ヘッドハンティング研究

ヘッドハンティングされた人材の“99%”が定着する理由

ヘッドハンティングされた人材の“99%”が定着する理由

採用にリスクはつきものとは言いますが、「想像していた仕事内容と違ったので…」、「社長と馬が合わず…」など苦労して採用した中途人材があっさり離職した…、そんな苦い経験をされたことはありませんか?即戦力を期待した中途採用なら、なおさら事業や経営計画に大きく影響しますし、採用にかけたコストの損失も大きくなりますよね。

ヘッドハンティングでの採用もやはりリスクが高そうなイメージがありますが、意外にも移籍後の定着率は高いことが分かっています。

就業継続確認では99%の定着率

厚労省が毎年調査している雇用動向調査結果によると、「個人的理由」による離職はおおよそ10%程度で推移しています。毎年このデータを見て思うのは、それに比べるとヘッドハンティングで採用した場合の離職リスクは随分低いのだなという点です。

当社では就業開始から6ヵ月以上経過した全人材の就業状況の調査を定期的に行っており、その結果ヘッドハンティングをされた人材が移籍後に離職する率は“1%以下”と極めて低水準であることが分かっています。企業の中核社員として定着することを期待された人材が、早期離職せずに活躍されているのは我々ヘッドハンターとしても嬉しいことであります。
ヘッドハンティングによる就業者の定着率
それでは何故、ヘッドハンティングで採用した人材は定着率が高いのでしょうか?
その理由には、

1.企業と候補者が面談する場は選考ではない
2.転職意欲が元々高くない為に決断時の覚悟が違う

という2つの大きな背景があるからと考えています。
今回は、ヘッドハンティングの特徴を解説しながら、それぞれの背景をご紹介していきます。

登録型人材紹介とヘッドハンティングの違い

まず、登録型人材紹介とヘッドハンティングの一般的な違いについておさらいしましょう。
これらのアプローチの最も顕著な違いは、対象となる人材が「求職者」か「求職者以外も含む」かにあります。一般的な人材紹介の多くは登録型です。転職を希望する人々が登録し、企業の要件に合致する人材が登録データベースに存在する場合、人材紹介会社を通じて候補者が紹介される待ちのアプローチです。

一方、ヘッドハンティングは、企業が必要とする人材をヘッドハンティング会社が主動的に探し出し、転職意向にかかわらず、直接アプローチする積極的な攻めの採用手法です。

さらに、登録型人材紹介とヘッドハンティングは、求職者の転職支援に焦点を当てるか、求人企業の採用に焦点を当てるかといったスタンスの違いも特徴的です。

比較:登録型人材紹介とヘッドハンティング
#人材紹介との違いをさらに詳しく知りたい方は

ヘッドハンティングと人材紹介サービスの3つの違い

約95%の転職潜在層もターゲット

前述の通り、ヘッドハンティングは積極的な攻めの採用手法で、転職意向に関係なく、必要な人材を積極的に探し出す方法であることを説明しました。一方で、一般的な転職サービスに登録する求職者は、ビジネス人口の約5%程度とされています。当然のことながら、その中から企業が理想とする人材を獲得することは非常に難しいです。

ヘッドハンティングは、転職市場に存在しない95%の人々もターゲットとし、全労働人口100%から優秀な人材を独自の情報源から探し出し、企業への転職を促進する手法です。

このように人材紹介とヘッドハンティングには候補とする対象が大きく異なることを前提にして、以降からは、ヘッドハンティングによる採用の定着率が高くなる理由について解説していきたいと思います。

約95%の転職潜在層もターゲット
#ヘッドハンターのターゲットの見つけ方をさらに詳しく知りたい方は

ヘッドハンターのターゲットの見つけ方!情報源やルートを紹介

企業と候補者が面談する場は選考ではない

まずひとつ目の理由は、ヘッドハンティング採用は、“企業と候補者が面談する場は選考でない”ということです。

ヘッドハンティングは、通常の採用のように求職者の応募を募るわけではなく、企業側から「当社で働く気はないか?」と非転職活動者へも声をかけていくわけなので、企業にアドバンテージがある“選考”は行わない方がうまくいきます。突然声をかけられた候補者が企業との初対面の場で経験や志向を根掘り葉掘り聞かれたら大半は快く思いません。

