人事ねた

【企業向け】社内向け適性検査とは?活用方法と主な7種類の特徴まとめ

【企業向け】社内向け適性検査とは?活用方法と主な7種類の特徴まとめ

適性検査というと、新卒採用や中途採用で取り入れられるイメージがありますが、近年は社内向けに適性検査を導入するケースも増えてきました。しかし、適性検査は非常に多くの種類があり、得られる情報も異なるため、どれを選べばよいか悩むものです。

そこで今回は、社内向け適性検査を選ぶうえで知っておきたい基本的な情報と、利用目的別のおすすめ適性検査7種類を紹介します。「適性検査を実施することでどのような効果があるのか」「実施するならどの検査を取り入れたらよいのか」しっかり確認していきましょう。

適性検査とは?

適性検査とは、人材の職業・組織への適性や、潜在的な素質を測る手段の1つです。性格・人間性・価値観・学力・知的能力などさまざまな能力や特性が定量的に測定します。

適性検査には2つの用途があり、1つは採用活動における採用基準との照らし合わせ、もう1つは自社の従業員を分析し人材配置や育成、評価に活用する方法です。本記事では社内向けの適性検査についてご紹介します。

社内向け適性検査の目的

社内向けに適性検査を実施する目的は大きく4つあります。

目的① キャリア開発
目的② ポジション適性判断
目的③ チーム、部署構成の最適化
目的④ 教育・研修計画の立案

目的① キャリア開発
従業員の適性や能力を把握し、それに基づいて適切なキャリア開発プランを立案することが目的です。適性検査の結果を活用して、従業員がより適した業務やポジションに配置され、成長やキャリアの進展を促すことができます。

目的② ポジション適性判断
社内で新たなポジションが生まれたり、既存のポジションへの異動が発生した場合に、適性検査を行って従業員のポジション適正を判断することが目的です。従業員のスキルや能力を客観的に評価し、適したポジションに配置することで、業務の効率性や生産性を向上させることができます。

目的③ チーム、部署構成の最適化
適性検査を活用して、従業員の個々の特性や能力を把握し、チームの構成を最適化することが目的です。異なる適性や能力を持つメンバーを適切に組み合わせることで、チームのパフォーマンスや協調性を向上させることができます。

目的④ 教育・研修計画の立案
適性検査の結果をもとに、従業員の育成や教育・研修計画を立案することが目的です。従業員の強みや改善点を把握し、必要なスキルや知識の習得に焦点を当てた教育・研修プログラムを提供することで、従業員の成長や能力向上を支援します。

適性検査の種類

適性検査の種類は、「能力検査」「性格検査」に大別されます。

・能力検査
基礎学力・一般常識・知的能力・思考能力・情報処理能力などを定量的に測る。

・性格検査
性格・人間性(パーソナリティ)・思考の癖・意欲・対人力・指向・人柄・社交性・共感性・コミュニケーション力などを定量的に測る。

実施のタイミング

社内向け適性検査はどのようなタイミングで行えばいいのでしょうか。適性検査のタイミングと効果をご紹介します。

タイミング① 昇進や異動時
社内のスタッフが昇進や異動する際に適性検査を実施することで、彼らのスキルや能力をより明確に評価することができます。適性に基づいたポジションの選択は、組織の効率性と生産性を向上させることができます。

タイミング② 従業員のパフォーマンス評価
半年に1度、年に1度といった区切りで社内向けの適性検査を実施することで、従業員のパフォーマンス評価をすることができます。従業員の強みと課題を特定し、必要なトレーニングや開発プログラムを提供するための基準として使用することができ、これにより従業員の成長と能力開発を促進することができます。

適性検査の形式

適性検査には受験方法や回答方法に違いがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
適性検査の形式
Web受検(Web試験・Webテスティング)
受検場所が柔軟に変えられ、実施・情報管理の手間・時間・コストが削減できる形式です。自宅で実施する場合、遠方からでも参加できたり交通費を削減できたりと受検者の負担を最小限に抑えるメリットがありますが、不正行為があってもわからない点がデメリット。指定会場で実施する場合、コスト削減効果が小さくなり、受検者への負担が大きくなる一方で、不正行為は防ぎやすくなります。

