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監査法人とは?業務内容や仕事の魅力、転職事情まで徹底解説!

監査法人とは?業務内容や仕事の魅力、転職事情まで徹底解説!

みなさんは「監査法人」という言葉を聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか?堅苦しい会計の世界?それとも、スーツ姿のビジネスエリートたちが行き交う場所でしょうか?実は、監査法人は企業社会の健全な運営を支える、なくてはならない存在です。このコラムでは「監査法人とは何か?」、その「業務内容」、さらには「年収」や「転職」の実態に至るまで、わかりやすく解説していきます。

監査法人とは?基本の役割を知る

まず、監査法人とはどのような組織なのでしょうか?簡単に言えば、監査法人は企業の財務諸表が正確であるかをチェックする専門機関です。例えば、あなたが友達とお金の貸し借りをするとき、「ちゃんと返済するよ!」という約束が本当に守られるか不安になることはありませんか?そんな時に第三者が「この人は信頼できる」と証明してくれたら安心ですよね。監査法人はまさにその役割を企業間で担っています。

ここでは、監査法人を知るうえで基本となる「監査法人の業務(役割)」「監査法人の種類」「監査法人の歴史」をご紹介します。

監査法人の業務(役割)

監査法人の主な業務内容は、具体的には以下のようなものがあります。

財務諸表監査

財務諸表監査は、企業が作成した財務諸表が会計基準に準拠して正確かつ適正に表示されているかを第三者として検証する業務です。たとえば、貸借対照表や損益計算書が正しく作成されていないと、投資家や取引先が誤った判断をするリスクがあります。監査法人は、帳簿や取引データを詳細にチェックし、不備や誤りがあれば指摘します。これは、企業の信頼性を高め、ステークホルダーが安心して意思決定できる環境を整える重要な役割を果たします。

内部統制監査

内部統制監査は、企業内の業務プロセスや管理体制が適切かどうかを評価する業務です。たとえば、売上や支出の管理が杜撰だと、不正やミスが発生しやすくなります。監査法人は、企業のルールや手順が機能しているか、適切にリスクを管理できているかを確認します。これにより、不正やエラーのリスクを低減し、企業運営の効率化や信頼性の向上に寄与します。特に上場企業では、内部統制報告書の提出が義務化されており、その重要性はますます高まっています。

コンサルティング

監査法人が提供するコンサルティングサービスは、多岐にわたります。具体例として、新しい会計基準への対応や企業買収(M&A)のリスク評価、事業再編のサポートなどがあります。たとえば、国際財務報告基準(IFRS)への移行では、複雑な規則に対応するために専門知識が求められます。監査法人は、クライアントの課題や目標に応じたアドバイスを提供し、業務効率化や戦略実行を支援します。これは単なる監査を超えた付加価値をクライアントに提供するものです。

監査法人の種類と「Big4」

次に監査法人の種類をご紹介していきます。主に「Big4」と呼ばれる世界的に有名な大手監査法人と、それ以外の中堅・中小規模の監査法人に分類されます。ここでは、それぞれの特徴と役割の違いについて掘り下げて解説します。

Big

Big4とは?

監査法人を語るにあたり、絶対に外してはならないのがBig4の存在です。「Big4」とは、世界4大会計事務所である以下の監査法人を指します。これらは、巨大なグローバルネットワークを活用し、多国籍企業や大手企業に対して監査やコンサルティングサービスを提供しています。

Deloitte(デロイト)

Big4の中で最も幅広いサービスを提供することで知られています。IT、M&A、リスクマネジメントなど、監査以外の分野でも圧倒的な存在感を誇ります。これらの法人は、主に上場企業やグローバル企業を対象に、複雑で高リスクなプロジェクトを担当します。その規模と影響力から、業界のリーダー的存在といえます。

PwC(プライスウォーターハウスクーパース)

世界最大級の会計事務所で、特に金融業界やヘルスケア分野に強みがあります。グローバルで統一された品質基準を採用し、多様な業界への対応力が特徴です。

KPMG(ケーピーエムジー)

監査業務だけでなく、税務やアドバイザリー業務も高い評価を受けています。デジタルトランスフォーメーションやサステナビリティ関連のサービスにも注力しています。

EY(アーンスト・アンド・ヤング)

グローバル企業に対する戦略的なコンサルティングサービスが強みで、特にスタートアップやテクノロジー分野へのサポートに定評があります。多様性とイノベーションを重視した企業文化が特徴です。

また、これらBig4は日本においては下記法人として監査業務を提供しています。数多くの上場企業を担当し、IPO企業も約半数はこれらBig4の日本法人の監査を経て上場すると言われています。

  • 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
  • PwC Japan有限責任監査法人
  • 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
  • EY新日本有限責任監査法人

