「Water」の気づき

入社以来、ヘッドハンター、コンサルタントとして様々な方のご転職支援に関わっている私ですが、昨年から社内での教育・育成のミッションも持つことになりました。そこで感じたことについて、今回は書いてみたいと思います。
幼いころに何度も読んだ「ヘレン・ケラー」の伝記の一節で、忘れられずにずっと心に残っているエピソードがあります。
「見えない」「聞こえない」「話せない」という三重苦を抱えたヘレン・ケラー。家庭教師のアン・サリバン先生は、言葉を理解できないヘレンに繰り返し指文字と様々なものを触れさせることで、物事には名前があることを教えようとしました。初めは学習を嫌がり、何度指文字で伝えても意図をくみ取れなかったヘレンでしたが、ある時に転機が訪れました。
「Water!」
井戸の水を手に注ぎながら指文字で繰り返し「w-a-t-e-r」と綴り続けたところ、突然ヘレンは「物には名前がある」ということに気づきました。そこから先は、言葉の通り水を得た魚のように次々と物事を吸収し、大学進学、政治への参加など、誰もが知るような歴史に名を残す偉人となったのです。
上記のエピソードは、部下の教育・育成にも通ずるところがあると、最近痛感しております。新卒社員など経験の浅いメンバーは、右も左もわからない状態から始まります。1回教えただけで出来るようになる人間などなかなか存在せず、何回も経験する中で、少しずつ指導の意味に気づいていくものだと思います。
いつか訪れる「Water!」の瞬間のために、メンバーが花開く瞬間を迎えるために、コツコツと諦めずに水をあげ続けたいと考えながら、拙いながらも育成にあたっています。
弊社が接点を持たせていただく方の中にも、部下をマネジメント・指導するお立場の方が多くいらっしゃるかと思います。きっとそれぞれのやり方で、チームとしての素敵な花を咲かせるために御尽力されてきたことと拝察しております。お話の機会をいただける際には、是非皆様のエピソードもお聞かせいただけると幸甚です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。