ヘッドハンティングの依頼をする企業の多くは、新規事業や商品開発、シェア拡大などの経営課題を持っています。我々は企業の依頼を受け、その課題を解決できる人材であれば、転職活動中か否かに関わらず候補を探し出しコンタクトをとって面談へと案内していきます。そして、その候補者の経験やスキルと企業の課題とをすり合わせるいわば“ミーティング”の場として面談を設定させてもらいます。

一般の採用が応募を募り、応募者が年齢やスキルや経験などから企業にふるいにかけられるのとは大きく異なって、実に対等に候補者と求人企業は向き合うことになります。その為に候補者は「誇張な自己アピール」や「自己に不利な情報を閉ざす」ことなく、「等身大の自分を表し」、「企業の課題を十分に把握する」ことが可能となってきます。

ヘッドハンティング面談の候補者のスタンス

一方でヘッドハンティングする企業は、候補者とのマッチ度を見極めるのと同時に、候補者から現職と比較され最終的に選ばれる側でもあります。「自社が選ばれる立場」という意識を持ち合わせているため、自社の課題や魅力を伝えるとともに、候補者から会話を引き出すことに注力します。質問攻めによる候補者の選考というスタンスは薄いものになります。

ヘッドハンティング面談の企業側のスタンス

企業と候補者は何度も何度も打合せをしたうえで、双方のベクトルが合えば見事採用(移籍)となるわけですが、候補となった人材もこの過程を通じて入社後に自分の何を活かして、何をすべきかが具体的に分かっており、入社後のギャップは極めて小さくなっている状況です。また、この面談には経営者が自ら登場することも多く、特に管理職以上の転職のリスクのひとつとなる「経営者との考え方の不一致」も極力防げることになります。

極端な例で言うと、この面談の場は多くて10回ほど繰り返される企業もあります。当然2~3回で意気投合されて成約する場合も多々ありますが、いずれにしてもスタンスが採用でない、“ミーティング”のような面談により「相互理解を深める」ことで採用後の定着率を高めているのです。

相互理解が深まるヘッドハンティング面談

転職意欲が元々高くない為に決断時の覚悟が違う

ヘッドハンティング採用において定着率が高まるもう一つの理由、これについては言葉通りですが、“転職意欲が元々高くない為に決断時の覚悟が違う”ということです。

候補者の転職意向に関係なく声をかけられるのがヘッドハンティングなので、当人は転職に迫られていない場合がほとんどです。その為、案件進行中も焦る必要がなく、冷静に人生の選択肢として「現職でこのまま人生を送ること」と「オファーをくれた他社で人生を送ること」を比較し吟味することができます。

転職しなくても良い状態にある方が、転職の決断をするということは、ご自身にとって余程の納得感がないと、その決断はできないわけです。企業やヘッドハンターは、候補者が納得できるよう、その人材のことについて把握することに努めます。納得が出来るよう、企業のこと、事業のこと、ポジションのこと、将来のこと、そして期待を伝えます。

特に入社前にエンゲージメントを高めるポイントとして、ワーク・エンゲージメントの観点からは、仕事の性質や裁量を明確にすり合わせるだけでなく、配属部門の上司と引き合わせたり、入社後の周囲の支援などを伝えたりすることで、仕事への熱意を上げていきます。

また、従業員エンゲージメントの観点でも、一緒に働くメンバーと引き合わせたり、社長、または事業トップにビション、思い、課題感を含めて語っていただくことで、組織に対するコミットメントを高めていきます。

入社前に候補者の企業へのエンゲージメントを高める

この際、通常の採用と大きく異なるのは、大半が求職者ではありませんから他に応募している競合他社がいないということです。その分、現職と自社との比較だけなので移籍に向けた懸念や不安が何なのかは非常には明確になってきます。

そうした経緯を経た候補者が移籍することに納得が出来て、転職をすると決めた時には、相当な覚悟を持って臨んでいただける状態になっています。

まとめ

「互いをよく理解し合い」、「候補者は覚悟を持って移籍する」からこそ、早期離脱が回避され定着率は高くなるのです。その点で採用後のリスクが低いというのは、いくつかあるヘッドハンティングの特長のひとつだと考えています。

#候補者の心理をもっと知りたい方はこちら

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