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事業企画職において市場価値が高まるキャリアパスとは?現役ヘッドハンターが解説

事業企画職において市場価値が高まるキャリアパスとは?現役ヘッドハンターが解説

事業企画とは

事業企画とは、事業の拡大や再生をミッションとし、事業戦略の立案や目標設定、その達成に向けた計画策定や実行推進等を担う職種です。そもそも事業とは「営利を目的とした経済活動全体」を指しており、企業が利益を獲得するために行う活動すべてと言い換えられます。

事業企画はその名の通り事業を「企画」することを指すため、事業を成長させる、あるいは再生させるために戦略を練り、目標と計画を設定し、実行にあたっての業務推進や管理を行います。一般的な企業では各事業の責任者が事業企画を務めることが多いですが、複数の事業を管掌する形で事業企画職を設置するケースもあり、特にベンチャー企業等に多く見受けられます。

経営企画との違い

経営企画との違いは、一言で表すと「管掌範囲」です。企業は単一の事業のみを展開する場合もあれば複数の事業を持つ場合もありますが、事業企画職は単一事業にしろ複数事業を兼任するにしろ、特定の「事業」に焦点を当てその責任を負うのに対して、経営企画職は経営層と各事業や部門の間に立って「会社経営全体」を見渡すようなイメージです。

戦略を立て、目標と達成のための計画を策定し、実行し、管理し…と業務内容は共通する部分が多いため、事業企画から経営企画へ、またはその逆のキャリアチェンジは比較的スムーズと言えます。

マーケティング(マーケター)との違い

マーケティングとは、自社の商品やサービスが売れる仕組みを作る活動全般のことです。商品やサービスはその企業が持つ事業活動を通じて生み出されるため、事業企画にこのマーケティングスキルは必須です。つまり事業企画の一部にマーケティング業務が内包されているとも捉えられます。

マーケティングは「モノやサービスが売れる仕組み」を、事業企画は「事業全体が円滑に進む仕組み」を作る仕事ですので、この2つの違いはその目的や目標にあると表現できます。

営業企画との違い

営業企画とは、会社の営業戦略の立案や、実行にあたってのオペレーションの構築・改革等を推進する職種です。つまり営業企画は営業部門に特化しているのに対し、事業企画は営業も含めた事業全体を見るという点に違いがあります。

事業企画は事業を通じ利益を上げることを至上命題としますが、達成のためには営業活動だけでなく、マーケティング施策を自身で企画したり、人事や財務等の管理部門、製造業等であれば購買・ロジスティクスといった特有の部門を含む他部門との連携や調整を行ったりするなど、組織横断的な動きが必要です。

商品企画・サービス企画との違い

こちらも同じく管掌範囲が異なります。事業企画の管掌範囲が事業全体なのに対して、商品企画やサービス企画はその事業活動を通じ生み出される商品やサービスに目を向け、市場の動向を見ながら新たな商品/サービスを世に出していく、または既存の商品/サービスの改良に務める仕事です。

事業開発との違い

よく混同されがちな「事業企画」と「事業開発」。企業によって定義や守備範囲がバラバラというケースが多発する2職種です。

事業企画はBusiness Planningと英訳できます。プランを立てる、つまり事業が円滑に進むための計画を立て土台を作るというニュアンスです。一方、事業開発はBusiness Development、つまり事業を発展/成長させる、そのために計画を実行し前に推し進めるというニュアンスです。これを分かりやすく言い換えれば、事業企画は0から1を作ること、事業開発は1を10や100にすること、と表現できます。

しかしながらこの2つの職種は相互に補完関係にあり、明確な線引きは存在せず定義は企業によって様々である、と残念ながら結論付けざるを得ないのも事実です。実際、事業企画は0→1だけではなく1→10に踏み込み、事業の現状から次なる計画を立て推進することも往々にしてあります。

役割と業務内容

事業戦略を立案している男性

前項で触れた事業企画の役割や業務内容について、本項では業務別にさらに深堀り解説していきます。

事業戦略の策定

事業戦略とは、事業が利益を上げ目的を達成するために必要な方針、計画を指す言葉です。自社や市場の環境変化を読み取り、顧客のニーズを理解した上で必要な戦略を練っていきます。戦略立案の段階では、その戦略通りに事業を推進するための経営資源や社内リソースについても注意深く検討し、実現可能性のある内容に落とし込むことも重要です。

事業の目標設定と計画策定

大枠の戦略ができたら、次に売上や利益等に具体的な数値目標を置き、達成に向けたKGI/KPI、マイルストーンを設計していきます。具体的な計画を立てることで目標達成のイメージが具体化され、実現可能性を明確に示すことが可能になります。

事業企画書の作成

事業企画書(計画書)とは、事業の全体像や計画をまとめた企画書のことです。構想した事業はしっかりと明文化し、経営層を含むステークホルダーに対し事業の必要性や有望性、実現に向けた方法や課題をしっかりと示すことが重要です。

