8割以上のハイキャリア人材が転職先の検討に口コミ情報を重視/転職活動時における「行動特性」調査レポート
プロフェッショナルバンクは、直近1年以内に転職活動をされたハイキャリア人材を対象に、「転職活動時における行動特性」に関する調査を実施しました。
■調査方法:「PRIZMA」によるインターネット調査
■有効回答数:317人
■実施期間:2024年7月26日(金)~2024年7月31日(水)
■調査対象:直近1年以内に転職活動をしたハイキャリア人材(年収700万円以上、年齢20代~40代)
SNS、生成AI、オンラインでのコミュニケーションと、IT革新の波は転職動向にも少なからず影響を及ぼしていると思われます。こうした転職動向の変化は、転職活動者の「行動特性」にも影響があると考えアンケート調査を実施。本記事では近年の「転職事情」と「行動特性」の調査データを紹介していきます。
目次
転職活動時の応募ルートは「転職エージェント」「企業ホームページ」が主流
転職活動時に活用した手段(応募ルート)を聞いたところ、『転職エージェント(61.8%)』『企業HP(46.7%)』『求人サイト(30.9%)』と続きました。
唯一の過半数超となったのは『転職エージェント』。経営人材や幹部候補の求人になるほど、秘匿性が高くネット上には出回らないケースもあります。そのため、ハイキャリア人材は、自身の情報収集だけでは得られない複数の求人を紹介してくれる点や、プロの視点からアドバイスおよび選考プロセスの伴走をしてくれる点をメリットに感じ『転職エージェント』を活用していると推測できます。
一方で、約半数のハイキャリア人材は『企業ホームページ』から自己応募をしていることも分かりました。自身が働きたいと思う企業と、転職エージェントから紹介される企業を、並行して選考に進む傾向も見られます。
最適と思う面接プロセスの8割以上が「対面面接」は欠かせない
転職活動において、望ましいと思う面接プロセスをハイキャリア人材に聞きました。
まず、最も望ましいという回答は『オンライン面接と対面面接の両方があり、オンライン面接の方が多い(37.5%)』であり、次いで『すべて対面面接(30.3%)』『すべてオンライン面接(17.0%)』『オンライン面接と対面面接の両方があり、対面面接の方が多い(9.8%)』『オンライン面接と対面面接が同じ比重(5.4%)』と続きます。
8割以上のハイキャリア人材は面接プロセスに「対面」でのコミュニケーションを求めていることが分かりました。
ただし、『オンライン面接と対面面接の両方があり、オンライン面接の方が多い(37.5%)』と『オンライン面接と対面面接の両方があり、対面面接の方が多い(9.8%)』を比べると、オンラインと対面どちらも面接プロセスとして設定している場合は、オンラインでの接触回数を多くしたいようです。ハイブリッド型の先進的な面接プロセスでは、ハイキャリア人材は効率を求める傾向が見られました。
8割以上のハイキャリア人材が転職先の検討に口コミ情報を「重要視している」
転職先を検討する際に、検討先企業の口コミ情報をどの程度重要視しているか質問したところ『非常に重要視する(32.8%)』『ある程度は重要視する(50.8%)』『あまり重要視しない(12.9%)』『まったく重要視しない(2.2%)』『見ない(1.3%)』という結果になりました。
『非常に重要視する』と『ある程度は重要視する』を合わせると、8割以上のハイキャリア人材が転職先の検討に口コミ情報を活用していることが分かりました。
【トピック】転職活動中に利用した情報源やツールについて、任意回答を紹介
■転職者の声
■YouTubeでの転職体験談
■業界ブログ
■LinkedIn
■X(旧Twitter)
前述の調査結果のとおり、ハイキャリア人材は転職活動時に「口コミ情報」を重要視していることが分かりました。任意回答でも、この「口コミ情報」に類似する「転職者の声」「YouTubeでの転職体験談」などが挙がった背景から、実際に社内環境を把握している第三者からの情報を重要視していることが改めて分かります。
また、「LinkedIn」「X(旧Twitter)」とSNSが採用ツールとして浸透し始めている点も読み取ることができます。
ハイキャリア人材の7割以上が「今後、職務経歴書の作成に生成AIを活用したい」
転職活動において職務経歴書の作成に生成AIを活用したことがあるか質問したところ、7割のハイキャリア人材が『活用したことがある』と回答しています。また、将来的な活用にフォーカスして統計を見ると、『活用したことがあり、今後も活用したいと思っている』と『活用したことはないが、今後は活用したいと思っている』の合計は75.7%にも上り、今後はAIを活用した職務経歴書の文章作成および文章添削が主流になる傾向が見られました。
