人事ねた

ミッションステートメントとは?明快に解説!効果的な作り方と企業事例4選

ミッションステートメントとは?明快に解説!効果的な作り方と企業事例4選

企業にとって、自社がどのような会社なのか、どのようなポリシーをもって経営を行っているのかを社外に発信することは非常に重要です。社外に向けた発信によって、より多くの顧客を獲得したり、既存の顧客との関係性を強めたりできるからです。

対外的なアピールにおける重要な要素のひとつとして、ミッションステートメントが挙げられます。この記事では、ミッションステートメントとは何か、効果的な作り方や企業事例もご紹介します。

ミッションステートメントとは?

ミッションステートメントとは企業の行動指針のことで、抽象的になりがちな経営理念をより具体的な行動に落とし込んだものです。英語では「mission statement」と言い、missionの意味は「使命や任務」、statementの意味は「声明」の2つの単語から成り立っています。これらの意味から、使命や任務に対して声明を出すということがわかります。

ミッションステートメントと企業理念の違い

ミッションステートメントと企業理念が同じものだと勘違いしている人いるかもしれませんが、それぞれ別の意味を持っています。企業理念は企業としての考え方を示すため抽象的・観念的なものが多く、それをより具体的に行動指針として落とし込んだものがミッションステートメントになります。

つまり企業理念はタイトル、ミッションステートメントはサブタイトルのような意味合いがあり、タイトルである企業理念だけでは何をするかわからない部分があったとしても、サブタイトルであるミッションステートメントが具体的に何をするのかを示しているとも言えます。

ビジョンステートメントとは?

ミッションステートメントと類似した言葉で「ビジョンステートメント」という言葉があります。ビジョンステートメントとは、企業が将来の目的や夢、ゴールを言葉に表現したもので「未来」における将来像を表しています。それに対しミッションステートメントは企業理念をより具体的に行動指針として落とし込んでおり、「現在」すでに行動に移しているものとなります。

ミッションステートメントの効果

ミッションステートメントは社員や企業、社会に対しどのような効果があるのでしょうか。ミッションステートメントがもたらす効果について解説します。

効果① 社員のモチベーションを高め離職者を減らす効果

ミッションステートメントの効果として、社員全員の意識を統一する役割を果たします。全社員が共通の行動目標を持つことができるので、社員のモチベーションを高め離職者を減らす効果も期待できるでしょう。
また、共通の行動目標を持つことで会社や組織への愛着度も高まる可能性があります。

効果② 社外に対して企業をアピールできる効果

自社製品やサービスにどのような理念を込めているのか、どのように社会に貢献したいと思っているのかをアピールできる効果があります。加えて自社株主に対して目標を明確に打ち出すことができるので、株主の理解を得やすくなるというメリットもあります。

効果③ 迷うことなく意思決定ができる効果

明確なミッションステートメントがあれば、不確定要素があったとしても迷うことなく決定できる効果があります。大黒柱となる指針があるため、話し合いや方針決定がスムーズに進み、もし会社にとって利益のあるプロジェクトであったとしても、会社の理念に反しているのであれば行わないという決定を下すことが可能になります。

ミッションステートメントの企業事例4選

現在では非常に多くの企業が自社のミッションステートメントを発表しており、それを見ただけでその企業がどのような理念に基づいて経営を行っているのかが分かります。
それぞれの企業がどのようなミッションステートメントを持っているのか事例を踏まえて紹介します。

企業事例① 『笑顔のために。期待を超えて。』 トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車では、経営理念やミッションステートメントを以下のように掲げています。
●経営理念
『クリーンで安全な商品の提供を通じて、豊かな社会づくりに貢献し、国際社会から信頼される良き企業市民を目指します』
●トヨタグローバルビジョン(ミッションステートメント)
『笑顔のために。期待を超えて。』
① 未来のモビリティ社会をリードする
② 「未来のモビリティ社会」
③ 世界中の人々の暮らしを、社会を豊かにしていく
④ 「人々を安全・安心に運び、心までも動かす」
⑤ 一人ひとりが高い品質を造りこむ
⑥ 常に時代の一歩先のイノベーションを追い求める
⑦ 地球環境に寄り添う意識を持ち続ける
⑧ 期待を常に超えていく
⑨ お客様、そして地域の笑顔のために
⑩ 常に自らを改革しながら、高い目標を実現していく
⑪ トヨタを支えてくださる皆様の声に真摯に耳を傾ける
⑫ 「今よりもっとよい方法がある」その改善の精神とともに