ここに記載するのは事業の内容や予算、スケジュール等の大まかな内容で問題ありませんが、うまく社内を巻き込んでいく為にはきちんと読み手を意識した内容にしましょう。また、作って終わりではなく、関係者のフィードバックや外部環境の変化を鑑み、都度アップデートしていくことも大切です。

活動実績のモニタリング・評価

走り出した事業は、都度のタイミングで進捗のチェックを行い、正しく運営できているかモニタリング・評価することが非常に重要です。前述の通り、計画段階できちんとKPIを設計することができていれば、事業の状態、きちんと機能しているのかについて適切に確認することができます。

平均年収

事業企画職は企業のブレーンとして手腕を振るうポジションの1つですが、実際に事業企画職として仕事をしている方の平均年収はどのくらいなのでしょうか。

転職市場での平均年収

大手転職サービス「doda」が発表しているデータによると、登録者のうち「事業企画」職に従事している方の平均年収は約628.1万円とされています。同サイトが公開している会社員全体の平均年収は約426万円のため、経営企画職は平均より高い収入が得られやすい職種の1つと言えます。

参考:
doda「平均年収ランキング(年齢別・年代別の年収情報)【最新版】
https://doda.jp/guide/heikin/age/
doda「事業企画とはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説」
https://doda.jp/guide/zukan/026.html

プロフェッショナルバンクの転職平均年収

プロフェッショナルバンクは、事業企画を含むハイクラス人材の転職支援を得意としております。2024年1月~2024年12月にご登録いただいた事業企画職の方々の平均年収は約1,159万円(平均年齢約45歳)で、高年収帯の案件を多く取り揃えております。

弊社独占の非公開求人を中心に厳選した案件を取り揃えておりますので、【今後事業企画キャリアを志している】【いままさに事業企画に従事しており、さらなるキャリアアップを目指している】方、まずは一度専門のヘッドハンターにご相談ください。

ヘッドハンター冨澤が語る|事業企画の転職事情

ここからは、転職市場の現場第一線で活躍中の弊社現役ヘッドハンターより、事業企画職の転職事情について解説していきます。

今回登場するのは事業企画・経営企画やCxOレイヤーの転職支援実績を数多く有する【冨澤 美佐】さんです。

**ヘッドハンタープロフィール**

冨澤
冨澤
冨澤 美佐
大学卒業後、豊かな未来を創造するサポートをしたいという想いからプロフェッショナルバンクに入社。入社後は、PEファンド投資先、ベンチャーから大手企業まで幅広い企業のコーポレート職(経営企画、経理財務、人事)を中心にミドルマネジメント層~CXOクラスを支援。転職がゴールではなく、転職した先の未来が豊かになるような一助になれたらという想いで大切なご転職活動に伴走。 詳しくはこちら≫

事業企画になるには?必要なスキルセット

まずは事業企画になるために必要なスキルセットについてインタビューしていきます。事業企画はマーケティングや営業企画など他職種で成果を上げてからキャリアチェンジする方も多い印象ですが、改めてどのようなスキル・経験が事業企画キャリアに必要でしょうか?

必要なスキル例①:【マーケティング】

冨澤
冨澤
事業企画は事業を成長させ売上を創出することにコミットする職種のため、その事業が会社にとってどれほどの利益をもたらすのか、市場や顧客を理解し「売れる」仕組みを作るマーケティング知識は必須と言える要素です。

マーケティングのスキルは重要ですよね。ということは、広告代理店出身者や事業会社でマーケティングに従事する方は事業企画にチャレンジしやすいのでしょうか?

冨澤
冨澤
考え方を学べるという点ではそうですね。広告代理店や事業会社マーケターを必ず経験しておく必要はありませんが、市場ニーズを分析したり、それをもとに戦略立てて事業推進をしたりという経験は間違いなく事業企画を行う上での下支えとなってくれるはずです。

つまり、マーケターとしての経験が重要というよりは、マーケティング的視点や考え方をきちんと持ち合わせているということが大切ということですね。

必要なスキル例②:【営業企画(営業)】

冨澤
冨澤
営業企画のスキルや経験も事業企画に通ずるものがありますね。目標(KGI)を設定しその達成のためのKPIを設計、振り返りと改善を行うという一連のプロセスを理解している方が多いかと思います。

確かに営業的視点と数字への拘りは大切ですね。営業企画から事業企画へのキャリアチェンジにおいて、留意すべきことなどはありますか?

