コンサル転職で失敗する理由と成功のコツを現役ヘッドハンターが解説!

転職市場価値や年収をアップさせたい社会人であれば、誰しも一度は検討するコンサル業界への転職。しかし実際には入社前後でギャップを感じ、「失敗した」と感じる方も一定数いるのがコンサル業界の実情です。
本記事ではコンサル業界専門の現役ヘッドハンターへインタビューを行い、コンサル業界への転職における失敗事例や落とし穴、逆に成功するためのコツについて紐解いていきます。
目次
コンサル転職の概要と市況感
コンサル業界への転職は、近年ますます注目を集めています。多くの社会人がキャリアアップやスキル向上を目的に挑戦する一方で、転職後のギャップや失敗を防ぐためには、業界の特性や最新の転職市場の動向を理解することが欠かせません。ここでは、コンサル転職の概要と2025年最新の市況感について詳しく解説します。
コンサル転職とは?
コンサル転職とは、戦略コンサルティングファームやITコンサルティングファームなど、企業の課題解決を専門とする業界へ転職することを指します。
転職者のバックグラウンドは多岐にわたり、事業会社の企画職や営業職、エンジニア、さらには新卒からコンサル業界を目指す人もいます。特に近年では、DX(デジタルトランスフォーメーション)やサステナビリティ/ESG推進の需要が高まり、それらを専門領域とするコンサルファームへの転職が増えています。
ただし、コンサル業界は高い専門性が求められる一方で、激務や成果主義といった厳しい環境もあります。そのため、転職を検討する際には、自分のスキルや価値観が業界にマッチしているかを慎重に見極めることが重要です。
コンサル転職のメリット
コンサル業界への転職が人気を集める理由には、以下のようなメリットがあります。
1. キャリアの加速
コンサルタントとして多くのプロジェクトに携わることで、短期間で多様な業界知識やスキルを身につけることができます。また、クライアント企業の経営層と直接関わる機会が多く、視座を高める経験を得られる点も大きな魅力です。
2. 高い報酬水準
コンサル業界は成果主義のため、努力が報酬に反映されやすい環境です。特に外資系コンサルティングファームでは年収1,000万円以上はざらで、2,000万円、3,000万円、あるいはそれ以上を目指すことも可能です。
3. スキルの汎用性
問題解決力やプロジェクトマネジメント能力、ロジカルシンキングといったスキルは、コンサル業界を離れた後も他業界で活用できます。そのため、将来的なキャリアの選択肢が広がる点もメリットです。
4. 自己成長の機会
高い期待値と厳しい環境の中で働くことで、自己成長を実感できる点も魅力の一つです。特に、向上心が強い人にとっては理想的な環境と言えるでしょう。
これらのメリットを活かし、コンサル業界で充実したキャリアを築くためには、自分の目指す方向性を明確にすることが重要です。適切な準備を行うことで、転職後の成功がより現実的になります。
2025年最新/転職市場の市況感
2025年現在、コンサル業界の転職市場は引き続き活況を呈しています。特に、DX推進やサステナビリティ(持続可能性)に関連するプロジェクトの需要が増加しており、IT系コンサルや戦略コンサルにおける人材需要が高まっています。従前の通り大量採用を行い組織の急拡大を狙うファームも一部増えてきています。
また、コロナ禍を経てリモートワークやハイブリッドワークが一般化したことで、働き方の柔軟性が向上し、従来の「激務」のイメージが緩和されつつある点も注目すべきポイントです。これにより、これまでコンサル業界を敬遠していた層にも転職のチャンスが広がっています。
一方で、競争も激化しています。特に、経験者採用では、即戦力となるスキルが求められる傾向が強まっています。未経験者の場合は、エージェントを活用した転職活動や、MBA取得などのキャリアアップを通じて市場価値を高めることが重要です。
さらに、国内市場だけでなく、海外案件に対応できる人材へのニーズも高まっています。そのため、英語力や異文化対応力がある人材は、より有利に転職を進めることができるでしょう。
コンサル転職の失敗事例や落とし穴
コンサル業界はキャリアアップや高収入を目指す多くの人にとって魅力的な選択肢ですが、転職後に「思っていたのと違う」と感じるケースも少なくありません。転職の成功には、事前の準備や業界理解が欠かせません。本章では、コンサル転職でありがちな失敗事例や落とし穴を解説し、同じ過ちを繰り返さないためのヒントをお届けします。
自分のスキル・経験と求められる能力のギャップ
コンサル業界では、即戦力として活躍できるスキルや経験が求められることが多く、自己評価と企業の期待値が一致しないケースが失敗につながる大きな要因です。
例えば、「自分はプロジェクトマネジメントが得意だ」と感じていても、いざ入社すると周囲のスピード感についていけず、「自分がやっていたプロジェクトマネジメントとは何だったのか」と経験不足感に苛まれるようなことも覚悟しなければなりません。
また、入社後にプロジェクトが進むにつれ、自分のスキルや経験が十分に活かされていないと感じることもあります。特に、コンサル業界が初めての人は、業界特有の業務スタイルや成果主義文化に適応するのに苦労する場合があります。
そのため、転職前に自分のスキルセットを客観的に見直し、転職エージェントや第三者のフィードバックを活用することが有効です。また、選考プロセスでは、具体的な事例や数字を用いて自分の能力をしっかり伝えることが重要です。
コンサル業界の働き方や社風への認識不足
コンサル業界は、プロジェクト単位で働くことが多く、タイトなスケジュールや長時間労働が発生することも珍しくありません。想像を超えるハードさに、転職後に「激務すぎて続けられない」と感じるリスクがあります。
近年リモートワークやフレックスタイム制が導入される企業も増えていますが、それが必ずしも「楽な働き方」を意味するわけではありません。自己管理能力が求められるため、環境に適応できない場合、ストレスを感じることもあります。また社風の観点で、外資系コンサルティングファームでは成果主義が徹底されており、短期間での成果が求められることが一般的です。
一方で、日系ファームではチームワークを重視する企業文化を持つところも多く、社風の違いが転職後のギャップにつながることがあります。
転職前には、応募先企業の社風や働き方についてリサーチを徹底し、実際にその環境で働くイメージを持つことが重要です。OB・OG訪問やエージェントを通じて、リアルな声を聞くことも効果的です。
キャリアプランの不明確さ
「とりあえず高収入を目指したい」「とりあえずコンサル行けば間違いない」という漠然とした動機で転職を決めると、入社後にミスマッチを感じる可能性が高くなります。コンサル業界は多様なプロジェクトやクライアントに対応するため、幅広いスキルが求められる一方で、自分がどの分野で専門性を高めたいのかを明確にしておくことが重要です。
例えば、戦略系コンサルとIT系コンサルでは求められるスキルや業務内容が大きく異なります。事前に自分のキャリアゴールを明確にし、どのタイプのコンサルティングが自分に合っているのかを見極めることが必要です。
また、短期間での離職率が高い理由として、「思ったよりやりがいを感じられなかった」「自分のキャリアゴールに繋がらない業務が多かった」という声も挙げられます。これを防ぐには、転職活動中に企業のプロジェクト内容やキャリアパスについて具体的に確認することが大切です。
ヘッドハンター草本が語る|コンサル転職の極意
コンサル転職の落とし穴について解説をしてきましたが、覚悟しておくべきことや注意すべきこと、コンサル転職成功後に待っている未来について、より踏み込んだお話を弊社現役ヘッドハンターに聞いていきたいと思います。
今回登場するのは、コンサルや士業の転職支援を専門とする弊社シニアヘッドハンター【草本 忍】さんです。
**ヘッドハンタープロフィール**

