成果主義とは?メリット・デメリットから紐解く失敗しない人事制度づくり!

成果主義とは?メリット・デメリットから紐解く失敗しない人事制度づくり!

20世紀の終わり頃、日本企業では「成果主義」という人事制度を取り入れる企業が続々と現れました。
アメリカでは一般的な人事制度ですが、日本における成果主義の歩みは決して平坦ではなく、失敗も成功も経験してきました。

そこで本記事では、成果主義が日本企業にもたらす影響をメリットとデメリット双方から解説します。永遠のβ版と言われるほど、人事制度に正解はありません。日本には合わないとさえ言われた成果主義をうまく活用することが、ライバル企業に勝る魅力となるでしょう。

成果主義とは?

成果主義とは、社員の「成果」のみに基づいて評価を行い、賃金や人事を決める人事制度を指します。英語では、「Result-based Human Resource Management」と表記し、成果主義賃金制度とも呼ばれます。

年齢や学歴は一切関係なく、成果を出せば賃金が上がる、成果が出なければ賃金は下がるという単純な仕組みです。ただ、日本は昔から終身雇用の文化があり、「年功序列」による人事制度が主流でした。

年功序列との違い

年功序列とは、年齢や勤続年数に基づいて評価される人事制度を指します。年功序列型賃金制度とも呼ばれ、長く勤めるほど賃金が上がっていくという仕組みです。

成果主義とは対義語に当たりますが、成果をまったく無視するというわけではありません。勤続年数が増えるほどスキルが磨かれていくだろうという、終身雇用を前提とした日本らしい考え方が反映された人事制度と言えます。

能力主義との違い

成果主義と同義として間違えられやすい能力主義。これは、個人の「能力」を評価基準として待遇を決める人事制度です。

ここでいう能力とは、会社の目標達成に向けて従事した職務遂行能力を意味します。つまり、成果として表れる顕在能力、将来の期待を含めた潜在能力、資格保持者として持つ知識力、長年の経験値など、成果だけではない様々な要素を評価基準として取り入れているのが能力主義の特徴です。

一方で、能力は成果ではないため、早期に賃金として反映させるのが難しく、成果主義のような個人成績を直接的に評価できる制度には至りません。

日本における成果主義の歴史

なぜ今、再び成果主義が注目されているのでしょうか。
その答えは日本における成果主義の歴史を紐解くことで見えてきます。
成果主義賃金制度が注目される背景を解説する、人事制度と社会情勢の歴史年表

■戦後から1990年(年功序列期)

戦後の日本は高度経済成長をきっかけに、各企業は順調に業績を伸ばしている状況でした。そのため、人件費を軽視した評価制度の運用となり、年齢や勤続年数に応じた「年功序列制度」をほとんどの企業が取り入れていたのです。

■バブル崩壊(第1次 成果主義期)

しかし、1991年にバブルが崩壊。日本経済はこのあと約10年間の経済停滞に陥ります。バブル崩壊による業績の悪化により、これまで軽視していた人件費が経営方針を左右する重要な指標になったのです。
日本国の伝統として尊重されてきた年功序列という人事制度が通用しなくなった当時、従業員のモチベーションを向上させて業績を回復させる人事制度として「成果主義」が導入されることになります。

■2000年代に突入(独自制度期)

結論から言うと、2000年代に入っても成果主義は日本に浸透しませんでした。人件費削減を目的に、成果主義賃金制度を導入する企業が増えてきたのは事実です。しかし、これまでの年功序列の文化を変革することは容易ではなく、経営者も、人事も、従業員も、成果主義賃金制度の正確な知識がないまま運用したことが浸透しなかった最たる原因と言えます。

このように、年功序列からの脱却と成果主義の不定着により、2000年代に入ってからは独自の制度を設計する企業も増えてきました。その結果、各社それぞれの企業文化を持つようになり、それが人材獲得競争にも影響を与え始めたのです。

■2019年から現在(第2次 成果主義期)