冨澤
冨澤
管掌範囲が営業部門から事業全体へシフトするため、単純にステークホルダーが増えるということを念頭に置いておかれた方が良いかと思います。より多くのメンバー、他部署を巻き込んだ調整能力が求められるようになりますね。

今までは営業数字をどれだけ伸ばすかというところに重点を置いていたのが、経営層や管理部門とより密接に連携する立場となることで、広い視野を持つ必要が出てくるということですね。

必要なスキル例③:【コンサルタント】

冨澤
冨澤
経営コンサルタント、戦略コンサルタントを経験された方が事業会社に移る場合、事業企画職へのキャリアチェンジも選択肢の1つとして検討をお勧めします。コンサルティングファームでは経営や事業の課題解決ノウハウを体系的に身に着けることができるため、事業企画として立ち上がりやすいイメージがあります。コンサルは基本的にプロジェクトやチーム単位で仕事をするため、関係者の巻き込み力も高い方が多いですね。

確かにコンサル出身者はプロジェクトマネジメントにも長けている方が多いですよね。一方、時には泥臭く数字を追いかけ、事業成長にコミットするということも事業企画には重要なので、そういった推進力も併せ持つ方はキャッチアップしやすい印象です。

市場価値の高い事業企画人材の特徴とは?

次に、市場価値の高い事業企画人材の特徴について伺います。多くの企業から求められる事業企画人材とは具体的にどのようなご経験をされている方なのでしょうか?

特徴①:0→1と1→10どちらにも強みのある方

冨澤
冨澤
日々いろいろな方とお会いする中で感じるのは、事業を立ち上げ軌道に乗せることと、PDCAを回しながら事業を更に拡大させること、どちらもできる方は引く手あまたの印象です。

どちらも、というのが肝なのですね。確かに両方できるに越したことはないですが、関わってきた事業フェーズ等によってはどちらかのみに強みがある方もいらっしゃるかと思います。両方の経験を積んでおくことが大切と仰るのは、何か特別な背景があるのでしょうか?

冨澤
冨澤
事業企画に求められるスキルセットの変化や、時代背景的なところが大きいかと思います。VUCAと呼ばれる現代において、事業を創造できることと、存続させられることはそれぞれに違った価値があり、どちらの経験もしている且つ目に見える成果が出ているという方は転職市場でも強いです(特に複数事業でそれができていると再現性観点でもベストです)。

変化の激しい時代だからこそ、以前にも増して求められるようになってきたということですね。

特徴②:巻き込み力のある方

冨澤
冨澤
当たり前ですが事業推進は自分だけで完結するものではありません。事業企画は事業責任を負う立場でもあることから人一倍のコミット力や責任感も大切ですが、一方で独りよがりにならず、関係者の力を借りるということは非常に大切なスキルだと感じます。

なるほど。どれだけ社内の関係者を味方にできるかというのも確かに重要ですね。

冨澤
冨澤
簡単そうに見えて、意外と難しいことだと思います。普段から社内のコミュニケーションを重んじ、協力しあえる関係性を作っておけると良いですね。

コミュニケーション能力というのは言葉にするのは簡単ですが、複雑な意味を持ち合わせているように感じますね。「メンバーとうまくコミュニケーションが取れている」と感じている方も、果たして本当にそうだろうかと立ち止まって考えてみるのも良いかもしれません。

理想的なキャリアパスとは?

事業企画キャリアを歩まれる方にとって、ある種正解のようなキャリアパスはあるのでしょうか?

事業企画キャリアは自由度が高い

冨澤
冨澤
乱暴な表現かもしれませんが、その方のご志向によってキャリアの理想像は様々かと思います。事業企画はその後のキャリアの選択肢が広く、自由度の高い職種なので尚更ですね。

自由度が高いとのことですが、例えばどのような選択肢がありますか?

冨澤
冨澤
職種を変えずに事業規模やフェーズの異なる企業へ転職して経験・実績を積む方、反対に、事業側から見た実務寄りの視点を活かしながら、経営層に近いポジションで中長期視点での戦略設計されるために経営企画へキャリアステップされる方など、様々ありますね。

確かにいろいろな選択肢がありますね。冨澤さんが直近お会いした求職者様の中で、着実にキャリアアップされている印象深い事業企画の方はいらっしゃいますか?

冨澤
冨澤
直近ご支援させていただいた方は、広告代理店での経験を活かし総合商社でデジタル領域の事業企画/開発に従事、その後2社のITベンチャーで経営企画→経営ボードへキャリアを進め、現職ではCOO兼子会社CEOの立場でご活躍されています。

なるほど。事業企画は事業成長をミッションとするポジションなので、こちらの方のようにキャリアの延長線上で経営ボードを狙うという方も多いですよね。将来的に経営者になりたい方はぜひ選択してほしいポジションの一つですね。

まとめ

事業企画に従事しており、転職を検討している男性

本記事では、事業企画の業務内容やキャリアパス、市場価値を上げるために必要なスキルセットについて解説してきました。事業企画のミッションや業務内容は多岐にわたりますが、事業成長にコミットし成果を上げることができれば転職市場からのニーズは非常に高い職種です。

プロフェッショナルバンクの転職支援

プロフェッショナルバンクは、今回ご紹介した事業企画や事業開発を含む企画系職種の転職支援を得意としており、CxO/管理・企画職/コンサルタント職を中心に、非公開の独占求人を多数保有しております。今すぐに転職をお考えでない方も、今後のキャリアの参考としていただける情報を現役ヘッドハンターよりお伝えいたしますので、ぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。

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