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シニア社員向け研修で組織力強化!その重要性やメリット・成功法を紹介

シニア社員向け研修で組織力強化!その重要性やメリット・成功法を紹介

少子高齢化による慢性的な人手不足により、多くの企業で正社員の確保が課題となる中、50代~60代以降のいわゆる「シニア社員」の労働力としての価値は高まっています。そんなシニア社員の戦力化は、企業にとっての喫緊の課題です。
そこで今回は、シニア社員に向けて研修を行う重要性やメリット・成功法について解説していきます。

シニア社員の意欲低下を防ぎ活用していくためにシニア社員研修が重要

2013年の高齢者雇用促進法改正で、定年の廃止もしくは65歳までの雇用が義務付けられたことを背景に、60歳以上でも同じ会社で働き続けるシニア社員は増え続けています。企業としても、自社の仕事と文化を熟知しているシニア社員の戦力化は推進したいところでしょう。ですが、未だシニア社員を上手く活用できているとは言い難い状況があります。

その要因の一つとして、シニア社員を取り巻く環境の変化が挙げられます。
肩書の返上や賃金のカットに加え、今まで部下だった者が上司になったり、新しい技能を習得する必要が出てきたりします。こうして本人の労働環境が激変することで、本来持っている力を発揮できなくなり、労働意欲の低下に繋がってしまうのです。
そして、労働意欲が低下したままの状態で定年以降も働くことになると、本人と企業、双方にとって良くない結果となる可能性があります。

そのため、シニア社員はそうした環境の変化に対応するために、自らのキャリアを見直し変化していく力を身につけなければなりません。しかし、この環境変化は得てして本人の望まぬものであるため、なかなか意欲が湧かないという面もあります。そこで、シニア研修が重要な意味を持つのです。

シニア社員を対象にしたキャリア研修では、本人がシニア社員となった後に意欲的かつ快適に働けるような意識改革を行います。具体的には、立場の移行によって生じる現実を把握した上で本人の価値観やスキルの棚卸を行い、シニア期に必要な能力の開発や心構えの形成に繋げていきます。

例えば、サントリーでは、50代の社員にキャリア研修を実施。同僚と上司からメッセージを貰うことで、自身の役割の把握とモチベーションの向上を図っています。このように、シニア社員早期から対策を行うことで、ベテラン社員としての役割を自覚し、労働意欲の向上が見込めます。
定年後も意欲的に働けるようにするためには、定年が見えてくる50代の頃から、再雇用を見据えたキャリア研修を行うことが重要となるのです。

シニア研修は若い世代・企業全体にもプラスに働く

シニア研修を実施することで、これからシニアとなっていく若い世代に安心感を与えることができる上、企業にプラスの影響を与えられるという点もまたメリットです。

雇用の安定と長く働ける環境の提供を企業ができている証左となりますし、シニア世代が意欲的に働く姿は、若手社員の来たるべき将来の姿、ロールモデルとなります。その結果、会社へのエンゲージメントが上昇し、会社組織の一体感を高めることに繋がるでしょう。

また、シニア社員の戦力化は企業の働き方改革に資する面もあります。
例えば、採用コストをかけずに人材を確保できますし、フルタイム社員の育児休業時や時短勤務者の退社後に残っている業務をフォローすることも可能です。

さらに、シニア社員活用のノウハウを積み上げることができ、より良い環境を来たるべきシニア社員に提供できるようになるので、企業価値の高まりも期待できます。

シニア研修を成功に導くには研修だけでなく制度・環境の整備も必要

シニア研修は非常に意義のあるものではありますが、もちろん、研修だけではシニア社員の労働意欲が改善しない可能性もあります。シニア社員を戦力として活用するためには、シニア研修とセットで企業の制度の整備も必要です。

例えば、シニア社員のノウハウやスキル、経験や人脈をそのまま活かせる仕事を創出し、シニア社員がモチベーションを維持できるタスクを割り振ることは必要不可欠で、それに見合った賃金制度の整備も重要です。

企業側がシニア社員を重要な戦力として捉え、成果を期待しなければ、本人の意欲も下がります。シニア社員が働きやすい環境を整備するには、現在は外国人や女性、LGBTQが中心のダイバーシティの観点に「年齢」を加え、シニア世代への偏見をなくしていくこともまた重要です。このような取り組みにより、企業側がシニア社員に新たな役割像を提示していくことが重要です。

シニア研修を成功させてシニア世代の経験・ノウハウを活用する

シニア社員が定年後も活き活きと仕事をしていくためには、再雇用後の「心の余裕」を作り出すことが重要です。そのためには、研修と制度改革をセットで行い、働きやすい環境の構築をしなければなりません。
人材獲得が困難な状況の中、シニア世代の経験やノウハウを活かさない手はありません。企業の価値を高めるためにも、シニア研修の実施は重要と言えるでしょう。

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