「Big4って結局どこがいい?」—未経験者も5分で理解、転職コンサルが解説—

候補者の方と面談していると、案件紹介の冒頭でよく出てくる質問があります。「Big4って、どこが自分に合うのでしょうか?」——これに“唯一解”はありません。なぜなら、志望軸の置き所(業界×機能×働き方×グローバル)で“正解”が変わるからです。
当社は転職支援の現場で、未経験からのコンサル転職、コンサルtoコンサル、Big4間の横断移籍まで数多くの転職を伴走してきました。
今回は定義の誤解を解き、4社の違いを「意思決定」に効く言葉で整理し、どこがいいのかを、あなたの軸に引き寄せてお話しします。数字は年度で更新されがちなので、金額そのものより“見方の型”を把握してください。後半に未経験者でも転職成功につながるポイントも添えます。
目次
まず、Big4とは何か?
Big4は、デロイト、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)、EY(アーンスト・アンド・ヤング)、KPMGの世界四大会計事務所グループを母体に持つ総合系コンサルの総称です。
監査・税務・FASの知見を背骨に、戦略・業務改革・IT/DX・公共まで射程が広いのが特徴です。ここでよくある誤解がひとつ。アクセンチュアはBig4ではありません。実力のある総合コンサルですが、監査系グループではないため括りが違います。
会計の世界から独立性の議論が進み、「監査は監査、コンサルは別会社」という枠組みが整った—この歴史が、Big4の“幅の広さ”と“ガバナンスの強さ”を同時に支えています。
なぜBig4が強いのか(歴史と背景)
2000年代初頭、米国SOX法の施行により監査とコンサルの関係性に厳格な線引きが行われ、各監査法人はコンサル部門の再編・分離を進めました。
その後、グローバルM&Aや提携を通じて「監査と独立性を保ちつつ、コンサル機能はグループの別会社が担う」モデルが定着。こうして会計×税務×リスク×FASの蓄積を活かした“総合解決力”がBig4の強みとして再確立され、現在に至ります。
4社の“体感的な違い”を、一気に掴む
ここからは、Big4各社が一言でいうと、どんな会社なのか?現場で耳にする“声”を言語化します。厳密な序列論よりも、合う・合わないの見取り図として読んでください。
・デロイト
国内最大級の厚み。公共・金融・製造・ヘルスケアまで裾野が広く、IT大型変革×業務改革の統合案件が豊富。育成が手厚く、“日系的に丁寧”と感じる候補者も多い。
・PwC
グローバル色と横断力。データ&AI、サイバー、ESGの横串で“課題を束ねて解く”提案が得意。待遇や制度の説明が比較的透明で、意思決定がしやすいという声。
・KPMG
リスク/ガバナンス起点のDXに強み。守りの整備から攻めの変革へ、「統制×データ」を橋渡ししたい人と相性が良い。
・EY
若手の打席が早いという実感を持つ人が一定数。戦略〜実装の一気通貫が増え、“前線で学びたい”タイプに刺さりやすい。
簡潔なまとめでしたが、迷ったら「自分は“深さ”で勝つのか、“横串”で価値を出すのか」を先に決めると、4社の見え方が急にクリアになります。
目的別「どこがいい?」志望軸で選ぶショートガイド
次に、志望軸に沿って、Big4それぞれの特徴を簡略に紹介します。IT中心か、会計×FAS寄りか、公共志向か、グローバル重視か。まずは「深さで勝つ/横串で価値を出す」のどちらを優先するかを一つ決め、該当セクションから読み進めてください。
・ITコンサルを軸に
大規模基幹刷新やPMOならデロイトの厚い土台が効きます。PwCはデータ&AIやサイバーを伴走させる横断力が魅力。KPMGは統制やリスクを起点に攻めのDXを描きやすい。EYは戦略〜実装の橋渡しロールが多く、成長速度を求める人に向くと思われます。
・会計×コンサル/FAS寄りに