さらにトヨタ自動車では、ビジョンを言葉だけでなく一つのイメージとしても描いています。
グローバルビジョンを1本の「木」で表現しており、木の根はトヨタ共通の価値観、木の幹は安定した経営基盤、木になる果実はビジョン達成のための12の想いとし、「グローバルビジョンと木~ビジョン経営の在り方」として公表しています。

自動車製造を通じて、誰もが幸せになる世界を作るため、自分たちに寄せられている期待以上を上回りたいというトヨタ自動車の熱い思いが込められています。

参考:トヨタグローバルビジョン
https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/global-vision/

企業事例② 『最高のコンテンツを作る会社』 株式会社Cygames

株式会社Cygamesでは経営理念の代わりにビジョンを掲げており、ビジョンとミッションステートメントを以下のように掲げています。
●ビジョン
『最高のコンテンツを作る会社』
●ミッションステートメント
① みんなでたくさんゲームをやる
② 常に「チーム・サイゲームス」の意識を忘れない
③ 最強のブランドを目指す

とてもシンプルですが、「最高のコンテンツを作る会社」であるために、誰よりもゲームをプレイしたり、ゲームについて社員同士で会話したりすることで、気が付けば「チーム・サイゲームス」という仲間意識が生まれ、大好きなゲームだからこそ、どこよりもクオリティーの高いゲームを生み出し最強のブランドを作ることができるというものです。

同じ情熱をもつものが、同じゴールを目指して歩き始めた時、どこにも負けない最高のコンテンツが出来上がるというプライドを感じさせるビジョンです。

参考:株式会社Cygames ビジョン
https://www.cygames.co.jp/corporate/#vision

企業事例③ 『私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。』 株式会社ローソン

株式会社ローソンは、経営理念(グループ理念)とミッションステートメントを以下のように掲げています。
●経営理念(グループ理念)
『私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。』
●ミッションステートメント
「ローソンWAY」
① マチ一番の笑顔あふれるお店を作ろう。
② アイデアを声に出して、行動しよう。
③ チャレンジを、楽しもう。
④ 仲間を想い、ひとつになろう。
⑤ 誠実でいよう。

さらにこの「ローソンWAY」をより具体的な行動規範として落とし込んだ「ローソン倫理綱領」というものがあり、行動を起こす際に注意すべき点を倫理の視点に基づいて具体的に示したものになります。
ローソンでは、社会や顧客、従業員にとってローソンというコンビニがマチの“ほっと”ステーションになるよう、「ローソン倫理綱領」をベースにビジョンやミッションステートメントを大事にしています。

コンビニを便利な近所のお店というインフラとして捉え、電気やガス、水道に次ぐ第4のインフラとしてビジネスモデルを成長させる決意が表現されています。

参考:ローソングループ企業行動憲章・ローソン倫理綱領・各種方針
https://www.lawson.co.jp/company/activity/sustainability/policy/ethics/

企業事例④ 『すこやかな毎日、ゆたかな人生』 江崎グリコ株式会社

お菓子や乳製品を製造・販売している江崎グリコ株式会社では、経営理念やミッションステートメントを以下のように掲げています。
●経営理念(存在意義(パーパス))
『すこやかな毎日、ゆたかな人生』
●ミッションステート
① 私たちは、世界のお客様の信頼に応える安全 安心な商品・サービスと有益な情報を提供し、 お客様のココロとカラダの健康に貢献します。
② 私たちは、法令・社会規範を遵守し、高い倫理観をもって公正・公平な事業活動を推進します。
③ 私たちは、広く社会とのコミュニケーションを図り、信頼関係を構築します。
④ 私たちは、環境にやさしい企業活動を推進します。
⑤ 私たちは、良き企業市民としての役割を自覚し、地域の人々と共生し、コミュニティの持続的な発展に貢献します。
⑥ 私たちは、基本的人権を尊重し、多様な人が活躍できる環境づくりに取り組みます。