独自の人事制度を運用する企業が増えてきた中、2019年に「働き方改革」が推進されました。働き方の選択肢が増えたことで、従来の評価制度での運用が難しくなり、従業員の成果に応じた評価制度を検討する企業が増えてきました。そこで、VUCAの時代を勝ち抜く人事制度として成果主義が再注目されているのです。

成果主義のメリット

2019年頃から再注目された成果主義ですが、それ以前から個人成果のみを評価して賃金に反映させる仕組みを導入している企業はありました。それだけのメリットが成果主義賃金制度にはあるのです。

3つのメリット

①モチベーションの向上

②人材育成と人材確保

③過剰な人件費削減

★メリット①:モチベーションの向上

成果主義は、等級や勤続年数は関係なく個人成果を評価する制度ですから、努力の結果が正当に賃金に反映されます。そのため、社員は成果を出すために高いモチベーションで仕事に取り組み、会社への貢献度も高くなるのです。

★メリット②:人材育成と人材確保

成果主義で高い評価を獲得し続けるためには、成果を出すための努力とスキル向上が必要です。逆に言えば、成果を出さなければ評価されず役職も賃金も上がりませんから、社員が主体的にスキル向上に努めるようになり、自然と人材育成に繋がります。

また、成果に応じた賃金制度であるため人材確保にもメリットがあります。
採用において、優秀人材を条件面での折り合いがつかず、逃してしまった経験がある人事担当者は多いと思います。成果主義では、成果に応じた賃金設定が可能ですから優秀人材に対する条件提示で悩むことはないでしょう。社内調整も必要ありません。

★メリット③:過剰な人件費削減

年功序列の賃金制度は、社員の勤続年数が増えるほど賃金も高くなり人件費がかかります。一方で、成果主義の賃金制度は成果に応じた賃金が配分される仕組みです。

つまり、会社にとっての過剰コストとは、勤続年数が増えるほどに高騰する成果に基づかない賃金体系のことです。成果主義賃金制度を実施することで過剰な人件費を抑えることができ、全社平等な給与体系を維持することができます。

成果主義のデメリット

成果を出す社員には手厚く、成果の出ていない社員にはコストはかけない。実に明確な基準です。1990年代(第1次 成果主義期)に多くの日本企業が採用した成果主義が、これらストレートな評価制度でした。それにより、様々なデメリットも表面化することになってしまいます。

3つのデメリット

①中長期的な成果目標を軽視

②チームワークの低下

③異なる評価基準による不公平感

◆デメリット①:中長期的な成果目標を軽視

成果主義のような個人成果に基づいた評価では、中長期的な目線での成長を期待できなくなってしまいます。なぜなら、社員は目先の成果に繋がる取り組みを重視する傾向があり、成果以外で得られる知識や経験が疎かになってしまうからです。

成果主義とはいえ、短期的な成果だけではなく中長期的な目標も評価基準として設定することで社員の成長をサポートすることも必要でしょう。

◆デメリット②:チームワークの低下

個人成果を評価することで、組織活動よりも個人活動が増えてしまう可能性があります。社員同士が健全な競争関係を維持できれば良いですが、組織の調和を乱すような取り組みが横行するケースも考えられます。

◆デメリット③:異なる評価基準による不公平感

成果とは言っても、各部署によって評価基準は異なります。例えば、数字で成果が分かる営業部と成果が数字では表れない管理部門では、同様の基準で評価することは難しいでしょう。このように、評価基準に差が生じてしまう点は乗り越えるべき課題と言えます。

成功例と失敗例

成果主義がアメリカから日本に渡って以降、日本企業は成功も失敗も経験しながら人事制度を模索してきました。再び成果主義が注目される昨今、過去の成功例と失敗例から成果主義賃金制度の特徴を紐解いていきましょう。

★成功例①:職種によって評価基準を変更

職務内容と期待役割に応じた評価基準を設定して、納得感のある人事制度を運用した成功例です。成果が出るまでに時間のかかる研究部門は長期的成果で評価し、成果の出やすい生産部門・営業部門においては成果+習熟度で評価を実施しました。