Big4のアドバンテージはここ、いずれの会社も強みがあります。監査・税務・FASの近接知が効くため、PMI、再編、ガバナンスで踏み込みが深い。一方で独立性の観点からの案件制約もあるため、面談で“どのラインで独立性を担保するか”を確認しましょう。
・公共・社会課題に
公共×デジタル、データ利活用、制度設計はデロイトの厚みが目立ちます。他3社もヘルスケアやスマートシティ、ESGなどで存在感が増加。“住民価値”をKPIに翻訳できる人は強い。
・グローバルに羽ばたきたい
4社ともネットワークを活用可能。語学×専門性が両輪です。英語は“試験の点”より“会議で意思決定を動かす運用力”が価値になります。
年収・初任給の「正しい見方」
金額は年度で変わります。ニュースの見出しより、一次情報(公式の募集要項・採用ページ)を見に行くことがおすすめですが、比較のときは“総報酬”で捉えるのが鉄則です。
- 総報酬=基本給+みなし残業+賞与+各種手当
- 同じ初任給でも、昇格速度(アナリスト→コンサル→シニア→M→SM→D/P)や評価制度で、中期の実入りは変わる
- 媒体の推定レンジは参考程度。内定提示条件で最終確認が原則
「どこが一番高いか?」は毎年の“瞬間風速”になりがちです。“報酬の透明性”と“成長の打席数”まで含めた総合判断をおすすめします。
参考までに「OpenWork」投稿者平均年収(年齢)を各社で比較してみました。
- デロイト:956万円(32歳)
*デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 - PwC:984万円(32歳)
*PwCコンサルティング合同会社 - KPMG:901万円(33歳)
*KPMGコンサルティング株式会社 - EY:904万円(32歳)
*EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
Big4への未経験からの転職
未経験からのBig4への転職は不可能ではありません。鍵は“経験の量”よりも、実績をビジネス価値に翻訳する力です。ここでは出身別に、面接官が見るKPI・役割の明確化・再現性の観点から「刺さる(今の強み)/伸ばす(今後鍛える)/NG(評価を下げる)」を整理しました。まず自分の型を定め、該当パートを磨き込みましょう。
出身別の合格者に共通する“語り方”
■IT出身(SIer/情シス/PdMなど)
刺さる:要件定義・PMOをKPI(納期短縮◯%など)で語れる実績
伸ばす:クラウド設計、データ基盤、ERP会計モジュールの知見(資格・小型PJで補強)
NG:ツール名の羅列だけで価値に結びつけない説明
■会計・財務出身(経理/監査/税務)
刺さる:決算早期化、内部統制、PMIの実績
伸ばす:管理会計/データ可視化(BIでの運用)、業務要件→IT要件の翻訳力
NG:証憑処理の作業羅列
■事業会社の企画・営業出身
刺さる:0→1/営業変革でKPI改善(CVR、在庫回転など)
伸ばす:仮説→検証→仕組化の再現性、SFA/MAの“運用設計”
NG:根性論・気合いアピール
運用ポイント
履歴書・職務経歴書に「刺さる/伸ばす」を明示(学習計画と期限もセット)。面接では“入社後3〜6か月で伸ばす計画”を具体化(教材・資格・案件での実装機会)。強化後にどう案件価値に効くか(KPI仮説)まで言い切るとよいでしょう。
落ちる理由TOP3
合わせて、未経験者の選考でよく見られる落ちる理由3選も紹介します。参考にしてください。
1.成果の定量不足(“やったこと”列挙で終わる)
・なぜ落ちる?
作業の羅列だけでは価値が伝わらず、「事業にどれだけ効いたか」が不明。
・どう直す?
KPIで成果を言い切ること。
例:×「要件定義を担当」 → ○「要件定義を主導し、リードタイム28%短縮/保守費年▲1,200万円」
2.役割境界が曖昧(自分が決めた範囲が見えない)
・なぜ落ちる?
