ギグワーカーとは?フリーランスとの違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説!
働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの普及など、さまざまな社会的要因が後押しをする形で、日本の「働き方」は多様化の一途をたどっています。1つの会社に所属し定年まで働くという従来の就労慣行はなくなりつつあり、「副業・兼業」「フリーランス」「顧問」といった雇用形態は今では当たり前の時代となりました。
こうした時代背景において、インターネット上のプラットフォームを介し簡単に単発業務を行う「ギグワーカー」という労働者も増加傾向にあります。本記事では「ギグワーカー」として働くとはどういうことか、メリット・デメリットも交えて解説していきます。
目次
ギグワーカーとは?
ギグワーカーとは、インターネット上のプラットフォームサービスを介して単発の仕事(ギグワーク)を請け負う労働者のことです。後に解説しますが、「インターネット上のプラットフォームを介するということ」「単発の仕事であること」がギグワーカーの非常に特徴的な側面と言えます。個人事業主やフリーランスとして単発業務をいくつもこなすというのが一般的ですが、特定の企業に所属しながらお休みの日だけ…という働き方も該当します。
ギグワーカーの“ギグ”とは
ギグ(gig)とは英語で「単発の」を意味しますが、ミュージシャンの間から生まれたスラングでもあります。小さなライブハウスにて一度限りの短いセッションをすること、またはそのミュージシャン自身を「ギグ」と呼称し、これに「労働者」を意味するワーカーがついてこのような言葉が生まれたといいます。
例えばどんな仕事がある?
日本でコロナ禍をきっかけに普及した「UberEats」の配達員は、まさにギグワーカーの典型と言えます。彼らはUber社の提供するプラットフォームを通じて、食事を注文者に配達するという単発の仕事をしている為、ギグワーカーの条件に当てはまります。
このほか、「運転代行」「ポスティング」などもイメージが湧きやすい例として挙げられますが、実はもっと高度な専門性を要する仕事も存在します。例えば「英会話のオンラインレッスン」「企業経営のスポットコンサルティング」などです。オンライン上のプラットフォームを介していれば、単価の高低にかかわらず「ギグワーカー」の一種と言えるでしょう。
ギグワーカーとその他の雇用形態の違い
本記事の冒頭部分でも少し触れたように、ギグワーカーと似た意味をもつ雇用形態や業務形態を指す用語はたくさん存在します。ここでは、ギグワーカーとその他の雇用形態の違いについて解説していきます。
フリーランスや個人事業主との違い
フリーランスとは、組織や団体に所属せず仕事を請け負う人もしくは働き方のことを指す言葉です。ギグワーカーとの違いは主に「仕事の期間」が挙げられます。
フリーランスはプロジェクト単位、数日~数か月といった比較的ロングスパンで仕事を請け負うことが多いですが、ギグワーカーはあくまで「単発」のため、短期間かつ一度限りであることが多いです。ほかにも、フリーランスは特定の企業に属さないという定義がありますが、ギグワーカーには本業に就きながらスキマ時間で仕事をするスタイルもある、というのも異なる点と言えます。
副業・兼業との違い
特定の企業に所属しながら同時並行で行える仕事といえば「副業」や「兼業」が挙げられます。副業/兼業もフリーランスと同様に比較的長いスパンのものが多いため期間で区別することもできますが、厳密には「副業の一種で、インターネット上のプラットフォームを介し短期就業するもの」をギグワークと呼ぶのが適切と言えます。
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アルバイト・パートとの違い
「単発」「短時間」の仕事と聞くと、日本ではアルバイトを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ギグワーカーとの最大の違いは「雇用契約」にあります。
アルバイトやパートは多くの場合、企業と直接雇用契約を結ぶのに対して、ギグワーカーは企業との雇用関係がなく、プラットフォームを通じて業務委託で仕事を請け負い、プラットフォームから給与の支払いを受ける、というシステムです。ほかにも、単発の派遣やアルバイトは拘束時間が1日単位であることが一般的ですが、ギグワーカーは1時間単位で時間を切り売りできる、という時間的な違いもあります。
日雇い労働者・派遣労働者との違い
日雇い労働者とは、1日単位で企業と雇用契約を結ぶ労働者のことを指します。派遣労働者も雇用主との雇用関係が発生します。つまりギグワーカーとの違いはアルバイト同様「雇用契約の有無」です。
ギグワーカーが注目される背景
ギグワーカーという働き方は近年注目を集めていますが、その裏側にはいくつかの時代背景があります。ここではなぜギグワーカーが注目されているのか、その理由について解説していきます。
労働者不足
少子高齢化・人口減少に伴い、日本では労働者不足が大きな社会課題になっています。こうした状況下において企業が人手不足を解消するためには、正社員の採用に留まらず、スポットで働いてくれる柔軟な労働力にも期待が高まってきています。
ギグワーカーは短期間で特定のタスクに対応する「痒い所に手が届く」ような存在であり、中には専門性の高いスキルセットを保有する人材もいるため、適切に活用することができれば効率的な事業運営が可能になるでしょう。
働き方改革と副業の解禁
