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離職をどうやって防止するか?~離職率改善のために行うべきこと~

離職をどうやって防止するか?~離職率改善のために行うべきこと~

人材の離職は企業にとって大きなマイナスです。ですが、人が離れていくには、それだけの理由があります。まずは離職の理由をつきとめ、対策をすることです。リテンションマネジメントを実践することで、離職を防ぐとともに、働きがいのある職場を実現することも可能になります。

離職が企業に与えるダメージ

人事担当者であれば、今さら言われるまでもないことですが、人材の離職が企業に与える悪影響はかなり大きなものです。

1. 採用・育成コストが無駄になる
2. 新規採用のためのコストが新たに必要
3. 技術やノウハウの流出の懸念
4. 職場の士気の低下
5. 取引先など、社外での評判の低下

日々の業務を動かし、企業の成長を担うのは、それぞれの部署で動く社員です。それだけに、採用は企業にとって重要ですから、それなりのエネルギーとコストを使って採用にあたります。新卒であれば育成にも力を入れますし、即戦力の中堅クラスであればヘッドハンティングを利用したり高めの年収額を設定したりと、やはりそれぞれコストをかけるものです。
そうした投資に見合う成果が得られるまえに離職されてしまっては、企業側としては損失です。さらに、技術の流出や士気の低下が起これば、それは単純にコスト換算できるものではありません。

人はなぜ辞めていくのか

離職率を抑えるには、まず離職の理由を知ることです。厚生労働省の「平成26年雇用動向調査結果の概況」によれば、20歳以上40歳未満の男性離職者の離職理由として「労働条件が悪い」「給料が少ない」が多く見られています。

業界にもよりますが、20歳以上40歳未満の層は、多くの企業で「仕事量の割には、なかなか給料が上がらない」という世代でしょう。そのため、より有利な環境と報酬を求めて他社に流れていく、というのも理解できます。
離職防止という視点から報酬を考えるなら、単に「給料を上げる」ということではなく、実績に見合ったボーナスを支給したり、ストックオプションを導入したりするなど、制度そのものを見直し、人材のつなぎ止めに有効な方法を探ることも必要になるでしょう。

人はお金だけでは動かない

手放したくない人材を、多額の報酬でつなぎ止める。報酬による離職対策とは、シンプルにいえばこういうことです。ですが、お金でつなぎ止めた人材は、お金によって去っていきます。より多額の報酬を支払う企業があれば、躊躇なくそちらを選ぶことになるでしょう。
また、人が仕事を選ぶとき、報酬は確かに大きな要素ですが、それだけで仕事を選んでいるわけでもありません。多くのビジネスパーソンは、報酬もさることながら、それ以外の要素も重視しています。
他の記事でも触れたことですが、当社が関わった転職者の2割以上は、年収が下がるにもかかわらず転職を決めています。つまり収入は、仕事をする上で大きな要素ではありますが、それ以上に仕事の内容や職場の環境、その他さまざまな労働条件などが、仕事を決める上での重要な要素となっているのです。

ビジネスパーソンが仕事に求めるものは?

私たちはヘッドハンターとして、これまで実に多くのビジネスパーソンと接し、仕事について本音の部分で語り合ってきました。すると、多くの方が仕事や職場に対して、報酬以外のさまざまなものを求めていることを実感します。
そのポイントは本当に人それぞれです。「やりがいを持てる仕事か」「自分のスキルを高められるか」「成長できる環境があるか」。さらに「ワークライフバランス」や「福利厚生の充実」など、さまざまな物差しで仕事を選ぶのです。
もちろん、こうした“物差し”は、業界・業種によって、また個々の企業によって違うでしょう。いずれにせよ離職を防ぐためには、社員が仕事と会社に何を求めているのかを探り出し、それを満足させることが必要です。
さらに、すべての人材の積極性を引き出すためには、「この会社、この仕事でがんばるんだ」という、より前向きな動機付けが必要で、その要因を作ることが必須ということになります。リテンションマネジメントを考えるとき、これは欠かせない要素でしょう。

リテンションをどのように実践するか

では、どのような方法でリテンションを実践していくのか。具体的な方法は状況によってさまざまで、その方向もいくつかに分けて考えることができます。
例えばコミュニケーションの上では、社内の風通しの良さに加えて、上下関係における信頼関係の構築などが挙げられます。ことに経営者が自分の考えを社員に伝える努力をしたり、日頃の努力に対して感謝を表したりといった行動を取ると、社員の士気は大きく上昇します。
制度的な枠組みでいえば、例えばワークライフバランスの調整です。勤務形態や勤務時間、さらには育児休暇など、家庭人としての活動がしやすい枠組みを作れば、そこで働くことのメリットとして大きなものになるでしょう。
自分を高めたいと考える社員には、キャリアアップや能力開発の機会を用意すれば、本人のモチベーションをさらに引き出すこともできます。

ヘッドハンターはリテンションマネージャー

このように、リテンションの施策はいくつかあり、それは個々の会社によって、また対象によって変わってきます。自社に適した方法を採らないと、さして効果を上げられないばかりか、コストと手間の無駄になってしまいます。リテンションマネジメントの難しいところですが、そこに私たちがお手伝いできることがあるのではと考えています。
私たちヘッドハンターは、多くの企業、多くのビジネスパーソンを見てきました。そして、「なぜ、何を求めて離職するのか」を間近に見てきました。それを思えば、ヘッドハンターはリテンションマネージャーとしての資質を持っているといえるのかもしれません。

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