現在は会計士、税理士の士業系専門職への強みを持つ。CFOを含めた経営層・ミドルマネジメントレイヤーのプレースメント、ヘッドハンティング実績を多く持ち、各クライアントとの関係性も強く、経営層とのパイプも太い。詳しくはこちら≫
コンサル転職で後悔しないために知っておくべきこと
まずは「コンサル転職で後悔しないために知っておくべきこと」という少々ネガティブなテーマについてお聞きします。
草本さんはこれまで数多くの転職支援に携わってこられ、その中では未経験で事業会社からコンサルファームへの転職を成功に導いたケースもあるのではないかと思います。未経験者が受けるギャップとして、あるあるから意外なものまでどんなことが挙げられますか?
クライアントワークである

なんだそんなことか、知っているよという方が殆どかと思いますが、事業会社で企画系あるいは管理系職種からキャリアチェンジした方で「分かってはいたが」苦しむケースは後を絶ちませんね。高い報酬を貰う代わりに高い期待に応える、口に出すことは簡単ですがプレッシャーがかかる仕事です。
クライアントワーク、まさにその通りですね。顧客への価値提供が報酬に結び付いているということ、意外と忘れがちなことかもしれません。

仮に上長が顧客との直接の窓口だとしても、自身の業務の遅れはプロジェクトの遅れ、クライアントへの価値提供の遅れへ続くと理解しておく必要があります。
コンサル特有のスピード感ですよね。チームで仕事をすることはどの会社でもありますが、コンサルは「より大きなプレッシャーの中で」「より質高いアウトプットを」「よりスピーディーに」出すことが求められるのですね。
「知らないこと」に対応する力が予想以上に求められる

「すべてを知っている必要はないが、短期間で本質を理解する力が求められる」というのは、ハードワーク等の陰に隠れたギャップですね。
確かに、キャッチアップ力や対応力はコンサルに欠かせない要素ですね。実際に草本さんがご支援された方から、こういった観点における苦労エピソードを聞いたことはありますか?