日本の働き方改革や副業の解禁は、労働市場に大きな変革をもたらしました。柔軟な働き方が推奨され、多様なライフスタイルやキャリアパスが受け入れられる時代となった今、副業を行う人の増加に合わせてギグワーカーも増加しています。
変化の大きな時代だからこそ、特定の収入減に依存せず「一人でも生きていける力」を身につけたいという現代人の志向性に、スキル/時間を有効活用しお金を稼ぐことができる「ギグワーカー」的働き方はぴったりと言えます。
新型コロナウイルスの感染拡大
新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワークや在宅勤務が急速に普及し、従来のオフィス中心のワークスタイルが一変しました。この結果、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が求められるようになり、ギグワーカーもさらに注目を集めるようになりました。
前述したUberEatsは感染拡大を防ぐ「巣ごもり需要」を見事に満たすプラットフォームサービスとなり、ギグワーカーの雇用機会創出につながったと言えます。また、企業側も経済的不安から固定費の抑制のために外部の専門家を雇用する傾向が強まり、普及を後押ししたと考えられています。
プラットフォームの充実
仕事を仲介するオンラインプラットフォームはここ数年の間に飛躍的に発展しました。支払処理や評価システム等の機能充実から信頼性はますます向上しており、時間・地理的な制約を受けずに多様な仕事にアクセスできる、魅力あるサービスとしてギグワーカーの増加に寄与しています。
代表的なオンラインプラットフォームは以下が挙げられます。
Uber Eats | 世界中で展開されているフードデリバリーサービスです。配達パートナーを注文者が評価するシステムがあり、安心安全なサービスとして定評があります。 |
Timee | 労働者と企業のマッチングサービスですが、最大の特徴は「時間単位で」働く時間を決められることです。AIによる自動マッチング機能があり、企業は働き手を手間なく探せるのが魅力です。 |
クラウドワークス | 企業と個人が業務委託の仕事を受発注できるマッチングサービスです。初心者からプロフェッショナルまで幅広い案件があり、システムの利便性の高さも人気を後押ししています。 |
ランサーズ | クラウドワークス同様のクラウドソーシングプラットフォームです。案件数はクラウドワークスより少ない一方、フリーランスの福利厚生をサポートするサービスが充実しているのが特徴です。 |
ココナラ | こちらもクラウドソーシングプラットフォームですが、クラウドワークスやランサーズと比べ、クリエイティブ系仕事や占いなど個人の専門的な特技を活かせる案件が多いのが特徴です。 |
ギグワーカーとして働くメリット・デメリット
では、実際にあなたがギグワーカーとして働くと、キャリアにとってどのような利点があるでしょうか。逆にどんなポイントがリスクになるでしょうか。ここでは、ギグワーカーとして働くメリット・デメリットを紹介します。
ギグワーカーとして働くメリット
柔軟な働き方
ギグワーカーは時間や場所に制約のない仕事を請け負うことができ、自身のスケジュールに合わせて仕事を選べます。「少し時間が空いたから、自己研鑽も兼ねて仕事をしよう」とその場の思い付きで仕事ができるのも魅力です。
多様な経験、スキルの獲得
フリーランス然りですが、ギグワーカーは特定の企業に所属していたら経験できないであろう、多様なお仕事に就くことができます。そのため自身のスキルアップや知識獲得に大きく役立つと言えます。
収入の多様化
VUCAと呼ばれる現代において、経済的リスクを分散させておくことは非常に重要です。例えば本業に就きつつ、余った時間にギグワーカーとして別収入を立てることができれば、将来的な経済不安の解消にも繋がるでしょう。
ギグワーカーとして働くデメリット
自己管理の必要性
会社に所属して仕事をするわけではないため、個人のタスク・スケジュール管理を自分自身で行うのはもちろん、税務処理等も自己責任になります。またキャリア形成においても、案件をこなしていくうちに方向性がわからなくなる心配があります。「自分で自分を律して仕事ができること」がギグワーカーとして安定的にキャリアを形成する重要な要素と言えるでしょう。
福利厚生の欠如
本業を別で行っていれば良いのですが、完全に独立して仕事をする場合、当然ながら会社員時代に福利厚生として受けられていた処遇は受けられなくなります。中には福利厚生の整ったプラットフォームを利用することでリスクを回避できるケースもありますが、事前にそういった制度を確認しておくことが求められます。
収入の不安定化
前述の通り収入を得られる先を増やすことができるのはリスク分散観点で良いのですが、単発の仕事のみを生業として生活する場合、どうしても仕事の量や頻度が一定でないことから収入も不安定化しがちです。収入を安定させるには、定期的にある程度の業務が入ってくる体制を整えるか、収入の柱となる本業を持ちつつ合間を縫ってギグワーカーをするか、といった手段が考えられます。
まとめ
ギグワーカーは時代背景から非常に注目を集めており、従来の日本にはなかった柔軟で自由な働き方と言えます。一方、「単発」で「短期間」であるということ自体が経済的な不安定性等のリスクをはらんでおり、ギグワーカーとして生計を立てていくキャリアを歩みたいと思う方には、ぜひ今後のキャリアの方向性をしっかりと見定め、自己分析や市場分析を徹底されることをお勧めします。
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