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3位 制度の未整備、2位 再退職リスク、1位は?アルムナイ採用の課題とは/再雇用(アルムナイ採用)の実態調査レポート

3位 制度の未整備、2位 再退職リスク、1位は?アルムナイ採用の課題とは/再雇用(アルムナイ採用)の実態調査レポート

プロフェッショナルバンクの顧客を対象に、『再雇用(アルムナイ採用)』についてアンケート調査を実施いたしました(実施期間:2023年2月9日~2月17日、回答数:299名)。

過去に在籍していた社員からの「戻りたい」という思いに着目して、再雇用(アルムナイ採用)を積極的に受け入れる会社が増えてきました。再雇用といえば即戦力として活躍が期待できるものの、再雇用することで起こる問題や課題はないのか?再雇用の実態をレポートします。

TOPICS1:再雇用は退職者の自己応募が7割

最初に再雇用を実施している企業の割合や応募経路からご紹介します。

Q再雇用を実施したことはありますか?

67%が再雇用を実施したことがあると回答しており、採用手法のひとつとして多くの企業が実践していることがわかります。

グラフ:再雇用実施の有無

Q再雇用をするに至った経緯で最も多いものは何ですか?

再雇用された70%が「過去在籍社員からの自己応募」となっており、退職、転職はしたものの、出戻りを希望する人材は数多く存在していることがうかがえます。

グラフ:再雇用に至った経緯

TOPICS2:約7割が選考未実施か簡易選考

次に再雇用時の選考方法や再雇用後のポジションなどをご紹介していきます。

Q再雇用する際の選考方法を教えてください

再雇用する際の選考は、「選考しない」が10%、「簡易選考」が58%と多くの企業が通常とは異なる採用方法で選考を進めていることが分かりました。

グラフ:再雇用する際の選考方法

Q再雇用における採用率はどのくらいですか?

また、再雇用での選考では34%が「採用率100%」と答え、また、48%が「採用率50%以上」と答えているため、応募以降の展開率は非常に高いといえます。互いを知っているだけに、選考のテーブルに乗る前から合否が決まっているケースも多いと考えられます。

グラフ:再雇用における採用率

TOPICS3:最も多いのは技術職の再雇用

Q再雇用した社員は以前と同職種でしたか?

退職前と再雇用後の担当職種を比較したところ、95%が同じであることがわかりました。
職種だけならず、業務内容も把握している為に即戦力として活躍しているケースが多いと考えられます。

グラフ:再雇用した社員は以前と同職種か否か

Q再雇用した人材が最も多いのはどのポジションですか?

ポジション別による人口ピラミッドが経営職<管理職<一般職となるため、再雇用された社員が最も多いのも「一般職」76%となり、想定できた結果となっています。

グラフ:再雇用人材のポジション

Q再雇用後の職種は何ですか?

再雇用後の職種は技術職が35%と最も多く、続いて営業職、専門職となりました。
専門性高い技術職は、通常採用では満足いく成果を得られない企業も多いため、再雇用でのニーズもおのずと高くっていると考えられます。

グラフ:再雇用後の職種

TOPICS4:再雇用のメリットは「即戦力」が最多

再雇用して良かった点、逆に再雇用の問題や課題を聞いていきました。

Q再雇用してよかった点を教えてください

「即戦力として活躍してくれた」や「新たに身につけたスキルの還元」という現場としてのメリットと、「人材不足の迅速な解消」、「採用コスト・教育コストを抑えられた」という採用課題を解決できる側面での効果が大きいようです。

グラフ:再雇用してよかった点

Q再雇用に問題点や課題があると思いますか?