チーム成果に埋もれると再現性を判断できない。採用側は“あなたの意思決定領域”を確認したい。
・どう直す?
R&R(役割と責任)を一文で明記。
例:×「プロジェクトに参画」 → ○「要件優先度の決定・変更管理を担当。承認フロー再設計で逸脱率3%→0.6%」
3.志望動機が汎用的(社名を入れ替えても通る)
・なぜ落ちる?
企業理解とマッチ度が見えず、配属後の活躍イメージが湧かない。
・どう直す?
「なぜ今」「なぜこの社」「自分の提供価値」をセットで具体化。
例:○「公共×データ利活用の実績が厚い御社で、前職の住民手続DX(処理時間60%短縮)の経験を自治体BPRで再現したい」
まとめ:Big4選びは「自分軸」から逆算しよう
ここまで、Big4各社の特徴や選び方、未経験からの転職成功ポイントまで整理してきました。結局のところ、「どこがいい?」の答えは、あなた自身の志望軸—目指す業界、身につけたい機能、理想の働き方、グローバル志向—によって大きく変わります。
各社の“強み”や“カルチャー”を知った上で、自分がどの分野で貢献し、どんな成長を望むかを明確にすることが、納得感のあるキャリア選択につながります。
Big4は、変化の大きい時代にこそ、専門性と横断力を磨ける舞台です。情報に惑わされるより、自分の「価値の出し方」から逆算して、応募・面接・意思決定に臨んでください。最初の一歩が、あなたのキャリアの可能性を大きく広げるはずです。
もし、直接お会いして自分にあうBig4がどこなのか?自分に合った成功転職へのポイントは何なのか?をより把握したければ、ぜひご相談ください。
※給与・制度などの数値は年度や部門で変動します。最終判断は各社の公式募集要項をご確認ください。最新情報のリサーチや面接対策も、私たちが伴走します。
Q&A(Big4よくある質問集)
Q:Big4って結局どの会社のこと?
A:デロイト、PwC、EY、KPMGの4社(各グローバルネットワークの日本のコンサル法人群)を指します。監査を母体に税務・FAS・コンサルまで多角展開しやすいのが特徴です。定義と各社の位置づけは就活・転職サイトの基礎解説でも共通認識です。
Q:アクセンチュアはBig4に入る?
A:入りません。アクセンチュアは監査系を母体としない独立系の総合コンサルです。業界の枠組みとしては、戦略系の「Big3」(マッキンゼー/BCG/ベイン)と監査母体の「Big4」が別軸として並びます。違いの整理は主要比較記事でも明示されています。
Q:監査法人・税理士法人・コンサル(アドバイザリー)・FASの違いは?
A: 監査法人=財務諸表の保証業務(独立性が最重視)。
税理士法人=国際税務などの税務アドバイス。
コンサル(アドバイザリー)=業務・IT・戦略など事業変革の支援。
FAS=M&A・再生・フォレンジック等の取引/財務アドバイス領域。
Big4はグループ内にこれら機能が併存し、領域ごとの役割が分かれます(独立性の線引きあり)。
Q:どこが自分に合う?——選び方の基準は?
A:「業界×機能×働き方×グローバル」の志望軸で決めるのが実務的です。
例)公共×大型ITならデロイトの存在感、データ&AI/サイバーやESG横断ならPwC、リスク・ガバナンス起点のDXならKPMG、戦略〜実装の一気通貫の機会を広く求めるならEY――といった“傾向の違い”が各社紹介記事で整理されています。 最終判断は各社の現行募集要項や部門紹介の一次情報でアップデートしましょう。
Q:未経験でも入れる?見られるポイントは?
A:可能です。再現性ある成果の語り方(KPI)と役割の明確化(R&R)、志望軸の具体性が鍵。選考対策としては、ケース/与件整理の型、職務経歴の定量化、志望動機の社名固有化がよく挙げられています。採用スケジュール・対策の観点は転職サイトの特集でも繰り返し言及されています。
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