なるほど…。どちらもタフなお話ですが、後者の方のように「自分が得意とするものではない」分野でも成果を出す必要があるケースは特に要注意ですね。自分はもっとやれるのに…というジレンマが生まれそうです。
成果が「見えない」ことがある

例えば、提案した戦略が実際に実行されるかはクライアント次第であり、自分が関わったプロジェクトの最終的な結果を見届けられないことも多いです。社会にインパクトのある仕事をと思って入社しても、その実感が得られないまま悶々とした日々を過ごすこともあるようです。
なるほど。その仕事が何に結び付いているのか実感がないままハードワークをこなすというのは、高い報酬をもらっているとしてもモチベーションに影響しそうですね。どんな心構えでいるべきなのでしょうか?

または最初から実行支援の多いファームを選び、そういったプロジェクトに積極関与することなど。自分自身が生み出す成果に拘るタイプであると分かっていれば、打ち手はいくらでも講じることができますね。
そもそものファーム選びが重要ということですね。もちろん目の前のTODOに常に全力を出せるタイプの方もいるでしょうし、自己理解を踏まえた企業選びが重要と理解しました。
コンサル転職後のおすすめキャリアパス
コンサル業界における注意点やギャップ等にばかり触れてきましたが、もちろんそれらを乗り越えた先に待つ華々しいキャリアはコンサル業界の特権ですよね。コンサル転職後に描くキャリアとして、草本さんの考える理想像などはありますか?
コンサルで着実にキャリアを積み上げる場合

そうですよね。コンサル=市場価値が高い=転職時に有利という考えは一般的ですが、転職をすること自体は手段なので、自己実現のためにコンサルの道をずっと進むというのも一つの正解ですよね。コンサル道を極めることで得られるものとはどのようなものでしょうか?

ただもちろん、体力的あるいは精神的な負担、仲間との競争、そういったものを乗り越えた先に待っている景色であることは間違いありませんが……。
まさにコンサルの醍醐味といったところですよね。誰もが強い目的意識のもとキャリアを積み上げるわけではないにしろ、その景色を見ることは一つのゴールと言っても良いのかもしれません。
ポストコンサルのキャリア:転職をする場合

いわゆるポストコンサルキャリアですね。選択肢があるということはその分迷いも生じてしまいそうですが、先のキャリアを選択するために重要なことは何だと思いますか?

大手に行きたければ尖った専門性を求められ、業界を絞ったり、あるいは「財務に特化」「業務改善に特化」など何かに長けていたりする必要があります。逆にスタートアップにおいては何もかも自分で背負う覚悟、幅広い経験、そういった懐の深さが大切に感じます。
ありがとうございます。なんとなく潰しが効くからコンサルへという方も一定数いるかもしれませんが、重要なのは「仕事を通じて何を成し遂げたいか」という、どんな仕事にも当てはまる原理原則なのかもしれませんね。
草本さん、ありがとうございました!
まとめ
コンサルティング業界への転職は、キャリアを大きく飛躍させる可能性を秘めた挑戦です。しかし、事業会社からの転職では、業務内容や働き方、求められるスキルの違いに戸惑うことも多く、事前の情報収集と準備が成功の鍵を握ります。この記事では、コンサル転職で後悔しないために知っておくべきポイントや、転職後のキャリアパスについて詳しく解説しました。
コンサル業界での働き方は、短期間での学習能力や成果志向、クライアントとの密接なコミュニケーションスキルが求められる一方で、得られる経験やスキルは非常に多岐にわたります。自分の価値観や目標に沿った選択をすることが重要です。
プロフェッショナルバンクの転職支援
プロフェッショナルバンクは、コンサル業界専門チームを保有し活発に転職支援を行っています。業界内のリアルについては本記事以上に詳しくお伝えできますので、転職を前提としないキャリア面談から、まずはお気軽にお問い合わせください。