再雇用に関する課題を抱える企業が半数近くは存在しています。

グラフ:再雇用における問題点や課題の有無

Q再雇用における問題点や課題をお聞かせください

再雇用の問題点、課題を分類して比率にすると「既存社員との処遇差、不満の発生」が最も多く、次いで「再退職のリスク」、「再雇用制度の未整備」となっています。

グラフ:採用における問題点や課題

それぞれの回答についてコメントの例をご紹介します。

▼「既存社員との処遇差、不満の発生」の回答例
・退職時の給与より給与を上げて転職をした場合、再雇用時には現年収での希望に当然なる
・自社で継続して勤務してくれている従業員との賃金・役職等のバランスへの配慮が必要
・給与や等級等の決定において過去在籍分をどの程度加味して決定するか

▼「再退職のリスク」の回答例
・再雇用者は何か問題意識があって退職しており、再度、同じ問題に遭遇した時は、又、退職となるケースがある
・一度辞めた原因があり、同様のリスクがある
・退職に至る理由が職場への不満であったり、周囲とのコミュニケーションであったりすると、再雇用後に再度の退職を懸念される

▼「再雇用制度の未整備」の回答例
・仕組化していきたいがそれを担う担当者の手が足りないこと
・より積極的に運用していきたいが、現状明確な制度やフローがないため、社内認知含め整備していく必要がある
・処遇の設定においての客観的な基準が未整備となっていること

▼「既存社員への悪影響」の回答例
・「辞めてもすぐ戻ることができる」という社員の認知は、時にマイナスに働くことがある
・退職しても戻れるとなると、退職を助長してしまうのではないかという懸念
・簡単に出戻り可能と認識されると、「条件のいい会社に一先ず転職して、合わなければ戻ろう」という社員が増えそう

▼「スキル・経験の把握」の回答例
・退職後年数が経過している場合、人柄等がわからないことがある
・当時のスキル状況しかわからないため、その後にどれだけ成長したのかわかりにくい
・採用基準にバイアスがかかるのは否めない。過去のポジションと現在のポジションで求めるスキルは異なるので、厳密に見極めないといけないが、甘くなる傾向はある

▼「アルムナイネットワーク」の回答例
・退職するタイミングで優秀な人材にはExit Interviewなどを通じて「何があったらこの人は戻ってくるか」を把握しておくことが大事
・退職された方々に、募集をかけている求人の情報、ならびに再入社の可能性があることを周知することが難しい
・再雇用希望者とのネットワーク、働きかけ。募集内容の届け方

▼「変化への対応」の回答例
・社内ルールや社内風土が変わっているが、前と同じ行動をとってしまう。既存職員が「特別扱い」と思って接してしまう
・退職前の感覚で仕事をされる点。会社は常に変わってゆくので、それに順応できない点
・再雇用までの期間が空くと変化に対応できない(以前のイメージから脱却できない)

▼「社内/在籍社員への理解」の回答例
・経営層(年配層)の理解が浅い。例えば「一回去っていった奴なんて」という認識がある
・他の従業員に対し、再雇用に関する明確な理由を示したうえで、その理解と納得を得る必要がある

TOPICS5:再雇用未経験企業も75%が今後実施

最後に“再雇用を実施したことがない”と回答した企業へ再雇用の可能性を聞きました。

Q再雇用する可能性はありますか?

「可能性がある」と「可能性が大いにある」をあわせると75%となり、再雇用への興味や関心の高さがうかがえます。また、その背景には「再雇用したい人がいる」ということも影響していそうです。

グラフ:再雇用を実施する可能性の有無

Q現在、戻ってきて欲しいと思う人材(社員)はいますか?

グラフ:戻ってきてほしいと思う人材(社員)の有無

まとめ

再雇用された人材は、即戦力として活躍してくれたり、新たに身につけたスキルを還元したり、会社に大きく貢献してくれていることがわかりました。一方で再退職リスクや既存社員との処遇差、既存社員への悪影響などを課題と感じる企業も多く、復職する社員だけでなく既存社員ともに互いに気持ちよく働き続けられるように、制度や復職者を受け入れる準備も入念に整えていくことが重要なのだと思われます。

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