また、ありたい会社の姿として『Glicoグループは人々の良質な暮らしのため、高品質な素材を創意工夫することにより、「おいしさと健康」を価値として提供し続けます。』とも掲げています。

食品の製造を通して人々に美味しさと健康を届けることで、人々のすこやかな毎日やゆたかな人生に寄り添いたいという強い思いが感じられるビジョンです。

参考:江崎グリコ株式会社 経営理念
https://www.glico.com/jp/company/about/philosophy/

ミッションステートメントの作り方

ここまで、ミッションステートメントとはどのようなものなのか、効果や企業事例について解説してきました。次に、実際にミッションステートメントを作る際、どのように作ると効果的なのかご紹介します。

効果的なミッションステートメントの作り方は3つのStepに分けられます。
ミッションステートメントの作り方

Step1:ミッションステートメントを作成する専門チームの発足

ミッションステートメントを作る際は社内に専門チームを発足させましょう。この専門チームには、企業運営に関わる人すべてが含まれているのが望ましく、すべての社員に受け入れられるミッションステートメントを作成するためには、多様な人材がチームに入っていることが重要です。

Step2:9つの要素の特定

9つの要素とは、企業がミッションステートメントを作る際とても重要になる要素です。

ミッションステートメントで重要な9つの要素

【9つの要素の種類】
① 顧客
企業としてどこまでの範囲を顧客とするのか定義を決めることが重要です。
顧客の認識が社内でばらばらだと、ミッションステートメントが出来上がっても認識齟齬が生まれてしまいます。

② 製品・サービス
自社の製品やサービスについてしっかりと理解することが重要です。それを踏まえ、社会や顧客、従業員にどのような付加価値を生んでいるのかしっかりと洗い出しましょう。

③ 市場
現在どのような市場にいて、この先どこを目指していくのか、何故その市場を目指すのか、しっかりと情報の整理をし、現在と未来の市場を決めましょう。

④ 技術
現在、自社にはどのような技術があり、どのように活用しているのかを整理した後、今後どのような技術を生み出そうとしているか、イノベーションを起こそうとしているか、未来を描きながら取り入れることが重要です。

⑤ 企業理念
改めて企業理念を遂行するためにはどのような行動を起こせばいいのかを検討し、企業理念とミッションステートメントに繋がりが生まれるようにしましょう。

⑥ 企業の強み
現在どのような強みがあり今後より進化していくために、どのような強みを身につけたいかを検討します。どのような優位性で企業が進んでいくのか鍵を握る部分でもあるためしっかりと検討しましょう。

⑦ 企業の成長性や財務の健全性
今後自社のビジネスが成長していく中で、財務的な健全性がどれくらいあるのかという裏付けを整理し、説得力がある内容にしましょう。健全性を高く見積もりすぎると説得力がなくなるので注意が必要です。

⑧ パブリックイメージ
自社が社会に対してどのような貢献ができるのか、またどのような役割があるのかを明確にする必要があります。社会に対するアピールの一つにもなるため、しっかりと洗い出しを行いましょう。

⑨ 社員に対する姿勢
企業が社員に対しどのような思いを持っているのかをメッセージとして発信する項目でもあります。そのため、できないことを並べてしまうと社員のモチベーションも下がってしまうため、しっかりと実現可能なものにし、社員からも理解される内容にしましょう。

9つの要素の中でも、顧客、パブリックイメージ、企業理念、社員に対する姿勢は会社のイメージを大きく左右するものなので熟慮する必要があります。

Step3:9つの要素を文章化

イメージができあがったら、特定された9つの要素を文章にしていきます。長すぎず、共感を得やすい単語を使いつつ覚えてもらいやすいものにするのが理想です。ミッションステートメントは対外的に発信するものであることを理解していると、より心に訴えかけるものとなるでしょう。

まとめ

ミッションステートメントとはどのようなものなのか、効果的な作り方や企業事例4選をご紹介しました。ミッションステートメントはどのような企業なのかということを対外的に発信するだけでなく、従業員のモチベーションにも大きく繋がります。そのため企業事例4選でもあった通り、理念や熱意を分かりやすく表現するとより効果的ともいえます。是非ミッションステートメントを作る際は、9つの要素を大事にしながら企業の理念や熱意をわかりやすく取り入れてみてはいかがでしょうか。

こんな記事も読まれています