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中堅・中小規模(中小)監査法人

中小監査法人とは、Big4以外の監査法人を指します。規模の点ではBig4には及ばないものの、数百名規模の人員を擁する法人もあり、その影響力や提供するサービスの質は軽視できません。また、採用難易度や業務の忙しさについても、各法人や担当クライアントによって大きく異なるため一概には言えません。

中小監査法人の監査業務は、基本的にBig4と同じです。会計基準に基づき、クライアントの財務諸表や内部統制の適正性を検証する点に変わりはありません。しかし、クライアントの規模や業種には違いが見られます。中小監査法人のクライアントは、上場企業の中でも比較的小規模な企業や、地域に根ざした非上場企業が多い傾向にあります。このため、監査業務に加えて、経営のパートナーとしてクライアントと密接に関わり、成長をサポートする役割を担うことが少なくありません。

歴史:なぜ監査法人が必要になったのか

20世紀初頭のアメリカIPOラッシュ

監査法人の業務や法人の種類が分かってきたところで、監査法人の歴史に少しふれてみたいと思います。その必要性への理解が少し深まるかもしれません。

20世紀のアメリカで生まれた

監査法人の発展は、20世紀初頭のアメリカにおける株式市場の成長と深く結びついています。当時、多くの企業が投資家から資金を集めるために公開企業として上場しました。しかし、企業が発表する財務情報が必ずしも正確ではなく、不正や誤りが投資家の信頼を損なう原因となっていました。このような状況が繰り返されると、経済全体の安定性を揺るがしかねない重大な問題となったのです。

これを防ぐため、独立した第三者が企業の財務諸表を検証し、その適正性を保証する「監査」の必要性が高まりました。1930年代の世界大恐慌を機に、アメリカでは証券取引委員会(SEC)が設立され、上場企業に対して財務諸表の独立監査を義務付ける規制が導入されました。この動きは世界中に波及し、監査法人の存在が企業社会の信頼性を支える重要な要素として確立されるきっかけとなりました。

Big4の台頭とグローバル化がもたらした変化

また、この時期に現在の「Big4」の前身となる大手監査法人が次々と設立されました。これらの法人は、当初は地域に根ざした小規模な会計事務所として始まりましたが、経済のグローバル化に伴い統合や拡大を重ね、世界中の企業にサービスを提供する巨大組織へと成長しました。特に国際的な取引が増える中で、複数国にまたがる会計基準や税制に対応する能力が求められたことが、これらの法人の成長を後押ししました。

こうした背景を知ると、監査法人が単なるチェック機関ではなく、経済の安定性や透明性を守るための重要な役割を担っていることが実感できるでしょう。

監査法人での給料、キャリア、そして成功への道

監査法人で働く人と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか?多くの場合、監査法人の仕事は「専門性が高く責任感のある仕事」「高給取りでエリートの世界」という印象があるかもしれません。実際はどうなのでしょうか?ここでは、監査法人で働く人々のリアルな姿や給与事情、キャリアパスについて掘り下げていきます。

監査法人の給料は高い?ポジションごとの年収は?

監査法人の給与は、他の業界と比べて高水準であることが多いです。以下は主なポジション別の年収モデルです。

アソシエイト(新人):500万円~700万円
シニアスタッフ:800万円~1,200万円
マネージャー:1,200万円~1,800万円
シニアマネージャー:1,800万円~2,500万円
パートナー:2,500万円~

このように、経験やスキルが増すごとに給与は大幅に上昇します。特に「パートナー」と呼ばれる役職は監査法人の経営層に位置し、報酬も非常に高額で一部のパートナーは数千万円から1億円を超える年収を得ているとの報道もあります。

なぜ給料が高いのか?監査法人の仕事の本質

監査法人での給与が高い理由の一つは、その業務が高い専門性を必要とするからです。財務諸表の適正性を判断するためには、会計基準や税法の深い知識、業界動向の理解、さらにはコミュニケーション能力が求められます。また、クライアントが多国籍企業の場合、英語での対応や国際財務報告基準(IFRS)の知識も必要です。

さらに、仕事の責任の重さも大きな要因です。監査法人が発行する監査報告書は、投資家やステークホルダーの重要な意思決定に直結します。そのため、ミスが許されない緊張感の中で働くことになります。

これらの仕事を担う以上、クライアントからの報酬も高くなります。それに連動するように監査法人から支払われる報酬も高くなります。

パートナーへの道

監査法人でのキャリアの頂点は、上述したように数千万の年収を得ている「パートナー」と呼ばれるポジションです。パートナーになる人は、法人全体の中でもごく一部であり、このポジションにたどり着くのは非常に険しい道のりです。