ここまでは、ハイキャリア人材転職活動における情報源やツールについて、調査データを紹介しました。
オンライン化が進んだ社会の中でも、環境の変化を伴う転職活動では「対面」でのコミュニケーションを必要とするハイキャリア人材が多いことが分かりました。移籍を決定するための判断材料として、実際にオフィスを見ること、対面で身振り手振りを交えて話すことで把握できる人となりなど、対面面接ならではの魅力の伝え方を模索していくことが重要です。
また、AIの登場により、職務経歴書でのスキル判断は難しくなるかもしれません。効率化(IT化)が進む世の中であっても、面接選考での見極めが以前にも増して重要になってくる時代です。
口コミ情報を重要視するハイキャリア人材も多くいることが分かりました。経営者・人事担当者は、面接でのコミュニケーションだけではなく、メディアに露出されている様々な情報源にも気を配っていく必要があります。表向きの採用力ではなく、口コミ情報として表れやすい社内環境、評価制度、取引先との関係などから改善できる点は対応する必要があるというわけです。
転職活動の開始時と転職先企業の意思決定時、相談相手はいずれも「配偶者/パートナー」
ハイキャリア人材が“転職活動を始める際”に相談する相手は『配偶者/パートナー(65.9%)』、次に『家族 ※配偶者以外(27.8%)』『友人(19.2%)』『転職エージェント(19.2%)』と続きます。一方で、“転職先を決める最終的なタイミング”では、『配偶者/パートナー(61.3%)』『家族(26.4%)』の1位、2位は同じで3位に『転職エージェント(17.9%)』と続きます。
やはり、転職という人生の大きな転機となる場面では、経済面、生活面、健康面と、直接的に影響がある親族関係者への相談が欠かせないということが分かりました。
また、転職先検討の最終段階だけではなく、転職活動を始めるタイミングで『配偶者/パートナー』へ相談している点、ハイキャリア人材の家庭内の影響力を鑑みると、仕事関係の相談は早めに家庭への共有をしていると推測できます。
約9割のハイキャリア人材は、半年以内に「転職先が決まる」
転職先が決定するまでに、おおよそどのくらいの期間を要したか質問したところ、最も多い回答は『3ヶ月(22.6%)』であり、次いで15.1%の同数で『2ヶ月』『4ヶ月』『5ヶ月』と並びます。さらに、『1ヶ月(12.3%)』『6ヶ月(8.5%)』の決定者を加えると、約9割のハイキャリア人材は半年以内に転職先が決定していることになります。
転職活動時の併願企業数は5社以内が9割、3社併願が最も多く3割程度
転職活動中に併願して選考に進んだ企業の数を質問したところ、最も多いのが『3社(28.4%)』で、『2社(23.3%)』『4社(14.8%)』『1社(12.9%)』『5社(11.4%)』と続きます。
転職活動時、約7割のハイキャリア人材が「現職の業務パフォーマンスが向上」している!
最後に、転職活動と現職の業務パフォーマンスの因果関係を調査したところ、『大きく向上した(27.1%)』『やや向上した(42.3%)』を合わせて約7割のハイキャリア人材が、現職の業務パフォーマンスが向上しているという驚きの結果に。
また、『大きく低下した(0.6%)』『やや低下した(4.1%)』を合わせると1割にも満たず、転職活動をすることで生じる現職業務以外の機会によって仕事のパフォーマンスは落ちないことが分かりました。かえって、“立つ鳥跡を濁さず”のことわざ通り、転職後の現職のことを考えて業務効率が上がったり、転職活動が上司や会社にバレないよう心理的な衝動から普段よりも仕事に力を注いだりと、業務パフォーマンスが向上するきっかけになっている可能性も今回の結果から推測できます。
ここまでがハイキャリア人材の転職活動時における行動特性の調査データです。
転職、いわば“働く環境が変わる”という転機における1番の相談相手は『配偶者/パートナー』であることが分かりました。企業側は、採用したいハイキャリア人材の期待に応えるオファーだけではなく、家庭への影響を考慮したコミュニケーションが今後も必要になるでしょう。
そして、ハイキャリア人材の転職活動では、5社以内の企業を選考して、6ヶ月以内に転職先が決まるようです。また、その約6ヶ月の間、現職の業務パフォーマンスはほとんど低下しない、という特性が分かりました。