ペーパー受検(紙試験・ペーパーテスティング)
受検場所の設置や実施・情報の管理に、手間や時間がかかる反面、試験会場と監督官を用意することから不正が防ぎやすくなります。漢字の書き取りなど、筆記でしか測れない能力を測りたいときに活用されます。

テストセンター受検
適性検査を提供する会社が実施する試験に申し込む形式です。試験の実施だけでなく、試験会場や監督官の用意も適性検査提供会社に任せることができます。そのため、自社の負担を最小限に抑えつつ、不正の発生も防げます。ただし、委託する範囲が広くなるためコストがかさむ傾向があります。

適性検査の試験内容

適性検査の試験内容は、適性検査提供会社が提供している適性試験によって異なります。回答形式としては、ノーマティブ方式が多く使われていますが、一部イプサティブ方式の検査もあります。

ノーマティブ方式
一問一答で回答を求める方式。回答を「はい」「いいえ」の2択から選ぶタイプと、3段階以上の選択肢のなかから選ぶタイプがあります。受検者が答えやすいというメリットがある一方で、答えを操作して嘘の人物像を作りやすいデメリットもあります。

イプサティブ方式
「自分に当てはまる項目・当てはまらない項目」など、複数の質問を1組にして回答を求める方式。回答の選択肢が多いことから、答えを操作して嘘の人物像を作ることが難しいというメリットと、受検者が答えにくいというデメリットがあります。

自社に合った適性検査を選ぶときに3つのポイント

適性検査はさまざまな形で実施できるため、自社で採用すべき適性検査をどのように選べばよいか悩むこともあるでしょう。ここからは、適性検査選びで押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

自社に合った適性検査を選ぶときに3つのポイント

実施の目的にマッチしているか

適性検査によって、想定している利用目的や測定できる特性・能力が異なります。たとえば、同じ能力検査でも、「学力」を測るテストでは、問題解決力や論理的に考える力といった「知的能力」を測ることができません。そのため、まずは目的を明確にしましょう。

費用や実施時間が適切か

適性検査によって、導入にかかる費用や試験時間にも違いがあります。一般的に、試験時間が長いと取得する情報が多いため管理にかかる負担が大きくなり、短いと負担は小さくなります。

テストセンターのように試験実施の全般を外部に任せると負担は軽くできますが、費用が上がる傾向があります。自社で実施すると、コストは調整しやすくなりますが、準備や管理に負担がかかります。

また、業務時間内に適性検査を行う場合、従業員が業務から一時的に離れることになるため注意が必要です。

信頼性が十分にあるか

適性検査の種類(サービス)のなかには、似た利用目的や検査できる項目を持つものもあります。選定に悩んだときは、信頼性の高さに注目してみましょう。

多くの企業が実施している・受検者数が多いと、信頼性の高いデータが得られる検査といえます。ただし、企業によって導入している目的や採用で重視する項目が異なるため、信頼性が高い検査のすべてが自社にマッチするとは限りません。その他の要素もふまえつつ判断しましょう。

目的に合った適性検査の導入が重要!

目的に合った適性検査の導入が重要!

おすすめの適性検査7種

社内向け適性検査実施の目的、または活用できるシーンは、大きく分けて下記の5つがあります。

・社内向けの職務分析
・従業員の自己分析
・従業員の相互理解
・従業員のタレントマネジメント
・退職者の退職理由の分析

それぞれについて、適性検査の利用シーンや活用方法、代表的な適性検査について紹介します。

社内向けの職務分析(がしたい)

既存従業員を分析するときは、作業内容や担当顧客などから職務を細分化し、各担当者にはどのような人材が向いているのかをみます。既存従業員の特性を把握し、適合・不適合などを分析することで、採用活動や適切な人材配置・人材育成に活かすことができるでしょう。

