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研修効果を正しく測定してプログラム改善につなげる方法

研修効果を正しく測定してプログラム改善につなげる方法

社員の教育のために行われる研修は、これまでいかに社員の興味を引くか、社員にとって意味深いものにするかに重きが置かれてきました。しかし近年では、研修がどの程度その目的を達成しているかという点に注意が向けられています。そのために利用されているのが「研修効果測定」です。ここでは、研修効果測定のメリットや正しい方法、さらに研修効果を測定した後の対応などについて見ていきましょう。

研修効果測定で研修内容の課題を見つけ改善していくことが可能

研修効果測定には大きなメリットがあります。まずポイントとして挙げられるのが、研修内容の改善が見込めることです。

研修効果を測定すると、研修の中のどの部分が社員の記憶に残り行動へと促しているのか、逆にどの部分が忘れられているのかをある程度把握することができます。すると、どの部分で改善が必要なのか、もしくは研修の内容を全く異なるものに変更してしまったほうがよいのかなどを考慮するヒントを得られます。研修は研修を行い続けるためではなく、成果を出すためのものであるため、常に改善点を探していくことが重要なのです。

続いてメリットとして挙げられるのは、研修の費用対効果を知ることができる点でしょう。研修にはそれなりの費用がかかるため、それに見合った成果が得られているかどうかを確認することが必要です。研修効果測定では最終的な成果まで測定することは困難ですが、それだけ費用をかける価値のある研修かどうかを見極めるのには役立つはずです。

研修効果測定の正しい方法

研修効果2
研修効果測定は正確に行わなければ、研修の改善点などを見つけることはできません。研修効果測定はドナルド・カークパトリックの4段階評価法を利用することで正しく行えます。
ドナルド・カークパトリックの4段階評価法とは、1つ目の反応レベル、2つ目の学習レベル、3つ目の行動レベル、4つ目の結果レベルと4つの段階に分けて評価する方法のことです。

1つ目の反応レベルを測定する主な方法は、アンケートです。研修は面白かったか、内容が理解しやすかったか、学んだことは仕事に役立てられそうかなどについて社員がどのように感じているかを知ることができます。複数の研修を行っている場合には、それぞれのアンケートの回答の違いから、研修内容の改善点などを浮き彫りにすることが可能です。

2つ目の学習レベルを測定するためには、試験が効果的です。研修で学んだ内容をテストにして出題し、社員に回答してもらうことで、どの程度研修の内容が記憶に残っているのかがわかります。特に研修の前と後でテストを行うことによって、研修にどれだけの効果があったかを測定できます。さらに数ヵ月期間を空けてさらに試験を行うと、研修内容の定着度がわかります。

3つ目の行動レベルの測定はやや困難です。もっとも一般的に用いられるのは「回顧調査」です。回顧調査とは、一定期間が過ぎた後、ある社員の上司や同僚、部下などに対して聞き取り調査を行い、どの程度研修内容が実際の行動に反映されているかをチェックするものです。

この回顧調査で重要なのは、比較対象を置くこと、そして研修内容を実践する時間を与えること。例えば、研修を受けた人とそうでない人とで調査を行うことが重要です。研修前と研修後しばらく経ってからを比較することで、研修の効果を正確に測定できます。

4つ目の結果レベルの調査はさらに困難です。測定方法は業績の向上、ミスの減少、サービスの質の向上などが考えられますが、全てが研修の結果に依存しているわけではないので、参考程度であることを理解しておくことが重要です。

またはROI分析という分析方法によって研修に要した費用に対してどのくらいの業績が生み出されたかを測定することが可能です。ただし、この分析には比較対象となるデータが必要であることに加え、研修費用に何を含めるかを決める必要があることなどいくつもの要素が関係しています。結果レベルの測定に関しては、研修に効果があるかないか程度の判断が行えるということになるでしょう。

研修効果測定後の対応について

研修から最大限の結果を得るためには、研修効果を測定するだけでは十分ではありません。重要なのは、研修効果を測定した後の対応です。研修の改善を行うことはもちろんのこと、その測定結果を人材育成の組織化に活かすために用いる必要があります。

研修で学んだことを各社員が実際の仕事に適用することにより、さらなるスキルアップを促すことができるでしょう。研修の効果が薄いように思えるなら、管理職が部下に対して研修内容の理解度を確認したり、実践できるようアドバイスしたりといったサポートが必要かもしれません。測定結果に応じてさまざまなアプローチを行うことで、会社の業績向上に役立てることが可能です。

研修効果の測定で定着度を上げる

ほとんどの企業で研修が行われていますが、十分な結果を得ているとはいえない企業もあります。研修を受けた社員がその内容を十分理解していない、もしくは理解はしているものの定着していないことも少なくありません。研修効果を的確に測定してその結果を研修内容に反映し、より定着率の高い研修を実施できるようにしたいものです。

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