ハラスメント発覚後の不当な精神的被害「セカンドハラスメント」の原因と対策

セカンドハラスメント

セカンドハラスメントとは、セクハラやパワハラを受けた人が、その後に周囲の同僚や上司からバッシングを受けたり、仕事の協力を得られなかったりといった二次被害を受けることを言います。

勇気を出して相談したにもかかわらず、二次被害を受けると大きなショックを受けてしまいます。この二次被害を予期して、ハラスメントを受けているにも関わらず、声を上げられずに泣き寝入りしている社員も存在するほどです。

では、セカンドハラスメントはなぜ起きてしまうのでしょうか。その問題点や原因、そして対策についてみていきましょう。

セカンドハラスメントは加害者側に罪の意識が薄いことが問題

セカンドハラスメントの問題として、ハラスメントをしている当人にとっては親切心から言葉をかけていると認識している場合があります。この「加害者側が被害者のことを心配して罪の意識もなく言葉をかけている」という事実が、セカンドハラスメント対策をより難しくしています。

例えば、「気にすることはない」「大したことじゃない」といった何気ない気休めのつもりの言葉も、セクハラやパワハラなどで深く傷ついている当人にとっては、グサグサと突き刺さってくる言葉として受け止められることがあります。

また、女性から女性へのハラスメントの典型例として、セカンドハラスメントが取り上げられることもあります。例えば、セクハラや痴漢などの性的被害を受けた女性に対して「そんな格好をしているほうが悪いのよ」「なんでふたりきりになったの」といった言葉を投げかけるような事例です。この言葉によって被害を受けた女性はさらに傷つき、周囲からの協力を拒んで自ら孤立していってしまうのです。

こうしたセカンドハラスメントが放置されてしまうと、メンタル面のバランスを崩して休職したり、最悪の場合は離職したりと職場にとって打撃となる事態が生じる可能性もあります。

セカンドハラスメントの大きな原因は加害者側の想像力の欠如

セカンドハラスメントの大きな原因は「想像力の欠如」です。前述の例でいえば、性的被害を受けた女性は相当な苦しみに耐えています。自分が性的被害を受けてしまったという事実を認める苦しみもありますし、その事実を打ち明ける苦しみもあります。そうした苦しみに思いを馳せることができないために、セカンドハラスメントに該当する言動をしてしまうのです。

また、セカンドハラスメントの加害者には、パワハラやセクハラといった一次被害の「当事者」であるという意識がありません。社内で起きたセクハラやパワハラはそれを行った主犯がいるものですが、その主犯のみを加害者と認識するのは誤りです。被害者にとってみれば、周囲の人々はそうしたセクハラやパワハラを黙認し、助けてくれなかった存在として映っている場合があるからです。

無関心だった、あるいは無関心を装った職場内の人々も同じ組織の構成員として責任の一端があると考えると、気休めの言葉をかけようとする態度が被害者にとってどう映るのか、その意味合いに気づけるのではないでしょうか。

人事担当者ができるセカンドハラスメントの対処・防止法

では、会社の人事担当として、セカンドハラスメントはどのように対策していけばよいのか。

まず、会社にはハラスメントの改善努力が義務であることを意識し、ハラスメントがコンプライアンス違反である事実を社内制度などで明記しておく必要があります。例えば、パワハラを受けた後のセカンドハラスメントは、損害賠償の対象となりますし、セクハラのそれは男女雇用機会均等法違反となります。セカンドハラスメントはパワハラやセクハラと同じ違法行為であり、会社の名誉を傷つけ、信用を失墜させるものと覚えておきましょう。

また、セクハラなどのハラスメントの報告を受けたときには「傾聴」が重要です。「そんなことくらい…」「俺のときはこうだった」的な言動は慎みます。こういった発言自体セカンドハラスメントになる可能性があるからです。相談を受けたことは上席に報告を行いますが、ハラスメントの程度に応じて個人情報を秘匿していく必要があります。ハラスメント解決のために協力する姿勢を示すことで、被害者が安心できる環境を整えます。

そして、本人が職場に通勤できなくなったなどの重大事のときは、弁護士や労働組合といった第三者の専門家を頼り、適切に対処していくことも重要です。

普段から研修でセカンドハラスメントの事例をレクチャーしておくことも効果的です。前述の通り、セカンドハラスメントは善意から生じている場合があります。そうした事実に気が付くためには、実際にセカンドハラスメントがどのようなものなのかを把握することが大切だからです。

定期的な研修や情報共有でセカンドハラスメントを予防し快適な職場を

社員が働きやすい環境をつくることは企業の義務です。セカンドハラスメントを含めたハラスメント全般を未然に防止していくためにも、定期的な研修や情報共有を通して、社内の人権意識を高めていくことが求められています。

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