これにより、成果を軸にした考え方でありながら評価基準の曖昧さを解消し、社員にとっても満足感のある人事制度を運用できるようになりました。

★成功例②:売上高への意識改革と評価の透明性

成果主義における管理職の評価基準も明確にし、企業業績への貢献度を賃金に反映させる仕組みです。つまり、売上高に対する意識改革を成果主義で実現させた成功例になります。

単に経営陣や役職者にも目標管理を徹底させるだけではなく、評価の透明性も明確にしたことで、社員からの納得感も得られる運用になりました。個人成果を追い求める中で、全社一丸となって売上を意識する集団になっていったのです。

◆失敗例①:無難な目標設定が目立ち、人材育成に影響

成果目標を各社員に設定させて、評価者はその達成度のみで評価するという仕組みです。この運用では達成水準によって評価が決まるため、はじめから低めの目標を設定する社員が続出しました。これにより、本来は評価されるべき新たなチャレンジや中長期的な目線での会社貢献を目標に掲げる社員は減少し、モチベーションの高い社員を失ってしまうことになりました。

◆失敗例②:ベテラン社員が個人成果を優先し、人材育成に影響

成果主義を導入することで定年制を廃止し、等級に限らず社員同士の競争を促した例もありました。しかし、ベテラン社員が自分の成果を追求するあまり、若手人材の育成が疎かになり、結果的には中長期的な目線での企業成長に歯止めをかけてしまう結果となりました。

◆失敗例③:社内競争の激化に伴い、ノウハウ共有の減少と組織調和に乱れ

成果主義賃金制度における、個人成果のみが評価に直結するという評価基準が組織活性化を妨げる要因にもなりました。個人成果を上げるために社内競争が激化し、人脈の形成やノウハウの共有が著しく減少してしまうという悪循環に陥りました。

成果主義という制度の活用ノウハウ

成果主義制度の各社取り組み

先述したデメリットや失敗例から分かる通り、アメリカ由来の成果主義そのものは日本に合わない要素も多く含まれています。だからと言って、これまで通り年功序列を基礎とした人事制度を継続していくことは、働き方の多様化を推進する日本にとって難しくなってきました。

そのため、今の日本では、“アメリカ由来の成果主義”と“日本独特の文化”を掛け合わせた人事制度の運用が望ましいとされています。

アメリカ由来の数値化された情報のみで成果を判断するのではなく、成果を出すための「過程」を加味する評価基準や、期待役割に対しての達成度合いから評価を行い、一定割合で賃金に反映させる運用を実施する会社も増えてきました。

成果主義導入のポイント

2000年代に日本で成果主義が衰退した背景には、数値に表れない部分の評価がおざなりになってしまったことが挙げられます。つまり、数値化しにくい活動も含めた「成果の定義」と、その評価基準を確立することができれば、より現実的な人事制度となるはずです。

短期的な成果だけでなく、中長期的に利益を生み出す業務にどれほど貢献できたか。サポート業務も含めて、組織の成長にどれほど寄与できたか。自分自身の成長のために努力や新たなチャレンジを積極的に行っているか。これらの領域までカバーすることのできる人事制度を作れるかどうかが、成果主義導入の成功と失敗を左右するポイントとして挙げられます。

まとめ

働き方改革が推進されたことにより、再び成果主義賃金制度を導入する企業も増えるでしょう。人事制度の構築は、他社のマネではなく、他国のマネではなく、自社に適した評価制度を運用することが大切です。ただ、すぐに自社に合った運用方法を見つけるのは不可能ですし、正解もありません。様々な評価制度の良い所を自社で運用してみて独自の人事制度を築き上げていくことが望ましいでしょう。その様々な評価制度の1つに「成果主義」があるということです。

人事制度は、採用においても候補者の重要な判断基準になります。
明確な評価制度を取り入れている企業は、人材獲得競争で優位に立てます。候補者は、自身の活躍が正当に評価される会社に行きたいと思いますから。

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