ここでは、パートナーに求められる要素をご紹介します。

・高度な専門知識と経験
幅広い業種のクライアントに対応できる深い知識が必要です。

・顧客との信頼関係
長期的な信頼を築き、法人の収益に貢献できる顧客を持つことが重要です。

・チームリーダーシップ
大規模なプロジェクトをリードし、部下を育成する力が求められます。

・ビジネス開発能力
新たなクライアントを開拓する営業的なスキルも必要です。

パートナーは、高い専門性を持ちつつ、マルチで高いビジネスマンとしての要素が求められることがわかります。

昨今の監査法人への転職動向

監査法人での報酬やキャリアステップを読んで、監査法人で成功するイメージを持たれた方もいるかもしれません。次は、その一歩を踏み出すための情報として、監査法人の転職動向や求める人材像をご紹介しましょう。

監査法人の人材需要の背景

監査法人の人材需要は、近年、いくつかの要因によって増加傾向にあります。以下にいくつかの主要な要因を挙げます。

規制強化

多くの国で会計および監査に関する規制が強化されています。例えば、サーベンス・オクスリー法(SOX法)や国際財務報告基準(IFRS) の導入などがあり、これにより監査法人の業務が複雑化し、人材需要が高まっています。

企業の国際化

多くの企業が国際市場に進出しており、国際的な会計基準や規制に対応するために専門知識を持つ監査人が求められています。

技術の進化

データ分析やAIを活用した監査手法の進化に伴い、これらの技術に精通した人材の需要が増加しています。特に、データサイエンティストやIT監査の専門家が求められています。

ガバナンスとリスク管理の重要性の増加

企業ガバナンスやリスク管理の重要性が高まる中で、これらの分野に精通した監査人の需要が増えています。

市場の競争激化

監査法人同士の競争が激化しており、優秀な人材を確保するための取り組みが強化されています。

これらの要因により、監査法人は専門知識を持つ人材の確保に積極的に取り組んでおり、特に若手の会計士やITに強い人材の採用が進んでいます。また、働き方改革やリモートワークの普及に伴い、柔軟な働き方を提供することで人材確保を図る動きも見られます。

監査法人が求める人材像 7つのポイント

上述した背景を踏まえて、監査法人が求める人材は、以下のような特性やスキルを持つ人材となっています。7つにまとめてポイントを解説します。

高度な会計知識と資格

公認会計士(CPA)や米国公認会計士(USCPA)などの資格を持つことは基本的な要件です。IFRSやGAAP(一般に認められた会計原則)に精通していることが求められます。

ITスキルとデータ分析能力

データ分析、データサイエンス、ビッグデータの取り扱いに関するスキルが重要視されています。特に、監査のプロセスにAIや機械学習を取り入れる能力が求められます。

リスク管理とガバナンスの知識

リスク管理や内部統制、企業ガバナンスに関する深い知識が求められます。
これにより、企業のリスクを適切に評価し、対応策を提案できる能力が重要です。

国際的な視点と語学力

グローバルな業務に対応するため、英語をはじめとする多言語のスキルが求められます。
国際的な会計基準や規制に対応するための知識も必要です。

コミュニケーション能力とチームワーク

クライアントやチームメンバーと効果的にコミュニケーションを取る能力が重要です。
複雑な情報を分かりやすく説明し、協力して問題解決に取り組む姿勢が求められます。

柔軟性と適応力

変化の激しい環境に対応できる柔軟性と新しい技術や規制に迅速に適応する能力が求められます。リモートワークや異なるタイムゾーンでの業務にも対応できることが期待されます。

倫理観とプロフェッショナリズム

高い倫理観とプロフェッショナリズムを持ち、信頼性の高い監査を提供する姿勢が重要です。機密情報の取り扱いや利益相反の管理において厳格な規範を遵守することが求められます。これらの特性を持つ人材は、監査法人にとって非常に価値が高く、企業の信頼性を高めるための重要な役割を果たします。

これらのスキルと特性を備えた人材は、監査法人において不可欠な存在となります。もしあなたがこれらの能力を持ち、監査法人でのキャリアを目指すならば、その道は非常に有望であり、やりがいのあるものとなるでしょう。また、これから監査法人でのキャリアを目指す方にとっては、重要な要素であるために、その習得に向けた取り組みを早速、スタートすることをお勧めします。

まとめ:監査法人の世界に飛び込むべきか?

今回はこの記事を通じて、「監査法人とは何か」「業務内容」「年収」「転職」など、さまざまな側面から監査法人の魅力と実態をお伝えしました。もし、あなたが数字や分析が得意で、チャレンジングな環境に魅力を感じるなら、監査法人でのキャリアは素晴らしい選択肢となることと思います。

新たなキャリアへの一歩を踏み出す際には、ぜひプロフェッショナルバンクにご相談ください。私たちは、あなたのスキルや経験を最大限に活かせる最適なポジションをご提案いたします。未来の可能性を広げるご支援ができますと幸いです。

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