ヘッドハンターの独り言

行動経済学と採用におけるバイアス(偏見・先入観)について

行動経済学と採用におけるバイアス(偏見・先入観)について

私は大学時代に【行動経済学】について学んでいたのですが、仕事をする上でふと昔を思い出すことがあったので少しお話しさせていただきます。

まず初めにそもそも【行動経済学】とは、「人は常に利益最大化のため合理的な行動をする」という前提を置く、議論を一般化した従来の経済学に対して、「人は必ずしも合理的な行動をとるわけではない」という現実を考慮して、経済学に心理学的なアプローチを加えて分析する学問のことを指しています。

実際、私たちは常日頃、計算通り一貫した選択をするとは限りませんし、当然ですがコンピューターのように常に合理的ではないと思います。
一方でリアルな直感や感情などを踏まえた【行動経済学】の考え方は、難しくもありますが非常に興味深く、採用活動にも通じることが多いと実感させられます。

特に【行動経済学】と採用活動に共通して感じるのは、“認知バイアスという言葉/考え方を認識できているかが大切”という点です。
現在、バイアス(偏見・先入観)という言葉自体はビジネスシーンで当たり前のように使われていますが、【行動経済学】のなかでも頻繁に使われる言葉でもあります。

■ビジネスシーン(採用)におけるバイアスの具体例
・学歴が高いひとは有能だ
・体育会系の人は営業が向いている
・女性は事務職が適している
※経験や、過去に囚われ視野が狭くなっている状態

■行動経済学における認知バイアスの具体例
・現在バイアス :将来よりも目先の利益が大事
・確証バイアス :自分にとって都合良い情報のみ信じる
・内集団バイアス:身内びいきで外部に差別的     など

上記はどちらも、直感やこれまでの経験にもとづく先入観によって、非合理的になっている心理現象(認知バイアス)を表しており、これまでの慣例や固定観念、不安、懸念などから起こる認知バイアスを取り除くことは非常に難しいと思います。
ただ、個人的にはバイアスが起きている状態が必ずしも悪という訳ではなく、“バイアスが起きている可能性があることを認識していない”ほうがまずい状態であると考えております。

採用活動においても、これまでの企業文化や慣習を全て取り除くことは不可能に近いと思いますが、まずはバイアス状態を認識することから意識されてみてはいかがでしょうか。
その上でこれまで【行動経済学】に関連する書籍等や私自身の実体験から、個人的には下記ポイントが重要だと感じております。

➀適切な判断軸をもつ
⇒直感や経験則を鵜呑みにするのではなく客観的な情報を取り入れる
➁第三者に相談する
⇒利害関係のない人から新たな視点を取り入れる
➂前提を疑い因果関係を分析する
⇒先入観やイメージだけではなく確率や統計など数値分析を行う

私自身もこのバイアスという言葉と考え方を常に意識することで、新しい情報や考え方を常に取り入れられる柔軟な状態を作ると同時に、予想外のことが起きた際や未経験の事に対して狼狽えずに、対応ができるビジネスマンになれるよう日々精進して参ります。

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