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年末帰省に起こりがちな「実家ブロック」をどう突破するか

年末帰省に起こりがちな「実家ブロック」をどう突破するか

転職などの際に、妻の反対によりその転機を逃してしまう「嫁ブロック」という言葉はご存知の方も多いと思いますが、最近では自分あるいは妻(夫)の親から転職などを反対される「実家ブロック」という言葉も耳にするようになってきました。ここでは、年末帰省の際に特に起こりやすいこの「実家ブロック」はなぜ起こるのか、突破するためには何をすべきかを考えます。

「嫁ブロック」より主観的な「実家ブロック」

「嫁ブロック」が主に、ご主人の給与・休日・勤務地に関する妻の生活面への不安からくる現実的な理由であるのに対し、「実家ブロック」が起こる理由は主観的かつその親によって様々です。

まず一番に多いのは、基本的に私たちの親世代には「一度就職したら定年まで働くのが当たり前」という終身雇用・年功序列の考え方が根強く残っているため、そもそも転職自体に拒否反応を起こしてしまうことです。

次に、すでに転職先が決まっている、あるいは転職を考えている業界がある場合に多いのが、「名前も聞いたことのない会社だ」「そんな業界なんて親戚に言うのが恥ずかしい」などという、単純に親がその会社や業界に対するマイナスイメージを持っているパターン。

さらに、現在比較的実家の近くに住み、職場も自宅から近い場合には「転勤などで離れてしまうのは寂しい」「将来は一緒に暮らしたいと考えていたのに」などという思いからくるものや、子供が転職することでその妻(夫)や孫が心配、という思いからくるものもあります。

親心は受けとめ、話には耳を傾ける

このように、「実家ブロック」が起こる原因はいずれも至って主観的なものであり、ある意味「嫁ブロック」以上に本人の考えや気持ちを無視したものもあります。しかしながら、いずれも根底にあるのはあなたに今のままでいてほしい、少しでもリスクのある道を歩んで欲しくないという「親心」でもあります。

そのため、仮に転職の話題になった時に難色を示されたとしても、感情的にならず、まずは親の言い分に耳を傾けてみることが重要です。当然、最終的に決断を下すのは転職を考える本人ですが、親の意見の中には改めて転職について冷静に考えるためのヒントが隠されている可能性もありますし、よくよく話を聞いてみれば、説明さえきちんとすれば解決することかもしれません。また、「実家ブロック」をそもそも起こさせない方法として、あらかじめ現在の会社や仕事に対する不満を相手に伝えておくことも有効です。

例えば親が現在の仕事内容や抱えている問題を少しでも理解していれば、転職の話に対してももっと本人の立場に立って考えてくれるのではないでしょうか。実際に転職エージェントなどで働く人の多くは、「嫁ブロック」において、妻が専業主婦である人の方が転職の反対をされやすく、職場結婚で妻が仕事内容を良く知っている人の方が転職の反対をされにくい傾向にあると感じているようです。

本人の気持ちを尊重し、結果で見せればよい

何度も言うようですが、「実家ブロック」に関してはあくまでも親の主観によるものが多く、実際に現在の会社で働き、不満を持ち、転職先を探し、転職しようとしているのは転職を考えている本人です。従って、基本的に本人の転職したいという気持ちは尊重されるべきです。

確かに、親が人生の先輩であることには間違いありませんし、親は子供のことを思って意見してくれています。そのため、転職を考える人の中にはその意見に逆らうことに対して後ろめたさを感じる方や、転職することに罪悪感を抱いてしまう方もいるでしょう。

しかし、現実に「新卒社員の3割が入社3年以内に退職する」という傾向は1987年、まさに親世代が働き盛りの頃から約30年間変わっておらず、厚生労働省の示す「雇用動向調査結果」においても、1年間の転職率は9.9%、つまり10人に1人の割合で転職をしている時代です。さらには20歳〜44歳までに転職した人は転職後に賃金が増加した人の方が多いという統計もあり、人手不足による売り手市場にある昨今においては、転職はむしろチャンスと捉える方が自然でしょう。

ひとたび親との間に立ちはだかった「実家ブロック」の壁は、仮にその反対を押し切って転職をしたとしても、その後もわだかまりとして残り、崩れることはありません。その壁を崩す方法はただひとつ、本人が転職して良かったと思えるような会社で仕事をし、結果を出したその姿を親に見せることです。そうすれば自ずとその姿に親は納得し、転職に対してのマイナスイメージも払拭されることでしょう。

そして、売り手市場と言われる昨今において、求職者を受け入れる企業側にも、求める人材を「実家ブロック」によって阻まれないようにするための魅力的な会社づくりが求められているのです。

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