社内向けの職務分析におすすめの適性検査
社内向けの職務分析には、「内田クレペリン検査」の活用がおすすめです。

内田クレペリン検査
日本で開発された心理検査のなかで、もっとも古くから使われている検査です。受検者は身体的なストレスを含めた「作業負荷」がかかった状態で、足し算を行います。計算量の変化や誤答から、受検者の性格や行動面の特徴を測定することが可能。官公庁や教育機関でも実施されており、信頼性も十分といえるでしょう。

主な測定内容・発動性
・可変性
・亢進性
費用検査用紙 1セット(10枚) 1,100円
導入社数
(年間70万人)
受検形式・ペーパー受検(筆記)
検査提供会社株式会社 日本・精神技術研究所
公式サイトhttps://www.nsgk.co.jp/uk/whatis

従業員の自己分析(がしたい)

従業員1人ひとりのキャリア開発は、企業にとっても大きな課題です。適性検査を実施し、潜在的な人間性や現在の能力を明らかにすることで、キャリアパスやキャリアアップの方策を検討しやすくなります。

さらに、適性検査では定量的で客観的な結果が出るため、従業員が自身を理解しやすい・結果を受け入れやすいという一面も。従業員に自己を理解してもらうことで、管理側がキャリア面談を進めやすいというメリットもあります。

従業員の自己分析におすすめの適性検査
従業員の自己分析では、性格と能力の両方が測れる「JMAT」がおすすめです。

JMAT
中堅社員としての性格適正・能力適性を職務タイプ別に、測ることができる適性検査です。周囲の人と接する姿勢や行動パターン、価値観、目標へのアプローチなど、性格・指向・態度に関するデータが得られます。仕事の取り組み方・人との接し方・強みと啓発ポイントについて確認できるため、キャリア開発に役立ちます。

主な測定内容・基礎能力
・態度能力
・言語能力
・非言語能力,etc…
費用受検料 1名あたり6,000円
導入社数年間500社以上
受検形式・ペーパー受検
検査提供会社株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
公式サイトhttps://www.recruit-ms.co.jp/service/service_detail/org_key/A007/

従業員の相互理解(がしたい)

従業員の離職原因としてとくに多いのが、「人間関係の問題」です。さまざまなケースがありますが、人間関係が悪化する要因として、従業員がお互いを知らない・理解できていないことが挙げられます。

適性検査を使えば、個人の性格や得意不得意、思考癖を把握することができるため、従業員の相互理解を促進することができます。お互いを理解することで、業務の分担や人事配置の見直しも実施できるでしょう。

従業員の相互理解におすすめの適性検査
従業員の相互理解にぴったりなのが「アッテル」と「GROW360」です。

アッテル
アッテルは、10万人のデータとAIによって開発された適性検査です。組織との相性や従業員同士の相性を定量的に測ることができ、それぞれが活躍・定着できる適切な人材配置を可能にします。感覚的な人事や評価ではなく、客観的なデータを用いた強い組織作りが目指せるでしょう。

主な測定内容・基礎能力
・活躍する人材の傾向
・類似従業員
・自社の採用力,etc…
費用1名あたり月額250~500円
導入社数
受検形式・Web受検
検査提供会社株式会社アッテル
公式サイトhttps://attelu.jp/

GROW360
AIで受検者のデータを分析できる適性検査です。AIを活用することで、正確で客観的な他者評価を出るため、受検者も周囲も納得しやすい点がポイント。GROW360では採用から人材の配置・評価・育成、組織開発までトータルでサポートしていることから、人材施策全般を任せることもできます。

主な測定内容・気質
・コンピテンシー
・スキル
・バイアス
費用年間AIデータ管理料 100,000円
受検料 1名あたり4,000円
受検サポート費 100,000円~
導入社数
受検形式
検査提供会社Institution for a Global Society株式会社
公式サイトhttps://www.grow-360.com/ja

