を世界に与えるでしょう。その中で、今までは考えられなかった新たな仕事が生まれるでしょうし、その一方で多くの仕事が姿を消していくことでしょう。
しかし、そうした状況にあっても、機械やAIでは代替できない作業や仕事というものは残るはずです。企業が生き残っていくためには、その中でどれほど他社と差別化を図れるかという点が肝要になります。
ビジネスパーソン個人についても、同じことがいえるでしょう。機械化とAI化によって、商品やサービスはある程度、均質化されていくかもしれません。ですが、その中にあっても、ほかとの差別化を考え、新たな提案ができる人材こそ、市場が求める人材であるはずです。
そしてそうした「価値ある人」こそが、我々ヘッドハンターがお会いしたい方であることは間違いありません。

■オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」702業種を徹底調査してわかった(週刊現代)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40925

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