従業員のタレントマネジメント(がしたい)

適性検査の結果は、今注目されているタレントマネジメントに活用することもできます。

タレントマネジメントは、従業員の特性や能力を一元管理して、データを適正な人材配置・採用・評価など組織運営に活用する取り組みです。適性検査で、企業側が定量的な従業員の能力(タレント)を把握できれば、科学的な人事戦略を行うことができるのです。

従業員のタレントマネジメントにおすすめの適性検査
タレントマネジメントの導入を検討している企業は、「mitsucari適性検査」や「NMAT」を活用してみましょう。

mitsucari適性検査
従業員や組織の特徴や相性を可視化できる適性検査です。従業員それぞれの性格や相性をAIで可視化することで、組織内のミスマッチを防ぐことができます。9ヶ国語での受検が可能で、グローバル企業にもぴったり。質問は10分程度で完了する非常に簡単なものですが、心理学・AI技術の大学教授の監修を受けて開発されているため、信頼性は高いといえます。

主な測定内容・性格
・価値観,etc…
費用月額30,000円~(マネジメント利用の場合)
導入社数3,400社
受検形式・Web受検
検査提供会社株式会社ミツカリ
公式サイトhttps://mitsucari.com/

NMAT
管理職に求められる性格・能力適性を測る適性検査。性格適性・能力適性を役職タイプ別に測定することで、管理者としての可能性を予測することができます。検査結果は、タレントマネジメントで重視される優秀な人材のパフォーマンスアップや戦略的な人材配置に活用できます。

主な測定内容・基礎能力
・性格適性
・指向
費用受検料 1名あたり6,000円
導入社数
受検形式・ペーパー受検
検査提供会社株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
公式サイトhttps://www.mat.recruit.co.jp/

退職者の退職理由の分析(がしたい)

退職者は、円満退職のために本当の退職理由を明かさない場合もあります。しかし、なぜ自社から人材が離れるかを把握し、人事戦略に反映するためには、真の退職理由を知る必要があります。適性検査を用いて退職者の特性や心理状態などを分析すれば、今後の離職防止策につなげることができます。

人事評価や面談に適性検査を使用している場合は、退職者のデータから傾向を分析するとよいでしょう。可能であれば、退職時に適性検査を実施し、退職者の状態を把握することも有効です。

退職者の退職理由の分析におすすめの適性検査
退職時に実施する適性検査には、ストレス関連のデータが詳細に出る「アドバンテッジインサイト」がおすすめです。

アドバンテッジインサイト
ストレスの強さと現在のストレス状態を測ることができる適性検査です。メンタルヘルス不調は離職の大きな原因となっています。各従業員の心の知能指数「EQ」やストレス耐性を知って、個人に合わせたフォローアップをすることで、離職を防ぐことができます。

主な測定内容・知的能力
・EQ能力
・コンピテンシー
・ストレス耐性
費用受験料 1名当たり4,000~6,500円
導入社数
受検形式・Web受検
・ペーパー受検(マークシート)
・テストセンター受検
検査提供会社株式会社 アドバンテッジ リスク マネジメント
公式サイトhttps://www.armg.jp/business/insight/

※各検査の費用は掲載時から変更されている場合があります。詳細は直接、提供企業へお問い合わせ下さい。

適性検査は採用から人材配置・組織作りまで活用できる!

適性検査は客観的な結果を出せるため、個人の特性や能力を見極める方法として非常に効率的かつ効果的です。検査結果は、採用・人材配置・教育・タレントマネジメント・組織マネジメントなど人事戦略や経営戦略に広く活用できます。
適性検査は採用から人材配置・組織作りまで活用できる!
しかし、適性検査によって、想定された利用目的や計測できる内容はさまざま。自社に合った検査を選ぶためには、利用したいシーンや目的、サービス内容、予算、実績などから総合的に判断することが重要です。無料で試せる適性検査もあるため、複数のサービスを試してみてから決めてもよいでしょう。

こんな記事も読まれています